半端者が創造神となる日   作:リヴィ(Live)

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十二話 《幼き二つの紅い月(スカーレット姉妹)》vs《吸血の熾天使(ヴァンパイア・セラフィム)

【レミリア】

 

「私達はお姉様を止めるために決闘を申し込むわ」

 

 お姉様を館のその外へと誘導し、私は言った。

 

 ──────お姉様を止める方法。

 

 まず私一人では勝ち目はない。私の力なんてお姉様の足元にも及ばない。けれど、二人なら、希望は見える。

 ………二対一、たしかに卑怯だけれど、お姉様を危険に晒すよりはマシだ。

 

「──ちなみに、理由は?」

 

 お姉様は私の言葉に驚いた後、すぐさま冷静になり聞き返してきた。

 

「魔界へ行くんでしょ?……それも、物凄く危険なやつに会いに」

「…どこでそれを」

「……たまたま部屋を通った時に」

 

 お姉様の瞳が細くなる。私達はそれでも怯まず、問いかけた。

 

「…私の能力で、お姉様の糸はちぎれていた。その意味くらいは、分かるでしょ?」

「───なるほど。レミリア達はそれを回避したいんだね?」

 

 ──────行かせたくない。

 このまま行かせてしまえば、私……いや、私達はきっと後悔することになる。もう元の生活に戻れなくなる気がする。

 

 だからこそ、止める。

 

 あらゆる手段を使おうと、止めなければならない。

 

 ─────私達の大好きなお姉様を、死なせたくないから。

 

「──確かに、レミリアの言う通り、それが運命なら起こりうるんだろうね」

 

 お姉様は顔を伏せ、淡々と話し始める。

 

「なら、私はその運命を覆す。愛する妹達が待っているのだもの」

「…やめて、お姉様」

 

 ──────私の本能が行っている。

 行かせてはならない。行かせたら取り返しのつかないことになる。

 

「…私は進む。貴方達を守るために進まなきゃいけない。でも、それを邪魔するなら───」

 

 

 

 ─────たとえ守るべきものでも、私は容赦はしないよ。

 

 

 

 お姉様から莫大な魔力が放たれる。そして、お姉様の象徴たる熾天使の翼が現れ、三対六翼の翼は月日に照らされより一層輝きを増す。

 

「…フラン、行くわよ」

「…うん、レミリアお姉様」

 

 私は魔力を回し、《全を貫く紅槍(スピア・ザ・グングニル)》をその手に構える。フランはそれに対し、昔に教えた具現化を使い、炎の剣……《全を焼き尽くす紅剣(レーヴァテイン)》を構える。

 それを見たお姉様は、《輝ける黒き宝石(魔剣グラム)》をその手に創り出し、さらに数本を浮遊させる形で待機させる。

 

「────」

 

 お姉様は自然な形で一歩踏み出す。

 

 その踏み出した足から、私達に向かって大量の氷の刃が地面から牙を向く。それを浮遊する形で回避し、切りかかった。

 

 グングニル、レーヴァテインがお姉様のグラムとぶつかり、火花を上げる。お姉様それでも顔色一つ変えずに、私達の武器による攻撃を防御していく。

 

「──創造、開始(デザイン・スタート)

 

 お姉様は創造のための詠唱を唱え始める。それを必死に止めようとしても、周りのグラムが私たちの攻撃を止めてしまう。

 

「──模倣(レーヴァテイン)

 

 そう呟くと、フランの持つレーヴァテインと全く同質の炎の剣がお姉様の手に現れ、私達を振り払う為に猛威を振るう。

 

「ッ……まだ!」

 

 それでも、私達は怯まず攻撃をしていく。さらに身体強化の魔法をかけ、速度を上げていく。フランも同様に、お姉様を攻撃した。

 

「─ッ」

 

 やっとお姉様は苦しそうな顔をし始めた。

 

 ────確実に、追い詰めている。

 

 このまま─────。

 

 

「───甘い」

 

 

 そう思った時、お姉様から膨大な魔力の衝撃波が放たれ、私たちは吹き飛ばされる。

 

「───《滅光(ホーリー)》」

 

 浮遊して飛び上がったお姉様がそう呟くと、お姉様の背後に数え切れない無数の小さな魔法陣が描かれる。

 

 そして、お姉様の手が振り下ろされ、その無数の魔法陣は光の砲撃を放つ。その光の砲撃たちは彗星の如く降り注がれる。

 

 その余りの密度に何度も掠り傷を負う。それでも諦めるわけには行かない。フランと共にその光の雨を切り抜けるために必死に回避していく。

 

 ────このままでは埒が明かない。

 

 どうすれば─────。

 

 

「!────フラン!レーヴァテインに全魔力を注いで!!」

 

 

 フランは驚きつつも、私の言うとおりにレーヴァテインに魔力を回し、その炎の激しさを増していく。

 

 私はグングニルに魔力を回し、フランに合図を送った。

 

 その最大限魔力を回したレーヴァテインを、フランは大きく振りかぶる。

 

 そのレーヴァテインと光の雨はぶつかり合い、大きな爆発を起こした。その爆発はお姉様を覆う。

 

 ────目くらまし。

 

 

 そのまま私はお姉様の背後に回り、グングニルを突き刺そうとする。

 が、お姉様はその手に持つグラムで私のグングニルを防いだ。その手の持つグラムで防ぐあたり、相当焦っているのだろう。

 

 ───今よ、フラン。

 

 刹那、私の攻撃を防ぐお姉様の背後から、最大限解放したレーヴァテインをお姉様に振るおうとするフランが現れる。

 

 それに気づいたお姉様は咄嗟に周りのグラムで防ごうとするが、あまりの魔力の密度にグラムは悉く砕け散る。

 

「っ───」

 

 レーヴァテインがお姉様を切り裂こうとした時─────。

 

 

 

 

「───《凶星乱舞》」

 

 

 

 

 お姉様はそう呟いた瞬間、これまでとは比べ物にならない魔力の衝撃波が放たれ、再び私達は吹き飛ばされる。

 

 そして、お姉様に振り向けば───。

 

 先程とは比べものにならないほど巨大となった六翼か広がり、背後には魔力の塊と思われる球体が、待ち構えていた。

 

 ───────間違いなく、お姉様は本気だった。

 

 

 

「偽りの星よ────滅ぼせ」

 

 

 

 

 その嘆きとともに、その球体は隕石のように降り注がれる。

 

 止められなかった。

 

 

 悔しい。

 

 ────────私達の意識は、そこで途切れた。




bgm……やっぱ神話幻想ですかね
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