イナズマイレブン -もう一つの伝説-   作:メンマ46号

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何とかして五条さんを出そうと四苦八苦して遅くなりました。


スランプ脱出と合同練習

 side三人称

 

 星章学園との試合を一週間後に控え、雷門はスランプを乗り越えて勝利すべく猛特訓に励んでいた。

 しかし雷門は帝国戦以来、スランプに陥っていた為にやはり練習も上手く進まずに刻一刻と試合までの時間をただ浪費していた。

 

「……今日も、監督のメニューをこなしても成果は得られなかったな」

 

「帝国との試合がここまで影響して来るなんて……」

 

 万作と奥入の暗い呟きが雷門イレブンの心に刺さる。星章との試合までもう一週間を切っている。最後にリベンジを果たそうと考えても焦燥が湧いて来るばかり。具体的な解決策を得られずにいた。

 

「帝国戦以来、練習試合を組んでも負けの繰り返しだったし、五戦目も負けた。今また練習試合をしても効果はねえだろうな…」

 

「ちっくしょー!せめてスランプの治し方さえ分かりゃあ何とかなると思うんだけどな…!」

 

 小僧丸と剛陣も悶々としながら現在、彼らが暮らす木枯らし荘への帰路に着く。するとキャプテンである道成がある呟きを口にする。

 

「……こういう時、元々の雷門イレブンの人達ならどうしてただろうな」

 

「キャプテン?」

 

「あ、いや……今強化委員で各地に出てる元々の雷門の人達は、こういうスランプがあったのかな…って。あったとしたらどうやって乗り越えて日本一になったのか…少し気になってな」

 

「こういう時、強化委員が派遣されたチームが羨ましいよな…。星章なんか鬼道有人が指導してくれるんだぜ?その上一緒に戦ってくれる。それだけで心強いし、自信も付くよ」

 

 道成の意見をきっかけに服部は少しばかり愚痴を零す。しかしこればかりは仕方のない事だ。むしろ円堂達が今も雷門中にいたらここにいるメンバーの転入は受け入れて貰えず、フットボールフロンティア出場どころか、伊那国島でサッカーを失って泣き寝入りするしかなかったのだから。

 

「……サッカー強化委員か」

 

「俺達も指導して貰えたら……」

 

 ふとそんなあり得ない願望を抱いてしまう。無名から一気に全国優勝まで登り詰めた伝説のイレブン。彼らの手で敵はより強大な存在となっているのだから。

 

 そうして帰り道を歩いていると十字路に差し掛かる。ここを抜ければ稲妻町の商店街だ。いつもここを通って稲森達は木枯らし荘に帰っている。

 そしてその十字路を曲がろうとしたら、同じく十字路の向こう側から曲がろうとしていた通行人とぶつかる。

 

「「うわっ!?」」

 

 稲森とその通行人がぶつかってお互いに尻餅をつく。

 

「明日人、大丈夫か!?」

 

「う、うん…。あの…すいません、良く前を見てなくて……」

 

 仲間達に身を案じられつつも、稲森はぶつかった相手に謝る。そしてその相手もまた謝り返す。

 

「い、いやこちらこそ急ぐあまり走ってて…すまない。怪我は……」

 

 そしてお互いの顔を見て目を丸くする。稲森とぶつかった相手の特徴は青い髪にポニーテール。その身に纏っているのは帝国学園の制服。そして女性と見紛う顔。

 

「か、風丸さん!?」

 

「お前達は……」

 

 驚く稲森。そう、ぶつかった相手は風丸一郎太。かつての雷門イレブンの一人であり、現在はサッカー強化委員として、雷門のスランプの原因……帝国学園に派遣されているサッカープレイヤーだ。

 

「ど、どうしてここに…?」

 

「斎村と待ち合わせをしていてな。この後、喫茶店で打ち合わせがあるんだ」

 

「打ち合わせ?」

 

「ああ。帝国も全国大会への出場が決まったからな。同じく既に全国出場を決めた閃電とまた合同練習をしようって話になったんだ。勿論全国大会が始まるまでだがな。お互いに手の内を明かす事になるが、俺達は木戸川清修、閃電は世宇子との試合以来、もっと強くならなきゃいけないと再認識したからな……」

 

 どちらも予選大会で上位に掲げられる試合だ。勿論稲森達も観戦し、この四校の凄まじい実力を目の当たりにした。その内の全国大会出場が決まった二校が合同練習を行う……稲森達からすれば雲の上の出来事とも言える。

 

 しかし、それを聞くと同時に稲森の中にある案が思い浮かんだ。

 

「それじゃあ、俺はこの辺で……「待って下さい!」…うわああっ!?」

 

 凪人との待ち合わせ場所に向かおうとまた走り出した風丸の服を掴み、引き止めようとする稲森。しかしそれによって風丸はバランスを崩して転倒。稲森もそれに引き摺られて倒れる。

 

「おい明日人!何やってんだ!」

 

「いつつ……急に服を掴むなよ。急いでるんだぞ…」

 

「す、すいません……ってそうじゃなくて!」

 

「いや、そうじゃなくてじゃなくてだな……」

 

 風丸の抗議とも言える言葉をスルーして稲森はグイグイ風丸の前に出て来る。何やら興奮して風丸側の都合を度外視してしまっているようだが、落ち着けばちゃんと謝るだろう。

 

 しかしその前に稲森は爆弾をぶっ込んだ。

 

「その合同練習、俺達も混ぜて貰えませんか!?」

 

****

 

 

 -帝国学園スタジアム

 

 

「……で?結局押し切られたと。まぁ打ち合わせに割り込んで来た時から予想は出来てたが」

 

「……すまん」

 

 数日後の土曜日、帝国学園のグラウンドにて引き攣った表情で稲森達雷門イレブンの前に立っていたのは凪人率いる閃電イレブンだった。

 

「いきなり押しかけたりしてすいません……」

 

「いやいーよ。今更だし、事の発端は稲森が暴走した事みてーだしな」

 

 流石に身勝手に合同練習に割り込んだ罪悪感があるのか、道成が代表して凪人達に謝罪する。小僧丸だけは凪人を心底気に入らないと言わんばかりに睨んでいるが。それでも参加している辺り、自分達の置かれた状況を冷静に客観視出来ているようだ。

 

 星章に勝つには鬼道に匹敵する司令塔の凪人の指導を受けるしかない。

 

「影山は?」

 

「総帥室だ。練習メニューは貰ってるから今日は俺達で進める」

 

 凪人の質問には帝国現キャプテンである佐久間が答える。この手の進行確認にはもう慣れたものだ。強化委員である凪人と風丸、各々のチームのキャプテンであるサトルと佐久間の四人でテキパキと練習内容について話し合い、決めていく。

 

「おい道成、何ボーッと突っ立ってんだ!ちゃんと聞け!」

 

「は、はい!」

 

 呆然としていた道成に雷門のキャプテンとしての自覚を持たせるべく、呼び付けて練習メニューを伝える凪人。道成は慌てながらもそれを良く聞いてメモを取る。

 

 その様子を見て稲森は図々しく押し掛けて迷惑をかけている事を申し訳無く思いつつも、星章戦に向けた練習に想いを燃やす。

 

(俺達は何としてもスランプを脱出して、俺の想いをサッカーで灰崎に伝えたいんだ!だから閃電を滅茶苦茶強くした斎村さんの力をどうしても借りたい……!)

 

「はい、斎村君!これが帝国戦以降の雷門の練習と試合のデータです!」

 

「ああ、サンキュー大谷さん」

 

 大谷からタブレットを受け取るも最初凪人は雷門に肩入れする気など無かった。それは強化委員の仕事ではないし、帝国に負けてスランプになったチームなど他にも沢山ある。なのに彼らだけ特別扱いして鍛えるなど不公平な話だ。だからこの話を了承したのは別の理由がある。

 

(……ホンットに酷えなこりゃ。これが仮にも雷門かよ…?一応主人公チームなんだよな?)

 

 データからも分かるスランプの酷さ。ふと雷門に目を向ければ小僧丸と目が合い、次の瞬間には小僧丸は舌打ちをして目を逸らした。そして木戸川と星章の試合を観戦した時のように刀条が小僧丸のあからさまな態度について突っかかる。

 

(………こんな調子で大丈夫か?)

 

「それでどうデスか?斎村君、君から見た彼らは?」

 

 閃電と雷門のメンバーが雑談を交わす中、データを見ていた凪人に趙金雲が話しかけて来る。誰も自分達の会話に耳を傾けていない事から、丁度良いと判断した凪人は返答と同時に疑問を投げかける。

 

「……どうって、酷いもんですよ。……趙金雲監督、何故あいつらのスランプ脱出を俺にさせようとするんですか?貴方なら短期間でそれ以上の成長をさせる事も簡単ですよね?」

 

「買い被り過ぎデスよ斎村君」

 

「しらばっくれないで下さい。一体どういうつもりなんですか?貴方程サッカーを知り尽くしている監督が稲森達をスランプから脱出させる事が出来ない筈がない」

 

 凪人は鋭い目付きで趙金雲を見据えて己の考えを述べる。対して趙金雲はその視線から目を逸らす事なく、凪人の話を聞く。

 

「それを出来るだけの能力があるにも関わらずやらない……。それを俺にやらせる……。つまり、この合同練習を通して貴方には別の目的がある。思えば雷門が唯一勝利した御影専農との試合には貴方は不在だった。考えれば考える程、貴方には謎だらけだ。何か他に思惑がある。違いますか?」

 

 一通り凪人の主張を聞いて趙金雲は黙り込む。しかし数秒程間を置いてから神妙な雰囲気を醸し出して口を開く。

 

「……斎村君」

 

「……」

 

「考え過ぎデス」

 

「……は?」

 

 おちゃらけた笑顔であっさりと凪人の考えを一蹴する。これには流石に凪人も素っ頓狂な声で呆けてしまう。

 

「頭が良いのは結構デスが、深読みし過ぎデスね。君の推測通りならもっと直接色々とやりますよ。第一、稲森君が風丸君に合同練習への参加を申し出たのは私も予想外でしたカラ」

 

「……だったら御影専農戦で貴方が不在だった理由は何ですか?あの試合で貴方がいなかったのは何か雷門を成長させる思惑があったはずです」

 

 まだ趙金雲の言い分に納得出来ていない凪人を他所に今度は風丸が質問する。すると趙金雲の表情が固まる。それを見て凪人も風丸も何かやましい事でもあるのかと思い、更に問い詰めようとした時、大谷が口を開いた。

 

「あ、その時は監督、警察に捕まってたんですよ」

 

『はぁ!?』

 

 衝撃的な一言に閃電、帝国全員が目を丸くして、趙金雲に疑惑の眼差しを向ける。それに気付いたのか、李子分が慌てて訂正を入れす。

 

「ち、違いますよ!親分が悪い事をしたとかじゃなくて、僕のミスで親分のパソコンがウィルス感染してしまって、そこからあらぬ疑いを……」

 

 李子分の釈明により、一応は趙金雲への疑いを晴らす。影山という前例を知っている以上、警察案件というのは本気でシャレにならないのだ。

 すると今度はこれまで黙っていた氷浦が凪人に話しかけてきた。

 

「斎村さん、実はその時からずっと気になってた事があるんです。でもチームの皆に聞いても教えて貰えなくて……」

 

「それを俺に聞く時点で間違ってね?」

 

「博識な斎村さんなら分かると思って…」

 

「……一応、言ってみ」

 

 あの試合における戦術的な話だろうかとアタリを付けながら氷浦の話を聞いてはみるつもりになった凪人。遅れて稲森達は氷浦の言わんとする事に気付く。だが遅かった。

 そして氷浦は口を開いて爆弾を投下する。

 

 

 

 

 

 

「ムフフ…ってどんな画像なんですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は?」

 

「いや、だからムフフな画像って一体…」

 

「お前は何を言ってるんだ」

 

「監督が捕まった原因は子分君が監督に頼まれたムフフな画像のディスクがウィルス感染していた事なんですけど、そのムフフってどんな画像なのか俺には良く分からなくて……皆に聞いても教えて貰えないんです」

 

「お前は俺に何を聞いているんだっ!?」

 

 真剣な表情で『ムフフな画像』が何なのかを問う氷浦。額に汗を滲ませて返答に困る凪人。雷門、閃電…と女子マネージャーがいる中、こんな話を投げかけるのは完全に拷問だった。

 

 雷門は「やっちまった…」という表情をしており、助けを求めて閃電や帝国を見やれば全員気不味そうに目を逸らす。不動に至っては凪人の置かれた状況を見て普段の憂さ晴らしになっているのか、ニヤついて凪人を嘲笑う。この場に凪人の味方は一人もいない。不動に至っては敵である。

 

「……氷浦」

 

「……はい?」

 

「……俺にも分からん。だがアッキーが答えを分からずにいる俺達を見て笑ってる。つまりあいつは知ってる。アッキーに聞いてみろ」

 

「分かりました!不動さん!」

 

「!?斎村テメェ!!」

 

 だからこの面倒臭いピュアボーイを不動に押し付ける事にした。

 結局趙金雲の思惑と氷浦の疑問は有耶無耶に終わり、時間が押しているのでそのまま合同練習を始める事にした。そして凪人は氷浦に対して苦手意識を持ったのだった。

 

****

 

「頼む!俺の必殺技完成に力を貸してくれ!」

 

「……構わないが、俺達が考えている技をお前らにくれてやる気は無いぞ。あくまでお前自身が考え、編み出そうとしている技の完成を手伝うだけだ」

 

 いざ練習が始まり、雷門のスランプ克服の為にある程度の練習を付けていると、稲森と意気投合していた堂本の口から凪人の指導による必殺技修得という閃電の情報を得た剛陣がグイグイと凪人の前に出て自身の必殺技に関する相談を持ちかける。

 

「大丈夫だ!考えてる技ならもうあんだよ!島にいた頃から思い描いていた必殺技……」

 

「まさか…」

 

「剛陣先輩やばいですって!斎村さんにそんな馬鹿丸出しの相談するなんて!!」

 

 雷門イレブンは揃って嫌な汗を掻きながら剛陣を止めにかかる。閃電イレブンは良く分からずに首を傾げ、凪人は詰め寄る剛陣にたじろぎながらも話を聞く姿勢だ。

 

「ファイアレモネードだ!!」

 

「……ファイア…レモネー…ド……?」

 

 雷門イレブン全員の顔が真っ白になった。終わった…という表情でもある。ふざけているとしか思えないネーミングに凪人もポカンとした表情だ。剛陣はフンッと鼻の穴から息を吹き出す。

 

「な、なんだ…?ファイア…レモネード?」

 

「炎なのか炭酸ジュースなのか……どっちなんだ?」

 

「僕達に聞かれても知りませんよ!元々はファイアトルネードを間違って覚えたんですし!!」

 

 ファイアレモネードとは如何なる技なのか。意義があるのかどうかも疑わしい議論を雷門と帝国と閃電で交わす中、凪人は口を開いた。

 

「それで?」

 

『え?』

 

「それで……お前の中ではどういうイメージなんだ?そのファイアレモネードという必殺技は?お前のポジションがFWなのとその性格から考えたらシュート技なんだろう?」

 

 なんと真面目に正面から取り合って来た。真剣な眼差しで剛陣にファイアレモネードの詳細を尋ねた事に驚きを隠せない一同。趙金雲はどこか感心したかのような表情で二人を眺める。剛陣もまた、これまで仲間内ではファイアトルネードの言い間違いと指摘されたり、まともに取り合って貰えなかったりと散々な扱いを受けて来た為、真面目に応対してくれる凪人に一瞬戸惑うも、話を再開した。

 

「お、おう…!ファイアトルネードに炭酸の爆発力を加えたイメージだな!うん!」

 

「……」

 

 凪人はふむ…と少し考え込むと近くにあったホワイトボードを引っ張って来て、ペンで凪人が頭の中で思い描いたイメージを図解して書き込んでいく。剛陣と思われるデフォルメされた人の絵がボールを蹴り出した絵だ。そのボールには炎が纏ってある。

 

「つまりこういう事か。最初に蹴り出した際にはファイアトルネードの様に炎の弾丸シュートな訳だが、ゴールに向かう途中、もしくはキーパーと接触する寸前のところで炭酸が爆発したかのように威力を一気に増幅させる……。シュートの威力が途中で爆発的に上がる訳だからキーパーも対応するのが非常に困難な技だな」

 

「おうっ!それっ!そうだよ!これだよ!俺のファイアレモネード!!」

 

 図には途中から炎が増幅してキーパーを吹っ飛ばす図までご丁寧に描かれる。

 

『………理解したあぁぁぁぁっ!?』

 

 雷門イレブン、それにマネージャーである大谷と神門まで口を揃えて絶叫する。それ程までに衝撃的な出来事だった。あんなざっくりした説明とふざけたネーミングからその技の概要を完璧に理解したのだ。そりゃこうなる。

 

「なんで!?なんでアレで分かるんですか!?僕達も初めて知ったんですけどファイアレモネードの概要!!」

 

「はぁ?これだけ聞けば分かるだろ?」

 

「いや普通分かりません!やばいです!」

 

「うるせーんだよ。お前らの理解力が低いだけ…つかネーミングから一方的に理解しようとしてなかったんだろうが。つーかお前はやばいです以外にその手のボキャブラリーが無いのか?サッカーの前に語彙力を鍛えた方が良いんじゃねーの?」

 

 心底馬鹿を見る目を奥入に向ける不動。剛陣にファイアレモネードについて解説を始める凪人。遠回しに剛陣よりも馬鹿というレッテルを不動に貼られた奥入はショックからか真っ白になってへなへなとへたり込んだ。

 

「にしても剛陣、この技かなり難しいぞ。徐々に威力が上がるならまだしも一瞬で一定以上の増幅となると少なくとも二段階の工程が必要になる。まずはシュートの前にボールを風圧の層で包む事が重要だ。パワーだけじゃなく、一点に特化したテクニックも要求される。多分これ、下手なオーバーライドよりも難易度が高い」

 

「何ィ!?な、なるほど……道理でこれまで必死に練習してもまだ出来ねえ訳だ……!!」

 

「それに前提としてファイアトルネード並の炎系のシュート技が必要だ。こんな風にな」

 

 凪人はボールを右脚で前方ーーーいつの間にか源田が前に立っていたゴールへと蹴り出す。すると普段のファイアトルネード程ではないが力強い爆炎を纏ったシュートが一直線に飛んで行く。

 

 それを待ち構える源田はユラリ…と右掌をボールに向け、右手に球状のエネルギーを薄っすらと…遠くからは目視出来ないレベルに纏って片手で迎え撃つ。

 

「はあっ!!」

 

 ドン…ッ!!と大きな轟音が響き、周囲にその衝撃波が広がる。そしてそれが収まると源田は右手一本でシュートを止めてそこに立っていた。

 

「やるじゃねえか源田。ますます強くなったな」

 

「…フ、お前もな斎村」

 

 剛陣にアドバイスをするはずが、何故か凪人vs源田となっている。その状況を理解し切れていない雷門イレブンに不動が気怠そうに説明を入れる。

 

「挨拶代わりだよ。合同練習をやる時には毎回あの二人で勝負してんだよ。そのついでにそいつのふざけた必殺技のヒントを教えてやっただけってこった」

 

 暗に雷門イレブンを軽視する発言だったが、誰もそれを気にしない。目の前で繰り広げられた勝負があまりにもハイレベルなもので呆気に取られてしまっているのだ。

 

「ま、こんなもんだ。ファイアレモネードとやらは炎のシュートを使えないと修得は出来ないだろうな」

 

「おう!じゃあまずは早速その技を…!」

 

「これは俺の技だ!くれてやるつもりはないっ!」

 

「何ぃ!?」

 

「取り敢えず、まずはパワー増幅の為にシュートを撃つ前に回転をかけて風圧の層でボールを包め。炎のシュートはその後だな」

 

 源田との勝負を終えて色々と剛陣へのアドバイスを始める凪人。そんな凪人を睨みながらも小僧丸は小馬鹿にするように悪態を吐く。

 

「……結局片手で止められてんじゃねぇか。偉そうに指導出来る御身分かよ」

 

「何も分かっていませんねえ」

 

 悪態を吐く小僧丸に背後から話しかけたのは五条だった。帝国との予選試合の際も源田にファイアトルネードを止められた時に小僧丸は五条から似たようなコメントを受けている。それを思い出したのか、少し苛つきながら五条の言葉に耳を貸す。

 

「君にはただ片手で止めたように見えたでしょうが、源田君はあの時パワーシールド発動に必要なエネルギーを右手に集め、それを放出する事なく直接斎村君のシュートにぶつけて威力の相殺をしたのです。源田君の実力は君が思っている以上に高い。そしてそれは斎村君も同じ。

 

ついでに言えば、技自体はファイアトルネードの方が上ですが、総合的な威力は君よりも今の斎村君のシュートの方が断然上です。勿論二人共全く本気を出してはいません」

 

「……何だと!」

 

 五条の解説に憤りを見せる小僧丸。しかし五条は臆する事なく淡々と告げる。レンズの光によってその瞳は外からは見えないが、視線は小僧丸を憐れんでいた。

 

「そもそも何故君はそこまで斎村君を敵視するのですか?ポジションもプレースタイルも君と斎村君ではまるで違いますが」

 

「……」

 

 小僧丸は何も答えない。その敵意の根底にあるのはただの嫉妬であると自覚しているから、答えられない。

 

「……答えたくないのなら、無理に問い詰めはしません。ですがこれだけは言っておきます。

 

まずは認めなさい。斎村君を。そして斎村君と君の実力の差を。それをしない限り、君は本当の意味では強くはなれませんよ」

 

 五条はそれだけ言って小僧丸に背を向けて、割り振られた練習メニューをこなすべく、帝国ディフェンス陣の元へと向かう。小僧丸はそんな五条の後ろ姿を眺めた後、風丸と共に剛陣にアドバイスを語る凪人を見て、拳を固く握り締めた。

 

 そして趙金雲はそんな小僧丸を見て不気味に微笑んでいた。




最初は閃電との練習試合にしようと思ってたけど、主人公が応じない気がして、五条さんの出番捻出を考えてこうなった。ちょっと無理矢理過ぎたかな。
五条さんには主に小僧丸の精神的な成長に一役買って貰います。

【ファイアバレット】
シュート
属性・火
TP ゲーム1・30/ ゲーム2・33/ ゲーム3・28
威力:ドラゴンクラッシュと同等

今回主人公が剛陣に一例として見せたシュート技。元々ファイアトルネード修得の前段階としてフットボールフロンティア編の帝国との予選決勝前に開発・覚えていた技。勿論本編の方でも出ていないだけで使用可能。勿論後付け設定。ファイアトルネードを覚えた時点で用済みの技。豪炎寺や風丸、閃電イレブンも使用可能。
剛陣に伝授したりはしない。

ゲーム風説明文
蹴っとばせ!炎の弾丸キック!!

以下、主人公に対する意識調査。今後の展開にはあまり関係ない。
投票終了。

オリオンの刻印ed1の人狼で凪人の役職はどれだと思う?

  • 人狼
  • 占い師
  • 霊媒師
  • 妖狐
  • ハンター
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