コードギアス復活のルルーシュが楽しみです(小声)
一夏の場合
ラウラが姿を変えたコピー千冬が現れた時、誰よりも早く、動いた男がいた。
織斑一夏である。
千冬は拒否したのだが、山田先生や一部の教師を除く教師陣をいつのまにか味方にしていた一夏は、楯無と千冬がいる管制室にいた。
首を絞める、殺すのを厭わない姿を見せた赤也より、高校生らしい一夏の方を普通の教師が選んでしまうのはある意味、当然の帰結だった。
「千冬姉!」
一夏は、コピー千冬を見て勢いよく立ち上がり、千冬を見る。
その表情は言うまでもなく、『俺を出させてくれ』と語っていた。だが、肝心の千冬は赤也との通信で一夏を見ていない。
「…くそっ、なんであいつが…」
赤也に対する嫉妬の感情。
それを胸に抱きながら、千冬の了承を取らずに出撃しようと出口へと向かう。
「行かせないわよ?」
しかし、その進路を楯無が塞ぐ。
広げられた扇子には、『不許可』と書かれている。
「退いてください!」
「嫌よ。君、私が退いたら彼処に行くでしょ?」
一夏の苛立ちをぶつける様な声に一切、ビビる事なく返答する楯無。
「当たり前です!」
「あら?なんでかしら。別に貴方が行く必要はないわよ。
彼処には、赤也くんが居て、代表候補生のオルコットさんもいる。教師たちだって準備をしているし、君が彼処に乱入する意味なんてないわ」
飄々とした態度で、一夏の行動の無意味さを説く楯無。
だが、一夏にそんな理屈は通じない。
「今ここで、俺があいつに向かわなきゃ、織斑一夏じゃ無くなるんです!」
理屈なんて存在しない。感情論だけの言葉をぶつける。
楯無の発言通り、一夏があの戦場へ向かうメリットはない。赤也とセシリアは、互いに動きを理解しコンビネーションを取れるが、一夏には出来ない。さらに、あの二人と彼では技量が違う。
どうあがいても、一夏がお荷物になる。
「はぁ、それがなんだって言うの?」
だから、楯無はその言葉を受け取らないし、理解しない。
「なっ……それは俺が千冬姉の弟で……」
「姉の武器が、姉の技が姉以外に使われるのが嫌だとでも言うの?
なら、君が手にしているその白式の剣は何?君が拙い動きで、目指しているのは誰の動き?」
楯無の言葉に何も言い返せなくなる一夏。なぜなら、一夏の言葉の根幹が正にその通りだからだ。
自分が心の底から憧れている千冬の姿や動き、それを自分以外が行なっているのが酷く気に食わない。
「それは傲慢よ。織斑先生クラスの人の動きが研究されていないと思うの?
決して、貴方だけの存在ではないのよ」
まさしく、傲慢だった。
姉が自分を見てくれない、姉の動きを模倣する偽物が許せない。
これらの感情のすべてが、一夏の中にある千冬は自分を一番だと思ってくれている。自分なら姉の真似をするのも当然だ。
などと言った傲慢から来ている。
だが、本人はまるで認識できていない。だから、その行動を起こすのは分かっていた。
「俺がやりたいんだ……赤也にじゃなくて……俺があいつを倒したいんだ!」
言葉で通じないのなら、暴力に訴える。
実に分かりやすい子供の癇癪だった。一夏は走り無理やり楯無ごと、押し通ろうとする。
「はぁ」
溜息をと共に、センスがパチンと閉じる。
そして、一夏は自分の身に何が起きたのかまるで自覚出来ないまま、地面に叩きつけられた。
「ガッ!?」
一夏の口から酸素が全て吐き出される。背中に感じる鈍い痛みに一夏は悶える。
「実力差を理解出来ないのなら、そのまま倒れていなさい。それだけで、十二分に役立つわよ?」
皮肉を投げかける楯無。
その言葉に、苛立ちを隠そうともせず一夏は立ち上がり、楯無へと向かおうとする。
だが、その肩に手が置かれる。
「織斑」
千冬の手である。
たった片手で、一夏の動きその全てを停止させる。
「ち、千冬姉……」
そんな姉の只ならぬ空気を感じ取り震え声になる一夏。
千冬は一夏の肩を握る力を強める。一夏が痛みに悶えるが、それを無視して口を開く。
「大人しくしていろ。お前では、赤也達の邪魔になる」
一夏にとっては死刑宣告より重く苦しい言葉。
その言葉に膝から崩れ落ちる一夏。
「…せめて、人並みの力は付けるんだな。一夏」
崩れ落ちた一夏を一瞥しながら千冬は言う。
「(なんでだよ…千冬姉……俺だってやれる…俺にもやれるって言ってくれよ……)」
だが、その言葉は一夏には届いていなかった。
シャルロットの場合
時間としては、全部が解決して少し経った頃。
来賓席で、ずっと戦いを観戦していたアルベールの前に、シャルロットが立っていた。
「……何か用か?シャルル」
シャルル、そう男装している時の名で呼ぶアルベール。愛し方の不器用なこの男、実はいきなり娘が目の前に現れた事で、内心穏やかではないのだ。
対峙するシャルロットも、父親の呼び方に僅かに怯んだものの口を開く。
「お父さんは……西村くんとどんな話をしたの?」
自分には助力しないと言いながら、ヒントをくれた男の名前を口に出すシャルロット。
明確な答えが定まっているわけではない。でも、彼の言葉と試合を通して、シャルロットは動いてみよう。
せめて、一歩でも少しでも良いから動き出そうと決めた。
「そうだな……漢同士の約束だ。そう簡単に話すわけにはいかない」
アルベールは答えを隠す。
彼はまだ、シャルロットの意思を確認していない。その段階で、赤也とのやり取りを漏らすわけにはいかないのだ。
不器用ながらも娘を想う父親の内心は、めんどくさく忙しい。
「(どうするか、何をしたいか早く言うんだ、シャルロット。私はなんでも受け入れる覚悟をしている)」
本当に不器用でめんどくさい男である。
「そっか……ねぇ、男装を辞めたいって言ったら怒る?」
ゆっくりとそれでも前に進むための一言を告げる。
胸の前で両手を握り、震えているシャルロットは今、恐怖の感情を感じているのだろう。だが、それでも一歩踏み出した。
「……そうか。辞めたいのなら、好きにすると良い。
その代わり、もうデュノア社の敷居を踏むことは出来ないぞ」
心を鬼にし、デュノア社から放逐すると言うアルベール。
もし、今彼女が男装を辞めれば、フランスやデュノア社は大きな混乱に巻き込まれる。ましてや、会社に潜むシャルロットを殺そうとする勢力に正当性を与えてしまう。
もう二度と、自分と娘の道が交わらなくても良いように発言するアルベール。
「ッツ!?」
当然、シャルロットは困惑と涙を浮かべる。
簡単に男装を辞めて良いと言われたこと。自分と父を繋げる僅かな繋がりすらも無くなってしまった悲しみ。
その両方が押し寄せている。
「どこまでも不器用な方ですね」
もし、この男がいなければ悲劇的な結末を迎えていたであろうデュノア父娘。
だがその結末は有り得ない。今しがた、この部屋に入ってきたこの男によって。
「く、轡木さん…」
「学園の長として、生徒の悩みには答えなければなりません。
シャルルいいえ、シャルロット・デュノアさん。貴女の悩みは、父から離れる事で完全に解決するのですか?」
圧力だけでアルベールを黙らせた轡木。
その圧力を一切、シャルロットに向ける事なく、質問を投げかける。
「それは……」
色んな事がありすぎて、パンク気味の頭で必死に考えるシャルロット。
自由は欲しかったが、家族の繋がりを失いたかった訳じゃない。
「もう…嫌です……また、家族を失うのは…僕はそんな自由はいらない!」
「シャルロット……」
娘の剥き出しの感情に戸惑うアルベール。
そして、漸く自分が娘にかなりの重責を与えていたと自覚する。危険から遠ざける為だったとは言え、もう少しやりようがあったのではないかと目を伏せるアルベール。
「そうですか。では、学園を守り生徒を愛する立場として、一つ。提案しましょう。
シャルロットさん、形だけ私の娘になりませんか?アルベール殿が、身内のゴタゴタを片付けるまでの一時的な処置です。
フランス政府は、私の伝手で黙らせる事が可能ですし、ここは治外法権の学園ですから」
轡木の提案を簡単に言うなら、自分の娘として学園に再入学し、表向きにはデュノア社との関係を断つという事だ。
IS学園の長であることと、治外法権を利用した提案である。
アルベールは、その言葉を一瞬、理解できなかったが理解した後、目元を手で押さえ、上を向く。
「……えっえぇ!?」
漸く事態を飲み込んだシャルロットの驚く声が響く。
柔和な笑みを浮かべている轡木と、おそらく涙が流れないようにしている父親に困惑しつつ、返答する。
「お、お願いします」
「えぇ。承りましたよ、アルベール殿よろしいですか?」
「なんと感謝すれば良いか……シャルロット、必ず身内のゴタゴタを片付けると約束する。
だから、その、なんだ。もう一度、親子に戻れたら落ち着いて話をしよう」
最後は恥ずかしさからか顔を赤くして、目線を逸らすアルベール。
今までずっと恐怖の対象だった父の、そんな顔を見て思わず笑いだすシャルロット。
「ぷっ…あははは」
「わ、笑うなよ…シャルロット」
そこには、まだ歪ではあるがしっかりとした家族の姿があった。
当初、まるで救済する気のなかったシャルロットさんがどうしてこうなった。
書いてみないと分からないもんですね。
無い頭でシャルロットの救済を考えましたが、大丈夫かな。
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マスターBTで検索していただけると、出てくるかと思います(露骨な謎宣伝)
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