神様は残酷で気紛れだ   作:マスターBT

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どうも、クリスマスは一人です。



作戦失敗、スマートな解決にはならず

暴走した軍用ISは、アメリカとイスラエルの共同開発したものらしい。

名前を『シルバリオ・ゴスペル』ーー今回の作戦での呼び名は、福音。

対処法は、篠ノ之束により、織斑と篠ノ之による一撃離脱を行うことになった。しかし、引き下がらなかった千冬により、妥協案が生まれ、オルコットとラウラが先発で、戦場になるであろうエリアで待ち伏せ。

簡単に言えば、織斑と篠ノ之が失敗した時の保険だ。

 

「…わたくしが保険要員とは」

 

「戦場に行けるだけマシだろう。俺は待機組だ」

 

ボヤくオルコットに突っ込む俺。先発組は織斑と篠ノ之より早く動く必要があるため、会議終了後に即座に行動を開始していた。

ラウラは、ドイツとの交渉。面倒な事だが、IS学園は無国籍だが戦闘による地理的被害を受ける可能性があるのは日本。

遠回しとは言え、日本のためにドイツの軍人が動くには表面上だが許可がいるらしい。

オルコットはただの代表候補生であるため、ラウラよりは早く許可が下りたようだ。

 

「どうせなら待機してる方が良かったですわ」

 

俺の言葉に珍しく嫌味なく答えるオルコットの表情には僅かな苛立ちの色が浮かんでいる。

まぁ、なんとなく理由は察せられる。

訓練を積んだ自分より、ポッと出の二人に役目が奪われるのが気に食わないのだろう。

 

「待機組の方がまだ、友人を守るという義務に努められるからな」

 

「…わたくしの考えを読まないでくださる?西村」

 

「はっ、だったらその如何にも不機嫌ですって顔をやめる事だなオルコット」

 

俺のその言葉に、こちらに視線を向けるオルコット。俺も同じように視線を向ける。

そのまま、いつもの様に罵り合いが始まるかと思ったが、意外にもオルコットの方から視線を逸らした。

 

「…篠ノ之博士に恐怖したのですか?」

 

「………あぁ」

 

短く肯定の意味だけが伝われば良い。

 

「そうですか…ISの生みの親として尊敬の念を抱いていたのですが、これは認識を改めなくてはいけませんわね」

 

オルコットがブルーティアーズを纏う。

なぜ?と思ったが、視界にラウラを捉え納得する。

 

「西村。貴方に敗北の二文字を与えるのは、このセシリア・オルコットです。

わたくし以外の人に、膝をつくなど認めませんわ」

 

髪をかきあげ、たなびかせるオルコット。

それは今まで見たオルコットのポーズの中で最も、優雅で格好の良いものだった。

 

「……チッ、お前を格好いいと思ってしまった」

 

「あら?当然ですわ。跪いてわたくしに忠誠を誓っても良いことよ?」

 

「ふざけんな。誰が、お前なんかに忠誠を誓うかよ……あぁ、それと」

 

言葉を区切るとオルコットが不思議そうな顔で俺を見てくる。

その顔を見ながら、ニヤリと笑い、口を開く。

 

「誰が誰に負けるって?勝つのは俺だ、もう一度地に落とすぜオルコット」

 

「「くくっ…ははははっ!」」

 

あぁ、漸く普段らしくなった。

俺とオルコットはこういう関係がしっくりくる。

 

「遅くなっーーなんだ、随分と楽しそうだな?」

 

俺とオルコットが笑ってるところに合流したラウラが不思議そうな顔を浮かべるが、俺もオルコットも無視して笑った。

その結果、ラウラに二人揃ってど突かれたのは言うまでもない。

 

『ーーオルコット、ボーデヴィッヒ。出撃だ』

 

暫くして、千冬から通信が入る。

どうやら作戦時間になったようだ。

 

「「了解」」

 

すでにブルーティアーズを展開していたオルコットの隣で、ラウラがレーゲンを展開。

二人は宙に浮き始める。

 

「では、行ってくるぞ。赤也、私の友人達を任せた」

 

「あぁ」

 

ラウラの言葉に手を振りながら答える。

ふっ、と笑みを浮かべるとオルコットと共にラウラは飛んで行った。

 

「さてと俺も持ち場に戻るとするか」

 

砂浜を歩きながら、旅館の方へと戻る。

俺のというか待機組は持ち場がかなり重なっている。旅館の周辺を500メートル間隔で離れ、警戒するだけだ。

特に俺はその一番、外側。急ぐ必要性はあまりない。

まぁ、だからと言って呑気にしてると千冬に怒られるんだが。

 

「…西村赤也、なぜ貴様が此処にいる」

 

うわっ、めんどくせぇのに絡まれた。

避けて通るつもりだったが、どうやら道を間違えたらしい。織斑と篠ノ之の待機場所だ此処。

 

「オルコットとラウラを見送った帰りだ」

 

鬱陶しい篠ノ之に肩を竦めながら答える。

臨海学校が始まってからずっとこいつの視線は鬱陶しい。

 

「ふん!こんな作戦、私の紅椿と一夏の白式だけで十分だと言うのに。なぜ、あんな奴らを用意する必要がある。

千冬さんは私達を信用していないのか」

 

「お、おい、箒。流石にそれはどうかと思うぞ」

 

「何を腑抜けた事を言ってるんだ一夏!お前だってそう思うだろう!?」

 

……いつにも増して酷いな篠ノ之。

紅椿。篠ノ之束が生み出した、第四世代IS。各国のISを遥かに凌駕する性能とあらゆる場面に対応できる万能性を兼ね備えてるという。

正直、俺個人の意見だがそんなものを訓練すらまともに積んでいない篠ノ之に渡して何になるんだと思う。

 

「……いや、俺は…」

 

ん?珍しく織斑の歯切れが悪い。

ここはノリノリで、『あぁ!セシリアとラウラの出番が無くなるぐらいの活躍を見せてやろうぜ!』っと言うと思ったんだが。

織斑は、篠ノ之から視線を逸らし頭を掻いている。

こうなると、面白くないと言わんばかりに癇癪を起こすのが篠ノ之だ。すでに、顔を真っ赤にしている。

 

「…話は終わりか?俺は持ち場に戻らせてもらう」

 

「勝手にしろ!!」

 

おぉ、怖い怖い。般若の様な顔で怒鳴り散らす篠ノ之。

二人を無視し、歩き出す。すれ違う直前で、織斑から見捨てないでくれって言わんばかりの視線を向けられたが知らん知らん。

そのまま、自分の持ち場まで戻り、2回目の作戦開始時間を待つ。

 

『ーー全員、ISを展開しろ。織斑、篠ノ之両名が福音へ向かった』

 

千冬の合図を聞き、サードオニキスを纏う。

ISの索敵力を活かし、敵からの奇襲を防ぐ目的がある。とはいえ、敵が来なければ暇だ。

適当にサードオニキスのデータでも見ながら時間を潰そうとしたタイミングで、驚きの通信が入る。

 

『こちら、オルコット!正体不明のISと交戦を開始!

わたくし達で現状、押さえ込めますが旅館の方に襲撃があるかもしれませんわ!』

 

「このタイミングで正体不明のISだと?」

 

後詰であるオルコットとラウラを狙う理由が分からない。

福音の仲間?いや、福音は暴走ISと聞いている。仲間とかそう言う類ではないだろう。

なら、別の組織か?だが二人が邪魔であれば、織斑と篠ノ之が出発したタイミングにする必要性はない。

 

『凰!轡木!布仏!赤也!注意しろ、敵が現れるかもしれないぞ』

千冬の号令で考えを中断する。

旅館を襲撃するなら今が絶好のチャンスだ。

だが、襲撃の気配はない。波音だけが唯一の音だ。

 

「…なんだ。こっちには何もないのか?」

 

集中は切らさずに周囲を見回す。

時間にして、三分ほど。なんの変化も訪れないまま、経過した。

 

『……お前達、変化はあるか?』

 

妙に暗いトーンの千冬の声が聞こえる。

 

『警戒するだけ無駄って感じですよ』

 

『波音ぐらいですかね』

 

『…織斑先生〜何かあったんですかぁ〜?』

 

本音が間延びした声で質問する。

俺も気になっていた事だ。いくらなんでも、声が暗すぎる。

 

『ーー作戦は失敗だ。織斑が敵に堕とされた』

 

『『『なっー!?』』』

 

「……やっぱりか。オルコットとラウラは?」

 

篠ノ之のあの様子を見た限り、容易に想像できた。

とはいえ、ここまであっさり堕とされるとは。

 

『正体不明ISが撤退。織斑、篠ノ之両名を回収し、戻ってきている様だ』

 

「そうでしたか」

 

『福音は動きを止め、正体不明ISも撤退した。お前らも戻ってこい。

……これからを考える』

 

終始、暗い声で千冬は通信を終了させた。

サードオニキスを解除し、砂浜に足をつけ、海岸を見る。

 

「チッ、篠ノ之の奴なにやらかしやがった」

 

まぁいい。とりあえず、旅館に戻ろう。

ここで苛立ちを抱えていてもなにかが変わるわけじゃない。

溜息を軽く吐き、歩き出す。

 

「……」

 

そんな俺を遠くから見て、笑みを浮かべている金髪の女性に気づく事はなかった。

 




原作とは作戦を変えてみました。
うちの千冬さんは、束さんの意見を綺麗に丸呑みする方ではないので。まぁ、結果は変わりませんでしたけど。

福音、正体不明IS、金髪の女性。
さてさて、物語はどう変わりどういう結果を作るのでしょうか。私にも分かりません!

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