しかも、そんなに書いてて戦闘シーン長くない。もはや、安定のクオリティ。
対戦カードが決まり、ピットで待機しているのだが、周りがうるさい。
ピットが二つしかないので、反対側がオルコット。もう反対側を俺と織斑で使うことになったのだが。
「剣道しかしてないんだけど、箒!」
「仕方ないだろう。ISが借りれなかったんだから」
「それでも色々あっただろう!?」
織斑と篠ノ之がすごく揉めている。碌に訓練もせず、篠ノ之の剣道に付き合っていたようだが、そのせいでISの訓練を何もしていないらしい。
いや、喧嘩なら後でしてくれ。それと、織斑、受動的でいるのに文句を言うのは違うと思うぞ。
めんどくさいから言わないけど。
「なぁー、赤也。箒が」
「知るか。と言うか、気安く呼ぶなって言っただろう。お前の脳みそは飾りか」
集中すらさせてくれねぇ。それに、何度赤也と気楽に呼ぶなと言えば分かるんだこいつは。
「男同士仲良くしようぜ、な?」
「はぁぁぁ、お前、俺に雑な当たり方しといてよくもまぁ、謝罪もなく仲良くとか言えるよな。
どうなってんだ。お前の神経」
「そりゃ、お前が千冬姉との関係をちゃんと言わないのがいけないんだろう」
え、なにこいつの中だと俺が悪いことになってんの?
千冬、無理だ。俺はこいつの考えてることがさっぱり分からん。
「織斑くん!織斑くん!」
呆れていると山田さんがピットに駆け込んでくる。
どうやら、遅れていた織斑の専用機が届いたらしい。ガコンっと重いものが搬入される。
「これが織斑くんの専用IS『白式』です!」
白式ね。名前通りの白いISだな。
サードオニキスの様に形がおかしい部分は特に見受けられない。既存の武装以外にはこれと言ってなさそうだな。
「設定は戦いながら終わらせろ。良いな?」
「分かった。千冬姉」
別に俺が先に出ても良いのだが、やる気満々の織斑を見て黙っておく。
「私たちは管制室で見学させてもらう。赤也、ピットには二人の戦いが映らないが構わんな?」
「大丈夫です」
フェアじゃないしな。え?オルコットのデータは見ただろうって?
使えるものは使う主義なんでね。ついでに、使えないものを無理やり使おうとする駄々っ子ではない。
だから、ここは従っておく。
「ではな。篠ノ之、お前も早く観客席に戻れ。ここにいてどうする?」
「一夏を近くで応援したいんです!」
さっきの話聞いてた?ここ、映像映らないぞ?
観客席に戻った方が応援も、見学もできるぞ?
「はぁ、なら織斑の出撃後、観客席に戻れ。異論は認めない」
「わ、分かりました……」
千冬の睨みに完全に沈黙する篠ノ之。
「心配すんな、箒。勝ってくる」
剣道しかしてなかったのにどこから出てくるのその自信?
まぁ、良いや。イメージトレーニングしておこ。
結果は原作通りなので、省略します。
ピットに織斑が戻ってくる。それと、同時に篠ノ之が駆け込んで入ってくる。
会話を聞いている限り、どうやらそれなりに戦ったらしい。
「あー、くそっ。負けた」
負けた。と言う割に、悔しさのあまり感じない表情の織斑。
あんなに大見得切って負けて、悔しくないのか?それとも、負け犬根性でもあるのか。
『赤也、30分後お前の出番となる。準備しておけ』
放送で千冬が連絡を入れる。
30分後か。結構時間あるな、どうするか。織斑はどうやら、千冬に呼ばれている様でこの場にはいない。篠ノ之も後を追ったから、俺一人だ。
「とりあえず、サードオニキスを展開しておくか」
右腕に意識を集中する。0,8秒後、俺の身体をサードオニキスが包む。
展開時間は変わっていない。鈍ってはいないな。
「……にしても静かだ」
IS学園に来てからこんなに静かだった事はあるだろうか。
何だかんだ人がいて、それなりに賑やかに過ごしていたか。
「静かすぎて、寂しいと思う日が来るとはな」
随分とぼっち耐性が下がっている。
「お〜、あかやんのIS格好いいねぇ」
だから、その声にびっくりした。
観客席にいて、ここには来ないと思っていたから。
「布仏」
「ふっふふ〜、応援に来てあげたのだぁ〜
席は、かんちゃんに確保して貰ってるから心配はいらないよぉ〜」
トコトコ歩いて来て、ゴツくなった右腕に触れる布仏。
同時に俺の寂しさが霧散する。ハハッ、本当にぼっち耐性がなくなったな俺。
「ここに来るのは良いが、織斑先生に怒られるぞ?」
「大丈夫〜だって、さっきしのののんがピットに入って、出て行くのばっちし見たから〜」
その返事に思わず笑ってしまう。
さっきは認めてたんだから、私も認めろって言いたいわけか。あの千冬相手に図太い精神してるぜ。
「笑った〜気負うのも良いけど、リラックスリラックス〜」
布仏がなぜ来たのか理解した。
俺の緊張をほぐすためだった様だ。
『時間だ。布仏、赤也の発進後、観客席に戻れば見なかったことにしてやる』
布仏と会話しているうちに、時間になった様だ。
そう言えば、左手に飴を食べようと思って持って来てたな。
「布仏、手を出せ」
「ん?」
ポトっと飴を渡す。
飴を見て、嬉しそうに笑う布仏。
「緊張ほぐしてくれてありがとう。それは礼だ、かんちゃんとやらの分はないが、許してくれ」
『西村くん、発進準備完了しました』
「了解です。じゃあ、行ってくる布仏」
カタパルトに両足を接続する。
「頑張ってね〜あかやん」
飴を頬張って手を振る布仏に手を振り返し、進路方向を見る。
「西村赤也。サードオニキス、出撃する」
加速とともに外に打ち出される。
即座に、サードオニキスの姿勢制御を行い、オルコットと対面する。
「来ましたわね……」
ん?こいつ、オルコットか?
覇気というか雰囲気というか色々と違うんだが。
「おい、何を考えてるか知らんが、戦いに集中してくれよ」
「え?えぇ!もちろん、分かっていますわよ」
あー…これダメだ。
殆ど、上の空になってやがる。
「やる気がないなら、下がってくれるか?
お前に何があったか知らんが、腑抜けた奴を潰してもつまらん。まぁ、自分が猿だって認めるんなら話は別だが?」
プライベート通信を繋いで、全力で煽る。
俺が勝ちたいのは、全力のセシリア・オルコットであってこんな腑抜けた奴じゃない。
「……下品な物言いですわね。ですが、わたくしが腑抜けていたのは事実です。
後悔しなさい、欠陥品。惨めに思えるほど、ボロボロにして差し上げますわ」
「はっ!上等。せっかくの、サードオニキスの公式初陣だ。
つまらん結果にはしたくない」
会話が終わり、カウントダウンが聞こえる。
ゆっくりとゼロになっていくカウント。オルコットは手に持つ狙撃銃のセーフティを解除。
俺はゆっくり、右腕を持ち上げる。
『試合、始め!』
ゼロになると同時に千冬の号令が入る。
オルコットは後方へ、俺はもちろん、前進する。距離を取ったところで、俺に勝ち目はない。
勝ち筋はただ一つ、
攻撃の開始は、当然、距離で勝るオルコット。
近づいてくる俺から逃れるために、高速で飛んでいる中、進路方向に背を向けながら、狙撃してくる。
しかし、正確であるがゆえに、避けやすい。オルコットの試合を見た限り、フェイクはビットが担当することが多く、狙撃銃単体の攻撃は、フェイントのない単調な攻撃になる。
それがわかれば、銃口から逃れるだけで良い。身体を左右に揺らす様にして、速度の減速を抑えつつ、回避する。
「くっ、当たりませんわね。なら、行きなさい!ティアーズ!」
思っていたより投入が早い。
二機のビットがこちらに向かってくる。オルコットの速度は下がるが、止まらない。
二機程度なら動きが鈍る程度で、問題ないのか。やってくれる。
織斑との戦いで慢心は捨てた様だな。ビットはオルコットの癖なのか、ISを纏っていても見辛い、足元や生物的に人間が反応しづらい場所に配置される。だが、逆に言えば、位置さえ読めてしまえば!
「なっ!?」
「よし、一機捕まえたぞ!」
ビットの一つを掴み取り、輻射波動で破壊する。
こういった芸当も可能だと言うことだ。だが、少し気が緩んでしまった俺は背後から、もう一機のビットの攻撃を食らってしまう。
「一撃で破壊。やはり、その右腕、強力な武装でしたか」
狙撃銃の攻撃が追加される。さすがに、大きく回避行動をとり、一旦追いかけっこをやめる。
削れたシールドエネルギーは2割ほど。運良く、背部装甲に当たった様だな。
「なら、出し惜しみはしませんわ!」
残りのビットが展開される。これで、浮いているビットは三つ。
そして、オルコットが狙撃体制に入るのと同時に、サードオニキスから警告が入る。
『三方向からロックオンされました。直ちに、回避行動を』
ビットと狙撃銃から、同時に光線が放たれる。
正面の狙撃銃による一撃だけは回避しよう、右に大きく避けたが、結果としてビットの一撃を貰ってしまう。
くそ、一機破壊したのは愚策だったか。
サードオニキスから送られてくる情報量に頭痛を感じつつも、光線を避けるために操作を続ける。
だが、避けていても意味はない。むしろ、飛行にエネルギーが使われ、敗北に近づいている。
「やりたくなかったが……仕方ない」
「敗北を認めるんですの?」
「誰が認めるかよ。そもそも、女尊男卑に染まったやつに、もう敗北したかないんだよ俺は!」
サードオニキスのPICを切る。
当然、俺は重力に従い、自由落下する。ついでに、クローダを展開し、一応、ビットや狙撃銃からの攻撃から身を守る。
セシリアSIDE
目の前の男は何をしているんですの?
ブルーティアーズから送られてくる情報に困惑する。西村と言ったあの男は突如、PICを切って自由落下を始めた。
わたくしの攻撃も展開した大きな盾で防いでいる。まさか、自殺?そんな考えすらよぎる。
敗北をするのなら、もっとやりようがあったはず。そこまで、考えて、わたくしは試合前のやり取りを思い出す。
「やる気がないなら、下がってくれるか?
お前に何があったか知らんが、腑抜けた奴を潰してもつまらん。まぁ、自分が猿だって認めるんなら話は別だが?」
わざわざ、隙だらけだったわたくしに喝を入れてまで、戦おうとしたあの男がそう簡単に諦めるわけがない。
そう判断して、攻撃を続ける。ビットは盾の隙間を狙える様に落下していく男の後を追わせる。
そして、地面に落下し、大きな砂埃を立てる。ISのハイパーセンサーを切り替える。
通常状態では、砂ホコリの中がよく見えない。
切り替える一瞬の間は、視界が通常の普段生活しているものになる。そして、次にハイパーセンサーが映し出した光景は、わたくしのビットの二つが、男のISの右腕に掴まれているところだった。
「なぁぁ!?」
作戦は半分成功ってところか。
ほんとは、俺の落下に心配して、近づいてきてくれるのが一番だったんだが。
とりあえず、掴んでいる二つのビットを破壊する。
「なぁぁ!?」
オルコットの驚いている声が聞こえる。チャンスだ。
クローダを振り回し、残った最後の一機を粉砕する。
「ふぅ。心臓に悪かったぜ」
「…簡単に諦めないとは思っていましたが……やってくれましたわね」
サードオニキスに不調はない。むしろ、生死を分ける集中をしたお陰で、さっきより動く気がする。
クローダを閉じつつ、オルコットの武装を思い出す。残りは、ミサイル×2と狙撃銃、近距離用のナイフか。
「ふぅ、いくぞ。オルコット」
加速して、オルコットとの距離を詰める。動揺したのは一瞬で、再び、狙撃を開始してくるが、ビットがあったときに比べれば一方向からの攻撃だ。躱せる!
「喰らえ!」
輻射波動の距離に入った。
右腕をオルコットを掴むために突き出す。
「ビットはまだ、ありましてよ!」
「知ってるぜ!」
発射されると同時に、輻射波動を最大出力で放つ。
右腕とオルコットのスカート部のちょうど中間で、ミサイルは輻射波動に耐えられず爆発する。
シールドエネルギーが大きく削られるが、問題ない。そのまま、オルコットの腹部を掴む。
「弾けろ!」
「まだ!」
俺が輻射波動を放つのと、オルコットが至近距離での銃撃を始めるのはほぼ同時。
そのまま、真正面からの削り合いになる。だが、出力は俺の方が圧倒的に高い。だから、結果はーー
『シールドエネルギーエンプティ、そこまで!勝者は西村赤也!!』
俺の勝ちだ。オルコット。
ピットに戻り、スポーツドリンクを飲み干す。
試合は俺の勝ちになったが、一歩でも間違えれば俺の負けだった。やはり、代表候補生は伊達じゃないな。
「西村さん」
「オルコットか。どうした?」
どこか清々しい様子のオルコット。
何か吹っ切れた様な顔をしている。
「貴方を欠陥品と罵った謝罪に来ましたわ。申し訳ありませんでした」
簡単に頭を下げるオルコットに困惑する。
え、この淑女がオルコット?はは、ご冗談を。
「まぁいいさ。腹は立ったが、こうして憂さ晴らしも出来たしな」
「…一夏さんとほんと、性格が違いますわね」
「当然だ。あいにく、俺はあんな野郎と一緒の性格はごめんだね」
青筋を立てるオルコット。
「仲良くしようと思いましたが、無理の様ですわ。
貴方の様な、野蛮な戦い方をする人間と優雅なわたくしとでは、見ている景色が違うのですもの」
あまりの物言いにイラっとする。
「そいつはどうも。お上品に形式通りにしか振る舞えないお嬢様とは、違うんでね。
こちとら、女尊男卑の世の中を生きてきた者でして。時には、形式以外の生き方も要求されるんですよ」
沈黙が場を支配する。
互いの顔には、青筋が何本も浮かんでいる。
「…えぇ。分かりました、西村。貴方と仲良くするのは一生無理な様ですわ。今ので確信いたしました」
「むしろ、仲良くする気あったのって感じだが?」
「ですが!貴方の強さは認めて差し上げます。光栄に思いなさい」
ふんっと言わんばかりに腕を組むオルコット。
そうか。強さを認めるか、はは、ほんとこの学園に来てから色んな縁が出来るもんだ。
「そいつは光栄だ。俺もあんたをただの女尊男卑に染まった猿だと罵倒したことを謝罪しよう。
オルコット、お前は強かった」
「当然ですわ。ほら、次は一夏さんとの試合でしょ。準備をしなさいな」
邪魔したのはお前だろ!って言葉を抑える。
早く、シールドエネルギーを補給しないと、間に合わないからな。
「再戦できる日を楽しみにしていますわ」
「おう。次も俺が勝ってやるよ」
オルコットがピットから去る。
なんだか、オルコットと変な関係になったが、案外、悪くない。清々しい気分で、エネルギーの補給を行なった。
セシリアとは、ライバル関係になりました。
アンチでも良いかなぁとは、思ったのですが、チョロインになった後のセシリアを赤也が嫌う要素が見当たらなかったので、こういう形になりました。
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