楓山緋路は勇者ではない(凍結中)   作:アルクトス

2 / 4
タイトルはハギの花言葉より





とりあえず五月(原作第一話)になるまでは、ほのぼの回でお送りしていきましょう。


あ、活動報告の方にこういうシーン書いて欲しいとかのアンケート載せときますね。


思案

 ――また夢だ。

 

 こうして夢と自覚して見る夢を明晰夢というらしい。

 実際見てみるのは二度目だが、この前の時はいい所で風に邪魔されてしまったので実質初めてか。

 

「なんだ、ここ」

 

 ゆっくりと辺りを眺めて、僕は呆然と漏らす他なかった。

 この前よりも更に鮮明に見える景色は、僕の創造力の限界など超えたかのように色鮮やかで巨大な樹木の根が地を埋め尽くし、空には――

 

「……なんだよ、あれ」

 

 白を基調とした、身の丈の数倍もある口だけの化け物。

 それが幾数体もいて、認識した途端にそいつらが襲い掛かってきた。

 

「うおっ!?」

 

 だが、流石夢の中だ。さすがの身体能力でそれを回避する。

 

「何か武器は……」

 

 と、右手に意識を集中させると、花が咲くように武器が現れた。

 

「――銃剣?」

 

 手にしたのは、数百年の昔に起きた世界大戦の際に日本軍が使用していたとされる『三八式歩兵銃』に酷似した外見を持つ銃に、これまた同じく古の大戦時に使われていた銃剣『三十年式銃剣』に酷似した銃剣を取り付けたものだった。

 

「なんでまた……東郷さんじゃあるまいし」

 

 彼女の趣味ならば、この銃剣を採用していてもおかしくはない――いや、確実に採用していただろうが、ここはあくまで僕の作り出した夢空間のはずだ。

 

「僕の趣味なら『M231』だよなぁ……」

 

 東郷さんの趣味が日本史なら、僕の趣味が世界史で、ここが僕の夢世界なら……。

 だが、現実に手にしているのは旧日本軍の装備。一年と少しの付き合いでここまで東郷さんの影響を受けたのか。

 

「まあ、いいや」

 

 別にこだわりがあるわけでもなし、要は使えればいいのだ。

 狙う、狙う、狙う。迫りくる白い怪物に照準を定めて、一息に引き金を絞る。

 

「っ、外れた……」

 

 嫌にリアルな夢だ。

 弾道計算をして、風向きを考慮してと、素人である僕にはまず不可能だ。

 

「危なっ!!」

 

 そんなことを考えている間にも化物は間近だ。

 ギリギリで回避して、反撃にと銃口を向けて引き金を絞る。

 

「当たれ!」

 

 気合とともに放った弾丸は化物の胴体らしき部分に着弾して炸裂する。

 そのまま花が散るように消えていく化物。

 

「よしッ!」

 

 手ごたえを感じ、渾身のガッツポーズを決める。

 そして次と意気込んで、振り向くと――

 

「え」

 

 目の前には、僕を喰らおうと口を開く化物の姿が、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぁぁぁああああ!!」

 

 飛び起きると、そこはいつもの自分の寝室で、夢を見ていたのだと少しして理解した。

 

「嫌な夢だ……」

 

 早鐘を打つ心臓と、汗を吸収して不快感を産む寝間着が、逆に冷静さを取り戻させる。

 

「なんだったんだ、ホントに」

 

 ふと夢の内容を振り返るが、内容が中二爆発しすぎて笑えない。

 馬鹿じゃないのか。辺りは知らない空間で、自分は訳も分からない化物と戦っているとか、いくら自分が妄想逞しい中二病と呼ばれる年齢に差し掛かったとはいえ、余りにも妄想が過ぎる。

 

「ほんと……馬鹿だ」

 

 しかも、結局は自分がやられて、こうして無様に飛び起きている。

 

「風呂入ろ」

 

 時計を見れば、時間は季節的にまだ深夜の午前四時。

 だが、二度寝を決め込むには精神的に落ち着いていない。

 

「――ん?」

 

 風呂場に向かおうと寝室からリビングに出たその時、ふと視線を感じベランダの方を見る。

 

「鳥か……?」

 

 いたのは一羽の青い鳥。

 羽が青い鳥なんて珍しいとベランダに出ると、青い鳥は僕を見定めるかのように一瞥した後、どこかへ飛び去って行った。

 

「なんなんだ……?」

 

 困惑から漏れ出た一言。

 あの鳥の視線は、確実に人への興味からくるものではなかった。もっと、温かい見守るような母性を感じるものだった。

 

 

 

 

 

 ◆◆◆◆

 

 

 

 

 

 そんなことのあった日の放課後、本日も元気に活動中の勇者部部室(家庭科準備室を間借りしている)にて、我らが部長の風は満面の笑みで宣言した。

 

「てわけで、今年度の最初の重大ミッション発表よ♪」

 

 ちなみに勇者部というのは僕の所属している部活で、活動内容は世の為、人の為の行為を勇んで行う。まあ、要はボランティア活動をする部活だ。

 部長は先ほどの通り風で、なにかしらの企画立案も基本は彼女だ。というか、いつの間にか勝手に決めてきているというのが適切か。

 

「てわけも何もないよね、風さんや……」

 

 今回も事前情報は何もなし。五箇条の一つ『悩んだら相談!』とは……。

 あ、悩んでないから相談も何もないのか、納得である。

 

「それで、今回は何をするんでしょうか?」

 

 東郷さんが問う。……語呂がいいな、どうでもいいけど。

 対して、風は何故か胸を張るのであった。

 

「ふふん、心して聞きなさい」

 

 溜める風、それに痺れを切らしたのは妹の樹。

 

「お姉ちゃん、勿体ぶってないではやく言おうよ……」

 

「ノリ悪いわね~アタシの妹ながら……」

 

「はいはい、はやく内容言いなさいな」

 

 さらに勿体ぶろうとするので更に急かす。

 てか、妹ながらって、風がテンション高すぎてついてけないんだよ。

 

「風先輩、どんなことをするんですか?」

 

 最後にトドメと溜めの期待に友奈が問う。

 そして各々期待に煽られて風を見る。唸る彼女だが、皆の視線に押し切られてやがて細々と答える。

 

「幼稚園で何か劇をやるのヨ……」

 

 小声で、目を逸らしながら、言われたイベントの内容は……。

 

「……普通じゃん」

 

 あの貯め方から、もっと何かあると思っていたら結構普通だった。

 

「いや、だって……幼稚園からの依頼なんて初めてだったから何か嬉しいじゃない?」

 

「そりゃそうだけど……」

 

 気持ちはわかる。幼稚園からともなると勇者部の活動が世間様にも認められたんだという気がするし、だがイケない点があったとすれば――

 

「変に溜めるからだよ……」

 

 僕の言いたいことを代弁してくれた樹のツッコミが突き刺さり、風は撃沈。

 対し、友奈と東郷さんは既に劇の内容で盛り上がっているようだ。

 

「どんな劇にしようか、東郷さん!」

 

「そうね……幼少期から思想に触れさせるというのもいいかもしれないわ。桃太郎をベースに護国思想を……」

 

「やめやめやめい!」

 

 それは駄目だよ、東郷さん……。

 

 

 

 

 

 ◆◆◆◆

 

 

 

 

 

「さ、劇の内容決めるわよ!」

 

 早々に立ち直った風が音頭を取って、やんややんやと話が進む。

 やれ人情劇だ、娯楽劇た、護国思想だ……って、東郷さんはいい加減諦めなさいな(-_-;)

 まあ流れ流れ、結局は名の通りの勇者と敵役(かたきやく)としての魔王を登場させた人形劇ということで話の決着はついた。

 

「脚本はアタシと緋路で書くとして……ナレーターとか、音楽とかは役とは別にいるわね」

 

 何故か既に僕の役割が決められている気がするが、それは追々言及するとして風の意見には賛成である。

 

「ナレーターは東郷さんでいいんじゃないか?」

 

「そーね、喋りが落ち着いてるからぴったりかも」

 

 僕の提案を風が飲み、東郷さんに振る。

 

「え、ええ……では、語り手の任襲名させていただきます!」

 

 ピシ、と敬礼する東郷さん。

 ナレーターをしっかり和名の語り手と言う辺りは流石か。

 

「音楽は……そうね、どうする?」

 

 続いて、音楽だが……これが難関だ。

 

「僕は音声機器には詳しくないからなぁ……東郷さんは?」

 

 PCゲームをプレイするためにパソコン関連の知識はあるのだが、なにせ音声機器には明るくない。

 

「私も、パソコンはそれなりに得意としてるけど、音声機器に関してはそこまでね」

 

 東郷さんにも訊いてみたが、彼女も僕と似たようなものらしく、返事は芳しくない。

 一応と、風と二人で友奈を見る。が、すぐに意図を察したらしい彼女は首をぶんぶんと振る。

 

「わ、わたしも駄目だよ」

 

「「ですよね~」」

 

 では誰が、となり頭を抱える面々。

 すると、どこからか消え入りそうな声が聞こえてきた。

 

「あ、あのぅ……」

 

 声の正体である樹ちゃんは、僕の服の袖をキュっと掴んでくる――可愛い。

 

「樹ちゃん、どうしたの?」

 

「……私、音声機器の扱いできます」

 

 樹ちゃん、僕たちの見えないところで音声機器の扱いを覚えたのか……。

 最早子供の成長を喜ぶ父親のような感情を抱き、喜びに歪む表情を誤魔化すように、樹ちゃんの頭を撫でる。

 

「じゃあ、音楽は樹で決まりね」

 

 そうして撫でていると「むきゅ~」と小動物の鳴き声のような声が漏れてきた――ホント、天使だ。

 と、流石に撫ですぎたか樹ちゃんがパッと離れて、風の背中に隠れてしまった。

 

「役は……勇者は友奈で決まりね」

 

 そんな僕たちのやり取りを完全に流して、風が決定事項のように勇者役を選定するが、これには一同、

 

「「「異議なし」」」

 

 と声を揃える。

 以上、風と当人である友奈を除いた過半数以上の賛成をもって、ここに「友奈は勇者役」が可決された。

 

「いいのかなぁ……」

 

「友奈ちゃんなら、必ず勇者役をこなせるわよ」

 

 決定に対して不安げな声を上げる友奈だが、即東郷さんによるフォローが入る――さて、後は。

 

「魔王は……風だな」

 

「「「異議なし」」」

 

 三人の声が揃う――当然の帰結だ。

 というか、他に魔王役が適任だと思われる人材もなく、ここに賛成多数で「風は魔王役」が可決された。

 

「ちょ、ちょっとぉ!? 皆即答なワケ?」

 

 不満の声を上げるのは当人である風。

 

「いや……風以外に誰がいるんだよ」

 

 さも当然のように僕が言うと、風はわなわなと肩を震わせて、正に魔王の如きオーラを纏う。

 

「それ、どういう意味カシラ?」

 

 発音が最後棒読み気味なのが、更に魔王が如き風格を高め、僕の恐怖心を煽る。

 やっぱり、魔王役は風だな。

 

 

 

 

 ――この日の夜、晩飯担当は風だったのだが、樹と共にご飯抜きを宣言されて謝り倒したのは言うまでもない。

 




どうですかね、日常のシーンは?

――え、早速冒頭シリアスじゃねーかって? ……何のことやら(遠い目)




・唐突のオリ主くんのプロフィール公開のコーナー

 名前:楓山緋色(あきやまひろ)
 肩書:勇者部部員
 性別:男性
 年齢/学年:13歳/中学2年生
 誕生日:神世紀286年9月16日
 身長:165cm
 血液型:AB型
 出身地:香川県
 趣味:ゲーム(STG)
 好きな食べ物:うどん
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。