イナズマイレブン -もう一つの伝説-   作:メンマ46号

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オリオンの刻印……ずっと思ってたけど、風丸と不動の背番号、普通逆じゃね?


見習いの神様

 side三人称

 

 スポンサーを獲得するべくこの五連休を利用して大会という名の連戦練習試合に参加した閃電中イレブン。今日がその最終日であり、現在している試合こそ今回彼らがする最後の試合である。

 

 残り時間も僅かな中、桐林の出したパスがゴール前のサトルへと届き、トラップしてすぐにシュートへと移行する。

 

「オーディンソード!!」

 

「くっ!うああああっ!!」

 

『決まったぁーーー!!閃電中キャプテン星宮の必殺シュートが青葉学園のゴールに突き刺さったぁー!!これで6点目だ!!』

 

 ピッ、ピッ、ピーーーー!!

 

『ここで試合終了のホイッスル!!閃電中vs青葉学園は6-0で閃電中の完全勝利!!この試合のMVPはゴールキーパーの堂本でしょう!!全てのシュートを止め切り、無失点を誇った次世代のスーパールーキーです!!』

 

 閃電イレブンはこの大会において全戦全勝を誇り、この大会を開いた全ての企業から注目を受けていた。元々が弱小だった故に強化委員の派遣と共に爆発的に実力を上げている閃電中の存在は非常に目立つのだ。

 

「しゃあっ!!勝ったぞ!!」

 

「これで大会は全戦全勝!これならスポンサーだって付くんじゃないか!?」

 

 口々に喜びの言葉を出す閃電イレブン。今回は試合に出場せずにベンチから彼らの活躍と成長具合を見ていた凪人も思わず頬を緩めてしまう。

 

「斎村さん!思った以上に皆強くなってます!これなら……!!」

 

「ああ。フットボールフロンティアの全国上位も充分に狙える。ここまで成長が速いとは俺も予想外だ……」

 

 マネージャーである時枝の意見に同意しながら、この試合で取れた閃電イレブン全員のデータを確認する。

 

(……そろそろ連携必殺技やオーバーライドにも挑戦出来るか?一度風丸か修也と連絡を取って合同練習や練習試合を組んで貰えないか頼んでみるか……)

 

 思った以上に上手く事が運んでいて凪人自身、内心ウキウキしてしまう。近い内に雷門のイナビカリ修練場を使って特訓させるつもりではあるが、フットボールフロンティアが始まる頃には本当に全国トップに君臨しているかもしれない。

 

「やったっすよ斎村さん!全勝です!!」

 

「おう堂本。良くやった。ゴッドハンド、格好良かったぜ」

 

 試合相手への挨拶を済ませ、ベンチに集合する閃電イレブン。まだまだ体力にも余裕がある。彼らの潜在能力は凪人が思っている以上に高いのかもしれない。

 

「良し!じゃ休憩が終わったら、Bグラウンドに行くぞ。丁度良く始まるはずだ」

 

「始まるって…?」

 

「世宇子中の今大会最終戦だ」

 

****

 

 side凪人

 

 俺達閃電中の大会での試合は全て滞りなく全勝で終わった。だがそれ以上に気になる試合がある。あいつらは俺達と同じくこれまでの9戦を全勝し、これが残り最後の一試合だ。都合良く俺達の試合が終わってスケジュールが整った事でようやく観戦出来る。

 

 世宇子中vs海王学園

 

「前回のフットボールフロンティア準優勝校、世宇子中か……」

 

「雷門サッカー部が強化委員として一時的に解散している以上、実質的に現状日本No.1の実力のチームだ。神のアクアによるドーピングが明るみになったとはいえ、その実力は本物だ」

 

 特にアフロディ。奴のシュートは例え神のアクアが無くとも円堂がマジン・ザ・ハンドを使ってようやく止められるレベルだ。フットボールフロンティアでは必ず目の前に立ち塞がる。……一応仲間達が強化委員として各地に散らばる前に俺の知る原作の…脅威の侵略者ルートでの技に関するヒントや助言をさり気なく伝えてはいるが、それを活かせるかはあいつら次第だ。それが出来なきゃアフロディ率いる世宇子を倒すのは難しい。

 

 因みにそれぞれに教えた無印での技のヒントは染岡にはワイバーンクラッシュ、修也には爆熱ストーム、風丸には風神の舞、円堂には怒りの鉄槌とイジゲン・ザ・ハンドといった感じだ。そこから上手く無印の技を会得してくれれば良いんだが。……不安だ。特に修也。木戸川清修であの魔神を出す爆熱ストームを修得出来るだろうか……。メンバーがあの三兄弟だからなぁ…。

 

 いや、それとなく沖縄の大海原中に行ってみないかとか提案してみたんだが……冗談としか受け取られなかったんだ。

 

 因みに世宇子はフットボールフロンティアでの神のアクアによるドーピングの事からこの大会では試合毎に徹底した検査を受けている。またドーピングをしていたら勝っても誰も世宇子のスポンサーになろうとはしないだろうし、これは当然の処置だ。

 

「あ、始まりますよ!」

 

 赤木に言われて俺はピッチに立つアフロディ達世宇子を観察する。デメテルとアフロディが敵陣目掛けて真っ直ぐに走り出す。そのスピードと突破力を対処出来るDFは海王学園にはいないようで、すぐにアフロディがゴール前に辿り着いてしまった。

 

 アフロディはすぐに六枚羽の純白の翼をその背中に広げる。それと同時に浮かび上がったボールに羽のエネルギーが稲妻となって注がれながら、アフロディはその翼で飛翔。そして最後にシュート。

 

「ゴッドノウズ!!!」

 

「……やっぱやるなーアフロディ。神のアクアなんか無くても滅茶苦茶強え」

 

 当然海王学園のキーパーには止められずにゴール。世宇子が先制点を掴み取った。

 

 神のアクアを使っていない今でもその威力は健在。いや、むしろパワーアップしている。来年のフットボールフロンティアでは確実に無印でもあったゴッドブレイクを使ってくるだろうな。今の堂本のままじゃ絶対に止められない。勿論円堂だってゴッドブレイクを止めるにはマジン・ザ・ハンドじゃ無理だ。上手く怒りの鉄槌とイジゲン・ザ・ハンドを修得してくれれば……。

 

「リフレクトバスター!!」

 

 そんな事を考えていればデメテルのリフレクトバスターで追加点。

 

「強い…これが世宇子中……!!」

 

「ああ。けど、これまでの世宇子とは根本から違う」

 

「え?」

 

 以前の世宇子はメンバー全員が神のアクアによって絶対的な力を得たと思い込み、嫌な自信に満ちていた事からチームなんて形だけ。11人全員が各々思うように勝手な動きをしていた。実際それで勝てていたからサッカーは11人でやるという基本的な事すら忘れていた。

 

 必殺技だってそうだ。あいつらの中に連携必殺技を使う奴らはいなかった。全員が個人技で向かって来た。

 

 確かにサッカーにおいて卓越した個人技能は必要だ。だがそれ以上に必要なのはチームプレー。それが出来ない奴はいずれ破滅する。雷門との決勝戦の時だってそれが出来ていれば結果は違っただろう。

 

 だが今の世宇子は違う。神のアクアが間違っていた事に気付き、自分一人で出来る事なんてたかが知れている事を知っている。一人では限界があるという事を正面から認めている。

 

 だから手を取り合っている。仲間を信じてパスを託す。相手を倒す為に仲間の力を借りる事を知っている。

 

「……強いぞ。今の世宇子は」

 

 思わず口の端が上がっていた。今の世宇子はフットボールフロンティアの時とは比べ物にならない。神ではなく、人としての強さを勝ち取る為にがむしゃらに頑張る。

 

「はああああぁぁっ!!」

 

「ふっ!」

 

 アフロディが出したパスをデメテルがヘディングでダイレクトにゴールへぶち込む。……ふと思ったがあのヘルメットは良いのか?ヘディングの威力上げてそうなんだけど。

 

 とにかく世宇子はチームプレーをメインに試合を運び、勝利へと迫っている。

 

「アフロディ達はもう大丈夫だな。最初雷門の強化委員の派遣を断った時は決勝戦の事根に持って逆恨みされてるんじゃないかと心配になったけど……それも無さそうだ」

 

「……因みに世宇子が強化委員の派遣を断らなかったら誰が行ってました?」

 

 不意に時枝がそんな事を聞いてきた。

 

「あ?……う〜ん、消去法で円堂か俺じゃねぇかな?殆どの奴は行きたがらないだろうし」

 

 鬼道が行けば影山関連でギスギスしそうだし、風丸は風丸で行かせたら苦悩するだろうから……染岡は100%モメる。となるとキーパーのポセイドンがじきに卒業する事も踏まえて円堂か……チームの統率を図る目的で俺になっただろうな。

 

 勿論、俺や円堂が行く気になってたらの話だが。俺は世宇子に行く選択肢も考えてたが。

 

 試合はもう終盤に差し掛かっている。得点差は9-0。ここまで来ると海王学園の健闘振りに目が行く程だ。あの世宇子相手に9で抑えられているのは凄いと言えるし、時間的に逆転も不可能なレベルなのに諦めずに戦っている。普通はこうはいかない。

 

「世宇子…王帝月ノ宮よりずっと強え」

 

「どうだ?あいつらと試合してみたいか堂本」

 

「はいっ!!ゴッドノウズ……俺の手で止めてみたいっす!!」

 

 100点満点の回答だ。そしてここで試合終了のホイッスル。勿論世宇子の完勝だ。神のアクアによるドーピングは無いと大会側で厳正に診察したんだ。紛れもなく実力で勝ち取った勝利。世宇子にもこの大会でスポンサーが付くだろうな。

 

「おっ。会田監督からだ」

 

 そしてこのタイミングで監督からメール。その内容は勿論この大会の趣旨……スポンサー獲得の件だ。結果は……

 

「……スポンサーになりたいって企業が名乗り出てくれたらしい!それもかなりの数が!これからどの企業にスポンサーになって貰うか決めるってさ!俺と星宮が呼ばれた!」

 

『おお!!』

 

 これでサッカー部の設備もどうにかなるだろう。それにフットボールフロンティアにも出場出来る。後今日やる事は……

 

****

 

 side三人称

 

 世宇子中vs海王学園の試合が終わってから、一時間後に閉会式をする為、初日の開会式を行ったグラウンドに各チームは集合する事になった。

 

 アフロディはそれまでの時間、疲れを癒す為に単独行動を取り、自販機でスポーツドリンクを買おうとしていた。

 

「……この大会では全勝出来た。けど、問題はスポンサーが付くか」

 

「付くに決まってるだろ。お前達は自分達の実力を示したんだ。問題無い」

 

「!」

 

 すると背後から知り合いの声がアフロディに向けられた。彼は迷わず振り返ってその人物と顔を合わせる。

 

「斎村君…」

 

「よっ!世宇子の控え室に行ってもいなかったからさ、他のメンバーに聞いて探したぞ」

 

 そう言って凪人はアフロディが買おうとしていたスポーツドリンクを投げ渡す。アフロディは少しだけ驚いたものの、難なくキャッチする。

 

「やるよ。お疲れさん。今日の試合、痺れたぜ?」

 

「……フッ」

 

 アフロディは凪人の言葉に微笑むと凪人に貰ったスポーツドリンクのキャップを開いて飲み始める。すると凪人の瞳はキラリと光った。

 

「神のアクアだけどな。ソレ」

 

「!?…っぶはっ!?ゲホッ!!ゲホゲホッ…!!!」

 

「……冗談だよ。悪かった」

 

 あまりに唐突で不意打ちが過ぎたのかアフロディはむせてしまう。流石に冗談にしては悪質過ぎたと反省した凪人はアフロディの背中を軽く叩いて落ち着かせる。

 

「……全く君は…いや、君の冗談を責められる立場じゃないな」

 

「……やっぱ気にしてたんだ。神のアクアの事」

 

「ああ。フットボールフロンティアが終わってから……ずっと後悔していた。雑誌に書かれたよ。『世宇子の強さは偽物だった』ってね。……偽物じゃない。皆一生懸命努力したんだ。神のアクアなんて無くても世宇子は強かったはずだ。あんな事は間違っていた。僕はキャプテンとして……どうしてもっと早く気付く事が出来なかったんだって…」

 

「……」

 

 アフロディの嘆きに凪人は何も言わない。事実だからだ。同情も言い訳も必要無い。凪人が慰めても意味が無い。大切なのはこれからどうするかなのだから。

 

「でもある人が言ってくれたんだ。人は誰でも間違いを犯すものだって。大事なのはその後…その間違いを乗り越えて前に歩いて行けるかどうかだって」

 

「!」

 

 奇しくも凪人と同じ考えを他の誰かに言われて立ち直る事が出来たらしい。

 

「……そっか。良い人だな。その人」

 

「うん……。それで気付いたんだ。僕は神様なんかじゃないって」

 

「……今更?」

 

 思わず呟いてしまう。フットボールフロンティアの時から神を自称していたが、ドーピングは後悔してもその時まで自分を神と言い張るのは変わらなかったらしい。ある意味彼らしいとも言えるが。

 

「……だから決めたんだ。やり直すんだ。見習いの神様として」

 

「ブレないなお前……」

 

 呆れているようで苦笑してしまう。それでこそアフロディとも思う自分がいる。アフロディはそんな凪人に向き直って話を続ける。

 

「だから君達に……雷門の皆に言いたかったんだ。ありがとう。間違いに気付かせてくれて」

 

「そう思ってくれてんなら、試合で示してくれよ?」

 

「勿論さ。君達強化委員の派遣されたチームに勝つ事でその恩に報いるつもりさ。だから強化委員を断ったんだ」

 

 何の憂いもなく話が出来た事で満足した凪人とアフロディは互いに背を向けて歩き出す。

 

「……次のフットボールフロンティアの地区予選、恐らく世宇子と閃電は戦う事になる。その時は絶対に負けない」

 

「俺だって、本気でお前達に勝つつもりだ。雷門最強のライバルである世宇子に!!この閃電イレブンで!!」

 

 背を向け合っているのにお互いがクスリと笑っている事が理解出来る。

 

「じゃあ……」

 

「またな」

 

 そうして凪人とアフロディは自分のチームの元へ歩き出した。再戦を誓い合って。




つーわけでネタバレっぽいですが、アレスの天秤編で閃電と世宇子は戦います。
アニメの描写があまりにもお粗末だったのもある。

因みに主人公もアフロディも予選は前回と同じトーナメントだと思ってます。まだ現時点ではグループリーグとは知らないので。
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