九条院金丸の華麗なる学園生活   作:ニョニュム

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問 次の各文の空欄に当てはまるように、下の動詞を敬語表現に改めなさい。

 『山田君のお父さんも〔  〕ます』
 (来る)

 姫路瑞樹の答え
 『山田君のお父さんも〔いらっしゃい〕ます』

 教師のコメント
 正解です。流石、姫路さんですね。

 土屋康太の答え
 『山田君のお父さんも〔御来て〕ます』

 教師のコメント
 キテいるのは貴方のあた――――、不正解です。

 『貴方は今朝何を〔  〕?』
 (食べる)

 九条院金丸の答え
 『貴方は今朝何を〔召し上がりましたか〕?』

 教師のコメント
 正解です。特に言うことはありません。

 吉井明久の答え
『貴方は今朝何を〔御食べました〕?』

 教師のコメント
 ……二人ともそうですが御を付けただけでは敬語にはなりません。



第4話

 Dクラス代表の平賀から告げられた降伏宣言。Fクラスの間に衝撃と動揺が奔る。Fクラスとしては手放しに喜んでいい条件だ。しかし、Fクラスの生徒達は困惑の色を隠せない。何故なら試験召喚戦争において降伏した所でメリットなど存在しない。戦わずして負けるのは百害あって一利なし。いくら金丸を敵に回したと理解しても抵抗しない理由がない。

 

 困惑を隠せない周囲とは裏腹に、雄二は平賀――ひいてはDクラスの真意を見抜く為に思い巡らす。そして一つの結論に辿り着いた。

 

「……それで? Dクラスが降伏する為の条件はなんだ?」

「そんなに警戒するなよ。条件は一つだけだ。FクラスがEクラスを撃破して設備をEクラス相当にすること。これさえ守ってもらえれば、DクラスはFクラスに教室を明け渡す。俺達DクラスよりEクラスを倒す方が楽なんだ。俺達だって、本当に戦争となれば全力で抵抗するからな」

 

 Dクラスの意図は簡単に理解出来た。DクラスとFクラスが戦争を行い、DクラスがFクラスに敗北した場合、Dクラスの設備とFクラスの設備が交換されてしまう。その場合、戦争に負けたDクラスはルールによって当分の間は試験召喚戦争を行えない。DクラスとしてもFクラスの設備で勉強するのは絶対に嫌だ。その場合、妥協点として出てくる設備がEクラスの設備である。

 

 FクラスがEクラスに勝利してEクラスの設備を奪えば、DクラスがFクラスに敗北してもクラスの設備はEクラスのモノ。Fクラスの設備を使用するという最悪の事態は避けることが出来る。金丸の存在で敗北を悟ったDクラスは少しでも被害が少なくなるように動いたのだ。

 

 平賀の発言を聞いて、雄二は眉を顰める。雄二としてもこの状況は予想外だ。威嚇として金丸を使者に遣わしたのが間違いだった。雄二は金丸の影響力を読み間違えたのだ。勿論、この提案を蹴って、Dクラスと戦争を行うことも可能である。しかし、その場合、Fクラスの中で不味いことが起きてしまう。

 

 その場の流れで打倒Aクラスを目標にしたFクラスであるが、別にFクラスの生徒は本当にAクラスに勝てるとは思っていない人間が半数を超えている。Fクラスでも上位クラスに勝てる、という確証が存在しない今、Eクラスという手頃な敵を倒すだけでDクラスの設備が手に入れられるならそれに越したことはない。そして一度でもDクラスの設備を手に入れたFクラスの生徒はわざわざAクラスに挑戦しなくても、と考え始める。

 

 降伏宣言をする際に悔しがっていた所から平賀にその意図は無いと思うがAクラスへの嫉妬心を煽って戦いを挑む雄二にとって、今の状況は面白くない。条件付き降伏を受け入れても蹴ってもあまり良い状況ではない。

 

 表面上、少し考えている振りをしながら高速で状況を整理してAクラス打倒の道のりを思い描く雄二。金丸という予想外の影響力すら計算に入れて雄二は新たな軌跡を見出す。

 

「悪いがその提案は蹴らせてもらう」

「いいのか? 提案した俺が言うのもなんだけど、かなり譲歩したほうだぞ?」

 

 提案を蹴った雄二に平賀は純粋に驚いた表情を浮かべる。そして内心で舌を巻く。提案した側の平賀は断られると思っていなかった。

 

「ああ、俺達の目標はあくまでAクラスだ。Dクラスの設備に興味無い」

「……は? それは本気か?」

「その代わりと言うのはなんだが、Dクラスとは協定を結ぶ。俺達は目標をDクラスからCクラスに引き上げる。その代わり、DクラスはEクラスが余計なことをしないように監視してくれ。それとAクラス攻略の際には手伝ってもらいたい。金丸と“姫路”だけでは荷が重いからな」

「え、私ですか?」

「いや、まさか。…………参った。お手上げだよ。お前、本当にFクラスの代表かよ」

 

 目がテンになっているFクラス生徒とは違い、雄二の発言を吟味して整理した平賀は雄二の意図に気付いた。教室の裏にいた姫路が雄二の言葉に反応した。思い掛けない姫路の登場に平賀は驚いた後、これは敵わないと溜息を吐く。ニヤリと笑っている雄二に平賀は苦笑を浮かべるしかない。

 

「“ソレ”に気付かせてくれたのはDクラスだからな。これでも感謝しているんだぜ。」

「判ったよ。完全に俺達の負けだ。妙な要求じゃあない限り、手伝わせてもらうさ」

 

 雄二と握手を交わした平賀はそう言うとFクラスを去っていく。

 

 FクラスとDクラスの戦争は大半のFクラス生徒に意味不明のまま、始まる前に終結した。

 

 

 

 

「………………」

「………………」

「………………」

 

 始まる前に終わった戦争を前にして、Fクラスを沈黙が包み込む。大半の生徒は雄二と平賀の間で行われた会話の攻防を理解出来ていない。悪知恵が働かないとはいえあの姫路でさえ、この状況がどういう状況なのか理解出来ていない。そんな中、一人満足そうに笑っている金丸へ雄二が苦言を呈す。

 

「なんのつもりか知らないが、俺を試してどうするつもりだったんだ?」

「いやなに、Aクラス打倒を掲げたのだ。それ相応の頭脳があるかどうか、試したくなっただけだ」

「それで結果は?」

「やはり最上だ」

 

 眉間に皺を寄せる雄二とは対照的に満面の笑みを浮かべている金丸。二人だけの間で成立している会話に恐る恐る挙手する明久。

 

「え~と、二人とも何の話をしてるのさ」

 

 それは明久の意見であると同時にFクラス全体の意見でもあった。会話を理解出来ていない他の生徒にとって二人の会話は奇妙奇天烈に映っている。

 

「ふむ、本来なら説明せずとも察して欲しかったがそれは無理か。簡単に言ってしまえば、私が雄二を試させてもらった」

「雄二を試す?」

「ああ、そうだ。私は雄二の“人を有能足らしめる才”について認めている。だが、指揮官としての才能は知らなかったのでな。こんな状況とはいえ、試させてもらった」

「だからつまり、どういう意味なのじゃ?」

「弱さが武器にもなるってことだよ」

「……弱さが武器?」

 

 怪訝そうな秀吉に雄二が答えた。しかし、それでも要領を得ない明久達はお互いに顔を見合わせている。

 

「ふむ、こう言えば判るな。Fクラスの設備は他のクラスにとって武器となる」

「あ、そういうことですか」

「なるほどの……」

「……理解した」

 

 金丸の言葉に数人の生徒が納得した様子で頷く。

 

「ああ、そういうことか……」

「やっぱそういうことか」

「俺の思った通りだぜ」

 

 あちらこちらから取りあえずこの流れに乗っておけ、と呟いている馬鹿達を無視して雄二が説明を始める。

 

「他のクラスにとってFクラスの設備はどうしても回避したい設備だ。それはDクラスの反応を見れば判っただろう。ならば、Fクラスに“負ける可能性”があるクラスにとって、Fクラスは脅威だ。もし戦争に負けた場合、Fクラスの設備まで堕ちるんだからな」

 

 Dクラスにとって金丸が存在するだけでFクラスは負ける可能性が高いクラスだった。DクラスはFクラスの設備が嫌だった為、条件付き降伏してきたくらいだ。つまり少しでもFクラスに“負ける可能性”があるクラスにとってFクラスが挑んでくるほど迷惑で嫌なモノは無い。戦争に負けたらFクラスの設備へ転落するのだ。Fクラスと他のクラスでは敗北した際の損失が大き過ぎる。それこそ戦力的に不利な筈のFクラスと交渉しなければならないくらいに。そしてFクラスの矛先は常にAクラスを向いている。

 

 それをわざわざ自身のクラスへ向ける必要は無い。Fクラスの言うことを適当に聞いていればそれだけで後はFクラスがAクラスへ挑んで自爆する。他のクラスはそれを望み、Fクラスはその思惑を利用して従う他のクラスを顎で使う。金丸と姫路という二大戦力と劣悪なFクラス設備。この二つが揃ったからこそ行える、外交制圧だ。

 

「悪い、金丸。今度は姫路を連れて“二人”でCクラスに宣戦布告してきてくれないか?」

「ああ、任された」

「はい、判りました」

 

 極悪人が浮かべる邪悪な笑みを見せる雄二と金丸。一人、緊張した様子で立ち上がる姫路は何処か場違いである。

 

「……私達CクラスはFクラスに従うわ」

 

 それから数分後、金丸と姫路。二大戦力の前に屈服したCクラスの姿があった。

 




チートキャラがいるのに原作沿いは不自然だと思った結果、こんなことになりました。
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