イナズマイレブン -もう一つの伝説-   作:メンマ46号

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今回からアレスの天秤原作開始です。


アレスの天秤編
無謀な田舎者達


 side三人称

 

 中学サッカー日本一を決める激闘の殿堂、フットボールフロンティア開幕!!

 

 今年のフットボールフロンティアは例年よりも遥かに盛り上がりが増していた。理由は大きく分けて三つ。

 

 一つは、現在日本の中学サッカーは昨年のフットボールフロンティアにて無名から一気に優勝校までのし上がった円堂守率いる雷門イレブンの活躍の影響でかつてないまでに国内での人気を誇っていたからだ。

 

 二つ目の理由はその雷門イレブンは日本全体の中学サッカーのレベルを引き上げる為に全国各地のチームへと『サッカー強化委員』として派遣された事から各チームへの期待とかつての雷門イレブン同士の戦いに注目が集まっているからだ。

 

 そして最後の一つ……このフットボールフロンティアが終わった後、少年サッカー世界大会、フットボールフロンティアインターナショナル……通称FFIが開催される。この大会の戦績はFFIの日本代表の選考に大きく影響するのだ。今年のフットボールフロンティアでの優勝は日本一になる以上に意味がある。

 

 日本の頂点(てっぺん)に立ち、日本代表として世界に羽ばたく。

 

 その栄光を獲得する為に日本全国の中学サッカーのチームはフットボールフロンティアを勝ち抜こうと燃え上がっていた。

 

****

 

 -閃電中グラウンド

 

 side凪人

 

「……雷門がフットボールフロンティアに出場する…か」

 

「ああ。どうやら伊那国島という田舎からサッカー部員が不在の雷門に11人丸ごと集団転入して来たらしい。何でもその島の学校のサッカー部がスポンサー不在を理由に廃部にされてしまったらしく、それでどういう訳か雷門中に転入してサッカー部を取り戻そうって話だ」

 

 フットボールフロンティア開幕直前という事もあり、帝国学園との合同練習は今日で最後となった事から風丸と話し込んでいると、雷門に田舎から集団転入生が来て、俺達が空けているサッカー部に入部したと聞かされた。まぁ知ってたけど。通知来たし。

 

 ……それにしても遂に来たか。この『アレスの天秤』の主人公達のチームが。

 

「でも雷門にもスポンサーいないだろ。俺達が強化委員で不在だからスポンサーになる意味無えって」

 

「ああ。だが実際フットボールフロンティア出場申請は受理されたそうだ。……だが確かにスポンサーの名前は出ていない。項目も空欄だった」

 

 ……手続きが遅れてるのか?まさか()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なんて失格処分ものの違反行為なんてしてないだろうし。でも遅れてるだけなら尚更スポンサーの名前は出さなきゃ駄目だろう。

 

 因みに俺と風丸のこの会話は練習中にしている。と言っても強化委員として強くしたチームの実力確認の為だから、敢えて俺達は動いてないんだがな。

 

「「二百烈ショットォォ!!」」

 

「ゴッド…ハンドォォ!!」

 

 見れば佐久間と寺門の二百烈ショットを堂本はゴッドハンドで完全に止めている。今のあいつなら修也のファイアトルネードを止める事だって不可能じゃない。……かもしれない。実際のところ修也の実力を確認しないと何とも言えないけど。

 

「今なら帝国にも勝てるな」

 

「言ってくれるな。俺達だって閃電に負けるつもりは無いぞ。フットボールフロンティアで勝って証明するさ」

 

「つっても閃電と帝国が戦うとしたら全国だろ?特にお前らの所属グループは結構厳しいんじゃないか?」

 

 今回のフットボールフロンティアの予選大会はグループのリーグ方式で1グループに16チームが所属し、その中で各チームがランダムに組まれた六試合をしてその勝率…勝ち点を競う。

 

 風丸達帝国学園はフットボールフロンティアの予選リーグでは関東Aグループに配属されている。そこのグループは強豪揃いで競争率も高い。鬼道の星章学園や修也の木戸川清修、壁山の美濃道三……他にも青葉学園や御影専濃などがいるが強化委員の派遣先が四つとこんなにも揃い踏みだ。個人的にはもうちょいバラけさせて欲しかった。前世の視点で見れば全国大会で戦わせたい組み合わせだろう。

 

 しかも全国に進めるのは上位2チームだけ。生殺しだろこれ。

 

「星章、木戸川、帝国……どんなに頑張ってもその中の2チームとしか戦えないのはキツいなぁ」

 

「既に全国に進むのはその中の二つだと確信してるんだな……」

 

「まぁな」

 

 一応3チーム以上進める道はあるっちゃあるけどかなり奇跡的な確率だからなぁ。まず無理と言って良い。

 

 他には円堂の利根川東泉とあの王帝月ノ宮は関東Bグループ。俺達閃電は関東Cグループだ。関東枠多くね?因みに世宇子も関東Cグループだ。

 

「まぁ帝国は全国に行くとして……もう片方の枠を星章と木戸川のどちらが勝ち取るかだな」

 

「気が早過ぎないか?まだ予選も始まってないのに……」

 

「いーや、断言するね。関東Aグループのチームで一番強いのは帝国だ」

 

 これは俺個人の価値観と意見だと言われるだろうが、贔屓目抜きに帝国が予選落ちする事態は有り得ない。星章や木戸川よりも強い。

 

 影山が監督に戻ってからは不安だったが、どういう訳か風丸は影山に従う事なく、むしろ抑制するように監督就任にかなり厳しい条件を課したらしいし……一体何があってどう原作と変化してこうなったんだ?

 

 でも影山の監督としての能力の高さは確かだ。無印の原作やGOギャラクシーを知ってる身としてはやはりこの大会で一番の障壁となるのは帝国だろう。

 

 まぁ……今気にするべきチームは帝国ではない。雷門だ。

 

「で、雷門も関東Aグループに配属か」

 

「ああ。関東で枠が余っていたのはAグループだけだからな」

 

「てか何で余ってんのがAグループなんだよ」

 

 普通こういうのって最後のグループ……つまり俺達のCグループが余ってるもんじゃないの?

 それにしても星章、木戸川、帝国、美濃道三と強化委員の派遣で強豪になったチームばっかのグループに入れられるとか雷門の難易度高過ぎねぇ?

 

 ん?待てよ?

 

「確か雷門の初戦相手って……星章じゃなかったか?」

 

「ああ。鬼道が全国ランキング1位にして、それに帝国が勝ってから更に強くなっているだろうな……」

 

 初戦で星章相手とかただの鬼畜じゃねぇか。田舎の孤島のチームなんだろ?何故碌に経験の無いチームにいきなり星章なんて当てたんだよ運営。

 

****

 

 side三人称

 

 数日後、予選大会の関東Aグループの第一試合の一つ……雷門中vs星章学園が星章学園スタジアムにて行われようとしていた。

 

「……まさかこんな形で雷門が大会に出場するなんてね」

 

「けど……強いとは限らねえ。実質名前が同じだけの別チームじゃねぇか。田舎の島から来たんだし、試合の経験も碌に無ければ良い指導者がいた訳でもなさそうだしよ」

 

「でも楽しみじゃないっすか!雷門の名前を背負ってる以上、あのチームだって死に物狂いで戦うはずだし!」

 

 閃電中イレブンのキャプテン星宮と桐林、堂本はこの試合の観戦に来ていた。そんな彼らの引率として強化委員の凪人もまた、会場で買ったドリンク片手にフィールドを見下ろす。

 

「……でも何か複雑だなぁ」

 

 凪人からすれば雷門とはやはり現在強化委員として各地に散っているあのメンバーであって、彼らを雷門と呼ぶのはどうにも嫌な感じがするのだ。

 

「それは……貴方はやはり雷門として強化委員をしている他のメンバーと共に戦いたい気持ちもあるからですか?」

 

「まぁ否定はしねぇけど……てか、何でナチュラルに最初からいた感じで話しかけて来たんだよ。

 

 

 

 

野坂」

 

「「「っ!」」」

 

 凪人の呟きに極自然に背後から質問して来たのは野坂悠馬。その後ろには彼の腹心、西蔭政也もいる。

 凪人はそんな彼の突然のふっかけにも動じる事はなく答え……しかし見逃す事もなく突っ込んだ。

 

 そしてようやくサトルや堂本、桐林も野坂と西蔭に気づく。

 

「てめぇ…野坂ァ!」

 

 閃電イレブンの中でも一際王帝月ノ宮ーーー特に野坂に対抗心を抱く堂本は野坂を睨む。あの練習試合でのラフプレーはやはりまだ許せないのだろう。

 

「宣戦布告にでも来たのか!俺達は強くなったんだ!もうお前らには負けねぇぞ!!全国ランキングだって2位でお前らより上なんだからな!!」

 

「やぁ堂本君。それに星宮さんに桐林さん。そして……斎村さん。でも今回は挑発のつもりは無いんだ。星章とーーーあの雷門が少し気になったから観戦しに来たんだ」

 

「……そうか。俺達もそんな所だ。この会場には修也や風丸…円堂もいるだろうな。てか何だその座り方。ちゃんと座れ」

 

 凪人は野坂を前にしても感情を荒立てる事は無く、淡々としている。そしてツッコミを忘れない。野坂は観客席の椅子ではなく、その背もたれに腰掛けており、その前の席の背もたれに足を乗せるという体勢次第ではそれを破損してもおかしくないという割と迷惑な座り方をしていた。

 

「ぐぬぬぬぬ〜〜〜〜!!!」

 

「堂本、スルーされたからって野坂を睨むな。もうすぐ始まるぞ」

 

 そして角馬王将による実況兼アナウンスが星章学園スタジアム内に響き渡る。他の観客席を見やれば基本的満員であり、この試合の注目度の高さがよく分かる。

 

 メンバーが丸々違うとはいえ、前年度優勝校である雷門と全国ランキング1位の星章学園の試合なのだ。この集まりは当然と言った所か。

 

『さぁ雷門中と星章学園の面々がフィールドに散って行きます!雷門は本来のメンバーが「サッカー強化委員」として不在の為、昨年とはメンバーが一新しています!!どんなプレーを見せてくれるのか!!』

 

 凪人としては現時点では正直あまり期待していない。桐林の言った通り、実力も経験も殆ど無いと見るのが普通だ。しかしこの世界線での主人公ーーー稲森明日人があのチームにいる。

 

(……将来性は視野に入れておくべきだな)

 

『そして対するは今大会の優勝候補の一つ!「サッカー強化委員」としてあの鬼道有人が派遣された事で頭角を現した星章学園です!!練習試合によるランキングレースでは帝国学園に惜敗したものの、2位の閃電中と僅差で全国1位の座を獲得しています!!』

 

 見ればちらほらと雷門中の生徒も観戦に来ている。まぁ凪人からすればそこはどうでもいい。

 

 凪人……いや、会場の全体が注目しているのは雷門ではない。星章ーーーそのエースストライカー『フィールドの悪魔』灰崎凌兵だ。

 

(源田から点を奪う程のストライカーなんだ。奴のプレーを分析する事は絶対に必要だ)

 

 この試合に鬼道は出ていない。当然だ。星章ならば鬼道無しでも勝てる試合なのだから。

 

 そして試合開始のホイッスル。雷門ボールでキックオフ。伊那国島からやって来た選手達はまずは点を取ろうと攻め上がる。

 FWは灰崎のワントップ。MF陣が雷門のFWを止めにかかるも雷門はドリブルとパスを駆使してそれを躱し攻め上がって行く。

 

 星章学園が様子見の為に手抜きのディフェンスをしている事は誰の目にも明らかだった。

 

 FWの剛陣から同じくFWの稲森へとボールが渡る。瞬間、凪人の目線が一気に鋭くなる。

 

(………ドリブル、パス…オフェンスの技能は平凡そのものだな。あの剛陣とやらは隙だらけ。後ろのMF、DFはまだ動いてないから分からないが……)

 

 折緒と水神矢が稲森の前に立ち塞がると同時に隣を走っていた小僧丸にボールが渡る。パスを出すタイミングは凪人から見て及第点だ。

 

 そして小僧丸はボールを蹴り上げると脚を踏み込み、凪人のそれと同じく右回転で炎を纏って上昇し始めた。

 

「へぇ……」

 

「!あの右回転での炎……」

 

 そして小僧丸はボールを蹴り出すと同時にその技の名を叫ぶ。

 

「ファイアトルネード!!!」

 

 放たれた必殺技……ファイアトルネード。全国でも使い手として知られるのは豪炎寺修也に豪炎寺真人、斎村凪人の三人だけだろう。そして今、ここに四人目が現れた。

 

「……威力、斎村さんの程じゃないっすね」

 

 堂本は観客席から観ただけでそう評価する。どうやらキーパーとしての“目”もしっかりと養えているようだ。

 

 しかしファイアトルネードという技は有名でもこれまで三人しか使い手がいなかった技。その技そのものに強いインパクトがあった。

 

 そのインパクトに押され、星章のキーパーは棒立ちとなり、至極あっさりとゴールを奪われてしまった。

 

『何とぉーー!!ランキング1位の星章学園に雷門が先制点ーー!!』

 

「どう思う?」

 

「ファイアトルネードのインパクトで取れたようなもんだな。次撃ててもあのキーパーからはもう点は取れない。……俺に言わせればそんな衝撃ぐらいで棒立ちになるあのキーパーも駄目だけどな。堂本なら止められてた」

 

「ですね。それに今ので灰崎君のスイッチも入ってしまったようですし……後は星章による蹂躙が待っているだけです。注目点はあの雷門がどれだけ持ち堪えられるかくらいですね」

 

「……てか何でこいつが一緒に」

 

 サトルと凪人の会話にナチュラルに入って来た野坂を見て桐林がかなり不満そうな表情で呟く。西蔭は西蔭で野坂が積極的に閃電に接触している現状に……表には出さないが、少なからず衝撃を受けていた。

 

(……堂本衛一郎。野坂さんはこいつに何を感じたんだ……?)

 

 傍目から見れば斎村凪人を意識しているように見えるだろう。しかし実際にはその目は確かに堂本衛一郎を観察している。サッカーの試合でも練習でもない今の状況下でだ。

 

 勿論凪人も野坂が堂本を観察している事には気付いている。気付いた上で敢えて何も言わない。

 

(確かにキングス・ランスを止めたあのゴッドハンドは凄まじかったが……俺達の脅威になると野坂さんが警戒する程なのか?俺には斎村凪人の方が余程脅威に思えるが……)

 

「ククク……ハァーッハッハッハッ!!!」

 

 そして雷門の先制点によって一人狂笑に陥っていた灰崎は獰猛な笑みを浮かべて雷門を見つめる。そんな灰崎に雷門の稲森は指で銃の形を作って宣言する。

 

「俺達は…お前を倒す!!」

 

「やってみろよ……」

 

「さて……見せて貰おうか。『フィールドの悪魔』」

 

 そして星章ボールで試合再開。灰崎はドリブルをして真っ直ぐに雷門陣営を突き抜けてゴール前に迫る。その両隣にはMFの折緒と佐曽塚が走る。雷門のゴールへと直進する灰崎の瞳が妖しく光る。

 

「デスゾーン……開始!!」




伊那国雷門の難易度を鬼畜にしたのは実質主人公なんだけど、本人気付いてない。アレス原作知る前に転生したから仕方ないけど。
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