この捻くれボッチに青春を!   作:ニシキノササキ

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長すぎたので急遽ゆんゆん編その3

一部ドラマCDのアイテムが出てきます
まぁ、聞いてなくても問題ないけどね。



そうこうしてるうちにボッチに仲間ができる

 「来てくれて助かりました。」

 

 

ここは牧場【コボルド】討伐に行ったパーティーが依頼を受けた依頼主が居る場所である

 

行方不明だと思われていたパーティーは案外すんなりとその牧場にいた

 

だが問題があった

 

 

 「迷惑をかけて済まない。俺がこんな足じゃ動くこともできなくて・・・」

 

セナ「なぜ、その様な事に・・・」

 

 

目の前には【ランサー】の男【アーチャー】の男【プリースト】の女この3人のパーティーがいるのだが、【ランサー】の男は足を包帯でぐるぐる巻に巻かれ木材を使って添え木をし自前の槍を杖代わりに使って移動していた

 

 

 「実はコボルド退治に行ったんだが、コボルドの洞窟の奥に【ワーウルフ】が居たんだよ」

 

 

【ワーウルフ】ファンタジーだとありがちだが巨大な狼の魔物である

 

 

クリス「【コボルド】が傭兵として雇ったのかもね。【コボルド】は繁殖期に入ると子供の安全を守る為に同種のモンスターを傭兵代わりする事があるんだよ」

 

 

 「それで俺がやられちまってな・・・」

 

 「未熟な私では外傷は直せても内側の骨の修復まではできなくて・・・」

 

 

つまりまとめるとこうである

 

牧場主から「最近、牛や豚が【コボルド】に殺されて盗まれる事が増えてきているから助けてくれ」と言う依頼があった

この3人のパーティーはその依頼を解決しようと【コボルド】討伐に向かった

だが【コボルド】の巣には傭兵の【ワーウルフ】がおり前衛の【ランサー】が足を折られてしまった

 

何とか逃げ延びることができたが【プリースト】の【ヒール】では骨の修復まではできなかった

ギルドに報告に行きたいが【ランサー】が居ない今戦闘ができるのが【アーチャー】の彼しかいない

 

ギルドに報告したいが報告に行っている間に牛や豚を襲われたら守る事ができない為報告もせず今に至る

 

 

 「一週間に1回郵便屋さんが来てくれるからのぉ。手紙でギルドに報告をしようと思ったんじゃが・・・」

 

クリス「その前にアタシ達が来ちゃったんだね」

 

八幡「とりあえず、コレで俺達の方は依頼達成な訳だが・・・」

 

 

チラリと牧場主に目を向けた

牧場主は慌てて俺にしがみついてきた

 

 

 「そんな!帰られては困りますじゃ!【コボルドをどう】か退治してくれんかのぉ」

 

セナ「おそらく【コボルド】は【ワーウルフ】を傭兵に雇う条件として食料を貢いでるはずです」

 

クリス「最近牛や豚が襲われる頻度が増えたのはそのせいだね。ここは街の喧騒から外れた山の中、ノンストレスで育てられ栄養満点の山の幸で育ったここの牛や豚のお肉は柔らかくて旨味が強いって有名なんだよ」

 

 

だからこんな外れの方で牧場主やってるのね

 

とりあえず2人はやる気満々なのは分かった

だが問題は・・・

 

 

八幡「ゆんゆん、いけるか?」

 

ゆんゆん「はい!任せてください」

 

 

やる気は十分か

 

 

 「私達も手伝わせて下さい!」

 

 

【プリースト】の少女と【アーチャー】の少年が俺に目を向ける

【ランサー】の男も目は死んではいなかった

 

まぁ、何とかするしかないか・・・・

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

暗闇の中をなるべく音をたてないように注意しながら進む

春終わりのせいかジメジメとした湿気が気持ち悪い

ここは洞窟【コボルド】の巣だと案内された場所だ

 

 

クリス「・・・・・・・・・」

 

 

後ろに視線を感じながらも岩に身を潜めながら進んでいく

 

 

クリス「・・・・・・」

 

 

かなり暗い洞窟だが先程の【アーチャー】に教えて貰った【千里眼】スキルのおかげでこんな暗い道でもすんなりと見る事ができる

 

どれくらい見えるかと言うと後のクリスが俺に近づきかなり至近距離で俺に圧力をかけている事がわかるぐらい見える

いや、このプレッシャーは目が見えなくてもわかるか・・・

 

 

「早く聞け」とクリスのアメジスト色の瞳が訴えかけてくる

 

 

八幡「はぁ。で、何?」

 

クリス「キミってホントにデリカシーが無いね」

 

八幡「そう言う事をズバズバ言っちゃうのもデリカシーが無いんじゃないのか?」

 

クリス「別にキミはこんな事気にしてないでしょ?と言うか、何でアタシが怒ってるか分かってるよね?」

 

八幡「・・・まぁ」

 

 

俺達は【コボルド】討伐をかわりにやる事になった

なので【コボルド】の数や【ワーウルフ】の数

装備や食料などの備蓄の数など色々と情報を知る為に【コボルド】の洞窟へ情報収集をしに来た

 

初めはクリスに教えて貰った気配を消すスキル【潜伏】スキルと今絶賛大活躍中の【千里眼】スキルを持った俺が行くことになった

 

だがクリスも行くと言い出した

何でも地上では女神では無いが一応まだ女神の力が残っているらしく、すべてを見通す事はできなくても暗闇位なら見通せるらしい

なので状態としては【潜伏】と【千里眼】を持っている俺と同じ状態である

 

結局2人で行くことになったのは良かったのだが・・・

 

 

クリス「女の子にあんな物をかけるなんて・・・・」

 

 

【コボルド】や【ワーウルフ】は犬の魔物である

なので嗅覚が強い

俺は匂い消しの為に前に露店街で買っておいた【ニンニクやニラなどの臭いの強い物の臭いを落とすポーション】を使って体臭を落とし情報収集に向かった

 

だがクリスはそれが気に入らなかったらしい

 

 

八幡「しょうが無いだろ?元は口臭を落とす用何だから体臭を落としたかったら体に塗るしかない」

 

クリス「それでも女の子に水を頭からかけるなんて最低だよ。おかげでお気に入りのマントやタイツがびしょ濡れだよ」

 

 

さっきからこの調子である

正直面倒くさい

 

 

クリス「貸1つ」

 

八幡「へ?」

 

クリス「貸1つで許してあげる」

 

 

いや、そもそも俺悪い事してない・・・・

 

 

クリス「なに?なんか文句あるの?」

 

八幡「いえ、ありません」

 

 

NOと言える日本人になりたい

俺はだいたいクリスに押し切られている気がする

 

 

クリス「よし!それじゃ何をお願いしようかなぁー」

 

 

おいおい、一転してすごく嬉しそうな声じゃねぇか

何?さっきの演技?

 

 

八幡「ちょっと君?現金じゃない?そうでもない?」

 

クリス「♪〜♪〜」

 

 

凄くご機嫌だな

何をそんなお願いしたい事があるのか

金は無いって事知ってる筈なんだけどな・・・

 

 

八幡「!!!」

 

 

どうやらお話タイムは終了のようで【敵感知】に反応があった

クリスも当然気づいたようでルンルン気分は既に無く体を岩陰に潜ませた

 

 

ここまでの道はゆるい斜面の一本道の為横穴は無く敵の反応があるという事はそこは【コボルド】達の寝床という事になる

 

チラリと洞窟の奥の開けた場所を覗き込む

 

 

クリス「・・・・・・」

 

 

クリスも一緒に覗き込んでいる為かなり近い

てか、近い。すごく近い

 

俺の顎のすぐ下にクリスの頭がある

なんかいい匂いがする

 

 

八幡「!!!!」

 

クリス「・・・・・・・」

 

 

クリスに頬を引っ張られ意識が戻る

いかんいかん

気を取られてる時間はない

 

俺達は【潜伏】スキルを使い中に入った

 

 

 

中はそこそこ広く

牧場から盗んだと思われる藁や縄を使って作られた家が点在しており1つの集落の様になっていた

 

真ん中には火をいくつか炊きその周りに藁の家

洞窟の壁には石や木でできた武器

そして所々に散らばる【コボルド】達

数は見える範囲は20【敵感知】で覗いた民家の中に何匹か

こっちは【冒険者】レベルの【敵感知】では正確な数はあまり分からないが10匹前後と予想を立てる

 

そしてそんな集落の奥

外れの方には一際大きな藁の家

その前には大きな体をした狼

【ワーウルフ】である

 

【コボルド】が犬の頭をした4等身位の大きさに対してこちらはその倍は超えている

無数の傷跡からコイツはそこそこの場数を踏んできたことが分かる

 

 

とりあえず数は確認した

クリスに手信号を送る

事前に決めていた事だ

親指を立てるなら情報収集続行

人差し指を立てるなら全力で退避

 

まだ気づかれて居ないようだし続行でいいかもしれん

クリスも頷いたので続行決定

 

 

 「・・・・・・・・・・」

 

 

ふと、急な寒気を感じた

集落の奥からの視線

【ワーウルフ】のギョロリとした瞳が俺達を捉えているのを肌で感じる

 

クリスが全力で人差し指を立てる

俺は頷く暇もなく動き出した

 

壁際まで音をたてないように走る

チラリと背後を見るが追ってくる様子は無い様だ

 

俺達は洞窟からぬけだした

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

クリス「いやぁ、危なかったねぇ」

 

八幡「追われずにすんで良かったのか?」

 

 

洞窟から出た俺達は新鮮な空気を吸いながら息を整えていた

 

追われずにすんだと言うよりも泳がされたようにも見える

 

 

クリス「多分、体力の温存をしたんじゃないかな?」

 

クリス「あのパーティーが牛や豚を守ってるから食料が無いんじゃないかな?さっきも火は炊いていたけど肉は無かったし、動物の皮とかも乾かしてなかった」

 

 

流石冒険なれしている

そこまては観察をしていなかった

 

 

八幡「つまり今の奴らは食料不足って事か?」

 

クリス「うん。そうだと思う。【ワーウルフ】も傭兵の契約料の食料がないからあんまりアタシ達に干渉しなかったんじゃないかな。」

 

八幡「なるほどな」

 

クリス「て事は今がチャンスだよ!今奴らは飢えて体力が落ちている。【ワーウルフ】をレベルが下がった今のアタシ達で倒せるか心配だったけどもしかしたらいけるかもしれない」

 

クリス「でも、問題は【コボルド】の数だね。結構な数いるからそこがシンドイ所だね」

 

 

つまり逆に言えば【コボルド】さえ何とかしてしまえば何とかなるという事になる

 

大多数を相手にするならまず相手の戦力を減らす必要がある

そうした上で奴らを潰していく

 

 

・・・・・・・・・・。

 

 

クリス「何か思いついたって顔だね?小悪党な顔が悪魔みたいになってるよ?」

 

八幡「小悪党は余計だ」

 

 

そんなに俺の顔悪そうか?

 

 

クリス「今回はアタシ達も協力するからね!ちゃんと相談してよ」

 

八幡「・・・分かってる。」

 

 

と言うかこの案は複数人居なければ意味がない

 

 

俺達は他の奴らと合流し行動に移った

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

ガラガラと音を立て台車を移動させる

 

アレから作戦会議をしたのちある物を買いに街へ戻った

そしてついでにギルドに戻りパーティーの生存報告

 

だがそんなのはついでで本命は別である

ギルドではちょいちょい冒険に役立つアイテムを有料で貸し出している

馬や台車、捕獲用の鎖や檻など各種取り揃えられているらしい

そのサービスを利用して馬と台車を借りそのまま買い物を済ませ戻ってきた

 

因みに俺は馬を操縦出来ない為セナに任せた

 

 

その間に残った人間で討伐の準備をした

 

俺は洞窟の帰り際に盗んで来た【コボルド】の石斧を【研磨】スキルを使って切れ味を底上げした

今回のメインはゆんゆんのレベル上げがメインである

 

これから30匹以上の【コボルド】を殺すのなら正直ダガーでは無理だ

ダガーでは数匹殺せば血と油で切れなくなってしまう

 

だが石斧なら切るのでは無く叩き割る武器なので力任せに使えばダガーより長持ちする

 

最悪切れなくなってもトンカチのように重さに任せて振り下ろせば頭蓋を砕く事ができる

なのでゆんゆんにはこの石斧を使ってもらう予定だ

 

 

そんなゆんゆんは別の準備をしていた

 

 

ゆんゆん「ハチマンさんコレをどうぞ」

 

八幡「これは?」

 

 

俺に渡されたのは小さな白い石

さっきからゆんゆんほコレを触っては別の白い石を持ち、触っては別の白い石を持ちを繰り返していた

 

 

ゆんゆん「コレは【吸魔石】と言うマジックアイテムです。自分の魔力を吸わせて貯めておく事で魔力が枯渇した際にこの石から供給する事ができるアイテムです。今の私は魔法を使えないけど魔力は練れたので私の魔力をすべて込めました。良かったら使ってください」

 

 

そして革の袋に一杯の石を渡された

そしてクリスにも同じものが・・

 

 

 「俺達も協力したんだぜ!」

 

 「まぁ、俺は何回か失敗して危なかったけどな」

 

 

どうやら【ランサー】と【アーチャー】の少年達も一緒になって魔力を貯めていたらしい

それはいいんだが・・・・

 

 

クリス「どうして所々クレーターが出来てるの?」

 

 

牧場の地面は一部の芝がなくなり赤茶色の地面が顔を覗かせていた

 

 

ゆんゆん「この道具は魔力を限界値以上に吸うと暴発して爆発しちゃうんです」

 

 「いやぁ普段魔法なんて使わないからやり過ぎちゃったぜ」

 

 

【ランサー】は確かあまり魔法を使わず肉弾戦でモンスターを狩るジョブだったか・・・

おいおい、危険なマジックアイテムだな

 

 

こうして準備を整えた

 

後は【コボルド】を倒すだけである

 

 

 

そして、洞窟前に台車を横付けして今に至る

 

 

八幡「やるぞ。」

 

 

台車の上に乗り準備をする

 

 

クリス「ホントにやるの?」

 

 

俺のやる気に反比例して他の奴らの士気は低い

他の奴らは今回の作戦に否定的だ

だが正直コレしか思いつかん

 

今回はゆんゆんのレベル上げをするのが本来の目的である

この方法ならうまく行けば大量経験値のチャンスである

 

 

ゆんゆん「が、がんばります」

 

 

ゆんゆんも嫌そうな顔をしながら石斧を構えた

 

 

八幡「よし」

 

 

俺は台車の上に置いてある樽を洞窟内に蹴りこむ

ガツガツと音をたて転がり落ちていくその樽は割と近くで大きな音をたてた

 

連続で蹴りこむ

近くで割れる音、中腹部で割れる音がする中、突如として「ギャギャギャ」っと肉声が響いた

どうやら1番奥まて転がったらしい

 

台車の上の樽をすべて蹴り込み空になった台車をセナにどかしてもらった

 

 

八幡「【ティンダー】」

 

 

俺の放った小さな火は洞窟内に入ると大きな火炎となり洞窟内を這いまわる

俺が蹴りこんだ樽の中には酒が入っている

この世界では飲酒に年齢制限が無いため言ってしまえば0歳でも酒を飲めてしまう

 

まぁそのかわり何があっても自己責任と言うのがついて回るが

 

その為この世界では子供でも買えるくらい酒が安い

 

俺はそんな酒を大量購入し引火剤として使用した

まぁ、安酒ばかりだと燃えが悪いので数個油の樽も混ぜた

おかけで暗かった洞窟内が今では【千里眼】を使わなくても見渡せる

 

 

八幡「【ウインドブレス】」

 

 

俺は更に風の魔法で火を煽り勢いを強めさせる

洞窟の中には木や藁といった燃えやすいものが大量に使われており1度火が付けば鎮火するのは難しい

 

 

クリス「・・・・・・・」

 

八幡「・・・なんだよ」

 

 

もう割となれてしまったクリスの白い目が俺を射抜いた

 

 

クリス「キミは串刺しにしたり火攻めにしたり・・・なんでこうも残虐な事を思いつくのさ」

 

 

俺がこの作戦を提案した時も引いていたが実際にやってみると更に引いていた

それは周りも同じようでセナやゆんゆん更にはあの3人パーティーも危ないものを見る目で俺を見ている

 

 

セナ「まぁ、効率的なのは分かりますが・・・コレは・・」

 

ゆんゆん「ちょっと可哀想です」

 

 

まぁ、確かに自分の寝床をいきなり燃やされるのは俺も正直嫌だ

 

 

 「エリス様は言いました。残忍さは他者を殺し、他者を殺した者は自分を殺す。内道には内道の道が外道には外道の道が現れる。」

 

 

洞窟の入口横にいた【プリースト】の少女が俺の目の前まで来て論するように語りかける

 

 

八幡「????」

 

クリス「ようは、悪い事をした人はいい目に合わないから真っ当に生きましょうって言うエリス...様の教えだよ」

 

 

少し恥ずかしそうにクリスが説明してくれた

 

てか、内道は仏教の事なんだがこの世界では意味が少し違うのか?

まぁ、異世界だからそういう事もあるのかもしれんが・・・・

まぁ、今回は俺も酷いと思っている

 

前の【新じゃが】は結果的に串刺しになってしまったからしょうが無いと思うが今回はそうでもない

しかも火攻めにするだけでは無いのだからたまったものじゃ無いだろう

 

 

不意に【敵感知】に反応が現れた

 

俺は更に反応が近づく前に腰紐に括りつけた袋からゆんゆんに貰った【吸魔石】を取り出し心臓に押し付ける

【吸魔石】は青白い光を失い砕け散った

 

どうやらコレは使い捨てらしい

だがこれのおかげで魔力を回復する事ができた。

コレでいつでも大丈夫だ

 

 

クリス「来るよ!」

 

 

洞窟内から数匹犬の顔をし木の防具を着た二足歩行の生物が現れる

【コボルド】である

 

【コボルド】の体に纏われた防具はさっきの日で引火しているようで真っ赤に燃えている

火に耐え切れず急いで来たのか武器は置いてきたようで無手だ

つまり倒すには持って来いである

 

 

八幡・クリス「「【バインド】!」」

 

セナ「【シール】」

 

 「ーーーーッ!」

 

 

俺とクリスは水で湿らせた縄を【バインド】で操り【コボルド】を締め上げる

セナは【シール】で【コボルド】の体を押さえつけて食い止める

【アーチャー】の少年は弓矢で足を射抜いていく

 

こうして【コボルド】の武器を奪いダメージを与え動きを止めていく

最後はゆんゆんが石斧を振り下ろす

 

これが俺が考えた作戦である

 

これなら効率よくゆんゆんが【コボルド】を殺せる

運悪く逃げられても元々の食料不足と火によるダメージで動きがかなり鈍くなっていて捕まえるのは簡単だ

武器を洞窟内に置いてきてくれている為反撃も大した事は無い

 

 

クリス「・・・・・・・」

 

 

1つ問題があるとすればすこぶる評判が悪いと言う事だけ

 

 

クリス「命からがら炎から逃げてきたのに可哀想・・・」

 

 

うん。まぁ俺も流石にそう思う

 

 

 「【フォルスファイア】」

 

 「これでも飲んでろ!!」

 

 

ゆんゆんが【コボルド】を倒している間洞窟内から這い出てくる増援達は、【プリースト】のモンスター寄せの魔法と【ランサー】に渡したモンスター寄せのポーションを洞窟内に放ち、ターゲットを洞窟内へと変更させて引き返させる事で時間を稼いでいる

 

そして魔法とポーションの効力が切れたらまた同じように俺達が捕獲してゆんゆんが殺すの繰り返しである

 

 

俺とクリスは魔力消費の激しい魔法を連発する為時々ゆんゆんに貰った【吸魔石】を使って魔力を回復させる

 

【吸魔石】も結構なくなり始めていた

だが【敵感知】の反応的に残り敵の数はあと少しである

 

 

クリス「また来るよ!」

 

 

数匹のモンスター反応その中には一際大きな反応が他よりも早く近づいてきていた

【ワーウルフ】だ

 

 

 「ガウっ!!ーーガッ!?」

 

 

【ワーウルフ】の勇ましい声と共に洞窟内から飛び足してきたと思った瞬間目の前から大きな音をたて消えていった

 

 

八幡「よしっ!」

 

 

洞窟前には大きな大穴

その穴の上に【クリエイト・ウォーター】と【フリーズ】の水と氷の魔法で作った氷の板が乗っている

【コボルド】程度では割れないが大柄の【ワーウルフ】の体重には流石に耐えられない

氷を突き破ってしまった【ワーウルフ】はすっぽりと収まる形で顔を覗かせていた

 

コレは牧場にあった【吸魔石】の爆発後のクレーターを見て思いついた案である

最初【ワーウルフ】も【コボルド】と同じように【バインド】で捕まえる予定だったが【ワーウルフ】はかなり攻略難易度の高いモンスターである

いくら腹が減っていて体力が落ちていてもかなり危なかった

 

だがこれなら危険は少ない

飛び越えられる心配もあったが炎による不意打ちと、モンスター寄せによる強制的なターゲット変更を連続でおこなわれている為かなり混乱しているようだ

そのおかげてすんなりと落ちてくれた

 

 

しかも穴の中には【クリエイト・アース】と【クリエイト・ウォーター】を混ぜて作った泥が詰められている

【クリエイト・アース】で生成した土は不純物もなくサラサラしているためかなり滑らかで水分をよく吸った重たい泥ができる

 

こんな物に体を突っ込めば身動きが取れぬまま沈み込み泥の圧力で動けなくなってしまう

 

おかげで【ワーウルフ】は首だけ何とか動かしているが一向に出てくる気配がない

 

後は【ランサー】に借りた槍を使ってゆんゆんがとどめを刺せば終わりである

 

 

クリス「本当にキミって酷いね火攻めの次は生き埋めなんて・・・」

 

 

ここまで来ると周りの俺への視線が汚物を見るような目線になっている

うん。まぁ自覚はしてるよ?

 

 

 「・・・・・・・・」

 

 

【プリースト】の少女は【ワーウルフ】の穴の前で手を組み祈りを捧げる

他の奴も哀れみの目を【ワーウルフ】に向けていた

 

 

クリス「外道、変態、ハチマン」

 

八幡「おい、変態は関係ないだろ。てか八幡は悪口じゃねぇ」

 

 

ちょっと、なんか覚えのあるやり取りやめてね?

 

クリスは白い目をしたあと一転して「ニカッ」と笑顔をむけた

 

 

クリス「でも、まぁでもこの方がキミらしいか」

 

セナ「確かに正攻法で戦うハチマンさんはハチマンさんじゃない気がします」

 

 

そこまで言うか・・・

 

【ワーウルフ】の断末魔が聞こえた

どうやらゆんゆんが止めを刺したらしい

 

 

 

ゆんゆん「やり方はともかく【ワーウルフ】をこのレベルで倒せたのはハチマンさんの作戦のおかげです。ありがとうございます。おかげでレベルもかなり上がりました!」

 

八幡「まぁ、元は俺が持ってきた指輪のせいだしな。まぁお疲れさん」

 

ゆんゆん「はい!!」

 

 

こうして不評ではあったがなんとか【コボルド】退治は終了した

 

 

 

 

 

・・・・てか、やり方はともかくとか言わないで?

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

ここはキールダンジョン

【アクセル】から距離はあるが難易度が簡単で初心者向きのダンジョン

なんでも昔国一番の【アークウィザード】が作った場所だとか

 

ダンジョン前にはそのウィザードの魔法後なのか爆発でもあったような巨大なクレーターができていた

 

 

ゆんゆん「あの、どうしてこのダンジョンに連れ込まれたんでしょう?」

 

 

ダンジョン内の階段を降りる中先導を行くカンテラを持ったウィズさんにゆんゆんが話しかける

 

 

ウィズ「ゆんゆんさんのその指輪を取るのにこの場所が最適なんです。」

 

ウィズ「ここは【アークウィザード】が作ったダンジョンなので魔力のめぐりがよく、さらに昨日カズマさん達が魔術道具の入った倉庫を見つけたので都合がいいんですよ」

 

 

【ワーウルフ】を倒してからしばらくはゆんゆんのレベル上げをしていた

そして佐藤達の必要な物集めが終わったので今日ようやくゆんゆんの指輪を取ることができる

 

 

ゆんゆん「あっ!あそこに宝箱がありますよ!」

 

 

目の前にはこれみよがしに置かれた宝箱

いや、めちゃめちゃ怪しい

 

 

ウィズ「あ、それは【ダンジョンもどき】と言うモンスターで人やアイテムに化け近づいた人を食べちゃうモンスターなんです」

 

 

ゆんゆんの血の気が一気に引いていく

まぁ、うん。迂闊な行動は控えてね?

 

 

ウィズ「【フリーズショット】」

 

 

ウィズさんが手で銃の形を作り魔力を込め指先から氷の礫を飛ばした

その礫は【ダンジョンもどき】の宝箱を通り過ぎ壁へ

そして壁のレンガがめり込むように押し込まれていった

 

 

 

ゴゴゴゴゴ

 

 

ウィズ「まさか【ダンジョンもどき】を門番代わりに隠し扉のし掛けを設置するなんて凄いですね。これなら遠距離魔法の使える【ウィザード】か弓矢での遠距離攻撃ができる【アーチャー】くらいしか入れませんし。」 

 

クリス「この奥が魔道具の倉庫になってるの?」

 

ウィズ「はい、足元が悪くなってるので気をつけてくださいね」

 

 

現れた地下に行く階段を下る

かなり埃っぽくジメジメしていて正直気持ち悪い

 

 

カズマ「来たか!」

 

 

階段奥の小部屋には佐藤達パーティーとバニルがいた

何故かアクアが縄でグルグル巻にされて簀巻にされてるのが気になるが面倒くさいので触れないでおこう

 

 

クリス「アクアさん!どうしたの!?」

 

 

ちょっと?触れないであげて

絶対面倒くさい事になるから!?

 

 

カズマ「コイツはこれからゆんゆんの指輪を外す準備をしているバニルを背後から浄化しようとしたんだ」

 

アクア「私は女神よ!【悪魔】を滅するのは私の義務だわ!」

 

カズマ「バニルが居なくなったらゆんゆんの指輪を外せなくなるだろうが!バカなのか!バカ何だよな!バカだろ!」

 

アクア「うぅ。3回も言った!!バカって3回も言った!!」

 

 

 うん。やっぱり触れないで正解のようだ

 

 

あの辺には触れずにバニルに話しかける

 

 

八幡「今日はよろしくたのむ」

 

ゆんゆん「バニルさん。お願いします」

 

バニル「ふむ。ちゃんと対価は支払われておるのだ、それならば報酬にみあった働きはしよう。」

 

ダクネス「ゆんゆん。時間がかかってすまなかったな。思ったより道具集めに手間取ってしまった。」

 

めぐみん「まぁ、集めると言ってもこの隠し部屋にすべて揃っていましたけどね。」

 

ゆんゆん「いえ、私の為にありがとうございます。めぐみんもありがとう!!」

 

めぐみん「べ、別にアナタの為じゃありません。自称ライバルが魔法を使えないのでは張り合いが無いので...そう!仕方なくです!」

 

セナ「お2人ともなんだかんだ仲良しですね。」

 

 

【紅魔族】コンビのコントを見ているとセナが俺に近づいてきて話しかけてきた

 

近い近いよ

 

 

八幡「まぁ、喧嘩するほど仲がいいって事なんだろう」

 

セナ「私もパーティーの皆さんと仲良くなれるといいんですけど」

 

八幡「もう仲いいだろ?よくお前とクリス2人で出掛けてるし」

 

 

何なら最近は俺のバイト中にゆんゆんも一緒に遊んでいるらしい

何?本当は仲良くないの?あのゆるゆりはふりなの?

何それ女って怖ぇ

 

 

セナ「私が言ってるのはハチマンさんの事ですよ」

 

八幡「俺は・・・」

 

 

俺はコイツらと仲がいいのだろうか?

うーむ。分からん

 

そう言えば前も似たような事で悩んだ気がする

確かあの時は戸塚が友達かどうかで悩んだんだったか?

 

少し昔を思い出し懐かしさを感じた

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

解除は案外すんなりと進んでいった

 

ゆんゆんとウィズさんとで内側と外側から指輪に干渉しシステムの一時的な解除を施した

流石にシステムの完全書き換えは出来ないようで一時的に魔法やスキルの使用不可を解除した

 

これによりゆんゆんはスキルや魔法を使える様になった

なので溜まっていたスキルポイントで【魔法解析】と言うスキルを取り指輪にかけられた契約の魔法を解析した

 

そしてそれを元にバニルが契約の上書きをおこない契約者を次にこの指輪を嵌める者に変更した

 

 

ゆんゆん「とれましたー!」

 

 

30分程で解除は終了し晴れてゆんゆんは自由の身になった

 

 

めぐみん「意外と早かったですね。まったく人騒がせなものです」

 

カズマ「もともとはお前らのせいだろうが!」

 

 

解除が終了しガヤガヤとした雰囲気が戻った

 

 

ゆんゆん「ハチマンさん達もありがとうございました。その、いろいろご迷惑をおかけして・・・」

 

八幡「いや、元々俺が指輪を持ってきたせいだし・・」

 

クリス「そうそう、それに仲間のピンチは助けるのがパーティーメンバーだしね」

 

ゆんゆん「へ?仲間?パーティーメンバー?」

 

クリス「え?ゆんゆんってもううちのパーティーメンバーじゃないの?」

 

ゆんゆん「え?そうなの?」

 

 

違うんだ。よくわからんうちにパーティーメンバーになってるパターンじゃ無いのかよ

 

 

セナ「私もてっきりパーティーメンバーなのかと思ってました。」

 

ゆんゆん「え、えーと・・・」

 

 

ゆんゆんはちらりとめぐみんの方を向いた

 

 

めぐみん「何故そこで私の方を見るのですか!そのくらい自分で判断してください。」

 

ゆんゆん「でも、社交辞令で言ってるかもしれないし。」

 

めぐみん「あー!面倒くさいですね。パーティーメンバーになりたいなら素直になりたいと言えばいいんです!」

 

クリス「そうだよゆんゆん。それに別にアタシ達は社交辞令で言ってる訳じゃないよ!」

 

ゆんゆん「でもご迷惑じゃ・・・」

 

セナ「迷惑じゃ無いですよ。私達の中でゆんゆんさんが仲間になるのを嫌がってる人なんて・・・いませんよね?」

 

 

ちょっと?俺の顔色伺いながら言わないで?

 

3人の目線が俺に集中する

 

まぁ、確かに仲間に否定的なのは俺だけだけどさ・・・

 

でも、まぁ

 

 

八幡「まぁ、良いんじゃねぇの?それに俺は別に集団行動は苦手じゃないしな」

 

クリス「は?」

 

セナ「え?」

 

ゆんゆん「へ?」

 

 

おいおい。驚きすぎじゃね?

てかクリスさん怖いよ?

 

 

八幡「集団行動とか3歩後を黙って後ろに付いて行けばいいだけだからな。他の奴と喋る必要ないし行動の予定も考える必要ないし超楽だ」

 

クリス「いや、それ全然ダメでしょ。てか、苦手じゃない理由が楽だからとか怠惰すぎるし。結局好きって訳でもないし・・・」

 

 

そう。俺は集団行動は好きではないが苦手でもない

俺に迷惑さえかからなければ別に人数が増えるのは構わん

 

だから、まぁ、ゆんゆんなら増えても問題無いんじゃね?知らんけど・・・

 

 

ゆんゆん「えーと、つまり・・・」

 

セナ「歓迎しますって事ですよ。」

 

 

ゆんゆんの顔が「パァア」と音をたてるように明るくなった

 

 

ゆんゆん「それじゃあ是非!よろしくお願いします!!」

 




ゆんゆん編終了

まぁ、めぐみんポジションを務めれるのは彼女しかいないよね?

あと、ポジションはめぐみんポジションだけど扱いもめぐみんと同じかは分かんないです
まだヒロインを決めて無いので・・・

次回からは八幡達の家を入手させようかな?


それでは以上!

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