イナズマイレブン -もう一つの伝説-   作:メンマ46号

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難産でした。美濃道三のキャラはアニメの描写が少ないから書きづらい。


激突!閃電vs美濃道三・前編

 side三人称

 

 複数の企業が合同で開催する中学サッカーの大会。その中でもこの試合は非常に注目が集まっていた。かつてフットボールフロンティアで優勝を遂げた雷門イレブンのメンバーが強化委員として派遣されたチーム同士の試合なのだから。

 

「斎村さん、今日は負けないッスよ!」

 

「ああ!勝負だ壁山!ぶつかって来い!」

 

 壁山塀吾郎。かつての雷門のレギュラーDFとして鉄壁を誇った男だ。こうして会うのは数ヶ月振りだが、彼が格段にレベルアップを遂げているのは一目で分かった。

 

 凪人は壁山と握手を交わすとピッチに立つメンバー達に今回の試合方針を伝える。今回は王帝月ノ宮戦とは違い、勝つつもりで戦うのだ。

 

FW 桐林 刀条

 

MF 海原 星宮 斎村 赤木

 

DF 城之内 石島 種田 藤咲

 

GK 堂本

 

 これが今回のスタメンだ。逢崎は今回ベンチスタートだ。と言っても実力が劣るからではない。いざという時、いつでも出られるよう準備しているのだ。

 

 ピョンピョンと軽く跳ねてウォーミングアップをする凪人は美濃道三のフォーメーションをその目で確認する。成る程ディフェンスに重きを置いた陣形だ。あれを真正面から突破するのは難しいだろう。普通なら。

 

(……そもそも美濃道三から点を取るのに攻める必要なんか無いんだけどな)

 

 凪人からすれば今の美濃道三は守る事しか出来ないチームと言えた。壁山が入って強固なディフェンスが出来るようになったのは評価に値するが、逆に言えばディフェンスばかりに気を取られて自分達で攻撃に持ち込む力が欠けていると言えた。これまで美濃道三の得点は全て無理にそれを突破しようとした相手から守ってからのカウンターによるものだ。

 

 その為、こちらが守りに徹すれば向こうは足りない攻撃力で無理に攻め込むしか無くなる。そこを逆にカウンターしてやれば容易に点を取れる。

 

(この辺の事は試合後に壁山に教えてやらねーとな……言われても改善出来なきゃそれまでだ)

 

 しかし凪人及び閃電イレブンは今回そのような方法で勝つ気は更々無い。無謀にも攻め込んであのディフェンスを突破するつもりだ。

 

(美濃道三のディフェンスを正面から突破出来る程の攻撃力を持ち、それを活かせる連携が出来なきゃ……日本一になるのは勿論、世界に挑戦するのも無理だ……)

 

 凪人は司令塔として優秀な頭脳とMFとして優秀な技術を兼ね備えている。そして他の誰にも無い武器……脅威の侵略者編以降の原作知識がある。

 

 それらをフルに活用して閃電イレブンを鍛えて来た。美濃道三の鉄壁のディフェンスを正面突破するだけの実力は付けたと自負している。

 

「見せてやろうぜ!雷門魂と閃電魂の共鳴現象ってヤツを!!」

 

『おう!』

 

 大勢の観客と企業の社員達が見守る中、ホイッスルと共に閃電ボールで試合開始。刀条が桐林に、そして桐林がサトルにボールを渡し、二人は前線に上がって行く。

 

「星宮!まずは思いっきり攻めるぞ。そこから相手の出方を伺って、攻略法を考える」

 

「うん…僕達中盤が重要になるね……」

 

 凪人とサトルが攻め上がる中、壁山によって鍛えられた美濃道三イレブンは早速動き出す。FWの石壁を躱す為にサトルが凪人にパス。するとキャプテンでありFWの岩垣が凪人からボールを奪わんと迫る。

 

「元雷門副キャプテン……天才MF斎村凪人!一度貴方と相見えてみたかった!!」

 

「あっそ」

 

 良く言えばストレート。悪く言えば愚直に突っ込んで来た岩垣を凪人はΦトリックで避けて適当に軽く遇らう。それから次々と迫るMF達をサトルとのワンツーやサイドから攻める赤木や海原との四人でのパス連携を駆使して順調に攻略していく。

 

(……さて、問題は肝心のディフェンス陣。FWやMFの通常のそれよりディフェンスのレベルが高かった。壁山をメインに置いたディフェンス陣はどう仕掛けてくる……?まずは様子見だ!)

 

「刀条!」

 

「はい!」

 

 前線でゴールを狙う刀条にボールを託し、凪人はフィールド全体……取り分けディフェンス陣に注目して観察する。すると歯を剥き出しにしたDFの万里が刀条の前に出る。

 

「うおおおおおっ!!ザ・ウォール!!」

 

「!?うわああああっ!!」

 

「刀条君!」

 

 まさかの壁山の必殺技、ザ・ウォールを使い、巨大な壁を出現させる事で相手の行く手を阻む。そして衝撃波で刀条を吹っ飛ばしてボールを奪う。

 

「ふむ……ザ・ウォールを全員に教えた上でそれを基点に自分だけの必殺技を編み出させる方針ってとこか。……それより刀条は突破力に欠けてるな。ドリブル技をメインに特訓が必要だなこりゃ」

 

「れ、冷静に分析してるーーー!?」

 

 そして凪人は何処までも冷静に万里のディフェンスから美濃道三のディフェンス特訓の方針とレベルにアタリを付け、刀条の特訓内容の改善を考えていた。

 

「万里君!今のザ・ウォール、今までで一番良かったッスよ!!」

 

「ウス!!」

 

「さてさてさて……次はオフェンスを見せて貰おうか」

 

 そしてカウンターを決めるべく美濃道三は攻め上がる。対して閃電は下がり、ディフェンスに集中する。すると凪人は思いっきり叫ぶ。

 

「皆!カウンターを仕掛けられているからって焦るんじゃないぞ!!お前達なら美濃道三()()の攻撃……簡単に防げる!!特訓の日々を思い出せ!!」

 

「ほう……言ってくれるな!」

 

 岩垣は凪人の発言が気に食わなかったのか、それとも先程適当に扱われたのが悔しかったのか、その体格を活かした当たりの強いパワータックルで閃電ディフェンス陣営に食い込んで来る。

 

「種田!石島!」

 

「「はい!」」

 

 凪人に名を呼ばれてDFの二人は岩垣の前に出てマッチアップ。岩垣は流石に2対1は避けたいのか周囲にパスを出そうと辺りを見渡す。しかし既に周りの仲間達は閃電イレブンによるマークを受けてパスが出せない状態だった。

 

「なっ!?いつの間に……!!」

 

 当然これも凪人の指示だ。それも凪人はこれまでの美濃道三の選手のプレーを分析した上でその明晰な頭脳を駆使して予め幾多のパターン分けしての前もって出された複数の指示の一つでしかない。

 

「「勝負だ!」」

 

「……良いだろう!正面突破するのみだ!!」

 

 迫る石島と種田。岩垣は真正面から切り抜けにそのパワータックルを仕掛ける。

 

「ふっ!」

 

 それを種田は紙一重で躱して左脚を伸ばし、ボールを上に弾こうとする。岩垣それに気付き、軽く跳び上がる事で胸でトラップ。無事にキープしてほっと一息。

 

 そしてその直後、ボールを保持して着地した瞬間、石島が仕掛けた。

 

「ブレードアタック!!」

 

 一回転して踵から放たれた刃状のエネルギー波が岩垣に直撃。衝撃で吹っ飛ばしてボールは種田の元へ。

 

「やった!これが俺の必殺技……ブレードアタックだ!!」

 

「うおおおおっ!すげぇーー!!ビリビリ来たぁーー!!やったっすね!!石島先輩!!かっけぇ!!」

 

「ああ!」

 

 石島のディフェンス技を見て興奮したのか大声で叫ぶ堂本。石島もそんな堂本に右手の親指を立てて応える。そしてキャプテンであるサトルが叫ぶ。

 

「良し!もう一度僕達が攻めるぞ!!速攻だぁーー!!」

 

『おおおーっ!!』

 

 石島から出されたパスを受け取りドリブルするサトル。ボールを取り返そうと前から襲って来る相手MFを凪人とのワンツーで躱して海原にパス。今度は左サイドから攻めていく。

 

 そしてそんな前線を見守りながら凪人がサトルの隣を走りつつ語る。

 

「アレが美濃道三の今の攻撃レベルだ。守る事ばっか考えてるから攻撃力が致命的に足りてない。試合前に説明した通り、相手が全力の攻撃をして消耗した所をチーム全体での力押しカウンターをしないと満足に攻められない。そこまでしなきゃ得点出来ない。個人で攻めさせたらあの通り。今の石島達なら充分止められる」

 

「……だからこっちが守っていれば痺れを切らして全体で攻めて来るしかなくなる。そこをカウンターすれば楽に点が取れる訳だね」

 

「ああ。今回は閃電(おれたち)の成長の為だからこそ敢えてやらねーけどな。カウンター狙いが逆にカウンターが弱点になるとは皮肉なもんだ」

 

 凪人はこの試合が終わったら壁山にその点を指摘して助言する思いを固める。守る事しか出来ないチームは勝てないのだ。

 

(それに……多分攻撃を捨てて守りに全て注いだとしても……美濃道三は木戸川清修の突破力の前には打ち砕かれるだろうな……)

 

 そして美濃道三のディフェンス陣はガンガン攻めて来る閃電に対して全力のディフェンスで応える。

 

「もっこり丘のモアイ!!」

 

「どわあああっ!?」

 

 地面からせり上がって来たモアイ像によってボール諸共空中に吹っ飛ばされる桐林。しかし桐林の必殺技は空中から放つもの。むしろ好都合だった。

 

「メテオアターーック!!」

 

 偶然か否か…そのシュートはモアイ像の陰に隠れてキーパーからはシュートコースが見えない。見える頃にはキーパーは間に合わず、ゴールネットを揺らすだろう。

 

 しかし美濃道三にはそれに対応出来るDFがいた。

 

「ザ・ウォール改!!」

 

 壁山塀吾郎は桐林のメテオアタックを以前より進化したザ・ウォールでシュートブロック。勢いを完全に殺して足元にボールが落ちた所を踏み付ける。

 

「ゴールは簡単にはやらないッスよ!」

 

「……自分のレベルアップも怠ってはいないようだな」

 

 チームを成長させ、導くという点では凪人からすればまだまだだが、一人のDFとしてのレベルアップ具合は文句無しに合格点だ。今の壁山相手では凪人もそう容易には単独突破は出来ないだろう。

 

「強化委員の意地を見せるッス!!」

 

「それはこっちも同じさ!!」

 

 壁山が再び前線に繋ごうとパスを出せばそれを赤木がカット。しかし赤木の前には平田が立ち塞がる。

 

「フランケン……(シュ)タイン!!」

 

 親父ギャグのようなネーミングだが、平田の前には巨大なおじさんのようなオーラが具現化し、その手で赤木を叩き潰さんと振り下ろす。

 

 刹那……赤木は目を閉じる。

 そしてその腕が振り下ろされるのを感じ取るが如く……ユラリと舞うように紙一重でそれを躱してみせた。

 

「何!?」

 

「……赤木は閃電イレブンの中で特にオフェンスの素質が高い。ちょっとした特別メニューでの特訓をすれば……その突破力は絶大なものになる。……まだまだ発展途上だがな」

 

 そして最後に「一番凄いのはそれを発見して鍛え上げる俺だ」と凪人は自画自賛する。勿論心の中でだが。ここで口に出したらただの痛い奴である。

 

「桐林!星宮!4番と5番をマークしろ!!赤木はそのまま持ち込め!!」

 

 そして凪人の指揮によって美濃道三のディフェンスは乱され、崩れ始める。凪人自身は壁山をマーク。

 

「やっぱり斎村さんは凄いッス……けど俺達だって負けないッスよ!!」

 

「ああ!俺とお前……ひいては閃電と美濃道三の全力勝負だ!!」

 

 そして遂に凪人がマークする壁山以外の……右サイドのディフェンスは見事に突破され、エースストライカーの刀条へとボールが渡る。キーパーとの一騎討ちだ。

 

「決めろ刀条!!」

 

「刀条君!!」

 

「はい!ソニックショット!!」

 

 ダイレクトで蹴り出したボールが途中で急加速。そのスピードにはキーパーも対応出来ずにゴールネットが揺れる。

 

 1-0

 

 前半25分の事だった。そしてその瞬間、会場に歓声が沸く。あの鉄壁の守りを誇る美濃道三相手に急成長中とはいえ、未だ弱小から脱却したとは言えない閃電がゴールを奪ったのだ。

 

「やった!!決めた!!鉄壁の美濃道三相手に俺が!!」

 

「ナイスシュートだ刀条!!」

 

「うん!最高のキックだったよ、刀条君!!」

 

 先制点に盛り上がる閃電イレブン。そしてそれとは対照的に美濃道三イレブンは悔しさに顔を歪ませる。

 

「くそ…!俺達のディフェンスが正面突破されるなんて……!!」

 

「凄いパワーのオフェンス技やタクティクスを使われた訳じゃない……なのに……!!」

 

 しかしここで彼らを落ち着かせ、導く存在こそが『サッカー強化委員』だ。壁山は皆の前に立って彼らを励まし、発破をかける。

 

「皆!まだ試合は終わってないッスよ!!まだ前半25分!逆転は出来るッス!!」

 

「壁山さん……」

 

「諦めない雷門魂……皆の中にもうあるはずッス!!あの技でゴールを守って、奪うッス!!そして勝つッス!!」

 

 真剣に語る壁山。そしてそんな壁山を見て美濃道三イレブンは互いの顔を見合わせて頷く。そう。まだたった1点取られただけなのだ。試合はまだ分からない。

 

 そして美濃道三ボールで試合再開。凪人の指揮でまた見事にボールを奪い、攻める閃電。

 

 しかしここで事態は動いた。攻め上がって来る閃電を迎え討つ為に全員がゴール前に集結した。

 

『!?』

 

「全員守備……?」

 

 その瞬間に凪人は直感で何かを感じた。しかしそれを口に出す前に彼らはそれを出した。

 

 

 

 

「皆!行くッスよ!!」

 

 

 

『レンサ・ザ・ウォール!!!!!』




稲森と一星の異母兄弟説が出回ってるけど、それが本当だったらイナイレ史上初のドロドロした重さになるな……。
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