神様は残酷で気紛れだ   作:マスターBT

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今回の話に至り、タグを追加しました。
『アーキタイプブレイカー(本音のみ)』です。アーキタイプブレイカーは、少ししかやっていません。
なので、ガバガバになるかもしれませんがご容赦ください。

アーキタイプブレイカー未プレイの人は、本音が強化されるんだな。ぐらいの認識で大丈夫です。


どうも。人間辞める事になりそうです

寝た覚えはないが、目を覚ます。

すると、俺が寝ていた場所はほんの1週間ぐらい前に教師達に取り囲まれた保健室だったと分かる。

 

「ん、起きたか?赤也」

 

千冬があの時と同様に、椅子に座りながら、なにかの資料を読んでいた。

 

「…クラス代表決定戦はどうなった?」

 

「ん?覚えてないのか。

お前と一夏の勝負は引き分けだ。戦いの後、お前が気絶したからここに連れてきている」

 

あぁ、そう言えば織斑との戦いの後、意識を失って倒れたんだったな。

情けねぇ……俺、情けねぇ。

 

「あの時、右肩が痛まなければ……ってのは言い訳か」

 

ふと、右肩に触れる。

いや、正確には触れようとした。左手が重くて動かない。気になって、左側を見る。

 

「んっ……あかやん……」

 

「布仏?」

 

俺の左手を枕にする様に寝ている布仏がいた。

外が薄っすら、明るいという事はかなり寝ていたようだ。

 

「放課後から、今は……朝5時か。この時間まで、ずっとお前の隣にいたんだ。

私が見ているから、無理はするなと言っておいたんだがな」

 

千冬が優しい顔をしながら言う。

こういうところは、立派に教師なんだな。

心地好さそうに寝ているから、頭でも撫でようと思って右手を動かし、布仏に触れる前に止める。

 

「……どうした、赤也?」

 

まじまじ、右手を見てると千冬に質問される。

 

「いや、布仏の頭でも撫でようと思ったんだが、こんな手じゃ起こしてしまうかと思ってな」

 

失って初めて気付く。と言うわけではないが、機械の無機質さと言うのはなんとも虚しい。

人間は肌と肌が触れ合い、その温度交換で安心を得る。だが、俺の右腕にはもう、それがない。

 

「赤也……落ち着いて聞いてくれるか?」

 

真剣な顔だ。

千冬のこんな表情を見たのは、俺を警戒していた時以来だ。

 

「なんだ?」

 

「…少し、失礼するぞ」

 

千冬が立ち上がり、俺の服を捲り、右肩を露出させる。

 

「なっ!?」

 

そこに見知った肌色はなかった。

右腕と同様に、鈍い銀色が広がっていた。どう言う事だ?今までは、普通だったはず。

腕は確かに失って、サードオニキスになった。だが、肩は接続されているだけで人間の皮膚だったはずだ。

 

「……オルコットの戦いの後、右肩に違和感や痛みはなかったか?」

 

「…あった。織斑との戦いの時、それが一層酷くなった結果があれだ」

 

「そうか……おそらく、オルコットとの戦いの時だ。

こちらで、計測していたサードオニキスとお前の同調率が、80%を超えた」

 

ISとの同調率の増加。

それが原因で、俺の右腕はサードオニキスに侵食されたって事か。

 

「同調率が上がる……と言う事は、操縦者とISの境界線があやふやになる。これはその結果だと言うことか」

 

「おそらくな。本来、IS操縦者からすれば同調率の増加は喜ばしいことだ。

それだけ、任意にISを動かせるからな。だが、お前の場合は違う。この先、サードオニキスを使い、お前が自分の限界を越えようとすればするほど、お前の身体は侵食され、人間ではなくなる」

 

無償で使える力は無いってわけか。

だが、それでも俺はサードオニキスを使い続けるだろう。もし、サードオニキスを解体して、俺の右腕から外せてもISを動かした男として、俺はどっかの研究所で解剖される羽目になるか、あの兎に殺されるだろう。

それに、一度得た力を手放す気にもなれない。すでに死んだ命だ。自由に使うさ。

 

「そうか。でも、俺はサードオニキスを使い続けるぞ。

今更、手放す気にもなれないからな」

 

俺がそう宣言すると、千冬の顔が悲痛に歪む。

 

「すまない……束の奴が……すまない……私が謝ったところで拭える罪では無いが……すまない……」

 

心の底からすまないと思っているのだろう。それは顔を見れば分かる。

必死に隠そうとしているが、涙を堪えきれていない。千冬とあの兎の関係は知らないし、興味もない。

だが、よほど深い関係なのだろう。こうして、涙を流せるぐらいには。

ガチャリと右腕を千冬の頭に置く。

 

「冷たいと思うが、我慢してくれ。左手は動かせないからな。

気にするなとは、言えないけど気に病む必要はない。この右腕を用意したのは、あの兎だし、それを使い生きることを選択したのは俺だ。

あんたが、関わって起きた事態じゃない」

 

ゆっくりと右手を動かす。

よく見たら、髪は少しボサボサで目にはクマが出来ている。寝ていないのだろう。

 

「……赤也、私はーー」

 

「もういい、喋るな。それ以上、自分を追い込む必要はない」

 

千冬が何か言おうとしたが、それを遮る。

保健室に右手を動かす機械音と、千冬が布仏がいる手前、声を押し殺し泣く声だけが響く。

これ、誰か入ってきたら俺が誤解されるよな。左手にクラスメートの女子が寝てて、右手で泣いてる世界最強の頭を撫でてる。

気が気では無いが、右腕のサードオニキスに意識を割く。

同調率が上がる事を避ければ良いのなら、普通に使う分には心配いらないはずだ。搭乗時間にも、左右されるだろうが、80%以上に上昇させるのに、ただ乗るだけならセーフだろう。オルコットの時のように、振り絞ろうとしなければ、良いのか。

そこまで考えて、左手がゆっくり軽くなっていく事に気づく。

 

「んー……あかやん?」

 

目を擦る布仏。

寝ぼけてるようで、微妙に焦点が合っていない。

 

「起きたか?布仏」

 

「……あかやん!」

 

「うおっ!?」

 

俺が声をかけると両腕を広げて、抱き着いてくる。

これはすごい、心配をかけたようだ。だが、離れてくれ……お前の着痩せする胸が思いっきり触れてるって!?

 

「の、布仏……は、離れて……」

 

「良かったよぅ〜私が、推薦したせいで、あかやんが目を覚まさないかと思って心配したんだよぉ〜」

 

「……布仏、すまん。心配かけた」

 

「うん!……うん!」

 

左手で、ゆっくり背中を撫でてやる。

 

「んんっ!少し、良いだろうか、赤也、布仏?」

 

「「あっ」」

 

千冬がどうにか泣き止み、咳払いで俺らの意識を現実に戻してくれる。

布仏が俺に抱き着いて、千冬の方を見ていないうちに右手を千冬の頭からゆっくり下ろす。

 

「お、織斑先生!?」

 

布仏が驚いて、俺から離れる。

ふぅ、漸く解放された。

 

「赤也が起きたのに喜ぶのは良いが、節度は守るようにな。

それと、授業に遅れるなよ。布仏、準備していないのだろう?赤也の荷物を届ける必要があるから、私と寮に戻るぞ」

 

そういや、今日も普通に授業でしたね。

 

「はぁ〜い。じゃあ、また後で会おう〜あかやん」

 

「おう。またな、布仏」

 

「何かあればすぐに言うんだぞ。赤也」

 

千冬が手を振る布仏とともに保健室を出ていく。

気のせいでなければ、布仏の笑顔がいつもより暗かった気がするが……心配かける点が多すぎて分からん。

とりあえず、スマホでも弄って鞄が届くまで時間を潰そう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「布仏、どこから聞いていた?」

 

「全部は聞いてないですよ〜でも、あかやんが人間ではなくなるってところは聞きました」

 

織斑千冬は自分が油断していたことと、布仏本音の演技力に呆れと驚きを感じていた。

まさか、自分が途中から起きている事に気づけなかったとは思わなかったのだ。

 

「それで、どうするんだ?」

 

「たっちゃんが、どんな判断を下すか分かりませんけど、私としては、あかやんの判断を止める気はありません」

 

はっきりとした口調で宣言する布仏。

その目にははっきりとした覚悟が色濃く浮かんでいる。

 

「ただ、あかやんが人間を辞めなくても済むように、支援はするつもりです。

無理を言っても例の計画を押し進めるつもりでいます」

 

織斑千冬にはこの少女がここまでやる気を出すのは意外だった。

彼女にとっての布仏本音は、いつも自分のペースを守り、暗部らしくない争いの苦手そうなイメージだった。

 

「そうか。なら、私は学園長を説得しよう。楯無はそちらに任せるぞ?」

 

「織斑先生も、あかやんのこと結構、気に入ってるんですねぇ〜」

 

「教師を揶揄うな、全く」

 

織斑千冬と布仏本音は、それぞれ、覚悟を決める。

大切な生徒を、大切な友人を、そして何より、一緒にいて心地の良い少年を守るために。

 




今回、この後に続けて、代表決定しましたー!!って言う原作を続けて書いてたんですよ。
字数がすごい事になったんで、次回に持ち越しです。

サードオニキスの侵食に関しては、作り込みが甘いと思われるかもしれませんが、私にはこれ以上の設定が作れませんでした。

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