ところでオリオンの刻印、スコーピオンの名前や異名を持つチームもしくは選手は出ないのだろうか?
side三人称
1-1で同点。白熱し、勢いと熱さが増し続ける閃電中vs世宇子中の試合。スタジアムに訪れた誰もが息を飲んでこの試合に夢中になっていた。
「凄え……木戸川清修と星章学園の試合以上じゃないか?」
「全国ランキング2位の閃電相手にここまでやれる世宇子が凄いのか、前回の大会で準優勝した世宇子相手にここまで戦える閃電が凄いのか……分からないなこれは」
閃電と世宇子、それぞれのサポーター達の眼を以ってしても優劣が付けられない。それだけ両チームの実力は拮抗しているのだ。
デメテルのスライディングがサトルからボールを弾き、海原の足元に転がって行く。しかしそれをアフロディが先に確保してアルテミスへパス。それを石島がトラップによるパスカットをして凪人へとロングパス。
「先に2点目を取る!皆上がれ!」
「守り通す!カウンターの準備も怠るなよ!」
攻め上がる閃電と守りを固める世宇子。どちらのチームワークも木戸川清修以上と言えるだろう。
ペルセウスが正面から仕掛けたスライディングを両脚にボールを挟んで跳び上がる事で回避する桐林。すかさず刀条にパスを出した。敵にボールを触らせずにパスで攻撃へ繋ぐその速さは圧巻の一言。
「決めろ刀条!」
「はい!」
閃電のエースストライカーである刀条と世宇子の守護神、二代目ポセイドンの一騎討ちにスタジアムが注目する。刀条の指笛と共に現れたの七色で一匹ずつ配色の異なる七匹のペンギン。
「皇帝ペンギン…7!!」
「津波ウォール!!」
対して二代目ポセイドンは津波ウォールで対抗。先程凪人のシャイニングランスに破られたとは言え、あれは凪人のシュートの威力が頭のおかしいレベルだっただけだ。刀条の皇帝ペンギン7に対抗するには充分な威力だ。
しかし津波の力が僅かに及ばず、津波ウォールは突き破られる。それでもゴールを許す程、世宇子の守護神の名は安くはない。二代目ポセイドンはそれを待ち構えていたかのように、フルパワーまで力を込めた拳でアッパーカット。皇帝ペンギン7は津波ウォールによって大分威力を削られていた事もあって上空に弾き飛ばされた。
「フンッ!!」
「何だと!?」
そしてそのボールは空中戦法を得意とする世宇子のDFが確保。また攻撃に繋ぎ始める。
「俺の皇帝ペンギン7が……!これがポセイドン……」
「もしかしたら兄貴以上のキーパーになるんじゃないか?成長が楽しみだ。来年戦えないのが残念だぜ」
呑気にそんなコメントをしている凪人だが、決して油断はしていない。凪人は世宇子が十八番の空中戦に持ち込んで来る事は分かっていたので既にここ数日の特訓で対応策を仕込んでいた。
「デメテル!」
アフロディからデメテルへとボールが渡る。このまま行かせてしまえばみすみすシュートチャンスを与える事になる。しかしそんな展開を凪人は許しはしない。
「石島!」
「ああ!サイクロン!!」
空中でパスを受け取ったところで身動き出来ない隙を突いてのサイクロンでの吹き飛ばし。対象が即座に次へのパスを出すかどうかをしっかり見極めねばならないがフリーで必殺技を決められるのは大きい。見事にデメテルを吹き飛ばした石島は城之内へとボールを託し、もう一度反撃を始める。
「相手が空中戦を仕掛けて来るなら、こっちは徹底して地上戦に持ち込むぞ!!この試合、相手の思惑通りの戦法をさせてしまったら敗北に繋がると思え!!」
『おう!』
凪人の真剣な口調により、一層閃電イレブンの表情は引き締まる。しかしそんな彼らの表情は心なしか何処か笑っていた。
楽しいのだ。世宇子という強敵と繰り広げる真剣なサッカーが。真正面からのぶつかり合いが。
「この試合、勝つのは俺達閃電だ!この最高のライバルに勝って、堂々と全国に行くんだ!!」
それからも続く一進一退の攻防。閃電と世宇子、双方の攻守は同等のレベルに至っており、どちらも譲らずに攻め続ける。
(弟のポセイドンからゴールを奪うのはそう難しくはない……。むしろ注目するべきは奴ら……中でもアフロディのシュートだ)
凪人はドリブルをして世宇子のディフェンスを躱しながら彼らの攻撃への対応策を講じる。ヘブンズタイムを破る方法はまだ思い浮かばない。凪人の知る原作知識ではエイリア学園のカオスのメンバーがそれを成し遂げてはいたが、超速で動くアフロディに付いて行く方法がまだ分からない。
「スピニングカットV2!」
アテナのスピニングカットが凪人に迫る。しかし凪人もまたスピニングカットの使い手。対策など幾らでもある。スピニングカットの衝撃波の圏内から出れば良いのだ。二歩、三歩下がれば簡単に出来る。世宇子もそれを察しているのか、ボールをキープしながらバックステップを取った凪人にアポロンとディオが両サイドから迫る。
「「貰ったぁぁーー!!」」
左右同時のスライディング。しかし凪人はボールを両脚で挟んで飛び上がる事でこれを躱し、そのまま右斜め前方へとパス。赤木がこれを受け取り、アレスがマッチアップ。
「行かせはせん!」
「幻ドリブル!!」
しかし赤木は分身…ではなく、己の幻影を作り出し、それと鏡合わせに左右から同時に突破しにかかる。どちらを止めるべきか分からなくなったアレスは動揺してみすみす抜かれてしまった。
「刀条!」
「ああ!決めるぞ赤木!」
赤木の前を刀条が走り、上空へと一気にジャンプ。続いて赤木はボールを両脚に挟んで飛び上がり、空中で縦回転しながら離し、蹴り上げる。それを刀条と交代交代で繰り返しながらボールにエネルギーを込めて行く。
「「ジョーカーレインズ!!」」
最後に二人で右足の裏、左足の裏で同時にスタンプシュート。青いエネルギーと黒い稲妻を帯びたシュートは世宇子ゴールへと一直線に振り落とされた。
「くっ!津波ウォールッ!!……ぐああああっ!!」
赤木と刀条のジョーカーレインズは二代目ポセイドンの津波ウォールを容易くぶち破ってゴールネットを揺らした。
2-1
三度、歓声が湧き上がった。閃電中が逆転を遂げた。今の攻防も熱く、素晴らしいものと言えるものだった。これを見て興奮しない者はいないだろう。
そしてすぐに世宇子のボールで試合再開。世宇子はもう一度優位に立つべく、その攻撃の手を緩めずに攻め込んで来る。
「ダッシュストーム!!」
デメテルのダッシュストームによる暴風でFW陣が吹き飛ばされ、サイドのMFも踏ん張って耐えるが近付けない。しかし中央にいた凪人とサトルはそれに正面から耐えながら駆け寄って行く。
「何っ!?」
「「はあーっ!!」」
デメテルの驚愕の隙を突いてサトルが正面からスライディング。ボールを上に弾くと同時に風は止まる。そしてその前に風に耐えながらも真上に飛び上がっていた凪人がそれを受け取る。
「「ブロックサーカス!!」」
そしてまた反撃に転じようとするもそこで黙ってやられる世宇子ではない。アフロディが既に凪人の更に上に飛び上がっていた。
「な!?アフロディ!!」
「追加点は取らせない!裁きの鉄槌!!」
空中で上手く身動きの取れない凪人に容赦無く裁きの鉄槌による巨大な足を繰り出すアフロディ。見れば既に真下にデメテルはいない。全て計算してあった事なのだと理解した凪人はそれに抗うべく、背中から影を噴出して化身を出そうとする。
「ぐぐ…っ!」
「空中で碌に体勢も取れていなければ上手く力は入らず、化身は出せないだろう!貰ったぁーーー!!」
「くそぉっ!!」
そのまま振り落とされた裁きの鉄槌。凪人は上手く力を発揮出来ないながらもどうにか化身の影による圧力でエネルギー体の足の踏み付けを躱し、少し離れた場所に着地する。
しかしその距離は不味かった。アフロディがドリブルをしてディフェンスに迫る時間を確保するには充分な距離。おまけに先程の裁きの鉄槌でサトルは踏み潰されはしなかったものの、衝撃によって転んでしまった。これもアフロディを自由に進ませる要因となった。
「ヘブンズ…タイム!!!」
「し、しまった!」
ヘブンズタイムによる瞬間移動にも似た突破でディフェンスは全て抜き去られてしまった。後は堂本とアフロディの一騎討ち。
(俺のゴッドハンドじゃゴッドノウズは止められない。ならあの技を使うしかない。単純な威力ならマジン・ザ・ハンドにだって匹敵するだけの力はあるって斎村さんが言ってたんだ!ぜってー止められる!!)
「これで同点だ!ゴッドノウズ改!!」
アフロディの背中に現れた純白の六枚羽。白い稲妻が注がれた事によって圧倒的パワーを得たシュートはゴールに向かって行く。
しかしゴッドノウズに相対する堂本の眼には必ず止めてみせるという強い意思が宿っていた。
「俺達は必ず勝つ!このシュートは絶対に止めてやる!!」
堂本の右手に稲妻が迸る。しかしその色は赤ではなく、黒。その稲妻はゴッドハンドではなく、ドラゴンの腕を形成、実体化させた。いや、堂本の腕がドラゴンの腕そのものになってる。
「何っ!?」
「うおおおおおっ!!ドラゴンスクラッチ!!」
堂本は黒い稲妻を帯びたドラゴンの腕でゴッドノウズを受け止め、その爪をボールに立てて、食い込ませる。そしてボールを引き裂くかのように腕を振るい下ろし、八つ裂きにするかのようにゴッドノウズのエネルギーを消し飛ばした。
同時に堂本の腕は元に戻り、その手にはボールが握られていた。
「ゴッドノウズが……!?」
「うおおおー!やったぜ堂本ーー!!」
「アフロディのゴッドノウズを止めやがった!!」
「……へへっ!どーだっ!!」
ゴッドノウズを止めた事で完全に自信が付いたのか、アフロディに向かって得意気になる堂本。一方でゴッドノウズを止められたアフロディは面白いと言わんばかりに好戦的な笑みを浮かべていた。
「もういっちょ、反撃だぁーー!!」
堂本が前線目掛けて投げたボールはサトルが受け取り、ドリブルでまた攻め込んで行く。それに合わせて閃電のFWや中盤も続いて上がって行く。
「メガクエイク!」
「ヒートタックル!」
「フラッシュアクセルV2!」
「グレネードショット!!」
「ギガントウォールッ!!」
「ダッシュストーム!!」
「リフレクトバスター!!」
「ドラゴンスクラッチ!!」
一進一退の攻防に激しい必殺技の応酬。前半終了が迫る中、互いに攻め込んで、守り通して、激しくも熱い激戦が繰り広げられる。
「クイック…ドロウ!」
種田によるクイックドロウがヘルメスからボールを奪い取る。またここから閃電の攻撃が始まるかと思われたが、今度は世宇子のDFであるハデスが閃電の陣営まで上がって来ており、クイックドロウを決めたばかりの種田へスライディングを仕掛けて、ボールを前方へと弾き飛ばした。
「決めろ、ペルセウス!」
そしてボールはFWのペルセウスへ。堂本はシュートを止めるべく、構える。
「来い!」
「絶対に決めてやる!」
睨み合う両者。しかし堂本の息は少しばかり乱れていた。前半からかなりの頻度で強力なシュートを受け続けて来たのだ。ある意味当然と言えよう。
(やっぱりドラゴンスクラッチを前半で二回も使うのは負担が大きかったんだ!ここでシュートを撃たれたら止められても後半からもっと苦しくなる!)
堂本の現状を見抜いた石島は自分とは逆サイドからペルセウスを狙える藤咲へと呼びかける。
「藤咲、止めるぞ!シュートを撃たせるな!」
「はい!」
同じ考えに至っていたのか、藤咲も即答して二人は足に風を集める遠距離からシュートを未然に防ぐならばこの技を使うべきと判断したのだ。
「「ダブルサイクロン!!」」
「なっ!?ぐううううっ!!」
二つの竜巻がペルセウスを囲い、吹き飛ばしにかかる。しかしペルセウスはそれを耐える。何としても今シュートを撃って同点に追いつかねば後半はかなり苦しい展開になる。それを許す訳にはいかない。
しかし天空の刃はゴッドハンドで止められてしまう。ただ撃っても点は取れない。するとペルセウスある事に気付く。
(……風?)
自らを吹き飛ばしにかかる暴風。もしこの力を天空の刃の力に変えられたら?
「う、おおおおおおっ!!」
ペルセウスは暴風に耐えながらボールを蹴り上げ、背中に水色に輝く翼を生やした。それを見て凪人は叫ぶ。
「……まさか!ダブルサイクロンを止めろ!いや、無理か……!!」
ペルセウスの狙いに一早く気付いた凪人はそう叫んだが、サイクロンという技は後からパッと止める事は出来ない技だ。それを遅れて思い出してからペルセウスに駆け寄る。
「シュートブロックをかけるんだ!」
そして漸くペルセウスの狙いと自分達の失態に気付いたディフェンス陣は凪人の指示に従ってシュートコース上に立つ。
「おおおおおおっ!!」
ペルセウスはボールと共に空を舞い、オーバーヘッドキック。同時にその蹴りに風と翼の全エネルギー……そして、ダブルサイクロンの暴風をも巻き込んでその風力の全てをボールを注ぎ込む。
ペルセウスの狙い…それはダブルサイクロンのパワーを奪い取り、天空の刃に上乗せする事でシュートの威力を増幅させる事だった。そしてそれは成功し、超巨大な風の円盤となったシュートを撃ち出した。
「天空の…刃っ!!!」
『うわああっ!!』
シュートブロックをしようとした閃電のディフェンス陣は瞬く間にその風力で吹き飛ばされ、キーパーの堂本もその暴風のせいで視界が悪くなり、シュートを掴む事も出来ずにそのまま吹き飛ばされてしまった。
2-2
ゴールネットが揺れた。限定的に超強化された天空の刃がゴールに突き刺さったのだ。
「よ、よっしゃあーーーーー!!!」
ペルセウスの歓喜の叫びがスタジアムに響く。そしてここで前半終了のホイッスル。前半は同点で終わった。
****
side凪人
「すまない堂本!あそこで余計な事をして、奴のシュートを強化してしまった!!」
「い、いや石島先輩と藤咲は悪くないっすよ!俺の体力を気遣ってシュートを撃たせないようにしようとしてくれたんすから!!……俺こそ最後の砦なのに結局取られちまったし…」
前半最後のあのシュートが決まってしまった事を石島と藤咲が堂本、ひいてはチームの皆に平謝りしている。だが誰も二人を責めたりはしない。あれは仕方のない事だったと皆分かっているからだ。
「三人とも謝るのはその辺にしとけ。誰かが悪いとかそんな話じゃない。あんなやり方は誰でも予想外だった。こっちのディフェンス技をシュート強化に利用するなんて誰が予想出来る?無理だろう?」
俺がするべき事はこの話をここで終わらせ、後半どうするかを話し合い、その音頭を取りつつ皆の士気をより高める事だ。
「とにかく、この先ペルセウスにはサイクロンやダブルサイクロンは使うな。もっと物理的に接触するタイプの技で食い止めるんだ。それから……」
俺は後半を戦い抜く為の方針と策を皆に示す。世宇子は強い。神のアクアなど無くても。だからこそ、俺は今のあいつらに勝ちたい。それは皆も同じ気持ちのはずだ。
そして後は水分補給は休憩を取って体力を少しでも回復させる。後半は残りのスタミナが重要になるからな。
そうしてハーフタイムが終了し、いよいよ後半が始まる。俺達はポジションに付くべく、フィールドに向かう。
世宇子もまた同様にフィールドに向かう。するとアフロディは何処かワクワクしているかのような顔をしていた。俺は思わずアフロディと話すべく近付いてしまう。
「……楽しそうだな。良い笑顔してんじゃん」
「斎村君…そうだね。サッカーがこんなに楽しいって事、何で昨年は忘れていたんだろうか。こんなに熱くなれるのに……雷門と戦った時はそれを忘れていた。出来るなら雷門としての君達とまた戦いたいとも思う」
「出来るさ。例えこの大会に元々の雷門が出ていなくても、サッカーを続けていけば、いつかまたあの日の雷門と世宇子でまた戦える日は来る。必ずな」
これは嘘偽りのない本心だ。今は閃電として戦っているが、俺もいつかまた昨年の雷門のメンバーでこいつらと戦いたい。そして勝ちたい。心からそう思う。
「……そうか。でも今は…」
「ああ……負けねえぜ。勝つのは俺達閃電だ!」
「こっちこそ」
そして俺とアフロディがポジションに付いて閃電と世宇子が再び向き合う。
センターサークルの中央にボールを置き、アフロディは好戦的な微笑みを浮かべ、俺達閃電イレブンを見据えて口を開いた。
「決着を付けよう。来るが良い閃電中学サッカー部。いや……
新たなるイナズマイレブンよ!!」
オリジナル技解説
【ドラゴンスクラッチ】
キャッチ
属性・火
TP アレス・46 /オリオン・34(仮定)
威力:マジン・ザ・ハンドと同等
黒い稲妻を起点として己の右腕をドラゴンの腕に変化させる。それを振るい、その凶悪な爪と腕力で敵のシュートのパワーを八つ裂きにする。アレス、オリオンの技は絶妙にダサい名前なのでこっちでもダサくしてみた。
ゲーム風説明文
龍の爪は全てを引き裂く刃。どんなシュートもこれで八つ裂きにしてやる!!