イナズマイレブン -もう一つの伝説-   作:メンマ46号

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閃電サッカー部に必要なもの

 side凪人

 

 王帝月ノ宮との練習試合以来、誰が情報を拡散したのか……強化委員として来た俺の指導により、閃電サッカー部は劇的なレベルアップを遂げたという話が広まった。ま、事実だけどな。

 

 それにより、以前とは違って他校からの練習試合の申し込みが引っ切り無しに殺到し、閃電サッカー部はようやく軌道に乗った。

 

「……これで、7連勝だぁーーー!!」

 

『おおーっ!!』

 

 キャプテンである星宮を発端に部員全員が盛り上がる。今日は御影専農との試合に勝利を収め、通算7連勝だ。因みに初勝利の相手は万能坂中だ。

 

 ……そろそろ探し始めても良い頃だろう。そう判断して俺は皆の前に立つ。

 

「さて、お前達もこれで充分に勝つ事を知ったと思う。そんなお前達には更なる課題がある!」

 

「!更なる課題……?」

 

 刀条がシリアス全開の表情で反芻する事で他の皆にも緊張が走る。良い面構えだ。これを確保しない事にはこの閃電サッカー部はフットボールフロンティアに出場出来ないばかりか、いずれ存続すら危うくなる。

 

「ズバリ、スポンサーを獲得する!!」

 

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 前回のフットボールフロンティアにて俺達雷門イレブンが全国優勝を遂げた事により、今や中学サッカーは国内で最も人を集めるスポーツとなった。

 練習試合でさえ、観客が多く押し寄せるその現状に、少年サッカー協会は頭を痛め初めている。

 

 人が集まり過ぎて人と人の接触事故などが最近多いのだ。つまりちゃんとした警備の人や会場内を整理する人が欠かせない。チームや試合を安全に運営するには莫大な資金がかかる。

 

 そこで必要になるのがスポンサーだ。

 

 中学サッカーの人気は今やプロ並の稼ぎが期待出来るというのが現状だ。ちゃんとした契約を結べばそれによってスポンサー側の利益にもなる程。実際に既に名の知れた強豪チームはスポンサーを確保し、契約を結んでいる。例えば木戸川清修はZゼミ。帝国学園は鬼道重工……と言った感じで。

 

 因みにうちの父さんはパンダ交通の本社に勤めている。……何故今こんな事言った俺。

 

 とにかく少年サッカー協会でも中学のサッカー部にスポンサーを付ける事の義務化が検討されている。俺達もスポンサーを獲得する必要があるのだ。

 

「……話は分かりましたけど、スポンサーですか…」

 

「ああ。スポンサーがいないとそれだけで廃部にされるチームもいずれ出て来るだろう」

 

「でもどうやってスポンサーなんて付けるんだ?」

 

 城之内の疑問も当然だろう。そこで俺は会田監督を通じて備流田さんから貰ったポスターを取り出して見せる。

 

「中学サッカーのスポンサーになりたいって企業は実は結構沢山あるんだ。さっきも言った通り、人気過ぎてプロ並の利益が見込めるからな。けど、どの企業も基本的にはどのチームのスポンサーになるべきか分からないのが現状だ」

 

 俺の取り出したポスター、それはそんなスポンサーになりたいけど、チームを選べないっていう企業が合同で開催する大会のものだ。

 

「だからこんな大会を開き、自分達の利益になるチームを見つけてスポンサーに収まるってのが企業側の算段なのさ。有名所はセキュリティ会社のHECOMに、農業用システム開発メーカーのVEGEMECH。他には飲料メーカーのゴッドブル飲料。楽器製造会社の神童インストルメントなんかもある」

 

 他にも沢山あるが、この四つが有名所だろう。この大会に出場して好成績を収めればスポンサーが付く可能性は高い。

 それにスポンサーが付けば部費が殆ど無いこのサッカー部の設備も充実するだろう。最近勝ち続けて、校内からの評価が上がっても……以前負け続きだった事からやはり部費は割り振って貰えない状態だからな。

 

「既にこの大会に出場してスポンサーを獲得しようと考え、参加を表明するチームもある。壁山が派遣された美濃道三や今日勝った御影専農。フットボールフロンティアの準優勝チームである世宇子なんかが筆頭だ。他にも尾刈斗や野生、青葉学園や海王学園なんかもいる」

 

「世宇子…って、何で準優勝の強豪チームがまだスポンサーを確保出来て無いんですか?」

 

「世宇子はフットボールフロンティアで神のアクアという薬でドーピングしていたからな。影山に唆かされていたとはいえ、世間の目も色々と厳しい。そんな中じゃスポンサーなんてまず現れない。神のアクア無しでの本当の力を示す必要がある」

 

 世宇子も雷門の強化委員派遣の候補ではあったんだが……アフロディが断ったんだよな。一応俺的には世宇子に行くという選択肢も充分に考えていたんだが。アフロディと共闘するのも面白そうだったからな。

 

「けど、ドーピングしてたからって、本当の世宇子が弱いだなんて思うなよ?世宇子は影山が集めた天才達のチームだ。神のアクア自体、元々軍事用の薬でそれに耐えられる強い肉体が求められるんだ」

 

 この大会で最も強いチームは間違いなく世宇子だろう。奴らの強さは雷門の中でも俺が一番知っている。今の閃電では勝てない。

 

 大会の参加費は俺が強化委員という事でサッカー協会が負担してくれる。いや本当にチェアマンには頭が下がります。

 

****

 

 side三人称

 

「うおおおおおっ!!」

 

 その日の練習後、堂本はいつものように木に吊るしたタイヤを受け止めるキーパー特訓をしていた。当然自身もタイヤを背負っている。

 

「お、やってるな堂本!」

 

「うす!斎村さん!!」

 

 それを見かけた凪人が堂本に労いの言葉をかけると、堂本は元気良く返事をする。

 

「タイヤ特訓、気に入って貰えたみたいだな!」

 

「はい!これ円堂さんがやってた特訓なんですよね!?これをやって俺もゴッドハンドを覚えたし、もう日課って言うか……」

 

「それだけじゃないだろ?」

 

「へへっ、やっぱ分かっちゃうか……。何たって俺達、勝っちゃったんだもんよ!!スポンサーだってきっと見つかる!そしたら最大の大会…フットボールフロンティアに出場出来る!!ずっと憧れてきたんだ……!」

 

 最高の笑顔ではしゃぎながら握りしめた右拳を見つめる堂本。凪人はそんな堂本を見てますます彼を円堂と重ねる。そしてふと気になった事を尋ねてみる。

 

「そういやお前らは今までフットボールフロンティアに出た事無かったのか?」

 

「え?ああ〜…俺達弱小だったから、大会の参加費を出して貰えなくて……人数は足りてたんすけど」

 

「成る程。あの生徒会長なら納得」

 

 凪人自身、この学校の生徒会長は未だにサッカー部を認めていないのは分かっている。サトルが校内で彼と会う度に露骨に嫌味を言われているのを何度も見かけたのだ。

 

「フットボールフロンティアは中学サッカー日本一を決める大会だ。あの帝国学園を始め、数々の強豪が参加する。特に今年は優勝校の雷門イレブンが全国各地のチームに強化委員として加入しているからな。尚更生半可な実力じゃ勝ち上がる事は出来ない」

 

「はい!だから俺、もっともっと強くなって、ゴッドハンドを強化しようと思って……」

 

 堂本は自分の手を見つめる。彼はここ最近の試合でもあの赤いゴッドハンドで何度も相手のシュートを止めている。王帝月ノ宮戦では唯一必殺技を修得出来ていなくて、出遅れていたが、凪人の眼から見て今一番伸びているのは間違いなく堂本だ。

 

「そっか。なら、俺のシュートを受けてみないか?」

 

「え…」

 

「どうだ?」

 

「お、お願いします!!」

 

 そんな堂本を見て応援したくなったのか、凪人は堂本のキーパー特訓に付き合う事にしたようだ。場所は変わってサッカー棟のグラウンドにて練習を始める。

 

「シャイニングランス…改!!」

 

「うおおおおっ!ゴッドハンドォー!!!」

 

 凪人のシャイニングランスを止めようとゴッドハンドを繰り出す堂本。しかしゴッドハンドはシャイニングランスを受けた瞬間、粉々に砕け散る。

 

「どわああああっ!?」

 

「どうした!?この程度でへばったりしないよなぁ!?」

 

「へへっ…!当然!!ずばばーんと来ぉい!!」

 

 ゴッドハンドが破られても自信を喪失する事なく次のシュートを要求する堂本を見て凪人の表情は綻ぶ。へこたれない精神は既に円堂に迫る。

 

「……今更だけどお前、敬語下手だよなっ!ファイアトルネード改!!」

 

「うおおおおおおっ!!」

 

 こうして、スポンサー獲得の為の大会に向けて閃電イレブンは凪人主導による猛特訓を続けた。

 

****

 

 そして大会当日、閃電イレブンは電車を使って自費で大会の執り行われる地域に来ていた。既にスタジアムにはあらゆるチームが揃っている。

 

「この大会はこの五連休で行われる。大会と言ってもトーナメントなんかじゃなく、完全ランダムでカードが組まれ、1チーム、一日二試合行う。この会場にグラウンドは八つあるから同時に八つの試合が行われる。開会式が終わればすぐ試合開始だ!」

 

 凪人の説明に閃電イレブンは息を飲む。全部で10試合。その中からアピールをしてチームを売り込む。そうして企業に目を付けて貰う他無いのだ。

 

「有名なチームもやっぱり来てるね。野生中に御影専農……あっちは海王学園だ」

 

「青葉学園もいるぜ……この大会、かなり厳しい戦いになるぞ」

 

「何言ってんすかキャプテン!桐林先輩!俺達はフットボールフロンティアで優勝するんですよ!?ここでビシッと勝ってスポンサーを獲得しねーと締まらねーっすよ!?」

 

「堂本君……」

 

 最近勝ち続けているとはいえ、元々が弱小の閃電はやはりどこか弱気だ。それを堂本が励ます。そんな彼らを見て凪人は配布された紙を配る。

 

「今日の俺達の対戦カードだ。開会式が終わればいきなり初戦だ。……行けるな?」

 

『おう!』

 

 そうして閃電イレブンは一斉に初戦の相手を確認する為に紙を開く。するとそこに記されていたチームの名前は……、

 

【大会1日目、閃電中試合相手】

 

 ①10:30〜 美濃道三中

 ②15:30〜 天河原中

 

「しょ、初戦からサッカー強化委員のいるチーム!?」

 

「しかも美濃道三って…壁山塀吾郎の……」

 

「ああ。壁山が派遣された事でディフェンス面において突出した実力を表したチームだ。壁山の作り出したディフェンス力はそう簡単に突破出来るものじゃない。だからこそ戦う価値がある!!」

 

『!!』

 

「そのディフェンスを破れば俺達が強くなった証明になる!相手に取って不足無し!!そう思わないか!?」

 

 騒つく閃電イレブンの不安をたったそれだけで吹き飛ばす凪人。そして凪人は拳を上げて叫ぶ。

 

「打倒、美濃道三!!閃電の力を見せてやろうぜ!!」

 

『おおーっ!!』

 

 ……そして試合の前に開会式に出る為、先を急ぐのであった。




美濃道三を倒す事は閃電の成長には不可欠だと考えたので。
メタ的な視点で言えばぶっちゃけ今回の目的はスポンサーよりも壁山です。
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