神様は残酷で気紛れだ   作:マスターBT

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書き始め、オリキャラの名前が出てきますが、赤也の家族です。



新しい面倒ごとの予感

夢を見た。まだ、父さんがいて母さんも白奈姉さんも桃花もまともだった頃のものだった。

その日は、珍しく残業が無くて父さんが夕飯時には居て、それを喜ぶ母と姉妹達。俺も、凄く喜んでいた。

でも、ISが生まれて、母がパートに出るようになって、白奈姉さんと桃花が所謂、女子校に通う様になってから、俺の家は可笑しくなった。

まず可笑しくなったのは、母だった。

父さんが、早めに家に帰ってくると文句を言ったり、舌打ちをしたり、俺がゲームでダラけていると、次の日にはそのゲームが本体ごと売られていたり。兎に角、男が家にいるのを嫌がるようになった。

次に、可笑しくなったのは、白奈姉さんと桃花だった。白奈姉さんは、ISのパイロットになる夢があったが、適正が低くその夢を諦めた。その辺りから、父さんや俺に暴力を振るうようになり、元々流されやすい性格の桃花も俺たちに暴力を振るった。

最も、決定的だったのは、父さんが耐えきれず蒸発した時だった。

母は自分の行いを一切、反省せず何故か俺に理由があると言い、暴力や飯抜きなど行ってきた。姉妹達は、俺の交友関係にも邪魔を入れ、まともな友人や彼女など作ることが出来ず、惨めな学校生活を送った。

 

『随分と悲惨な運命を辿っているのですね』

 

映像として流れていた夢が途切れ、声が聞こえた。聞き覚えのある声だ。

疑うまでも無く、サードオニキスの声。

 

「まぁな。で、なんでこれを俺に見せた?お前が、俺を理解したいなら勝手にしてくれ」

 

『理解したい?これはそういう感情なのですか?』

 

疑問に疑問で返すなや。

自分のやってる事が分かっていないのか?とはいえ、俺が説明したところで伝わないだろうなぁ。

 

「知るか。お前は俺じゃない。

お前の感情なんて知るわけがないだろう」

 

感情なんてその当人にしか理解できない。決して、それを他人が代弁するべきものじゃない。

俺の持論だが、大体合ってるだろう。

 

『私は私が抱いている感情や想いが分かりません。もしかして、貴方の右目と演算能力を授けたのは間違いでしたか?』

 

「いや、間違いじゃない。そりゃ、俺だって生きたいと望むが、本来なら死んでる命だ。

お前が色々くれなきゃ、あそこであのISによって死んで、布仏や四十院まで死んでた。その結果にならなかっただけ儲けものだ」

 

えぇ、俺の右目どうなってんの?

右腕と一緒でメカメカしいものになってたら、いよいよふつうの生活出来ないんだけど。

 

『そうでしたか。……そろそろ、時間ですね。また、お話しできる日をお待ちしていますよマスター』

 

時間ってなんだよって聞こうと思ったら、俺の身体が引き上げられる様な感覚を味わう。

多分、身体が起きるのだろう。それに意識が引きずられてるって感じか。まぁ、知らんけど。

 

「……んあって!?」

 

目を覚ますと同時に、右目から凄まじい量の情報量が駆け抜ける。

忘れてた……右目の視界の広さを忘れた……クッソ、眩しいし気持ち悪い。

とりあえず、軽く目を閉じるが、意味は無く簡単に見える。アレェ、これヤバくね。

 

「あかやん!」

 

「西村さん、大丈夫ですか!」

 

起きた直後に、右目を抑えた俺を心配して布仏と四十院が声をかけてくる。

布仏も四十院もかなり心配した様子だ。

 

「あ、あぁ。大丈夫だ。慣れればそうでもない」

 

意識的に認識をズラすと、この右目は落ち着いてくれる様だ。

まぁ、ふつうに全方位見えてるけど、どうでも良いと思っているから、後ろの風景は頭に入ってこない。

ほら、人間街中ですれ違う人の顔を全部覚えてるなんて、奴いないでしょ?それと同じ理屈だろう。

 

「えーとね、あかやん?」

 

「なんだ?」

 

「一つね。言い忘れてたんだけどね?

あかやんの身体に起きてる事、私、知ってるんです!で、それをかぐっちに教えちゃいました!」

 

布仏が凄い勢いで頭を下げてくる。

やっぱり、布仏は知ってたのか。生徒会長との戦いは、やっぱりそういう事だったんだな。

まぁ、八割がた察しはついてたけど、そうか。四十院にもバレたか。

 

「布仏、顔を上げてくれ。なんとなく、お前が知ってるんだろうなって事は察していた。

それと、四十院に話してしまった事だが、俺は別に構わん。気にするな」

 

左手で、布仏の頭を撫でる。

顔をゆっくりと上げて、気持ちよさそうに目を細める布仏に癒される。

 

「ごほんっ!私も話しても良いですか?二人とも」

 

「え、あ!い、良いよ!かぐっち〜」

 

ばっと離れる布仏。俺としては別に撫でてても良かったんだが、まぁいいか。

 

「私と本音さんと西村さんは、同じ秘密を共有する友人同士ですよね?」

 

何処と無く楽しげな四十院。

 

「まぁ、俺は秘密を共有というか秘密そのものだけど」

 

「んんっ、ですから、私から提案があります」

 

咳払いで聞かなかった事にするんじゃないよ。

でもまぁ、何か提案があると言うのなら聞いてやるか。

 

「名前で互いを呼び合いましょう!まぁ、本音さんはそのままなんですけど」

 

名前?あぁ、名前ね。

確かに俺はずっと布仏、四十院だし。四十院にしても俺は西村さんだし。

 

「おぉ〜良いねぇそれ、かぐっちナイスアイデア!」

 

布仏が楽しげにその提案に乗っかる姿勢を見せる。

これ、呼び方のハードル上がるの俺と四十院だけやん……布仏は気楽なままじゃん。

 

「貴方はどう思いますか?赤也さん」

 

こいつ、余裕で名前を呼びやがった。

俺に逃げ場無いじゃん。布仏もめっちゃキラキラした目で見てくるし。

 

「はぁ、分かったよ。神楽、本音、これでいいだろう?」

 

多分、俺の顔は真っ赤になっている。女子を名前で呼ぶ経験なんて今まで一度もない。

 

「お顔真っ赤〜」

 

「そんなに恥ずかしがらなくても良いですよふふっ」

 

本音と神楽が案の定を俺をからかってくる。

何だかんだからかわれて、二人は寮に戻っていった。俺は、もう一日、様子を見るらしく保健室に待機させられた。

 

「たくっ、あいつら、散々人のことからかって行きやがって」

 

近くにあった手鏡に手を伸ばしながら、ぼやく。

まぁ、嫌な気分ではないから良いんだが。

 

「……やっぱり、気を遣わせていたか……神楽の提案も場を明るくする為のものだったんだな」

 

二人のテンションが無理やり高かったのが鏡を見て分かる。

俺の右目が赤く染まっていた。サードオニキスによる侵食の話を聞いていたのなら、これがどういう状態か粗方察しがつくだろう。

それなのに、明るく振舞っていた二人には申し訳ない気分と感謝の気持ちが湧いてくる。

 

「はぁ、あんな夢を見たからかね。嬉しくて涙が出てるわ……」

 

友人に向ける愛情。親愛とでも言うのだろうか。

それを久し振りに強く感じた俺は、涙を流していた。こんな右目でも涙は流せるらしい。

まだ、まともに俺は人間でいるらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

土日を挟んで、月曜日。

とりあえず、右目を眼帯で隠し登校する事にした。突然、眼帯なんてつければ、厨二って言われたりするかもしれないが、俺が無茶してたのはバレてる。勝手に色々妄想してくれるだろうあのクラスなら。

今日は、登校時に本音と神楽には合わなかったので、一人で教室に入る。

 

「……赤也、どうしーー「おはよう〜あかやん!」ちょっのほほーー「おはようございます。赤也さん」……もう良いです」

 

織斑が俺の眼帯を見て、話しかけようとした時に、本音が俺に突撃、神楽が話しかけた事によって声が中断される。

哀れ、織斑。

 

「おはよう、本音、神楽」

 

席について、二人とISスーツにの話をする。

とはいえ、俺は詳しくないし男子用の奴を使ってるから話にまるでついていけない。

 

「あ、そういえば噂でーー」

 

「山田先生、ホームルームを」

 

神楽が何か話そうとしたが、千冬の言葉に遮られる。

むぅっとした顔で自分の席に戻っていく。まぁ、好んで千冬に逆らおうとはしないわな。

 

「ええとですね、今日は転校生を紹介します!それも二人です」

 

転校生?凰が少し前に来たばっかりじゃなかったか?

それに二人も纏めるんじゃないよ。バラけさせろよ。男子狙いですって公表するようなもんじゃね?

山田さんの合図に二人が入ってくる。一人は、金髪の男子の制服を着ている奴、もう一人は眼帯をつけた銀髪の女子。

眼帯デビューが被った……だと!?

 

「シャルル・デュノアです。こちらに同じ境遇の人がいると、本国より入学をしました。

慣れない事は多々あると思いますが、よろしくお願いします」

 

三人目って訳か?

まじまじ見ても、俺のように機械化している部分はない。新しいモルモットという訳ではないか。

とりあえず、本音に耳を塞ぐようにジェスチャーする。神楽はすでに耳を塞いでいる。

 

「「「「きゃーー!!」」」」

 

音響兵器炸裂。

うん。耳を塞いでて良かった良かった。

 

「あー、騒ぐな。静かにしろ」

 

千冬の顔が不機嫌一色に染まる。今日は、何か美味いものでも作るか。

そうでもしないと、八つ当たりを食らう。

 

「……」

 

もう一人の銀髪がまるで挨拶をしようとしない。

表情から言って、呆れか?このクラスに対する。それと、誰かの指示を待っているような?

 

「……ラウラ、挨拶をしろ」

 

「はい、教官」

 

「ぶっ…」

 

思わず、吹き出してしまった。

千冬が教官?似合いすぎるだろう。教師なんかよりイメージができるぞ。

っと、千冬が睨んできてるからやめましょうね。神楽といい読心術を使える奴多くない?

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

 

シンプルですね。まぁ、あの態度で行儀よく挨拶したらしたで、違和感が凄い。

挨拶をすると織斑に近づき、強烈なビンタをプレゼントする。

 

「私は認めない。貴様があの人の弟であるなど、認めてなるものか!」

 

千冬信者の追加ですかそうですか。

溜息を吐いていると、ボーデヴィッヒが俺の方まで歩いてきて、右側から同じようにビンタしようとしてくる。

だから、頭を僅かにズラして、避ける。

 

「俺にも何かあるのか?」

 

「ふっ、貴様が二人目か。見えていない筈の右側からの攻撃を避けるとは、中々やるな」

 

あ、そういや俺、眼帯してたわ。普通には見えてない筈。

それを普通に避けてしまったから、目の前のこいつに興味を持たれたようだ。

 

「ふっ」

 

だって、凄いニヤリと笑ってるもの。

どうも俺には新たな面倒ごとが現れた様にしか感じられなかった。

平穏をくれとは言わないが、少しは落ち着ける時間をくれ。

 




ラウラに早速、興味を持たれた模様。

赤也くんの右目の眼帯ですが、普通の一般的にある医療用のものです。ラウラの様なものではありません。
それと、書き出しに出てきた家族ですが、詳しい設定はまたその時にします。今は、あぁ、こんな家族だったんだなみたいな認識でお願いします。

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