いやはや参ったな。
それが今の正直な気持ち。
その日、ばあちゃんの畑仕事を手伝おうと農道に一歩踏み出したところで真っ黒な穴に落ちた。
と思ったら次の瞬間、西洋風の変な建物の中にいて周りにいた白人……とも微妙に違う外人さんたちが「異界の勇者じゃ! 五百年ぶりに真の勇者の召喚に成功したのじゃ!!」ってぱーやぱーやと騒ぎ立てられ、そして今はこの椅子と机とベッド以外何もない部屋に閉じ込められて食事の回数からたぶん一週間以上はいるわけで。
いやその前に色んな形の剣が一杯保管されている部屋に連れていかれて「おお、ド〇クエな世界だよ」と喜んだのも束の間「どの剣も反応しない、なんと、この者は勇者ではないのか!?」とか失望した顔をされたんだよね周りの人間に。
なんだよ、勝手に期待しておいてすげーむかつく。
飯をもってきてくれる初老のオッサン以外誰も部屋にくる人がいなくて、事情を聞かせてくれませんかと何度も頭下げて頼んだんだけど話してくれなくて、寂しさのあまりア〇パンマンマーチを大声で歌っていたら「すいませんがその下手な歌をやめてくださいっ!!」ってオッサンに懇願された……ひどくね?
まあ、そういう訳で、今流行(?)の異世界召喚をされてしまったらしい俺さんことあずさです。
ん? 余裕そうだって?
いやいや、そんなことないよ。
テンパってる。
独り言で脳内日記書く程度にはテンパってます!
どうするべ!?
異世界転移系のラノベは興味本位で何冊か読んだことはあるけど、これあまりよろしくない状況じゃね?
考えたんだけど、あの部屋いっぱいの剣は魔剣とか聖剣とかそーいう類のもので、勇者しか使えないものだったとか?
で、俺はここに来たときに真の勇者とか言われ喜ばれたけど、剣に選ばれなかった(?)から追放、もしくは使い捨て的に利用されるとか……?
ま、ま、まずいぞう。
こんな知り合いの誰もいない異世界で見捨てられたら一般ピープルな俺は生きていけない!?
はっ、魔王か!?
人類に愛想を尽かし、魔王サイドの味方になるルートなのか!?
人類なんてみんなクソみたいなのしかいないから皆殺しイキリエンドなのか!?
あひゃあっ!?
嫌や、人殺しは嫌や!!
ラブアンドピース!! もしくはチェンジでー!!
「この子は……その、大丈夫なのか?」
「ええ、まあ、たまに奇声をあげますが……言葉は通じるので意思の疎通はできるはずです」
お、オッサン!?
やっと来てくれた結婚してください!?
「「………………」」
へへっ、ジョーク、ジョークですがな旦那!
え、テンション高い?
社畜営業のジャパニーズサラリーマンなんてこれくらいのノリじゃないとやっていけませんぜ。
なんにしろ、お一人で暇すぎて、むさいオッサンでも来てくれるだけで嬉しいってもんですぜ!
「……(ため息)」
「まあ、その……あまり深く考えないほうが良いかもしれませんね」
「そう……」
「……(アズサをチラ見し)」
あれ?
オッサンと隣の凄く美人な二十歳くらいのお嬢さんが何か話してる……
この状況って何なんだろ?
あ!
もしかして、美人なお嬢さんが師匠ポジションかな!?
そうだ!
きっとそうだ!
異世界転生モノの定番って感じだし!
なら、最初が肝心だ!
礼儀正しく挨拶しなきゃ!
「お初にお目にかかります!」
俺は椅子から飛び上がって、できる限りの丁寧さでお辞儀をする。
「自分は工藤あずさ! どこから来たのかよくわからないけど、この世界で頑張りたいと思ってます! よろしくお願いします!」
「……え?」
お嬢さんは少し戸惑った表情。
でも、すぐに柔らかい笑みを浮かべた。
「私はエレナ。あなたの……指導役を務める者です」
「指導役!?」
おおっ!
やっぱり!
美人なお嬢さんが師匠ポジだ!
しかも名前も「エレナ」って、いかにもファンタジーっぽい!
「指導役……ってことは、戦い方とか教えてくれるんですよね!?」
「ええ。あなたが聖剣に選ばれるまでですが……」
エレナさんの視線がちょっと冷たくなる。
「まずは基礎から。礼儀作法も含めてね」
「はい! 頑張ります!」
俺は全力で返事をする。
うん、いい感じ!
これで俺の異世界ライフは順風満帆……のはず!
「……」
しかいエレナさんは複雑そうな表情。
あれ?
俺、なんかまずいこと言った?
隣のオッサンが咳払いをして、エレナさんに何か耳打ちする。
エレナさんは小さく頷いて、俺に向き直った。
「アズサ。これからあなたには……この世界の常識を学んでもらいます」
「はい! どんなことでも学びます!」
「まずは……この国について。そして……魔法について」
「魔法!?」
ついに来た!
異世界の醍醐味!
魔法!
「エレナさん! 魔法ってどんなのがあるんですか!?」
「……」
エレナさんは一瞬固まって、それからゆっくりとため息をついた。
「あなたは……本当に……」
「え?」
「いえ、なんでもありません。まずは基本から。魔法の属性について教えましょう」
こうして俺の異世界授業が始まった。
エレナさんの説明は丁寧だけど、なんか時々言葉を選びながら話している気がする。
見た目不相当の貫禄があるんだけど、近くで見ると本当に若々しい。
肌とか髪の艶とか。
でも、なんか不思議な雰囲気があるんだよな。
なんというか……30過ぎくらいの大人の色気?
幸薄そうな空気や、後ろ毛が少しハネているところなんて未亡人って感じだ。
でも、年齢不詳な感じ。
これって……あれかな?
異世界モノでよくある長命種族とか?
そう考えると納得がいく。
うちの会社の去年大卒で入った事務の姉ちゃんと比べたら、雲泥の差で落ち着きあるしね。
そして、隣のイケメンヒゲのオッサンはあくまで冷静に事態を見守っている。
なんだか……妙なチームができあがった気がするなぁ。
異世界での授業が続いていた。
エレナさんの教え方は丁寧で分かりやすい。
魔法の基本属性や魔力の扱い方など、この世界の常識を一つ一つ教えてくれる。
でも、なんだか妙な違和感があるんだ。
それはエレナさんの態度というか、言動というか……
「……というわけで、魔力には個人差があります。遺伝的な要素が大きいので、両親の能力に大きく影響されます」
「はーい」
俺はノート(という名の木の板)にメモを取りながら聞き入る。
「では、アズサ。あなたの両親はどんな能力を持っていましたか?」
「えっ?自分の両親……ですか?」
「ええ。参考までに教えてください」
エレナさんは微笑んでいるけど、目が真剣だ。
うーん。
現代日本で生まれ育った俺に魔法とか関係ないよな。
「あー……父さんは普通の農家です……母さんもパートタイムの主婦ですけど収穫時期は農家してます」
「農家……うん?」
エレナさんの表情が微妙に変わる。
「では、二人とも魔術師や戦士の家系ではないのですね?」
「戦士? ああ、いえ全然。普通の農家ですよ」
エレナさんは何かを考え込むように沈黙した後、小さく頷いた。
「そうですか。ありがとうございます」
なんだろう?
なんか変なこと言った?
「次は……あなたの得意なことや好きなことについて教えてください」
「はい!スポーツ全般得意でしたよ! 今でもたまに野球もやってます! あとばあちゃんの手伝いでよく畑仕事します!」
「やきゅう……?」
エレナさんが首を傾げる。
あっ、ヤバい。
この世界に野球とかないんだった!
「えっと……球技みたいなものです!」
「……その、ばあちゃんというのは?」
「祖母のことです! 昔から一緒に暮らしてて……」
「なるほど」
エレナさんは何か納得したように頷く。
あれ?
なんか変な誤解されてない?
「最後に……あなたは何か特別な能力を持っていますか?」
特別な能力?
我、現代日本のサラリーマンだぞ?
そんなの……
いや待てよ。
この世界に召喚されたってことは何か特別な力があるかもしれない?
例えば……チートスキルとか!
「うーん……今のところは何も思いつかないですね」
だが、俺は正直に答える。
「ただ! 自分はまだまだ成長途中ですから! きっとすごい能力が覚醒するはずです!」
「ふふ、わかりました。では今日の授業はここまでにしましょう」
こうして初日の授業が終わった。
あ、あれはずしたかな……なんか微妙な雰囲気だけど……
まあ、これからだよな!
初日の授業を終えた翌朝。
朝食を食べ終えた後、エレナさんが昨日の続きをすると言ってきた。
「アズサ。今日は実際に魔法を使ってみましょう」
「おおっ! ついに!」
俺は興奮を抑えきれない。
「まずは簡単な火の魔法から始めましょう。手を出して」
「はい!」
俺は手を差しだすと、エレナさんがその上に手を重ねる。
「目を閉じて……体内のエネルギーを感じてみて。そしてそれを手のひらに集中させるイメージで……」
「むむむ……」
意識を集中する。
なんだろう?
なんだか温かい感覚がある気がする。
そして……
ボワッ!
手のひらから小さな火の玉が出てきた!
「やった! 出た! 魔法が出た!」
俺は大喜びした。
エレナさんをうかがうと、少し驚いた表情をしている。
「……思ったより飲み込みが早いですね」
「えへへ……」
「じゃあ次は水の魔法に挑戦しましょうか」
こうして俺の魔法修行は順調に進んでいった。
……と思う。
しかし、エレナさんの様子が気になるんだ。
なんか……時々変な視線を向けてくるというか。
「アズサ。あなたは……」
「ん? なんです?」
「いえ、なんでもありません」
エレナさんは慌てて話題を変える。
なんだろ?
まあいいか!
今は魔法の習得に集中しよう!
◇
さらに数日が過ぎた。
俺の魔法の腕は日に日に上達していった。
火、水、風、土の基本四属性だけでなく、光や闇の属性も使えるようになった。
そして……なぜか回復魔法まで使えるようになってしまった。
「おかしいわね……」
エレナさんが首を傾げる。
「通常、勇者と呼ばれる者たちは光の魔法と聖剣の適性だけがあるものなのですが……」
「えっ?」
俺は驚いて聞き返す。
「勇者? 俺が?」
「ええ。あなたは異界から召喚された勇者候補として見込まれているのです」
「……」
なんとなく予想はしていたけど……
やっぱりそうだったのか。
「でも……自分は聖剣に選ばれてないんですよね?」
「そうです。なぜ聖剣は反応しないのでしょうか……」
エレナさんは複雑な表情を浮かべる。
「そこで私があなたを鍛える役目を仰せつかったのですが……正直困惑しています」
「?」
「あなたは……規格外なのです。普通の勇者候補とは比べ物にならないほど……」
「えっ?」
俺は思わず聞き返す。
「普通じゃない……ってどういう意味ですか?」
「言葉通りの意味です」
エレナさんは真剣な眼差しで俺を見る。
「まず第一に……あなたは複数の属性を自由に操ることができる。これは通常あり得ないことなのです」
「そうなんですか?」
「ええ。通常の人間は一つか二つの属性に適性があるだけ。複数の属性を使える者もいますが、それらを自由に切り替えて使うのは非常に稀なことです」
確かに……
俺は火の玉を出したかと思えば、すぐに水を出し、そして風を起こすことができる。
「第二に……回復魔法の才能があること。これは通常勇者が持つべき能力ではありません。むしろ、神官や聖職者の領域です」
「へえ……」
「第三に……あなたの魔力量。通常の人間とは比べ物になりません」
「えっ? そんなに?」
エレナさんは頷く。
「普通の魔術師の数十倍はあるでしょう。おそらく……伝説の魔王にも匹敵するレベルです」
「魔王!?」
俺は驚愕する。
「そ、そんなに……すごいんですか?」
「ええ。だから困惑しているのです。なぜ聖剣に選ばれないのか……」
エレナさんは真剣な表情で俺を見つめる。
「そして第四に……これが最も不可解な点なのですが……」
「?」
「あなたの戦闘技術。昨日の模擬戦闘を見ましたが……あれは……」
エレナさんは言葉を選ぶように続ける。
「あなたは……剣も槍も弓も全ての武器を完璧に使いこなしている。それに体術も……まるで達人クラスです」
「いや……俺はただ普通に動いただけで……」
「普通ではありません!」
エレナさんが珍しく大きな声を上げる。
「あなたの動きは……まるで何十年も訓練を積んだ戦士のようです。それが……」
エレナさんは言葉に詰まる。
「……あなたのような少年から出てくるはずがないのです」
「……」
いや、自分、少年じゃなくて中年なんですが……
とは空気読んで言えなかった。
まあ、日本人は元々若く見られるし、それに輪をかけて俺は童顔だしね。
確かに……この世界に来てからなぜか身体能力が上がった気がしていた。
でも……
そんなに規格外だったのか?
「アズサ。あなたは……」
エレナさんの声は震えている。
「あなたは……本当に人間なのですか?」
その言葉に、俺は言葉を失った。
人間じゃない?
俺が?
どういう意味だ?
「エレナさん……それは……」
「言葉通りの意味です」
エレナさんは真剣な表情で続ける。
「あなたの能力は……人間の域を超えています。まるで……別の世界から来た存在のように」
「別の世界……」
俺は迷った。
本当のことを言うべきか?
異世界から来たことを。
でも……
信じてもらえるだろうか?
「実は……」
俺は意を決して話し始める。
「自分は……師匠の言った通り別の世界から来たんですよ」
エレナさんは驚きの表情を浮かべる。
「本当に別の世界……?」
「はい。地球という星の日本という国で暮らしていました」
「地球……日本……ですか。信じられませんが……あなたの能力を考えると……あり得ないことではないかもしれませんね」
「信じてくれるんですか?」
「完全にはまだ……ですが……」
エレナさんは俺を真っ直ぐ見つめる。
「もしあなたの言うことが本当なら、あなたの存在が、この世界にとって大きな意味を持つことは確かです」
「大きな意味……?」
「ええ。あなたの力は……世界を変えてしまう可能性がある」
「世界を……変える?そんなに大袈裟な……」
「いいえ」
エレナさんは首を横に振る。
「あなたの能力は……それほどまでに強大なのです。魔力量、属性の多さ、身体能力……全てにおいて規格外です」
「でも……自分はただのサラリーマンでして……」
「サラリーマン?」
エレナさんが首を傾げた。
「それは……サラリーマンとはどういう意味ですか?」
「あ……えっと……仕事をして金を貰う人の名称……自分は36歳のしがない営業職……ええっと商人ですよ」
「え、36歳!?」
エレナさんは驚愕の表情を浮かべる。
「アズサは、私より四つも年上だったのですね? 十代の少年に見えましたよ」
「ええ……まあ……童顔なのでよく若いっていわれます」
俺は照れ笑いを浮かべる。
「というか師匠も全然若くて綺麗に見えますよ!」
32歳って言われても、どうみても20歳前後にしか見えないし。
若い、結婚してくれないかな、嫁に来てほしい、ダメか。
エレナさんは驚いた表情をした。
「そ、そんなことを言われるのは初めてです……」
「えっ? そうなんですか? 師匠くらい美人なら言われ慣れてそうですが?」
「ええっと、ふふ、あまり私をからかわないでくださいな」
エレナさんは頬をそめて嬉しそうな表情を浮かべる。
なんか可愛いな、結婚したい。
「とにかく……」
エレナさんはコホンと大げさな咳払いをした。
「あなたの能力は危険すぎる。もし……その力を悪用しようとする者が現れたら……」
「そ、そんな! 自分はそんなことしませんよ!」
「わかっています。あなたは善良な人間だと思います」
エレナさんは俺を真っ直ぐ見つめる。
「ですが……世界は広い。あなたの存在を知って、利用しようとする者が必ず現れるでしょう」
「……」
「だから……私があなたを鍛えます。あなたの力を正しく使えるように」
「師匠……」
「そして……あなたの力の正体を一緒に探しましょう」
俺は感動していた。
この人は……
本当に俺のことを考えてくれている。
「はい! お願いします!」
俺は元気よく返事をする。
こうして、俺はエレナさんと本格的な修行を始めることになった。
一週間後、かめはめ波(みたいな光線砲)が撃てるようになった。
それを見た師匠のひきつった笑顔が印象的だった(まる)
「師匠!見てください!『かめはめ波』です!」
俺は両手を合わせて腰の高さで構え、全身の魔力を掌に集中させた。
すると、青白い光が渦を巻き始める。
まるで某有名アニメの必殺技そのものだ。
「……!?」
師匠のエレナさんが目を丸くして固まっている。
口元には引きつった笑みが浮かんでいるが、目は笑っていない。
「あ、あの、アズサ
「かめはめ波ですよ!日本人の男の子なら誰でもできる基礎魔法なんです!」
「……日本という国では、普通の人が光線を飛ばせるんですね……」
師匠は額に手を当ててため息をついている。
どうやら異世界では光線魔法は珍しいらしい。
「いや、師匠!さすがに嘘ですよ!」
俺は慌てて訂正する。
「これは特別な訓練が必要な高度な魔法なんです!俺は特別訓練を受けたので!」
「そうですか……」
まあ、撃てる撃てないは別として(撃てません)あの世代の男の子には必須科目ではあったね……かめはめ波の練習は!
師匠の目が死んでいる。
俺のフォローは空振りだったようだ。
「ところで師匠!」
俺は話題を変えようと身を乗り出す。
「師匠はご結婚はなされているのでしょうか!?」
「え……あの、唐突になんですか」
うん、唐突だね確かに。
師匠の顔を見ると不審げではあるが不愉快そうには見えない、これはまだ続けられそうだな。
「ひょっとして、こんなに美人なのに独身なんですか?」
「ええ、はい……は、はい!?」
「だとしたら世の男どもはまったく見る目がないしダメダメですね!師匠はこんなに綺麗でスタイルよくて性格も良いのに!」
「えっ!?ええっ!?」
突然の推し行動に師匠が戸惑う。
「あ……いえ、えっと……」
師匠は頬を染め俯いた。
「私には……その……出会いらしい出会いがありませんでしたので……」
「ああ!わかります!師匠は真面目すぎるから出会いが少ないんですよね!」
「真面目……?」
「はい!真面目で優しくて、でもちょっと抜けてるところがあって可愛いです!」
「か、可愛い……?」
「ええ!結婚したいぐらいです!」
「けけけけけ、けっこん……!?」
師匠の顔全体がリンゴのように真っ赤になる。
「あ……いえ、あの……ごめんなさい。今のは忘れてください」
俺は慌てて手を振る。
まずい、異世界とはいえ、流石にセクハラになったか?
その時、部屋のドアが開いた。
「失礼します」
管理人のオッサンが入ってきた。
渋い顔で俺と師匠を交互に見る。
「アズサ。その……『かめはめ波』はやめたほうがいい。城が壊れる」
「あ、はい。気をつけます」
俺は素直に謝る。
オッサンが師匠の方を見た。
「それから、エレナ殿、アズサの指導は順調か?」
「え、ええ……まあ……」
師匠は曖昧に答える。
なんか歯切れが悪いな。
「ところでアズサ、明日からの予定だが……」
「あ!はい!何でしょうか!?」
俺は身を乗り出す。
ついに実戦訓練か!?
「明日は休息日だ」
「……へ?休息日?」
「そうだ。お前の魔力消費が激しいため、身体を休める必要がある」
「いや、でも俺はまだまだいけますよ!」
「無理は禁物だ。休息もトレーニングの内だ」
オッサンは頑固だなぁ。
まあ確かに、最近魔力を使いすぎて体がだるい気がしないでもない……
ごめんうそ、なんか普通の人間アピールしちゃったけど実は全然疲れがこないというかビンビンです!
もしかして、これが俺のチートなのかしら?
「わかりました……だけど、次の訓練日には!」
俺は勢い込んで宣言する。
「絶対に『ファイナルかめはめ波』を完成させてみせます!」
師匠が頭を抱えているのが見えた気がしたが、俺は気にしないことにした。
だって男の子だもん!