イナズマイレブン -もう一つの伝説-   作:メンマ46号

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今回はペンギンを継ぐ者の1話を使ってます。


サッカー強化委員の成果

 side三人称

 

 円堂守率いる雷門中サッカー部はフットボールフロンティアを制した後、日本が世界に羽ばたく為、日本の中学サッカーのレベルを底上げする『サッカー強化委員』として全国各地の中学校に散って行った。

 

 実際に彼らの加入したチームはメキメキと実力を上げ、その殆どが全国の中学サッカーのランキングにおいても上位に君臨している程だ。例外もあるが。

 

 中でもその代表格のチームは二つ挙げられる。

 

 一つはかつての帝国学園キャプテンであった天才ゲームメイカー鬼道有人が派遣された星章学園。

 

 もう一つは雷門の副キャプテンであり、鬼道と肩を並べる程の司令塔、『フィールドの軍神』斎村凪人の派遣された閃電中。

 

 他にもエースストライカー豪炎寺修也が派遣されたかつての古巣、名門木戸川清修中に風丸一郎太の派遣された40年連続優勝の帝国学園。雷門の点取り屋こと染岡竜吾が派遣された昨年の全国大会ベスト4の白恋中……。これらが該当するだろう。

 

 サッカー強化委員が派遣された事により、全国の中学サッカーのレベルは格段に跳ね上がっていた。全ては日本が世界に羽ばたく為に……。

 

 そして迎えた4月……彼らの学年も上がり、いよいよ今年のフットボールフロンティアが近付いていた……。

 

 今日この日、かつての雷門イレブン……現サッカー強化委員の内、四名が稲妻町のある場所、ある店の前に集まっていた。その周囲にいる一般の人々はその四人に視線が釘付けになっている。現在中学サッカーはスポンサーを必要とする程に人気なのだ。その立役者であり、昨年の優勝チームのメンバーであり現在はサッカー強化委員を務める彼らは何処へ行こうと目立つ存在になっていたのだ。

 

「ありがとうございましたー」

 

 アイスクリーム屋の店員の声が程々に響き、11段重ねというアイスを購入した少年、円堂守は後ろを振り向いてそこにいる友三人に話を振る。

 

「いやぁ…まさか俺達が別々のチームになるなんてなぁ〜」

 

「……今更過ぎねえか?」

 

 円堂の最初の一言に呆れつつ、クレープを頬張る斎村凪人。彼は周囲からの視線に辟易としながらすぐに食べ終えて飲み込む。

 

「あはは……俺のチーム、つい最近発足したばっかでさ。あんまり実感無くて……」

 

「だから最初から人数揃ってる所に行けって言ったろ?もうサッカー強化委員派遣から半年以上経ってんだし、それだけ期間ありゃあいくらでもチームの強化なんて出来ただろうに」

 

 凪人の言葉は客観的に見れば正しい。彼自身、これまで勝った事の無かった弱小チームを今や全国ランキングの上位……それもあの帝国学園や木戸川清修を抜いてトップクラスにまで成長させたのだ。言葉の重みが違う。

 

「あはは……でも大丈夫さ!本当にサッカーが好きな奴らが集まったから!これからドンドン強くしていくさ!!」

 

「……ま、お前はそうだよなぁ。期待してる。全国大会で白熱した勝負が出来るってな」

 

 するとそれまで黙っていた豪炎寺修也はジュースのストローから口を離し、不敵な笑みを浮かべながら話に参加する。

 

「凪人、円堂……俺達の事を忘れた訳じゃないだろうな?特に凪人。今の所は全国ランキングで木戸川清修は閃電に負けているが、油断をしているならいつでも足元を掬ってやるぞ?」

 

「忘れてねーし、油断もしねーっての。こっちこそ木戸川清修はターゲットの一つなんだ。俺達に負ける前に他に倒されてくれんなよ?」

 

「言ってくれるな……」

 

 ニヤリと笑い合う凪人と豪炎寺。その様子を見てますます熱くなった円堂はウキウキしながら話す。

 

「でも早くお前らとやりたいぜ!サッカー!」

 

「ふふ。木戸川清修は強いぞ」

 

「閃電が最強だね。円堂や修也にだって負けない凄え奴を二人も見つけたんだ」

 

「おおっ!そいつらどんな奴らなんだ!?」

 

「……堂本衛一郎と星宮サトルだろう?俺達もあの二人はマークしているからな」

 

「修也正解。知りたきゃ自分で調べてみな円堂」

 

「え〜!?何だよそれ〜!?」

 

「王帝月ノ宮との練習試合を観に来なかったお前が悪〜い♪」

 

 円堂だけが他のチームに関する情報を全くと言って良い程に持っていなかった為、凪人のチームについて知りたがるが凪人は教えない。他のチームに態々情報を流す気がないのもあるが、そのくらい調べられないようでは後々円堂自身が困るようになるからだ。まぁ一緒に利根川東泉に派遣された木野がなんとかするだろうが。

 

「……で、鬼道の学校はどうだ?いたか?ビリビリ来る奴」

 

「難しいだろう。鬼道は厳しいからな」

 

 そして円堂はここに集まった最後の一人……鬼道有人に強化委員としての成果を尋ねる。鬼道はジュースのストローから口を離してニヤリと笑ってから答える。

 

「ふっ……いない訳ではない」

 

 刹那、円堂と豪炎寺に衝撃が走る。

 

「えっ!?鬼道の目に留まった奴がいるのか!?すげーなそいつ!!一体誰なんだ!?」

 

 興奮して身体を大きく揺らす円堂。そんな彼の右手に握られたコーンの上に積み重なった11段アイスが揺れる。その方向に座っているのは……凪人。

 

(………あっ)

 

「……人呼んで『フィールドの悪魔』」

 

 刹那、キメ顔のドヤ顔で鬼道がそう告げたのと同時に円堂の手にあった11段アイスは倒れ、その先に座っていた凪人の顔面にスパーキング。

 

「のあ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"っ!!?」

 

「あーーーっ!!やっべぇアイス落ちたぁーーー!!!」

 

「11段とか欲張るからだ円堂!!」

 

「俺の心配ゼロ!?」

 

 顔面に大量の冷たいアイスがぶつけられた事により、冷たさによるダメージと重力に従って叩きつけられた事による地味な痛み、そして甘いアイスなので顔に付いてベタベタするという幾重もの攻撃を食らった一番の被害者である凪人。

 

 しかし円堂と豪炎寺は色々と論点が違った。

 

「あ、ごめん斎村……」

 

「ホラ、このハンカチを使え」

 

「お前らなぁ……うぅ、ありがとう」

 

 円堂と豪炎寺のあまりに遅い対応に怒りを覚えるものの、ハンカチを貸してくれた事については素直に礼を言い、顔を拭く。

 

 何はともあれ、完全に出鼻を挫かれた鬼道は一人シリアスになって黙る。ちょっと気不味い。

 

「……ったく、てか今は鬼道のチームの話だったろうが」

 

「あ、そっか。ごめん鬼道!それでそいつ、人呼んで何だっけ?」

 

「……いずれ分かる」

 

 そう言って鬼道はあくまでシリアスを保ってその場を去ろうとする。しかしそれに水を差すのが凪人である。

 

「そうか。灰崎凌兵って言うのか、そいつ」

 

「……お前、知っていたとしてもここで言うか?」

 

****

 

 それから数日後、鬼道は星章学園が獲得した新戦力、『フィールドの悪魔』灰崎凌兵の力試しと星章学園の成長確認の為、かつての古巣であり、風丸が派遣された帝国学園との練習試合を組む事にした。

 

 結果は3-4。帝国学園の辛勝だ。全国ランキング1位に君臨する星章学園にかつての絶対王者帝国学園が勝利を収めたのだ。

 

「はぁ…はぁ……!!」

 

「……正直、帝国がここまで強くなっているとは思わなかった。強化委員として上手くやれているようだな風丸」

 

「ああ……だが、お前が鍛えた星章学園の強さも……相当のものだ」

 

「……当然だ」

 

 互いに息を切らし、汗だくになりながらも互いの強化委員としての成果を知った事で讃え合う鬼道と風丸。しかし風丸としては今回の勝利には後ろめたいものがあった。

 

(……今回、鬼道の星章学園に勝てたのは……閃電中との合同練習や情報交換があったからだ。間近で成長する閃電中や斎村のアドバイスが成長の材料になっただけだ……!!今回、強化委員としての勝負は……完全に俺の負けだ)

 

 定期的に開催されていた閃電中との合同練習。それに伴う凪人からのアドバイス。そこから伝わる雷門魂。帝国の実力アップと今回の練習試合で星章学園に勝てた要素は完全に凪人と閃電からの恩恵によるものだったのだ。

 

(斎村からの申し出が無かったら……恐らく俺も帝国も現時点でここまで強くなる事は不可能だった。恐らく星章の足元にも及ばない程度の……)

 

 そう考え込み始める風丸だったが、背後からの大声によってそれは中断させられる。

 

「ククク……ハハハハハ!!!これが……最強と謳われた帝国学園……!!確かにハッタリって訳じゃねぇ……!!面白い……!!」

 

 負けたというのに……僅差だった故か、そこまで悔しがる様子は見せずに狂笑する星章学園の新入生……『フィールドの悪魔』灰崎凌兵。

 その内心は実際には敗北を前に腑が煮え繰り返っているのだが、風丸には嗤っている彼の異常性しか認識出来ない。

 

「……届かねえ差じゃねぇ。次やる時には叩き潰してやるよォ!!」

 

「おい!灰崎!!……すいません、まだ後輩の躾がなっていなくて……」

 

「あ、ああ……」

 

 捨て台詞のようなものを言ってグラウンドを去る灰崎。星章のキャプテンである水神矢は風丸や佐久間達帝国イレブンに謝罪してから彼を追いかける。

 

「……しかし末恐ろしい奴だった。今回の3点は全て奴に取られたからな」

 

「ああ…以前鬼道に頼まれて星章の練習に参加した時よりも更に……」

 

 源田と佐久間は以前、鬼道の頼みで数日間星章学園の練習に参加した事があり、その際に灰崎と知り合っていたらしいが……その時よりも遥かに強くなっていると聞き、風丸は尚更自分と鬼道の差を実感させられる。

 

 自分一人で星章をここまで押し上げた鬼道と凪人の力を借りなければ帝国を強く出来なかった自分……。

 

(……強化委員として、俺は……無力なんじゃないか?)

 

 風丸は無意識に握り締めた拳に更に力を込めた。

 

 強くなりたい。

 

 あの友のようにーーーーーー…。

 

****

 

 -北海道

 

 ここは北海道のある場所に位置する道内一のサッカー強豪校、白恋中。このチームは前回のフットボールフロンティアにて全国大会ベスト4に進出し、現在は雷門中からのサッカー強化委員として染岡竜吾が派遣されていた。

 

「真人っ!!」

 

「バイシクル…ファイアV2!!」

 

 豪炎寺修也の従兄弟であり、白恋の二大エースストライカーの一人、豪炎寺真人が放った、爆炎を纏ったバイシクルシュートがゴール目掛けて飛んでいく。白恋のキーパーをそれを受け止めようとするも、あっさり弾かれてゴールを決められてしまう。

 

「よーし、連携も随分スムーズに出来るようになって来た!来週には本州の強豪チームとの練習試合が控えている!気を引き締めていけ!」

 

『はい!』

 

 サッカー強化委員として派遣された染岡は雷門での経験を活かし、昨年の準決勝で戦った白恋の弱点である中盤の強化を中心にこのチームを指導していた。

 

「今だアツヤ!」

 

「おう!…エターナルブリザードV2!!」

 

 だがそれが上手くいったのも昨年のフットボールフロンティア準決勝があったからだろう。白恋のもう一人エースストライカー、吹雪アツヤはそれまでチームメイトを兄の士郎と自分と肩を並べる真人の二人以外を足手纏いと見做してこの二人以外とは録に連携しようとしなかったのだ。

 

 だがそれも雷門との試合で改善され、それ以来、チームプレーを尊重するようになった。染岡の強化委員としての指導が順調に進んだのもアツヤの改心が大きい。

 

「かなり順調だね。染岡君」

 

「士郎か……。ああ。やっぱ白恋に来て正解だったぜ。今のこのチームなら星章や閃電、帝国だろうと負けやしねぇ」

 

 キャプテンである吹雪士郎は染岡が派遣されて来てからの白恋の全体的な成長振りに確かな喜びを感じていた。

 

「それで染岡君、君の新しい技は完成したのかい?」

 

「ああ。ドラゴンクラッシュどころか豪炎寺とのドラゴントルネードすら上回る技を完成させた!斎村の奴にも「進化したドラゴンクラッシュを見せてくれよな」なーんて言われたからな。期待に応えない訳にはいかねぇ」

 

 そう言って染岡は氷上からパスを受け取るとキーパーにゴール前から退いて貰い、その技を披露する。

 

「これがドラゴンクラッシュを超えた……ワイバーンクラッシュだぁ!!!」

 

 こうして、白恋は染岡の加入によって順調にその実力を上げ続けている。エイリア学園との戦いが存在しないこの世界においてもワイバーンクラッシュを修得し、染岡はかつての雷門の仲間達とのフットボールフロンティアにおける激突を心待ちにしているのであった。




一応鬼道が原作より強い影響で星章も原作よりパワーアップしてます。帝国に比べると微々たる差ですが。

強化委員って自分の意思で派遣先決めたらしいけど、この小説はともかく、原作じゃ染岡は何を思って北海道の白恋に決めたのか……。
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