でも、よくよく書きあがったのを見てみたら、あれ原作に沿ってるの何処?という状態に…
えー…楽しんで読んでください!
「織斑君、エネルギーの管理は気をつけて下さい!
白式はただでさえ、燃費が悪いんですから」
「は、はい!」
山田先生に弟子入りしてから、しばらくの間はずっと基礎の基礎を叩き込まれていた。
それでも、先生曰く飲み込みが早いらしく三週間ほどで、実技を教えてもらえた。でも、まぁ、俺の力量が如何に残念か骨の髄まで味わったよ。射撃部門で、ヴァルキリーになった山田先生の銃撃はもう、次元が違った。
まるで、壁の如く銃弾が飛んでくるのは恐怖だ。
「ぐっ……おおぉぉぉ!」
銃弾の壁を切り払おうとする。
が、間に合うわけもなく、その銃弾に蜂の巣にされる。いや、ISだから身体を貫くことはないんだけど。
「……やっぱり、織斑君は織斑先生のようになりたいんですか?」
エネルギー切れで、身動きの取れない俺に近づいて来た山田先生。
その目は俺を見定めるように、今まで見たことない顔をしていた。
「…はい。俺は千冬姉の様に、誰かを守れる様に…」
「それはとても綺麗な夢だと私は思います。
少なくとも、誰もが思い描ける様な夢ではないと思いますよ……ですが、その夢と織斑先生の様に戦う事は同じですか?」
「え?」
俺は千冬姉の様になりたくて……それでISを動かせて。
それも千冬姉と同じ、雪片を持つ白式だった。だから、俺は千冬姉の様にならなくちゃって…
「君は君ですよ?織斑君。
織斑一夏という人物が織斑千冬になる事は出来ません、ましてや西村君の様に織斑先生に師事を受けてない人がなれるほどあの人は甘くないですよ。ずっとあの人の下にいた元候補生の言葉です、これほど重いものはないですよ?」
俺は俺で、千冬姉の様にはなれない。
「あ、勘違いしないでくださいね。夢を諦めろと言ってる訳ではないんですよ。
君が君のやり方で、夢を目指してください。IS操縦者としての素質は十分ですから。方針が定まれば、動きをも変わるはずです」
「…俺のやり方で…分かりました。山田先生!俺、もっと頑張ってみます」
山田先生が微笑むと同時に、景色が変わっていく。
俺の視界には、俺がいた。いや、何を言ってるんだと思うが、事実なんだ。
旅館の客室で傷だらけの俺が寝ていた。
「……あぁ、福音で俺は。って、じゃ死んだのか俺!?おいおい、冗談じゃ…ん?」
部屋の引き戸が開かれる音が聞こえ、入り口を見るとそこに赤也が立っていた。
物凄く苛立ちを感じる表情だ。俺とあいつは、見舞いに来るほど仲が良いとは思ってなかったけど。
「無様だなヒーロー。自分が傷ついてそれで誰かが守れて満足か?」
苛立ちを抱えた表情で俺を見下ろす赤也。
ヒーロー…俺が?
赤也の言葉に混乱している俺に気づく事なく、赤也は言葉を続ける。
「満足なんだろうな。お前みたいな人種は。
俺は嫌だね。傷付くとしても守りたいと思える奴らじゃなくちゃ嫌だ。だから、お前の考えなんて理解できないししたくもない」
のほほんさんや四十院さんぐらいだろう、赤也がそう思ってるのは。友人とそうじゃないやつでお前は全然違う。
あの二人といるお前は、とても楽しそうだしな。だけど、お前の人に優劣をつけているのは気に食わない。
生きているのなら人は誰だって、平等だろう。
「このまま寝てろよ。その方が被害が出なくて良い。
福音は俺にもどうしょうもないが、動きが止まってるしいずれどうにかなるだろうよ。
国が動くかもしれないし、もしかしたら他の専用機持ちで倒せるかもしれない。そうすれば、ヒーローは倒した奴になる。
お前の行動は無意味に無価値になるんだよ」
俺は別にヒーローになりたくて、戦った訳じゃねぇよ。
でも、目の前で危険な状況の人がいたら、助けたくなるだろ。それに、俺が倒せなくても無価値になったとは思えない。
俺が千冬姉に憧れて、動いてる様にきっと後に続く奴らがいるさ。だから、俺の行動には意味があった。
少なくとも、船の人達は助けられたしな。
「どうせ、聞こえてないだろうけど。赤也、お前どんだけヒーローが嫌いなんだよ。
男なら憧れるだろ?ヒーロー」
俺がそう言うと、また景色が変わって、水の上なのか空にいるのかよく分からない景色が広がる。
なんだろう。こんなところ、今まで一度も来たことはないぞ。
しばらく、歩き続けていると、白いワンピースに麦わら帽子を被った女の子がいた。
「君は?ここはどこか分かる?」
俺の問いには答えずに、俺の近くにやって来る。
俺を見上げ、こちらを見つめてくる。綺麗な透き通った目をしている、まるでこちらの内側を見透かされているようだ。
「力、欲しい?一夏は、どんな力が欲しいの?」
なんで俺の名前を知ってるんだ?
無垢な顔で力が欲しいかと言われるよく分からない状況に俺は置かれる。こういうのって、魔王とかがやるものじゃ?
ニコニコしながら、俺の返答を待ってる女の子。
「……正直、よく分かってない。俺は誰かを守りたいと思ってる。
でも、どうすれば良いのか。シャルルの時みたいに、単純な力じゃどうしようもない事があるって見せ付けられた」
俺の独白を少女は黙って聞いている。
不思議とこの少女には話しても良いかなっと思える謎の魅力があった。
「単純な力だって、赤也には劣る。俺は……俺はきっとどうしようもなく弱い」
箒や鈴にも隠していた感情を吐露した。
嫉妬や劣等感で、赤也にはぶつかったけど、それだって情けない行為だ。でも、そうでもしないと俺はどうにかなってしまいそうだったんだ。
「あの人は少し特殊だから」
「赤也の事も知ってるのか!?」
「うん。でも、私からは教えられない」
教えられないと言われては追及のしようがない。
どんな力が欲しいか悩んで、言葉に出来ず少し俯いていると、小さな両手が俺の頬を優しく包む。
「力はただ力なんだよ。それをどう使うかは一夏次第。
身近で言えば、千冬。彼女は分かりやすく言えば、君を育てるためのお金を手に入れるその手段に力を使っていた。
でも、君が誘拐された時はお金も名誉も全てを捨てて、助けに来た。ほら、力に明確なルールはないんだよ」
「力はただ力…」
「もっと分かりやすい二人が君の近くにいるよ。ラウラと赤也、あの二人は単純な力そのものを追い求めてる。
強さの指標で最も単純なのは力だからね。それでもあの二人にも中身がある。ラウラは今まで、空っぽだった器を満たすために、自分が納得できる力の形を探してる。赤也は……自分が過ごしやすい環境を守るためだね、きっと漸く手に入れた自分の居場所なんだと思うよ」
「…一重に力と言ってもたくさんあるんだな。俺は、今まで千冬姉や赤也達の持ってる力は同じだと思ってた」
弱いと自覚した俺から見れば、みんなが持ってる力の差異なんてよく分からなかった。
俺には無いものをしっかり持っている、ただ漠然と思っているだけだった。
「じゃあ、一夏。君はどんな力が欲しい?」
改めて聞いてくる少女。雰囲気が少し変わった、これは俺の答えを欲している。
誤魔化すような返事や分からないなんて解答をしてはいけない。
目を閉じて、しばらく考える。俺の行動と矛盾した力を欲しても、その力で何かを成し遂げるなんて事は無理だろう。
山田先生は俺だけのやり方で、夢を叶えろと言ってくれた。俺の夢を肯定してくれたんだ。
赤也は、俺の行動を否定した。顔も知らない誰かを守る行為を否定した。
「……そうだな、俺は視界に映る人達を脅威から守れるようになりたい。
友人とか家族とかそういう括りじゃなくて、もう全ての人達を。出過ぎた夢だとは思う、だけどあいつの言葉を借りるなら、俺はヒーローになってみせる。そのための力が欲しい」
俺は赤也のように、命に差を作る事は出来ない。
目の前で危険な人がいれば、俺は考えるより先に身体が動くだろう。今回のように。
だから、俺はヒーローになってやる。
「…きっとその道は大変だよ?」
「だと思う。それでも俺はやってやる、どんなに時間をかけても俺はヒーローになってみせるさ」
「分かった。じゃあ、私も頑張らなくちゃね」
少女が俺の手を引き、微笑む。
君も頑張るとは?と聞きたかったが、少女に引かれるがまま、俺の意識はどんどん薄れていき、目を覚ますと和室で機械に繋がれて寝ていた。
起き上がり、繋がっていた機械を外す。
『行こう』
少女の声が脳内で聞こえた。
同時に、白式の待機状態であるガントレットが淡く光った。あの少女は白式だったのか。
自分の相棒に心配されてちゃ立つ瀬がないな。ゆっくりと立ち上がり、外に出る。
「行くぞ、白式」
音声認識で白式を呼び出し、身に纏う。
その形は今までと変わり、右手には西洋の剣のようになった雪片。左手には、少し大きめの物理盾。
そして、装甲が少し厚みを増した気がする。全体的にゴツくなったな白式。
『守るためには装甲も必要でしょ?』
「そうだな。福音のところに行くとするか」
飛翔し、加速する。ゴツくなったというのにその速度は以前より速い。
これが新しい白式か。俺は昂揚感を感じなが、福音の元へと飛んだ。
だが、ヒーローになる覚悟を決めたその瞬間に覚悟が揺らぐような事態になるとはこの時の俺は微塵も思っていなかった…
というわけで、うちの一夏君はヒーローを目指すようです。
赤也が悪役のような発言や言動をするので、その対立になれば良いかなと思ってます。
しかし、あれですね。代表候補生達、赤也と本音、一夏と三つに分けてると話が全然進みませんね。
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