とゆーわけでサトルの両親登場!
side三人称
-閃電中、第三グラウンドにて
「連携を崩すな!海原!お前はドリブルに自信があり過ぎるあまり、それを過信して無理に敵のディフェンスを突破しようとする癖がある!それでは世宇子には通用しない!仲間へのパスを活かせ!」
「っ!ああ!!」
フットボールフロンティアの予選第二試合を快勝した閃電中は次の第三試合といずれ来る世宇子中との試合に備えてよりヒートアップした練習をこなしていた。
「桐林!お前は左脚でのシュートを苦手としているな。だから左脚で撃つべきシュートを敢えて右で撃とうと修正し、ワンテンポ遅らせてしまう事がある。それでは敵のキーパーにコースを読む余裕を与えてしまう!自覚して直そうとはしているんだろうが、その前に刀条や俺のシュートを良く見て参考にしてみろ」
「お、おう!」
攻守に分かれての練習をしながら凪人は一人一人に的確なアドバイスを告げる。閃電イレブンもそれを素直に聞いてプレーの改善をしていく。
閃電中サッカー部は現在凪人含む12人が選手登録されているが、今年から入った新入生が大量に入部している。そんな彼らの中から更にフットボールフロンティアを勝ち抜く為の戦力になり得る者を見つけなければならない。
そんな多忙な現状でも着実に彼らは成長している。
「……ところで、堂本の奴はどうした?あいつが練習に遅れるなんて珍しいな」
「確かに……補習でも食らったか?赤木、お前何か知らないか?同じクラスだろ?」
「知りません。でも教室を出たのは俺より先でした。てっきり先に練習してると思ってたから、ここに来た時にはあいつがいなくてアレ?って思いましたけど……」
凪人、城之内、赤木の順で未だに現れない堂本についての話が始まったその時、狙ったかのようなタイミングマネージャーの時枝がレギュラーメンバーの練習場に駆け込んで来た。
「きゃ、キャプテーン!斎村さーん!!」
「どうしたの?」
「血相変えてどうした?」
「ど、堂本君がぁ!!」
「あいつ何やらかした?」
時枝に言われるままに着いて行けば閃電中の生徒達が何やら人集りを作り、ある場所ーーー第二グラウンドを見てゲラゲラ笑っている。そこはサッカー部の戦績で勝ち取った今年入った一年生達の為の練習グラウンドだ。
「堂本の奴、練習に来ないであんなとこで何やって……」
人混みを掻き分けてサッカー部レギュラー達は先頭に出る。そしてそこにいたのは……
特殊な形状をしたベルトを巻かれ、綱で繋がれて綱引き状態になっている堂本と、
全力で力んでその堂本と綱引きをしている巨大な牛だった。
「う、牛!?」
『牛と綱引き〜〜〜〜〜!!?』
ゲラゲラと笑われる訳である。恐らく堂本だけは真剣にやっているのだろうが、ただの道化である。というか何がどうしてそうなった。
「ブモオォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!」
「ぬぐぐ…負けるかぁ〜〜〜!!!」
「何やってんだあの馬鹿!?てか誰が牛なんて連れて来た!?」
「堂本以外いませんよ……」
まさかの光景に愕然とする凪人とどこか悟ったような顔の閃電イレブン。サトルが乾いた笑みを浮かべながら解説する。
「堂本君は斎村君が来る前まで偶にキーパーの特訓として牛の頭にボールを付けてそのタックルを正面から受け止めるなんて事してたんだよ」
「馬鹿じゃねーの!?てか、それで何で牛と綱引きなんだよ!?タックルを正面から受けるのはまだ分かるよ!?キーパーだからね?でもこれはどう見てもおかしいだろ!!何の特訓になんだよ!?サッカーに活かせるもの何一つねーよ!!あいつこの半年以上俺から何学んだと思ってんの!?」
流れるようにツッコミまくる凪人。堂本がどこからあんな牛を連れて来たのかは分からないが即刻帰らせなければならない。どう考えても学校に連れて来て良いような動物ではないだろう。
「ははは……星宮、ちょっと生徒会室に」
「え"っ」
いつの間にやら閃電イレブンの隣に来ていた生徒会長。彼に連行されて生徒会室に連れて行かれるサトル。
この後は結局負けて牛に引き摺り回される堂本の救出に、牛のいた牧場の関係者への連絡と連れて帰って貰う際の作業の手伝い、牛が荒らしたグラウンドの後始末、そして事の発起人である堂本と連帯責任としてキャプテンのサトルと強化委員の凪人へのきついお説教などなど色々あってその日の練習は丸々潰れるのだった。
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side凪人
「全く、何考えたらあんな意味分からん特訓を思い付いて実行するんだ!!あんなの円堂でもやらねーぞ!!……やらない…よな?」
「そこは言い切ろうよ斎村君……」
「いやぁ……行けると思ったんだけどなぁ」
牛の強制送還と後始末に教員からのお説教……と全てを終えるのにもう夜の9時を回ってしまった。
「笑い事じゃねーよ。怪我人出たらどうすんだよ。そもそもお前が怪我したら誰が閃電のゴールを守るんだ!てかあんな特訓で得られるものなんて一つも無い!!」
「う……」
「そもそもあの騒ぎのせいで今日の練習は中断する事になっちまったし……」
「うぅ……」
何をトチ狂ったのか野坂との再戦に備えてキーパーの実力を上げようと考えた結果が牛との綱引きらしい。やっぱこいつ馬鹿だわ。とびっきりのな。
「てかもう9時だぜ。寮の食堂ももうやってねーよ。晩飯抜きはキッツいな……コンビニとかで弁当買おうにも遠いんだよなぁ閃電中の立地的にも」
「……マジですいませんでした」
反省すんの遅えよ。もう絶対牛で特訓なんてさせねぇからな。ああ…腹減った。そもそも寮の門限とか考えるとこの時間外出すんのは無理だよな……。でも腹減ったぁ……。
すると星宮はキョトンとした顔になる。そういやこいつは寮じゃなくて自宅から通ってんだっけ……。そりゃ寮の食堂事情も知らないわな。
「……じゃあ、二人共僕の家来る?」
「「へ?」」
「晩ご飯、
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あの後、星宮が家にいる母さんに電話して俺達の分の夕飯を頼んでくれている間に俺と堂本は寮の方に外泊届を提出し、その他諸々必要な物を部屋から持ち出した。外泊先も生徒である星宮の家な事も有ってどうにか許可を貰えた。
そうして俺達は今、星宮宅の目の前にいる。星宮は普通にドアを開けて俺達を中に入れる。
「ただいまー!」
「お、お邪魔します……」
「お邪魔しまーす!」
中に入れば結構洋風な家だな……。星宮自身ハーフみたいだし、親もその辺は拘ってるのかな?
すると奥の方から星宮と同じ金髪の女性が出て来た。……綺麗な人だ。外国人みたいだし、この人が星宮の母さんか。けど日本語も流暢だな。
「おかえり、サトル。それで……貴方達が斎村君に堂本君ね?」
「あ、はい!斎村凪人です!」
「はいっ!堂本衛一郎です!」
「いらっしゃい。サトルから話は聞いてるわ。大歓迎だから今日はゆっくりして泊まっていってね。サトルがお友達をお泊りさせたいなんて言うの初めてなんだから」
「お母さん!それより僕達お腹減ったよ」
「はいはい」
………母さんか。俺は春休みに会ったっきりだな。強化委員だし寮生活だから仕方ないけどさ。
去年は野生中戦前に円堂と修也が家に泊まったりしてたっけ。
そうしてリビングに案内されると態々待ってくれていたのかテーブルの前で分厚い本を読むおじさんがいた。この人が星宮の父さんって訳ね。
「お!おかえりサトル。それに君達が斎村君と堂本君か。話はよく聞いているよ。自分の家だと思って寛いでくれて良いからね」
「「あ、はい……」」
流石にそこまで神経図太くはない。円堂の家だったらそこそこ寛ぐ気になれるんだけど。昔から良く泊まったりもしてたからな。
「はいはい。話は後でね!さ、夕ご飯にしましょ!」
星宮の母さんがテーブルまで料理を持って来てくれる。……今日はパエリアなのか。てか俺と堂本凄え大盛りだな。勝手に押し掛けて来ちゃったのに申し訳ない。
「お代わり沢山あるから……食べれるわよね?」
「「はい!いただきます!!」」
折角の好意な訳だし、有難く頂く事にする。実際今日は色々あり過ぎて空腹がいつも以上だったからこの大盛りの上にお代わりまであるのは本当に有難い。
……“母さん”の手料理なんて、久しぶりだな。
「「ご馳走様でした!」」
もう腹一杯だ。でもこんなに沢山良かったのだろうか。凄く美味しかったし。
そんな俺の考えが表情に出ていたのか星宮の父さんは笑いながら「遠慮するな」という旨の言葉を投げ掛けて来る。
「子供は元気が一番さ。沢山食べた方が良い」
「……ありがとうございます」
「お礼を言うのはこっちの方さ。君が『サッカー強化委員』という役割でサトルの学校に来てくれてから、サトルは本当に明るくなったんだ」
「へ?」
そしてタイミング良く星宮は俺達が寝泊まりするあいつの部屋を片付けに行き、堂本は星宮の母さんに言われて風呂へ直行。
それから語られる星宮の過去。
ハーフ故にその容姿を揶揄われる事が多かった星宮は周りとの繋がりを得る事を目的にサッカーを始めた。星宮の父さんがサッカー観戦を趣味としていた事も影響していたんだとか。
だがどれだけやっても碌に上達せずに負け続けて馬鹿にされる毎日だった。それでもサッカーが好きだった星宮は諦めなかった。中学に上がってもサッカーを続け、フットボールフロンティアを目指し続けた。
そんな折、俺が閃電中にやって来た。俺の指導でみるみる星宮達は実力を上げて勝てるようになった。勝つ喜びと白熱した試合の熱さを実感した星宮はこれまで以上にサッカーが好きになり、明るくなって行ったそうだ。
「そうだったんですか……」
「ああ。だから君には感謝しているんだ。サトルの学校を選んでくれて。サトル達に雷門のサッカーを教えてくれて」
「……なんか、照れ臭いですね」
つまり、星宮にとっての俺は……俺にとっての円堂みたいものだったのか。なんか円堂になった気分とでも言うのだろうか。結構嬉しい。
「でも大丈夫です!俺達はフットボールフロンティアで優勝して、その偉大な山の
「……これからも息子とそのチームを、宜しく頼むよ。斎村君」
「はいっ!目指すは日本一、そして日本代表です!!」
星宮……良い両親の子供に生まれたんだな。
すると丁度堂本が風呂から寝間着で出て来る。同時に星宮も部屋の片付けが終わったのか二階から降りて来た。
「ふぅ〜サッパリしたぁ…あ、斎村さん!風呂空きましたよ!!」
「おーう!」
「そう言えばもうすぐ雷門と美濃道三の試合だよね。どっちが勝つのかな?」
そんな感じで俺と堂本は星宮家で一夜を明かす事になった。勿論寝る前にはサッカー談義や他校の分析などの話し合いは忘れない。
フットボールフロンティア、絶対勝ち抜いて全国行って優勝しようぜ。星宮。
サトルが本編で両親をパパママ呼びだったのはまだ幼い頃に亡くしていた為。こっちでは普通に生きてるので成長した影響もあった為呼び方が違います。
星宮
サトルの父親。日本人。キラスター製薬に勤めている。サッカー観戦が趣味。その影響を受けてサトルは自発的にサッカーを始めた。
キラスター製薬の事から吉良星二郎とも面識があり、その繋がりからエイリアルートの方ではサトルはお日さま園に引き取られる事になる。
父親としては非常に素晴らしい人物。
星宮エレナ
サトルの母親。イタリア人。美人。とにかく美人。料理の腕が非常に高い。フィディオの母親とは旧知の仲。
イタリアの製薬会社に勤めていたが、キラスター製薬との共同プロジェクトが立ち上げられた際、星宮孝と出会い、色々あって交際。結婚を双方の両親に反対され、駆け落ちに近い形で日本に移住。勘当された過去を持つ。
母親としては非常に素晴らしい人物。