イナズマイレブン -もう一つの伝説-   作:メンマ46号

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案外早く試合書き終わった。当初の構想じゃあと1話くらいあるかなと思ってたけど。


vsバルセロナ・オーブ後編

 side凪人

 

 強い。圧倒的に強い。だからこそ笑みが溢れてしまう。

 

 それがバルセロナ・オーブに抱いた俺の思いだった。点差は既に0-3。こっちは息も絶え絶えになってやる奴が多い中、俺は……俺達は必死に喰らい付こうと走り続ける。

 

「でやぁっ!!」

 

 マックスのスライディングをルーサーがジャンプして躱した瞬間、俺はそこに飛び込んでボールを掻っ攫う事に成功した。

 

「へぇ…?」

 

「染岡っ!!」

 

 俺のパスを受け取った染岡は修也とアイコンタクトを取ってボールにフルパワーを込めて空高く蹴り上げる。

 

「ドラゴン……!!」

 

「トルネード…改!!!」

 

 二人のドラゴントルネードがその灼熱の牙と共にゴールへと飛んで行く。しかし相手キーパーのアロンソはそれをたった一発のパンチングで弾き飛ばしてしまった。

 

「これでも駄目か……」

 

「まだだ!だったら入るまで何度も何度でも撃つだけだ!!」

 

 こんなにもズタボロにやられているにも関わらず、俺はちっとも焦りを感じる事も無く楽しんでいた。

 

 理由は簡単。嬉しいんだ。こんなにも強い奴らと戦える事が心の底から……!!

 

 次々とディフェンスが突破されて行く中、誰一人として抜かれても諦めようとはせずに相手を追う。しつこさなら負けない。それでもクラリオは軽々とゴール前まで辿り着く。

 

「ふんっ!!」

 

「うおおおおお!!」

 

 クラリオのシュートに円堂の手が掠る。しかし止められずにゴールネットが揺れる。

 

 0-4

 

「まだだ……!あと少しで止められるぞ……!!」

 

「その調子だ円堂!次こそ頼むぜーー!!」

 

「おーう!任せろー!!」

 

 まだ追い付き切れてはいないが円堂なら必ずこの試合中に奴らのシュートを止める。なら俺達も必ず奴らのプレーに喰らい付いて点を取ってみせる。

 

 それから俺達は諦めず攻め続ける。俺と鬼道がやっとの思いでベルガモを突破してから真横にいた一之瀬にボールを託す。そしてその両隣には風丸と土門がやって来た。

 

「「「ザ・フェニックス!!」」」

 

 円堂の代わりに風丸が入る事でゴールがガラ空きになるという弱点を克服したザ・フェニックス。しかしクラリオはそれを前に飛び上がると強烈なキック力でインターセプト。ザ・フェニックスを不発に抑えた。

 

 そこで前半は終了。ハーフタイムに入るのだった。

 

****

 

 side三人称

 

 ハーフタイムの最中、雷門の雰囲気は重い。まさかこれ程までの差があるとは思わなかったのだ。凪人と鬼道の同時指揮によってどうにか堪えてはいるが、それでも既に4点差だ。

 

 そんな中、円堂と凪人はワナワナと震えながら感動の言葉を口にする。

 

「凄え……これが世界か…!なんて凄えんだ……!!」

 

「……上には上がある。簡単に対等にやり合えちゃむしろ拍子抜けだ!!乗り越えてやろうじゃねぇか!!俺達はいつだってそうやって強くなって来たんだ!!これからもな!!」

 

 円堂と凪人の言葉を聞いて雷門イレブンの雰囲気は明るくなり始める。その様子を見て響木の表情は僅かに綻ぶ。

 

「皆!世界は強い!!でも全力で行くぞぉーー!!!」

 

『おおーー!!』

 

 そして後半が始まる。やはり前半同様終始圧倒されてしまう。それでも雷門は諦めず、粘り強く、しつこく迫る。点差は更に広がり0-7。

 

 ルーサーが豪炎寺、染岡を連続突破するも、一之瀬と鬼道、凪人がトリプルで迫り、連続ディフェンスを仕掛ける事でボールを奪い取る。

 

 しかし今度はクラリオがドリブルする凪人の前を走り、迫る。

 

(奴らの速さ、技術……全てが俺達より上だ……!!それでも負けられねぇ……負けたくない!!)

 

 心臓に手を当てるように自分のユニフォームを掴む。その瞬間、クラリオは凪人の姿を一瞬捉えられなくなった。

 

「……!?」

 

「アグレッシブビート!!!」

 

「ぐあっ!?」

 

 そしてクラリオの背後に出現した凪人は衝撃波で彼を弾き飛ばした。その瞬間、スタジアムには大歓声が響いた。

 

「やった!斎村の奴、遂にクラリオを突破しやがった!!」

 

「しかもこの土壇場で新必殺技だ!!」

 

 凪人のファインプレーに土門と風丸の表情も明るくなる。その勢いを維持すべく鬼道は叫ぶ。

 

「俺達も続くぞーー!!」

 

『おう!』

 

 雷門はバルセロナ・オーブに及ばずとも巧みに連携を組み、必殺技を織り交ぜながらバルセロナ・オーブの陣内を少しずつ……本当に少しずつ突き進んで行く。

 

「……ルーサー」

 

「ああ……こいつら、試合の中で次第に成長してやがる!!少しずつ俺達のレベルに近付いて来てやがるぞ!!」

 

「……そしてその引き金(トリガー)となっているのは、間違いなく彼だ」

 

 そう言ったクラリオの視線の先には凪人の姿がある。そしてクラリオは凪人を試したくなったのか、右手を上げてチーム全体にハンドサインで指示を下した。

 

「……!?」

 

「凪人っ!」

 

 その動きの意味に唯一気付いた鬼道はボールを保持していた豪炎寺にそれを伝えようとするが、その前に豪炎寺は凪人へとパスを出してしまう。

 

 そしてその瞬間、凪人がパスを受け取った時にはバルセロナ・オーブのMFとDFが凪人の周囲を取り囲んでいた。

 

「こ、これは……!完全に包囲された!!俺達へのパスコースも潰されてしまった!!」

 

 鬼道の言う通り、クラリオは凪人の力を見極める為に彼を包囲してパスコースを潰したのだ。例え空中に跳び上がったり、蹴り上げてパスをしようにもザ・フェニックスをインターセプトした事から良い効果は期待出来ないだろう。

 

「………」

 

「さて、ここからどうする?」

 

 試すかのように問うクラリオに強い視線を返し、凪人は叫ぶ。

 

「……俺は……諦めない!!日本の力を見せてやる!!雷門を舐めるなぁーーー!!」

 

 そう叫んだ凪人の背中から影が溢れる。その影の真の力……化身を呼び起こしたのだ。

 

「はああああああああああああああっ!!!堕天の王 ルシファー!!!」

 

「………素晴らしい」

 

 ポツリと呟くクラリオ。しかし凪人はそんな呟きなど聞いてはいない。凪人はただ一点、バルセロナ・オーブのゴールだけを見つめていた。

 そして遂に化身技を撃つ。ルシファーがその手に持つ槍はまるでビリヤードを撃つ様に構えられる。しかしその槍の先端部分はいつもと違い、金色の稲妻が迸っている。

 

「サタン・スピアー!!!」

 

 放たれた化身シュートは前方を塞いでいたDF達を蹴散らしてゴールへ一直線。さしものアロンソも化身を前に余裕を失くしたのか、凄まじい量の掌底を放ち、そのエナジーを溜め込んで盾にする。

 

「ミリオンハンズ!!」

 

 アロンソの出した必殺技を凪人の稲妻を纏った化身シュートはぶち破り、ゴールネットを揺らした。

 

 1-7

 

 たった1点。されど1点。その1点が入った事で実況も観客も大きな歓声を上げた。

 

『き、決まったぁーーーー!!ミラクルシュート炸裂ーー!!我らが雷門イレブンの副キャプテン、斎村凪人が遂に決めてくれたぁーーー!!世界の度肝を抜いたぞ!!これが日本の底力だぁーーー!!』

 

 スタジアムの歓声は最高潮に盛り上がる。あれだけ強い世界を相手に遂にもぎ取った1点。この1点こそが最も大切なのだ。

 

「おっしゃああああっ!!」

 

「やったな斎村!!」

 

 手放しに喜びを露わにする雷門イレブン。対してバルセロナ・オーブは悔しさを露わにする訳でもなく、表情を変えない。クラリオに至っては無表情だ。

 

「見事」

 

「おいクラリオ。残り時間は少ない。このまま終わる気か?」

 

「何?」

 

「あの日本人があれだけ凄えのを見せてくれたんだ。今度はお前が見せてやれよ。俺達のレベルを。そうすりゃ、あいつらはもっと強くなるぜ。かなりのスピードでな」

 

「……成る程。それもそうだな」

 

 そしてバルセロナ・オーブのキックオフで試合再開。雷門はもう一度ボールを奪って追加点を決めようと走り出す。しかしルーサーとベルガモは豪炎寺と染岡を躱すと凪人に接触しないようにクラリオを交えてパス回しをして鬼道の真後ろにクラリオを辿り着かせる。

 

「な……!!」

 

「……日本の戦士達よ」

 

「……?」

 

「良いものを見せて貰った礼だ。私達の本気を見せよう」

 

 刹那、突風が吹いたかの様に円堂を除く雷門イレブン全員に悪寒が走った。クラリオは右脚で数度斬り込みを入れるようにボールを蹴り込むと最後にフルパワーで押し出した。

 

「ダイヤモンドレイ」

 

 これまでとは比べ物にならない速度で雷門ゴールに向かうシュート。円堂はこれまでバルセロナ・オーブのシュートに反応は出来ても一度も止められなかった。

 

 だがそれでも尚、このシュートを前にしても円堂は止めるつもりだった。上半身を捻り、心臓にパワーを集めてそれを100%右手に伝導する。

 

「うおおおおおっ!!マジン・ザ・ハンドォォォ!!!」

 

 正面衝突する必殺技と必殺技。しかし金剛石の光を前に魔神の手は綻びを抱え始める。徐々に押されていく魔神を見て雷門は衝動的に彼の名を叫ぶ。

 

『円堂!!』

 

『キャプテン!!』

 

「円堂ォォーーー!!!」

 

「……今度こそ止める!ここでゴールを許したら……チーム皆の想いが途切れてしまう!!だから俺はこのシュートを絶対に止めてみせる!!ゴールを背負うっていうのはそういう事なんだ!!!」

 

 マジン・ザ・ハンドで圧倒的パワーを誇るダイヤモンド・レイ相手に耐え続けながら円堂は左手を心臓部に当てる。そして心臓から今度は左手に溜めた気を100%伝える。

 

「うおおおおおおっ!!!」

 

『!!』

 

 そして今度は右手と一緒に左手をボールに衝突させ、マジン・ザ・ハンドの威力を増幅させる。それでも尚、止まらないシュート。円堂は直感的に逆にそのパワーを利用すべく両手でボールを上から抑え込むように地面に押し付けにかかる。

 

「止まれえぇぇぇぇ!!!」

 

 円堂は地面に押し付けたボールを完全に押さえ込み、ボールはゴール前のピッチに減り込んで、沈静化した。

 

 雷門もバルセロナ・オーブも誰一人として例外なく息を呑み、眼を見開く。

 

『と、止めたぁーーー!!今度はキャプテン、キーパーの円堂がバルセロナ・オーブの必殺シュートを止めたぞぉーーー!!!』

 

 三度、スタジアムの歓声が上がる。円堂はゼェゼェと息を苦しげにしながら、真っ先に敵陣に走り出した凪人目掛けてボールを遠投した。

 

「行っけええええええええええっ!!!」

 

 凪人に続いて豪炎寺も走り出す。凪人が届いたボールを空高く蹴り上げると、並び、二人揃って一瞬だけ踏み込み、身を捻る。

 

 それぞれが右回転、左回転で爆炎を纏って上昇。ボールと同じ高さに達すると同時に凪人と豪炎寺はツインシュートをぶちかます。

 

「「ファイアトルネードDD!!!」」

 

 最初に撃たれたファイアトルネードとは比較にならない威力の爆炎はアロンソに技を出させる暇も与えず、両手で受け止めた彼を弾いてゴールネットを焦がした。

 

 2-7

 

 追加点を挙げた凪人と豪炎寺。しかしここで遂に体力の限界を迎え、息を切らしてしまった。

 

「「はぁ…はぁ…はぁ……」」

 

 息も絶え絶えの雷門にまだ余裕を残すものの、最後の最後で日本の底力を目の当たりにしたバルセロナ・オーブ。そしてここで試合終了のホイッスル。勝利したのは当然バルセロナ・オーブだ。

 

 雷門イレブンは疲労と圧倒的な敗北感から全員が倒れ込む。最後に2点をもぎ取れたとしてもこれは間違いなく完全敗北だった。

 

「……俺達が手も足も出ないとは……。これが、世界か…」

 

 仰向けに倒れ、完全敗北を噛み締める鬼道。そんな鬼道にクラリオが話しかける。

 

「……確かに前半は悪いプレーでは無かったが、話にならない実力だった。この程度かと失望すらした。だが後半になって貴方方のプレーは格段に良くなった。試合の中で急速に成長し続けるチームなどこれまで見た事がない。貴方方のこれからの進化に期待する!!」

 

 それだけ告げて雷門に背を向けてベンチに戻り始めるバルセロナ・オーブ。しかし、彼らの雷門への評価は鬼道に向けたものだけではなかった。

 

「……日本なんて大した事ないって思ってたが、まさかこんな可能性の塊とはな」

 

「ああ。このチームはもっと伸びる。そう遠くない内にな」

 

「ったく、俺達もうかうかしてられねぇぜ。とんでもねぇのが二人もいやがった」

 

 ベルガモの視線は仰向けに倒れる凪人と円堂に向けられる。クラリオは頷くと更に言葉を続ける。

 

「あの二人こそ、サッカー情熱の感染源(インフルエンザ)。彼らがいる限り日本は際限なく急速に強くなり続ける。この敗北をきっかけにしてそれに拍車をかける結果になっただろう」

 

「……本当に割に合わねぇぜ」

 

 そして日本の完全敗北によって観客が静まり返る中、凪人と円堂はそれぞれ夜空を見上げながら呟く。

 

 

 

「……じいちゃん、やっぱサッカーは……楽しいなぁ」

 

 

「ここからだ……。ここから始まるんだ。俺達の世界への挑戦が……!!」




この小説では必殺技のモーションは基本無印と同じにします。じゃないと急に周りのモーション変わって主人公が戸惑う。

オサーム様のドリルスマッシャーもリアルにドリルが出ます。

化身、ルシファーの槍が稲妻を纏っていたのは主人公の化身が中途半端に進化しようとしていたからです。結局しなかったけど。
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