神様は残酷で気紛れだ   作:マスターBT

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最近、ゴブリンスレイヤーの一挙放送をみてどハマりしました。
ゴブスレを書きたくなる欲求を押さえて、書き上げました。


不揃いが故に

福音との戦闘を始めて、数分。戦況はあまり宜しくなかった。

それもそのはずである。軍用として、調整された福音。しかも、得意なのは一対多数の戦いである。

まともに戦力として、機能しているのは鈴とシャルロットのみ。

 

「……くっ」

 

「そんな甘い狙いが当たる訳ないでしょ!!」

 

第四世代機を持て余している箒。

心技体、体をISに当て嵌めるとすればそれ以外の全てが欠けている彼女。

その攻撃は狙いが甘く、また前線で福音を引き付けている鈴に当たりそうになる程であった。

開戦直後、迷いか後悔か動けずにいた箒だが、福音に狙われると同時に漸く戦いだした。

 

「はぁぁ!!」

 

鈴の操る甲龍が福音に勢い良く斬りかかる。だが、今の彼女の剥き出しとなった感情を表すように、大振りなソレは福音に容易く避けられる。限界まで溜め込んでしまった鈴の怒りは、もはや鈴すらも制御が出来なくなっていた。

 

「鈴!!落ち着いて!!あぁもぅ全然聞いてないよ……箒も何か言ってよ」

 

シャルロットも鈴や箒の手綱を握れていない。

それもそうだ。彼女達は友人ではあるが、箒は気にくわない赤也と良くいるシャルロットを避けていたし、鈴とも一線を越えるほど踏み込んで関わってはいない。

彼女達に届く言葉をシャルロットは持ち合わせていないのだ。

此処にセシリアやラウラが居ればまだ違ったかもしれない。あの二人は、何だかんだ人を動かす事に長けている。

そんな連携が全く取れない彼女達の内情など、知らんと言わんばかりに福音が広範囲に光弾をばら撒く。

 

「箒、こっちに来て!!」

 

シャルロットがシールドを展開し、近くに来ていた鈴を守りながら、箒に指示を飛ばす。

だが、箒の動きは緩慢で紅椿の展開装甲で無理やり防ぐ。シールドエネルギーの消耗は多い。

 

「…このままじゃジリ貧だよ」

 

シャルロットが呟く。

福音が光弾をばら撒くだけで、戦線が崩壊しかねない現状。そんな戦況を維持し続ける事が不可能な事は、小学生でも分かる。

 

「…鈴、2分で良いから大人しくして自分を落ち着けて」

 

「はぁ!?何言ってんのーー」

 

「良いから。今の貴女じゃ邪魔。せめて、まともに攻撃を当てるようにして」

 

伝えるべき言葉が分からない。自分ごときが何を知った風で言えば良いんだ。

そんな迷いをシャルロットは、彼方へと投げ捨て諦めることを諦めた。

みんなで無事に戻る。その事だけを欲する事にした。

 

「箒もだよ。馬鹿なの?戦う気が無いならそもそも来ないでよ。覚悟が出来たら鈴と一緒に戦って」

 

此処でこの二人に嫌われても構わない。自分の望みはIS学園に戻る事だ。

それ以外の事なんて今は、捨てておけ。

シャルロットは気づいていないが、その考え方。自分にとっての最優先のみを選ぶやり方は、赤也のそれである。

二人の様子も反論も聞く事なく、ショットガンとシールドで福音へと接近する。

 

「はぁ…オールドタイプ単機でニュービーの軍機を相手取るかぁ…」

 

福音は不気味にシャルロットを見つめる。

今、自分の目の前にいるのが専用機とは言え、量産機をカスタムした所詮、自分以下の性能。

そう判断して、人が蟻を見て何も脅威を感じないのと同じように慢心しているのだろうか。

 

「はぁぁあ!!」

 

瞬間加速と共に、福音へと接近する。ばら撒かれる光弾をシールドで防ぎながら、近づく。

だが、光弾は高密度のエネルギー体。物理シールドが何度も防げるものではない。福音との距離を詰めて行くと同時に、シールドは熱で融解していく。それでも高速で距離を開けようとしない福音に近づくまでは役目を果たせる。

展開しておいたショットガンの間合いに入ると同時に、融解したシールドを福音に向けて弾き飛ばす様に、パージする。

 

パージされたシールドは容易く避けられるが、次に福音が視界に映したのは自身に向けられる二つの銃口だった。

シャルロットの得意分野である高速切り替えだ。シールドをパージすると同時に、自由となった手にショットガンを追加で展開した。

二丁のショットガンから、散弾が放たれる。

ショットガンは、点ではなく面での制圧が可能な銃だ。福音が高速で回避したとしても、被弾は間逃れない。

 

「まぁ、でも大したダメージじゃないよね…!」

 

高速で避ける福音には、散弾は当たってもショットガン本来の破壊力は発生しない。

シールドエネルギーを削る事はできるが、福音はその身のかなり装甲で包んでいる。火花を散らすだけで、効果のなかった弾も多い。

 

「まぁ……まだ負けてやる気は無いけどね」

 

シャルロット単機では勝てない。それは彼女自身がよく分かっている。

だから、あと2分。持ち堪えて、友が戦場に戻るのを彼女は信じるだけである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は何をしている?

姉さんに強請って、紅椿を貰って……力を手に入れ周りが見えず一夏が私の代わりにやられて、今も私はお荷物だ。

 

「(何故だ……第四世代という規格外の力を手にした私が何故、今も一夏の時も戦えない…)」

 

彼女は自分に問いかける。だが、答えなんて返ってこない。

当たり前だ。自分では理解していないのだから。そもそも、ISは一朝一夕で身につくものではない。

そんな単純なものなら、誰でも代表候補になれるだろう。搭乗時間がモノを言うIS。

紅椿を受け取った箒は、まだ時間単位ですらない。よくて、数十分の世界だ。そして、常日頃から練習をしていたわけでもない。

それを指摘する人間がいれば、彼女はまだ救われたかもしれない。

 

『やぁやぁ、箒ちゃん?どうしたの?戦わないの?』

 

だが、ここで彼女に声をかけてきたのはマッドサイエンティスト(篠ノ之束)だった。

 

「姉さん…私は…私は」

 

自分が欲する答えをくれそうな姉の声に箒は縋る。

人の心なんて弱いモノだ。脆弱で、打たれ弱くて完璧に壊れない限り何度でも、ヒビが入る。特に、織斑一夏という存在に依存し続けてきた箒の心は特に脆い。何かに縋ろうとしなければ、自立できないほどに。

 

それを見て、篠ノ之束は嗤う。

 

『役に立たない自分が情けない?なら、仕方ない。

可愛い箒ちゃんの為だ。束さんが、一肌脱いであげよう』

 

箒には見えないが、束は空中に指を踊らし、何かを入力していく。

すると、不思議な事に篠ノ之箒から、一切の恐怖心が消えていった。それと同時に身体が熱くなり戦いに対する強い欲求が生まれた。

 

『うんうん!上出来だねぇ!ほら、やれるよね?箒ちゃん』

 

「……あぁ、大丈夫だ。ありがとう。姉さん」

 

スッと目が座り、二刀を構える箒。その姿に満足そうに頷き、束は通信を切る。

もはや、箒の頭には『戦い』の二文字しかない。自分がこの場にいる理由も忘れ、福音とシャルロットが戦う場所へと飛翔する。

 

果たして今の彼女に敵味方の区別はついているのだろうか。

 

「さて、どうなるかなぁ…箒ちゃんは相変わらず束さんの予想から外れないから、簡単だねぇ。

モルモットから得られたデータで作ってみたけど、案外役にたつもんだね。まぁ、程よく暴れて福音なんてモブを倒してくれると嬉しいなぁ。狂乱のお姫様をいっくんがどうやって救うか楽しみにしてよっと♪」

 

全ての仕掛け人はただ嗤う。

盤上を見渡すその目と、常人では理解しきれないその頭脳を活かして、行う妹とその想い人をくっつける作戦(究極の暇つぶし)

残念だが、まだヒーローは現れない。




思ったより福音戦が長引いており、びっくりしてます。
まぁ、やはり私は戦闘シーンを長く書けない事に定評がありますね(自分認識)

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