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栞はもう長くはない、という衝撃の事実を突きつけられた霊夢たち。悲しみに暮れる暇もなく、突然命蓮寺に豊聡耳神子がやってくる。彼女は命蓮寺との決着をつけるべく武術大会の開催を提案したのだ。白蓮も同意し、翌日に武術大会が開かれることとなった……
命蓮寺。この寺の居間で、命蓮寺のメンバー全員と、霊夢、魔理沙、幽助が集められていた。
「それで、どうするんだよ?その5人ってのは。」
魔理沙はそわそわしながら白蓮に問う。
魔理沙は武術大会と聞いてうずうずしているのだ。
「ええ。これは命蓮寺と神子たちの問題です。魔理沙さんたちを巻き込むわけにはいきませんので。」
しかし白蓮は魔理沙たちを出場させる気は無いようだ。
「むう……」
魔理沙は不満そうに口を尖らせる。
「それで、メンバーはどうするのよ?」
今度は霊夢が白蓮に問う。
「そうですね、私は入るとして、一輪、星、ぬえ、ですかね?」
「ん?あと1人はどうすんだ?」
魔理沙が白蓮に尋ねると、
「最後の1人は、浦飯幽助さん、あなたです。」
「はぁ?」
幽助の口から思わずそんな声が漏れてしまう。
「いい機会ではないですか。幽助さんの実力を推し量る、ね。」
「へっ、どこ行ってもそれだな。大人しく協力するって選択肢はねーのかよ。」
幽助は皮肉を込めて言う。
「まぁ、皆さん心配なんですよ。お互いが。みんな迷っているのです。このまま戦っても、勝てないのではないか、と。」
「どういうことだよ?」
「トドメをさせるのは霊夢さんだけ。その上数が多すぎる。気づいてはいないかもしれませんが、皆、彼女、霊奈との戦いで多少なりとも闘志を折られているのです。」
「あのとき、貴女たちやあの人がいらっしゃらなかったら、と思うと、どうしようもなく怖くなるのです。」
白蓮は声とは裏腹に、手は微妙に震えていた。
「…………」
命蓮寺居間の外で木にもたれかかって腕組みをし、俯いて話を聞いていた神子は腕組みを解く。
「太子さま………」
布都は心配そうに神子を見つめる。
「ええ。聖白蓮の言う通りです。私たちではあの女に手も足も出なかった。彼がいなかったら、間違いなくこの幻想郷は終わっていましたよ。……私たちは知りたいのよ。あの男が、浦飯幽助が、この幻想郷を救ってくれる者なのか。それに、貴女もいますし。そうですよね、真澄さん?」
神子はそう言って後ろを振り向き、ローブを着た女性に微笑みかける。
「ええ。神子。」
真澄と呼ばれた女性はどこか邪気を漂わせながら笑みを浮かべる。
翌日、再び命蓮寺の居間に集まった白蓮、幽助、霊夢、魔理沙。
星たちはどうやら先に行っているようだ。
「それでは、先鋒はぬえ、次鋒は一輪、中堅は星、副将は私、大将は、幽助さんでいいですね?」
「ったく、しょうがねえな。やりゃあいいんだろ。」
幽助は頭をかきながら白蓮に言う。
「でも、神子たちは5人と言ったって誰で来るのかしら。ふつうに考えれば芳香、青娥、屠自古、布都、神子だろうけど。」
すると、霊夢が顎に手を当てて考える仕草を見せる。
「いや、あいつのことだし、そんな単調な考えじゃあねえだろ。私たちにゃ考えられない奴を連れて来たりする奴さ。」
魔理沙が苦笑いを浮かべながら霊夢に言う。
「では、行きましょうか。人里にリングを作っておく、と神子が言っていましたから。」
すると、白蓮はすっくと立ち上がり、襖に手をかける。
「ま、行ってみたらわかるわ、魔理沙。」
「ん、そうだな。行きゃあわかるよな。」
それに続いて、霊夢たちも命蓮寺を後にした。
「お、なんじゃありゃ。」
ふと、魔理沙が声をあげる。
魔理沙たちの視線の先には、大量の見物人と巨大な正方形のリングが鎮座していた。
「へっ、喧嘩でライバル同士の決着つけるにゃあせこいリングだぜ。」
魔理沙は嘲るように言う。
「来ましたね。」
すると、リングの上から神子の声が響いてくる。
「よく物怖じせずに来れましたね。」
「あまり舐めてもらっては困りますね。これでも彼女らを預かる身ですから。」
試合が始まる前から神子と白蓮の間で既にヒートアップしてきている。
「おい、神子とか言ったな。こんなに客が来るなんざ聞いてねーぞ。」
すると、幽助が神子と白蓮の間に入ってくる。
「人里にも道楽に飢えた者たちがいますからね。たまにはこんなのもいいでしょう。」
「ふん」
幽助は表情を強張らせたまま神子を見る。
すると、神子の後ろにいたローブで顔と全身を隠した女性の強烈なオーラに、霊夢と魔理沙、幽助は瞬時に反応した。
「おい霊夢。知ってるやつか?」
「いいえ。あんなの見たこともないわ。」
「だよな。私もあんな気感じたのは初めてだ。」
魔理沙も霊夢は互いだけに聞こえるように話す。
「おいてめー、なにもんだ。答えろ。てめーの強烈な気は隠せねーぞ。」
「お初お目にかかります、浦飯幽助、博麗霊夢、霧雨魔理沙。私は、真澄。訳あって神子に協力している者です。
よろしく」
すると、真澄と名乗る女性は半ば無理矢理に幽助の手を掴む。
「よろしく。」
その時、その場にいた人の中では魔理沙と霊夢だけが真澄の放つ黒いオーラに気づいた。
「……!」
幽助もそれに気づいたのか、幽助自身も黄泉との戦いで使用した黄金の気を放つ。
「………」
ローブのせいで真澄の表情は読めなかったが、幽助の放つ気に気づいたのか、ふっと吹き出し、黒いオーラをしまう。
「いい試合になるといいですね。」
真澄はそれだけ言い残し、踵を返していつのまにかリングの外にいっていた神子のもとへ向かっていった。
「さぁ!道教vs仏教!なぜかはわからないが武術大会が開かれるぞ!司会進行は、私射命丸文が務めさせていただきまぁす!!」
すると、扇子を持った女性がマイクを持って実況席で大声をあげていた。
「なんだあいつ。」
幽助は冷ややかな視線を送る。
「あれは妖怪の山に住んでる鴉天狗の射命丸文。捏造ばっかする新聞記者よ。あと、面白いことがあったらどんどん首突っ込むタイプだから、どっかから聞きつけて来たのね。」
霊夢は幽助に説明して、はぁ、とため息を吐く。
「ほんとに、天狗の情報網は侮れないわね。霊夢は諦め気味に文を見る。
すると、霊夢の視線に文が気づいたのか、文はニヤァ、と笑ってハンドサインを送る。
「けっ!」
気に入らないのか、霊夢は即座に視線を逸らす。
すると、幽助は文の隣にもう2人誰かが座っていることに気づいた。
「おい霊夢。ありゃあ誰だ?」
幽助が文の隣の女性2人を指差す。
「ああ。あれは……」
霊夢が幽助に教えようとすると、
「ありゃあ閻魔の四季映姫・ヤマザナドゥと、死神の小野塚小町だな。ちなみに、映姫は四季映姫だけが名前で、ヤマザナドゥってのは役職名だから気をつけろよ。間違えると説教されるぜ。」
魔理沙が割り込んで答え、にしし、と歯を見せて笑う。
(そういやぼたんとコエンマはなにやってんだろうな……)
ふと、幽助が思うと、映姫たちがこちらに気づき、近寄ってきた。
「やべっ、あの説教オタク、こっち来やがったぜ。」
魔理沙はめんどくさそうに言ってそそくさとその場から離れた。
それに続き、霊夢もその場から離れる。
「浦飯幽助、さんですね?」
「ああ、そうだ。俺に何か用か。」
幽助は映姫に突っかかる。
「貴方の噂が存じています。霊夢と同じ霊気使いなのだとか。」
「映姫さまぁ、もう試合始まりますよ?早く戻りましょうよ〜〜。」
映姫の後ろについてきた小町はあくびをしながら映姫に言う。
「ん?あんた……」
すると、小町は目を細めて幽助を見る。
「あ?んだよ。」
幽助は小町を睨む。
「あんた、ぼたんって死神知ってるね?」
「なんで知ったんだよ?」
「だって、あんたにぼたんの気配がすこーしついてんだもん。」
小町は耳に指を突っ込みながら言う。
「あたいらの友好ネットワークを舐めてもらっちゃあ困るね。例え世界が違おうと知り合いになれるってもんさ。」
「それに、コエンマって人のことも知ってるよ。」
小町は幽助に耳打ちする。
「へっ、知ってたのかよ。」
幽助は少し吹き出して、小町に言う。
「小町、そこらへんにしておいて下さい。幽助。ここからが本題なのですが、この大会、なにかがおかしいです。この会場付近に、邪悪な気配が漂っています。おそらく、燼魔かと。」
「ああ。俺もなんとなくは感じてるさ。」
幽助は周りを見ながら映姫に言う。
すると、スピーカーから文の声が響いてきた。
「さぁ!いよいよ開幕です!まずは、第一回戦、封獣ぬえ選手vs霍青娥選手!」
「それでは、両選手、リングへどうぞー!」
「………芳香じゃないのね。」
霊夢は訝しむように言う。
「ああ。一波乱ありそうだぜ、この大会。」
魔理沙も周りの気配に気づいているようだ。
すると、いつのまにかリングの上にぬえと青娥が登っていた。
そして、文の声がスピーカーから響く。
「それでは、先鋒戦、開始です!!」
いかがでしたか?第10話は以上です。
〜〜〜次回予告〜〜〜
「青娥って奴もぬえって奴もなかなかやりやがるが、やっぱあいつが引っかかるぜ……」
「あいつ、なんか変な気配を纏ってやがるぜ。あいつ、副将みたいだし、白蓮は気をつけてほしいよな。」
「このまま平和に行きゃあいいんだがな。
次回、波乱の人里白神武術会、開始!
伊達にあの世は見てねーぜ!!」