愛した人と学戦修行   作:白夜132

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第5話

白夜side

 

白夜達は、中央区のフェスタ総合メインステージ前にいる。

 

ユ「ここがアスタリスク最大の規模を誇るメインステージだ。フェスタの決勝戦は全てここで行われる。」

 

巨大なドーム状の建物を前にユリスは説明を続ける。

収容人数はおよそ十万人。フェスタの開催期間中はここがギャラリーで埋め尽くされるらしい。

今でも観光客が記念写真などを取っている姿があちこちで見受けられる。

 

ユ「ローマのコロッセオをモチーフにしているらしいが、もはや別物だな。この他にも大規模ステージが三つ、中規模ステージが七つ存在する。小規模の野外ステージ数え切れん。」

綾「へぇ、そんなにあるんだ。」

「そんなにあって使うやつがいるのか?」

ユ「市街地での決闘でも、原則的にはステージを利用するのがマナーとされているからな。もっともあまり守られてはいないようだが。」

綾「・・・・それは街中で決闘が行われてるってこと?」

ユ「うむ。」

綾「どう考えても危ないよね?」

「交通機関が地下に作られるわけだな。」

万「まあ、ここの住人や観光客は覚悟のうえで来ているから別にいいんじゃない。」

ユ「まあな。それに店舗や家が壊れた場合は一応保証されるしな。」

綾「無茶苦茶だね・・・・それでもみんなここに来たがるっていうんだからわからないなぁ。」

ユ「企業からしてみればアスタリスクに出店するということはステータスであり宣伝でもあるから仕方ない。それにイベントによっては中央区そのものが舞台になったりするケースもあるのだぞ。」

綾「俺なら住みたくないよ、そんな町。」

ユ「同感だ。」

 

ユリスは苦笑して言った。

 

ユ「さて、次はどうする?もう少しこのあたりを見てみるか?」

綾「いや、ここはもういいかな。」

「俺もここはもういい。」

ユ「ふむ、だとすれば次は行政区に行って治療院でも見ておくか。あそこには治療能力を持ったストレガやダンテがいるから、フェスタなどで大ケガをした場合などは世話になるぞ。もっとも公平性維持のため、骨折程度では普通の治療に回されてしまうがな。」

万「まあ、フェスタとか決闘をしなければお世話になることはないけどね。」

「そんな臆病者このアスタリスクに存在するのか?」

万「いるにはいるわよ。戦うことがすべてじゃないしね。」

「そうか。」

万「その次はどうするのユリス?」

ユ「あとは・・・そうだな、一度再開発エリアを見ておくのもいい。あのあたりは一部がスラム化していて治安的に問題があるが知らずに迷い込む方が危険だからな。」

綾「そういえば紗夜が買い物に行こうとして怪しげな場所に迷い込んだことがあるとか言ってたなあ。なんか古くてボロボロのビルやら潰れたお店やらばっかりが並んでたって。」

ユ「・・・・それは間違いなく再開発エリアだな。とういか買い物に行くなら普通商業エリアだろうに、なぜそんな場所へ?」

綾「紗夜、筋金入りの方向音痴だから。」

 

それを聞いたユリスは悪戯っぽく微笑む。

 

ユ「ふふ、そう言うおまえも変なところへ迷い込んでばっかりなのだから、人のことは言えないだろうに。」

綾「う・・・・。」

 

綾斗は事実だけに何にも言い返せないようだ。

 

ユ「では、次は・・・・。」

綾「ねえ、ユリス。案内はありがたいんだけど、そろそろお昼にしない?」

 

空間ウィンドウで地図を開きながら考え込むユリスに、綾斗がそう提案した。

時間的には丁度いい頃合だ。

 

ユ「む・・・・まあ、確かにそんな時刻であるが・・・・。」

 

しかし、ユリスの方はいまいち煮え切らない。

 

「どうしたんだ?」

ユ「いや、その・・・昼食は構わないのだが場所というか店がだな。」

綾「お店なんて商業エリアに行けばいくらでもあるんじゃないの?あっ、それとも実はすごく高いお店ばっかりとか?」

ユ「そうではなくて。あー、なんだ。つまり・・・・すまない!」

 

するとユリスはいきなり頭を下げてきた。

 

ユ「私は、その、あまり・・・・とういうかほとんど商業エリアに言ったことがないのだ。だからこういう時にどういった店に案内すればいいか判断がつかん。」

綾「ああ、うん・・・・。」

ユ「案内を任されておいて情けない話だが・・・・い、いや、それでも一応ネットで調べてきたのだぞ!ほら!

 

ユリスは携帯端末を取り出して、いくつか表示させた。

どうやらクチコミサイトのページらしい。が、それを見た綾斗の顎が、かくんと落ちる。

そこにチェックされていたのは超ド級の高級店ばかりだから仕方ないか。

それを見た万由里はため息をついて頭を抱えた。

 

「なあ、万由里こいつは馬鹿なのか?」

万「これは、私も一緒に案内の予定を考えなかったのが悪いわね。

まあ、ユリスも金額については理解してるから謝ってるんじゃない。」

「いや、俺が言いたいのはこいつは真面目すぎないか?」

万「まあ、それがユリスだし。」

「そうか。」

 

万由里とそんな話をしていると、綾斗がユリスと話をつけてこちらに話しかけてきた。

 

綾「結局適当にぶらつくことになったけど、白夜はそれで問題ない?」

「もともとどこでも問題ない。それこそユリスのおすすめする店でもな。」

万「はあ、白夜もかなりお金持ちだからね。」

綾「あはは。けど、流石に俺はそんなにお金がないから無理かな。」

「それくらいわかっている。」

綾「それじゃあ、とにかく商業エリアの方に行ってみようか。」

 

そのまま、白夜達は商業エリアの中でも最もにぎわっているメインストリートに向かった。

 

綾「うわ、すごい人だね。」

ユ「うむ。さすがに休日だけあるな。」

 

綺麗に整備された石畳風の道は私服に校章を付けた学生たちであふれていた。

 

「まあ、ちょうどこの辺に飲食系の店が並んでるし適当に決めて入ろうぜ。」

綾「そうだね。この辺で決めようか。」

 

綾斗が振り返ってそういうと、そこにユリスの姿はなかった。

 

綾「・・・・あれ?」

 

きょろきょろと辺りを見回してみれば少し戻ったところにユリスがたたずんでいた。

 

綾「なんだ、急にいなくなるから驚いちゃったよ。」

ユ「昼食はここでいいか?」

綾「ここって・・・・。」

 

ユリスが覗いていたのは、いわゆるハンバーガーチェーン店だった。

 

綾「俺はここで構わないけど・・・・本当にここでいいの?」

ユ「ああ、ここがいい!」

「俺もここでいいぞ。」

万「私もここでいいわ。」

 

白夜達は、注文をしてテラス席のテーブルに四人で座った。

 

綾「これを聞くのは二度目になるんだけど、ユリスって本当にお姫様?」

ユ「・・・・どういう意味だ。」

綾「だって、普通お姫様はハンバーガーチェーンを利用しないでしょ?」

ユ「それは偏見というものだな。お前の目の前に実例があるのだぞ、納得しろ。」

綾「そりゃそうだけどさ・・・・。」

「まあ、ユリスが普通じゃないとしたら納得だな。」

ユ「おい、私は普通だぞ。」

万「まあ、ユリスなが普通のお姫様ではないのは納得だけど、綾斗のお姫様に対する偏見も多少あると思うわよ。」

ユ「おい、万由里。」

「まあ、お姫様らしくないのは事実だからな。」

ユ「友人たちに教えてもらったのだ。」

 

ユリスは、小さく懐かしむように言った。

 

綾「友達?」

「ユリスに万由里以外の友達がいたのか?」

万「私以外に凛音もいるわよ。」

ユ「私にだって万由里達以外の友人はいる。ここではなく、自分の国に、だがな。」

綾「あ、もしかしてこの前の手紙ってその友達からだったんだ?」

ユ「むぐっ!?」

 

それを聞いたユリスは喉を詰まらせたのか、顔を青くしてどんどんと胸を叩いた。

 

ユ「けほっ、こほっ、な、なんでおまえがそれを・・・・!」

綾「本当に分かりやすいね、ユリスは。」

ユ「うっ・・・・!」

 

今度は顔を真っ赤に染めて背ける。

 

綾「ところで、少し真面目な話をしていいかな。」

ユ「ん、なんだ?」

「別に構わないが。」

万「私も同じく。」

綾「ユリスが襲われた一件なんだけど・・・・。」

 

綾斗は、事件について話し始めた。

内容を簡単にまとめると、他学園の手引きがあるのではとういう話だ。

 

ユ「なるほど、ありそうな話だ。他所の学園の手引きか。」

万「確かに、他学園の介入はあり得るわね。」

 

コーラのストローを加えながら話を聞いていたユリスは、それほど驚くわけでもなくうなずいた。

万由里もユリスと同じように、全く驚いていない。

 

ユ「おそらく私が最後のターゲットなのだろうな。だからこそ姿をさらしてまで仕留めに来たのだろう。」

綾「そんなわけで、しばらく一人での外出や決闘は控えた方がいいと思うんだけど・・・・。」

ユ「断る。なぜ私がそのような卑怯者のために自分の行動を曲げねばならんのだ。」

綾「・・・・だよね。」

「まあ、今回の事件の犯人はもう大体分かってるんだがな。」

綾、ユ「「はっ!?」」

万「相変わらずね。で今回の犯人は誰なの?」

綾「いやいや、犯人が分かったってクローディアもまだつかめてないのに?」

ユ「いや、それ以前にいつお前は事件について調べていたんだ。私の知る限り貴様が事件を知ってからまだ一週間もたっていないんだぞ。風紀委員に知り合いがいるわけでもにだろうし、クローディアに情報をもらったわけでもないんだろ。」

「この前の噴水を破壊した事件から軽く調べて分かった。まあ、本格的に調べたわけじゃないから証拠とかはないがな。」

ユ「呆れた奴だ風紀委員が必死に調べているのに軽く調べたで犯人を見つけるなど。」

万「まあ、ユリス達もそのうち慣れるわよ。」

綾「まあ、証拠はなくても犯人が分かったんなら教えてよ。」

「まあ、その前に後ろにいる奴は知り合いか?」

ユ「・・・・レスターか。立ち聞きとはいい趣味をしているな。」

 

ユリスは、少し振り向いて確認するとすぐに元に戻って言った。

 

レ「けっ、好きで聞いたわけじゃねえよ。たまたまだ。」

 

レスターの後ろには取り巻きの二人がいた。

 

レ「聞いたぜ。謎の襲撃者とやらに襲われたらしいな。少し恨みを買いすぎじゃねえのか。」

ユ「私は人に恨まれるようなマネはしていないぞ。」

レ「そういう態度が敵を作るってわかってるのかよ?」

ユ「わからんな。私はなにも間違ったことはしていない。それで敵となるものがいるのなら、相手になるまでだ。」

レ「はっ、大した自信だな、だったら今ここで相手になってもらおうじゃねえか。」

ユ「何度言えばその脳みそは私の言葉を覚えるんだ?もはや貴様の相手をする気はない。」

レ「いいからオレと闘えって言ってるんだよ!」

ラ「レ、レスターさん!いくらなんでもここで同意なしの決闘はまずいですよ!」

サ「そ、そうだよレスター!ここで騒ぎを起こしたら警備隊が・・・・!」

綾「そのくらいにしておいた方がいいんじゃないかな?」

レ「てめぇは黙ってろ・・・!」

綾「そうはいかないよ。先日ユリスが襲われた状況を知らないのかい?」

レ「なんだと?」

綾「今ここでユリスにケンカを売るのは、ユリスを襲った連中の同類とみなされても仕方ないってことさ。」

レ「ふざけるなっ!このオレ様がこそこそ隠れまわってるような卑怯者共と一緒だと!?」

ラ「レスター、お、落ち着いて!レスターの強さはみんなわかってるから!レスターはいつだって正々堂々相手を叩き潰してきたじゃないか!」

 

背後からレスターをランディが必死な顔で押しとどめる。

 

サ「そ、そうですよ!みんなわかってます!決闘の隙を伺うような卑怯なマネ、レスターさんがするはずありません!」

 

サイラスも慌ててそれに加勢した。

レスターはそれでも怒りが収まらないといった顔で綾斗を睨んでいたが、やがて踵を返して無言で去っていった。

 

綾「ふぅ・・・・。」

ユ「やはりお前は食わせ物だな。」

 

額をぬぐった綾斗に、ユリスがニヤリと笑いかける。

 

綾「なんのことかな。」

 

それにたいしてとぼけたように綾斗が答えた。

 

「まあ、綾斗が意外な一面を見れたが、犯人を言う前にもう誰か分かったみたいだな。」

万「あんなぼろ出したらね。」

ユ「しかし、お前はなぜあいつが犯人だと分かったんだ?」

綾「確かに、手がかりはなかったと思うんだけど。」

「それくらい、自分で考えろ。」

万「白夜の考えは聞いても理解できないだろうから意味ないわよ。」

ユ「まったく、お前たちは底が知れんな。」

 

その後は、ユリスと万由里の二人に案内してもらい帰る途中にレヴォルフの生徒に乱闘に見せかけて襲われたが、その大半はユリスがかたずけたので特に何もすることなく終わった。

その後、襲撃者らしき影をユリスが追ったが、迎え撃たれて危なかったところを綾斗に助けられた。

それから、警備隊が来る前に星導館に帰った。

綾斗はユリスの部屋に向かったが、白夜は万由里の部屋に向かった。

 

「それで、万由里は俺に何のようなんだ?」

 

白夜は綾斗と同じように窓から万由里の部屋に入った。

 

万「恋人を部屋に招くのに理由が必要なの?」

「いや必要ないが、今回は用事があるから呼んだんだろ。」

万「まあね。」

 

そういって、万由里はベッドに端に座って隣のスペースを軽くたたいて座るように促した。

白夜が万由里の促した場所に座ると万由里は白夜の膝の上に頭を置いて横になった。

 

「随分と甘えてくるな。まあいい早く要件を話してくれ。」

 

白夜は膝枕をしている万由里の頭を撫でながら言った。

 

万「別にいいでしょ。それにそんなに早く要件を聞いてどうするの?

もしかして、早く帰りたいの?」

「早く帰りたいわけじゃないが、用事が終われば何も気にせずゆっくり出来るだろ。」

万「そ。まあ、大した話じゃないんだけどね。気づいてると思うけど今回の事件そろそろ決着がつくでしょ。」

「ああ、そうだな。明日辺りにユリスを呼び出して潰しに来るだろうな。」

万「それでユリスはその誘いに絶対に乗るだろうから、ユリスの後をつけて犯人を潰してもらいたいんだけどいい?」

「ん~、万由里のお願いだから聞いてやりたいんだが。今回は綾斗の実力を少し見たいから手を出すのは綾斗と一緒に行くってことならまあいいぞ。」

万「別にユリスを助けてくれるならいいけど、綾斗の実力を確かめてどうするの?」

「そのうち戦うことになるだろうからどれくらいの力を封印されてるのか見ておこうと思ってな。」

万「なるほど、なら別にいいけど。」

「そうか。なら俺からも一つ聞いていいか。」

万「なに?」

「万由里ならユリスを助けるくらい余裕で出来るだろ。なんで俺の力を借りようとするんだ?」

万「今回の犯人の中にユリスや紗夜の攻撃を受けても動けるような相手がいたから、そんなのを相手にした白夜の力を少しは引きずり出せるかなって、せめて刀を抜かせるくらいはしてもらいかな。」

「見学する気満々だな。」

万「だめ?」

 

万由里は白夜の膝の上で白夜の顔を見ながらかわいらしく首を傾げて訪ねてきた。

 

「・・・はあ、まあいいか。」

万「ありがとう。」

「代わりと言っては何だが、今度は俺に膝枕して欲しいんだが。」

万「ん~、わかった。」

 

万由里は白夜の膝から頭を上げて最初と同じように座った。

万由里が座ったのを確認して白夜が万由里の膝に頭を乗せた。

 

「やっぱり、これは落ち着くな。」

万「今日は泊っていく?」

「それもいいな。」

万「じゃあ、泊まるってことね。」

「ああ。」

 

それから白夜は万由里の部屋に泊まって次の日また同じよう窓から出ていったん自分の部屋に帰ってから登校した。

登校するとユリスが何か手紙に目を通していた。

 

(やっぱり、仕掛けて来たか。)

 

それから普段通り授業を受けて放課後になった。

ユリスは用事があるといってすぐに帰ってしまった。

ユリスが帰る前に気づかれないように発信機を付けておいたので居場所が分からなくなることはない。

綾斗は生徒会室に向かったので、万由里と一緒に後から生徒会室に向かった。

生徒会室に入ると綾斗とクローディアがユリスを探すという話をしていた。

 

「ユリスが危ないってところまでは分かってるようだな。」

ク「ええ、その口ぶりだととっくに分かっていたみたいですね。」

「まあな。発信機も仕掛けてあるから場所も分かる。」

綾「本当、じゃあ、すぐに向かおう。」

ク「お待ちください。アレの用意が出来ています。どうかお待ちください。」

「じゃあ、俺は校門のところで待ってるぞ。用意が出来たら来てくれ。」

 

そういって白夜は生徒会室を後にした。

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