【レミリア】
「私達はお姉様を止めるために決闘を申し込むわ」
お姉様を館のその外へと誘導し、私は言った。
──────お姉様を止める方法。
まず私一人では勝ち目はない。私の力なんてお姉様の足元にも及ばない。けれど、二人なら、希望は見える。
………二対一、たしかに卑怯だけれど、お姉様を危険に晒すよりはマシだ。
「──ちなみに、理由は?」
お姉様は私の言葉に驚いた後、すぐさま冷静になり聞き返してきた。
「魔界へ行くんでしょ?……それも、物凄く危険なやつに会いに」
「…どこでそれを」
「……たまたま部屋を通った時に」
お姉様の瞳が細くなる。私達はそれでも怯まず、問いかけた。
「…私の能力で、お姉様の糸はちぎれていた。その意味くらいは、分かるでしょ?」
「───なるほど。レミリア達はそれを回避したいんだね?」
──────行かせたくない。
このまま行かせてしまえば、私……いや、私達はきっと後悔することになる。もう元の生活に戻れなくなる気がする。
だからこそ、止める。
あらゆる手段を使おうと、止めなければならない。
─────私達の大好きなお姉様を、死なせたくないから。
「──確かに、レミリアの言う通り、それが運命なら起こりうるんだろうね」
お姉様は顔を伏せ、淡々と話し始める。
「なら、私はその運命を覆す。愛する妹達が待っているのだもの」
「…やめて、お姉様」
──────私の本能が行っている。
行かせてはならない。行かせたら取り返しのつかないことになる。
「…私は進む。貴方達を守るために進まなきゃいけない。でも、それを邪魔するなら───」
─────たとえ守るべきものでも、私は容赦はしないよ。
お姉様から莫大な魔力が放たれる。そして、お姉様の象徴たる熾天使の翼が現れ、三対六翼の翼は月日に照らされより一層輝きを増す。
「…フラン、行くわよ」
「…うん、レミリアお姉様」
私は魔力を回し、《
それを見たお姉様は、《
「────」
お姉様は自然な形で一歩踏み出す。
その踏み出した足から、私達に向かって大量の氷の刃が地面から牙を向く。それを浮遊する形で回避し、切りかかった。
グングニル、レーヴァテインがお姉様のグラムとぶつかり、火花を上げる。お姉様それでも顔色一つ変えずに、私達の武器による攻撃を防御していく。
「──
お姉様は創造のための詠唱を唱え始める。それを必死に止めようとしても、周りのグラムが私たちの攻撃を止めてしまう。
「──
そう呟くと、フランの持つレーヴァテインと全く同質の炎の剣がお姉様の手に現れ、私達を振り払う為に猛威を振るう。
「ッ……まだ!」
それでも、私達は怯まず攻撃をしていく。さらに身体強化の魔法をかけ、速度を上げていく。フランも同様に、お姉様を攻撃した。
「─ッ」
やっとお姉様は苦しそうな顔をし始めた。
────確実に、追い詰めている。
このまま─────。
「───甘い」
そう思った時、お姉様から膨大な魔力の衝撃波が放たれ、私たちは吹き飛ばされる。
「───《
浮遊して飛び上がったお姉様がそう呟くと、お姉様の背後に数え切れない無数の小さな魔法陣が描かれる。
そして、お姉様の手が振り下ろされ、その無数の魔法陣は光の砲撃を放つ。その光の砲撃たちは彗星の如く降り注がれる。
その余りの密度に何度も掠り傷を負う。それでも諦めるわけには行かない。フランと共にその光の雨を切り抜けるために必死に回避していく。
────このままでは埒が明かない。
どうすれば─────。
「!────フラン!レーヴァテインに全魔力を注いで!!」
フランは驚きつつも、私の言うとおりにレーヴァテインに魔力を回し、その炎の激しさを増していく。
私はグングニルに魔力を回し、フランに合図を送った。
その最大限魔力を回したレーヴァテインを、フランは大きく振りかぶる。
そのレーヴァテインと光の雨はぶつかり合い、大きな爆発を起こした。その爆発はお姉様を覆う。
────目くらまし。
そのまま私はお姉様の背後に回り、グングニルを突き刺そうとする。
が、お姉様はその手に持つグラムで私のグングニルを防いだ。その手の持つグラムで防ぐあたり、相当焦っているのだろう。
───今よ、フラン。
刹那、私の攻撃を防ぐお姉様の背後から、最大限解放したレーヴァテインをお姉様に振るおうとするフランが現れる。
それに気づいたお姉様は咄嗟に周りのグラムで防ごうとするが、あまりの魔力の密度にグラムは悉く砕け散る。
「っ───」
レーヴァテインがお姉様を切り裂こうとした時─────。
「───《凶星乱舞》」
お姉様はそう呟いた瞬間、これまでとは比べ物にならない魔力の衝撃波が放たれ、再び私達は吹き飛ばされる。
そして、お姉様に振り向けば───。
先程とは比べものにならないほど巨大となった六翼か広がり、背後には魔力の塊と思われる球体が、待ち構えていた。
───────間違いなく、お姉様は本気だった。
「偽りの星よ────滅ぼせ」
その嘆きとともに、その球体は隕石のように降り注がれる。
止められなかった。
悔しい。
────────私達の意識は、そこで途切れた。
bgm……やっぱ神話幻想ですかね