神様は残酷で気紛れだ   作:マスターBT

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サブタイが全てです。


学年別トーナメントが始まったのだが、俺、悪役みたいじゃね?

オルコットとペアを組み、山田さんから許可を貰い、学園に保存されているラウラのデータを見つつ、互いにあーでもないこーでもないと戦術を決めたり、お互いに動きのズレを修正したりしつつ、その日は訪れた。

 

「すごい来客数だな」

 

「当然ですわ。わたくし達代表候補生はもちろん、各国や企業のトップの方々が、次代を担う操縦者を見定めるいい機会ですから。

それに、一夏さんや西村、デュノアさんの様な男性IS操縦者を見る機会でもありますからね」

 

モニターに映る沢山の重役達を見つつ、オルコットの解説を聞く。

本来なら、オルコットは女子の待機室に居るはずなのだが、千冬がペアとギリギリまで戦術を練りたいだろうという事で、専用の場所をわざわざ確保してくれた。

俺とオルコットなら、万に一つも間違いは無いと言っていたが、まぁ、妥当だな。

 

「そういうもんか。そろそろ、組み合わせ発表か」

 

「さて、誰が初戦の相手でしょうか?」

 

モニターが切り替わり、トーナメント表が映し出される。

えーと、西村赤也とセシリア・オルコットの名前はどこにあるかなっと。

 

「「へぇ……」」

 

俺とオルコットの言葉が重なる。

俺たちの初戦の相手は、このペアの目的の一つであるからだ。

 

『Aブロック一回戦、織斑一夏・シャルル・デュノアVS西村赤也・セシリア・オルコット』

 

これは楽しくなりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏SIDE

 

トーナメントが表示されて俺は思わず、驚いてしまった。

 

「赤也のやつ、セシリアと組んでたのか」

 

俺が全く想像できていなかったペアだ。赤也の事だから、どうせのほほんさんか四十院さんと組んでいると思ってた。

でも、ちょうど良い機会だ。あの薄情者に俺の感情をぶつけるチャンスだ。

 

「シャル、対戦相手が決まったぜ」

 

「え、うん。うわっ、これは強烈なペアだね」

 

ボーッとしているシャルに声をかける。

どうしたんだ最近、少しおかしい気がするけど。

 

「よし、準備しようぜシャル」

 

「う、うん。頑張ろう、一夏」

 

笑みを浮かべてくれるシャル。よし、気合い入れて頑張るぞ。

それにしても、セシリアか。俺との相性は悪いなぁ、最近距離を置かれてた気もするし。

 

 

 

 

 

 

 

 

『皆さん、お待たせしました!IS学園学年別トーナメント、一年生の部。

ここに開催します!司会は、私、生徒会長の更識楯無が務めさて頂きまーす。それと、解説には、織斑先生を連れてきました』

 

『こういうのは苦手だが、よろしく頼む』

 

アリーナのピットでISを展開しながら、たっちゃん先輩の司会を聞く。千冬が解説って確かに良い人選だけど、絶対微妙な顔しながら喋ってるぞ。

ここからでも観客が盛り上がっているのが聞こえてくる。やはり、男子三人が一斉に戦う舞台は、大勢の目的になっている様だ。

 

『では、まずはこのペアから入場していきましょう!

世界最強の弟!一人目の男性IS操縦者にして、あの零落白夜の伝承者!織斑一夏と、その甘いマスクに魅了される女子は多数!

フランスより訪れし貴公子!シャルル・デュノアペアです!』

 

いやぁ、ノリノリだなたっちゃん先輩。

豪快な二つ名とコールによって、恥ずかしいのか顔を赤くした織斑とデュノアがアリーナに現れる。

 

「これ、わたくし達も呼ばれるんですの?」

 

「だろうな……」

 

引き攣った笑みのオルコット。

俺も同意しよう。あれは恥ずかしい。

 

『彼らの対戦相手の入場です!

イギリスの名門貴族にして、国家代表候補生!時に優雅に、時に大胆に戦う令嬢!セシリア・オルコットと、二人目の男性IS操縦者!

乱暴な戦い方と言動とは裏腹に、心優しい面も見せる獣!西村赤也ペアです!』

 

オルコット共に、アリーナに入場する。

というか、なんだ今の紹介文!俺だけ人間じゃねぇぞ。

 

「くふっ……ついに野蛮を通り越して獣……」

 

「…開幕、お前を掴むぞ?オルコット」

 

隣で笑うオルコットを右腕で掴みたくなる衝動を抑えながら、正面の対戦相手を見る。

おうおう、勇ましい視線を向けてくれますねぇ織斑よ。

お前がやる気で何よりだよ。まぁ、しばらくは、うちのお嬢様と遊んで貰うがね。

 

『解説の織斑先生、この戦いどっちが勝つと思いますかね?』

 

『そうだな。弟子と弟という贔屓目を抜きにしても、勝つのは西村、オルコットペアだろう』

 

『ほぅ、これは学園内のオッズとは違った形になりそうですね。弟子というのは、赤也くんのことでしょうか?』

 

『そうだ。クラス代表対抗戦以降、体術を叩き込んでいる』

 

千冬さんや、別に俺は話す事に文句を言うつもりはないんですけどね。

タイミングを考えてください。織斑の視線が凄いことになってます。あと、観客席のラウラも。

 

『そうでしたか。では、そろそろ会場のボルテージも高まり、選手も試合への闘志が溢れまくっている頃だと思いますので』

 

『そうだな。四人が四人とも全力を尽くせる様祈っている』

 

『試合、開始!!』

 

たっちゃん先輩の合図と共に、俺に突撃してくる織斑。

俺とオルコットは、手筈通りに前衛と後衛に分かれる。溜息を吐きつつ、クローダを展開し、ブレードを受け止める。

 

「血気盛んだなぁ、そんなに姉に良いところを見せたいか?ん?」

 

「うるせぇよ。この薄情者」

 

どうやらまだ、デュノアとの一件を根に持っているらしい。

やれやれ、とんだお子様だ。そんなお子様は、お嬢様に躾けて貰うとしようか。

 

「悪いが、しばらくお前の相手は俺じゃない」

 

盾をズラし、バランスを崩した織斑を右手で掴み、オルコットの方へ投げ飛ばす。

同時に、支援を行おうとしていたデュノアにバルカンで牽制を行なっておく。

 

「うぉぉぉ!?」

 

無様に飛ばされる織斑。

 

「一夏!?」

 

「おっと、お前の相手は俺だ」

 

吹き飛ばされた織斑の元へ向かおうとしていたデュノアの進路をクローダ片手に塞ぐ。

苦虫でも噛んだ様な表情のデュノア。連携で俺たちと戦うつもりだったか?これは。

さてと、俺はオルコットが満足いくまでデュノアを足止めしないとな。やれやれ、恋愛感情のいざこざに巻き込まれるとめんど臭い。

 

 

 

 

 

 

 

「赤也!!」

 

「わたくしとのダンスは、嫌ですか?一夏さん」

 

体勢を立て直した白式の進路を塞ぐ様に、ブルーティアーズのビットによる攻撃が行われる。

それらを回避し、俺が振り返ると、セシリアが狙撃銃を横に構え、浮かんでいた。

 

「セシリア……お前が相手でも容赦はしないぞ」

 

雪片を持つ右手に力が入る。早く、シャルの援護に行かないと。

それに赤也から千冬姉の弟子とかいう件を聞き出さないと。

 

「容赦はしない……ですか。一つ、聞きましょう。

一夏さん。貴方は、いつの間にわたくしが下に見れるほど強くなったつもりですか?」

 

四方からビットによるレーザーが飛んでくる。

だけど、セシリアはビットと自分の行動を同時には行えない。だから、多少と被弾でも距離を詰めれば!

瞬間加速で、ビットのレーザーから抜け出そうとした俺の胸にセシリアの狙撃中による一撃が入る。

 

「なっ!?」

 

慌てて、動きレーザーを回避、間に合わない分はエネルギーが勿体無いが、零落白夜で斬りふせる。

 

「わたくしがビットと同時に動けないと思いました?

……一夏さん、やっぱり貴方はそこまででしたのね」

 

落胆した表情のセシリア。

俺がそこまで?一体、どういうことだ?

 

「なぁ、セシリアーー」

 

「お黙りなさい。無駄なお喋りをする暇がありまして?」

 

言葉がセシリアの冷たい声で遮断される。同時に、レーザーが迫ってくる。

セシリアの狙撃銃による攻撃もセットに行われるそれは、明らかにクラス代表決定戦より苛烈だった。

俺だって、訓練を経験を積んだ筈だ。なのに、どうしてーー

 

「これが本来のわたくしと貴方の差ですわ」

 

思考が読まれている様な言葉と共に、避けられないタイミングで放たれたレーザーにシールドエネルギーを勢いよく削られる。

直撃!?くそ、なんでだ!

焦りはISに伝わり、動きが雑になっていく。当然、そんな動きではセシリアの攻撃を躱せない。

 

「くそっ、まだまだやれる!」

 

「いいえ。チェックメイトです、一夏さん」

 

白式の背部ユニットに、ビットのレーザー攻撃が集中し、俺はそれを躱せず直撃。

アリーナの床に叩きつけられる。

 

「がはっ」

 

「弱い、はっきり言って弱すぎますわ。さようなら、一夏さん。好きでしたよ。

西村、交代しましょう」

 

地面で蹲ってる俺を絶対零度の視線で、見たセシリアは赤也と入れ替わる様に、シャルの相手をし始める。

不味い、早く立って援護に行かないと…!

だが、現実は非情だ。未だ、倒れている俺の眼前に赤也が立つ。

 

「随分とオルコットにやられたな、これじゃあ俺と戦う余裕はないか」

 

シャルと戦って来たというのに、涼しい顔の赤也。

 

「少しは自分の無力さを自覚したか?

なぁ、正義のヒーローさん。そのザマでどうするんだ?守りたいんだろ、デュノアを」

 

そうだ……俺はシャルを守りたいんだ。

デュノア社に都合よく使われてるあいつを……

俺は倒れたまま、手放してしまった雪片に手を伸ばす。手に取って、赤也を倒して……シャルの援護に。

あと少しで雪片を掴める。そんな距離で俺の手は赤也の右腕に掴まれた。

 

「残念だが、お前の空っぽの力じゃあ、こんな結果でも良い方だ。

誰も死なないからな。少しは、言葉の責任と現実を見る事を覚えてみるんだな」

 

赤也の輻射波動が放たれる。白式の少ないシールドエネルギーは瞬く間に尽きる。

そのまま、俺は置き去りにされ、セシリアと赤也の連携に追い詰められていくシャルを見るだけだった。

俺は……何もできないのか?……千冬姉の様に誰かを守ってやる事は出来ないのかよ……!

無力さを噛み締めながら、俺とシャルのペアは一回戦で敗北した。

 




最後の手を伸ばす一夏の手を掴んで、輻射波動を放つ赤也が悪役にしか見えない。

セシリアは自分の気持ちと決別し、一夏君は自分の弱さを自覚したようですが、どうなるでしょうかね。

ちなみに、赤也とシャルさんの戦いは、赤也がひたすら右目で予測してクローダで防ぎ続けていただけですのでカットです。

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