廃人の世界救済録(仮)   作:たぬさん蕎麦

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目覚めたのは酒場

真っ白な視界が落ち着き、私は目を覚ました

酒の臭い、鳴り止まない喧騒

どうやらここは酒場のようだ

なぜ最初から酒場で酒を飲んでいるのかは分からないが、あの女神の思惑だろう

酒場を出たところで何かできるわけでも無い

ジャーナルを確認すると、私はここで勇者とやらを待っていれば良いらしい

仕方なく手元にあったビアをちびちびと飲み待つことにした

 

目を覚ましてから10分程だろうか、酒場の扉が開いた

入ってきたのは全体的に青っぽい少年だ

年の頃は16前後と言ったところか

年齢と外見が私のように一致しないのなら別だが、この世界の常識も学んでいかなければないだろう

 

「僕は勇者オルテガの息子アレル!

魔王バラモス討伐のために仲間を集めに来た!

誰か、僕と共に来る者は居ないか!」

 

少年の声に、一瞬酒場が静まり………笑い声にあふれた

 

「ハッハッハ!あいつバラモスを倒しに行くんだってよ!」

 

「あのオルテガの息子だってんだから期待してたが、とんだチンチクリンじゃねぇか!」

 

「オルテガに倒せなかったんだ、お前みたいなガキが倒せるかよ!」

 

「………っ!」

 

アレルと言う少年は、その声に悔しそうに顔を歪ませる

まぁ少なくとも今は力が足りてないだろうから、この先の成長に期待と言ったところか

ま、私が死ぬためにも着いていってやるとしよう

 

「それじゃ、私が共に行こうか」

 

「!」

 

「そう驚いた顔をするな、あぁやって笑ってるのは自分に自信を持てなくて、魔王討伐とやらも諦め切った敗者だ、あんな奴らの言うことも気にする必用は無い」

 

「んだとこのアマ!」

 

最初にアレル少年を笑った男が私に食ってかかり、拳を振りかぶる

困ったな、敵対されると復活の魔法じゃ蘇生出来ないんだが

しかたない、あれで行くか

 

「舐めた口利いてんじゃねぇぞ!」

 

拳を振り下ろしてくるが………遅いな、速度80と言ったところか、なんのバフも掛けていない私でも25回は動けるぞ

私は窃盗技能で少年の背中の剣を掠め取り……ろくに刃は無いが両刃か、仕方ない

剣の腹の部分で男を吹っ飛ばす

 

「安心めされよ、峰打ちにござる……なんて」

 

うん、死んでないな

魔法威力の盛られた私の癒しの手じゃ回復オーバーフローを起こして大変な事になるし、放置で良いか

少年から掠め取ったブロンズの長剣を返す

 

「じゃ、行こうか少年 ここに居てもロクな仲間は集まりそうにないしね」

 

「え、あ、いつの間に!? じゃなくて、わかりました!」

 

少年を連れ立って酒場をあとに………と、そう言えばビアの代金を払ってなかったな

まぁこの世界のお金は多分無いだろうし、現物で………あぁ、こないだ給料箱に入ってた金塊が四次元ポケットに入ったままだったかな

 

「これは酒代、お釣りはとっといて」

 

「え、えぇ……こんな人店に来てたかしら………」

 

何か言っていたが気にしても無駄だろう、改めて少年を連れ立って酒場をあとにした

さて、勇者と思われる少年と会えたんだ、ジャーナルが更新されているはずだが………

なるほど、次はナジミの塔とやらを登ればいいのか

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