半端者が創造神となる日   作:リヴィ(Live)

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はい、サリエル戦、前編でごわす。


二十三話 いざ、倒れ逝くその時まで

【リリス】

 

 最初に駆けたのはコンガラだった。コンガラは巻き込むように刀を振りかざし、魔力を込めて振りかざした際に生じる衝撃を操り、巨大な紅い竜巻を発生させた。その竜巻はサリエルを呑み込まんと迫るが──

 

 それは、サリエルの指先ひとつで破壊(・・)された。

 

 

 パァンッ!!という風船が割れる音よりも強烈な破裂音とともに竜巻は砕け散り、纏っていた紅い風が散り散りとなる。さらにサリエルは二つの球体を作り出し、一つ一つが万物を破壊しうる力を持つ魔力弾が群れをなして放たれる。私をはじめとした三人は浮遊することでそれを避けるが、私たちが地に立っていた場所は轟音を立てながら何十個もクレーターを作り出していた。

 

「──《憤怒(グラム)》」

 

 私はその弾幕をくぐり抜けて、グラムを複数創造して切りかかる。そしてそれに気づいたサリエルが浮遊して弾幕を放つ球体をリリスの前に寄せ付け、ゼロ距離で弾幕を放たんとするが──。

 

「「邪魔よ(邪魔だ)」」

 

 コンガラと神綺がその球体を叩き落とし、地面に激突した球体が轟音をあげた。そしてがら空きになったサリエルにグラムが迫る───。

 

 

 

 

 

 

 

「甘いぞ小娘」

 

 

 

 

 

 

 ────だが。

 

 その杖に魔力を込め、大きな魔力剣を作り出したサリエルがその杖剣をゼロ距離で振りかざした。自動的に防ごうとする周りに浮遊するグラムが私に迫るその魔力剣を防ごうとするものの、破壊の力により触れた瞬間にグラムが砕け散る。その魔力剣から離れようとブレーキをかけるが時すでに遅し、その魔力剣が私の胴体に直撃し、血飛沫を飛ばす。

 

 

 

 

 

 

「───甘いのは貴方だよ」

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、その血飛沫を飛ばした私の体(・・・)は影の如く消え失せた。そう、私は一筋縄では行かないと分身を創り出し突進させて、本体である私は隙を伺い背後に回っていたのだ。

 

 

「《憤怒の鉄槌(グラム・モルガン)》──ッ!!」

 

 

 私は振りかざした際に生じる隙をついて、魔力をグラムに込めて、真っ黒な魔力を纏い大剣となったグラムをサリエルに振るった。

 

 

 

 

「舐めるなよ」

 

 

 

 

 しかし、サリエルは振るった際に生じた余った勢いを利用し、そのまま身体を一回転させてその魔力剣をグラムとぶつけ、魔力の火花をあげる(・・・・・・・・)

 

「(──ほう、なかなか考えるな)」

「ぐぅ───ッ!!」

 

 そう、火花をあげたのた。触れた瞬間、破壊されずに。

 

 その理由は単純明快。触れてすぐ破壊されるなら、破壊する速度を上回る速度で魔力を補充し続けて再生し続ければいい。力でダメならば数で押し切る、という極めてシンプルなものだった。

 しかし、これにはある欠点がある───

 

「(ダメ、こっちが持たない……ッ!!)」

 

 それは、その魔力消費の激しさだ。

 ただでさえグラムに妖怪ですら一撃で葬れるような魔力を纏わせて、さらに再生による魔力の消費はとても無視できるものでは無い。雑魚ならばまだしも、相手は月の支配者であり一夜にして魔界と地獄を蹂躙し尽くした死の天使。長期戦が予想されるこの戦いでは、魔力を消費したくないのだ。

 

 私はこのままではまずいと判断し、サリエルの魔力剣をグラムで受け流す形で攻撃を反らせ、その隙に距離を取った。

 

 入れ替わる形でコンガラと神綺と交代し、コンガラは刀に魔力を纏わせ、神綺は無数の槍を投影し斬りかかった。

 

「《不動明王の倶利伽羅剣(ふどうみょうおうのくりからけん)》」

「《穿つ紅槍の雨(ゲイ・ボルク・クリード)》」

 

 紅い神力を帯びた刀と神力を帯びた真紅の槍の雨がサリエルに降り注ぐ。サリエルはその降り注ぐ槍の量より多く破壊の球を創り出し、全て槍へと命中させ相殺させた。しかし休む暇を与えんとコンガラの真っ赤な神力を纏った断罪の剣をサリエルは魔力剣を振るうことでその剣を破壊する。その勢いに載せ、サリエルは魔力剣を大きく振りかぶり、鞭のように振るわれた。

 

 私達はそれらを見て散り散りに回避し、鞭のように打たれた場所が轟音をあげて崩れ落ちていく。あれはたとえ破壊の力を含んでいなくとも当たれば即死亡確定のものだということを示していた。

 

 私はもう一度グラムに魔力を纏わせて、大剣と成しその振るわれる魔力剣の隙間を縫って行く。当たりそうになった魔力剣をそのグラムと相殺したりするなど、自分の身を最優先に考えて。

 こういうのはやはり命を大事に、というやつだ。死んではこいつを倒そうも何も無い。命あってのなんとやらという諺があるように、死んでは元も子もないのだ。

 

 そうしているうちに、私はサリエルの懐に潜り込んだ。私はグラムではなく、魔力を纏わせた長い爪を使い、その魔力剣を吹き飛ばすために振るった。吹き飛ばすために触れた際、破壊の力が発動するも、それは纏った魔力が防御膜となり、破壊の力を相殺する。そして勢いは殺しきれず、その魔力剣となった杖は吹き飛んだ。

 

 ─────好機だ。

 

 私は無防備となったサリエルの腹を一閃するために、そのグラムを振るう。サリエルは咄嗟の結界を張るが、破壊の力には及ばないとはいえ圧倒的破壊力と再生力をもつグラム・モルガンをそう簡単に防げるものではなく、その防御結界は悉く砕け散り、そしてサリエルの上半身と下半身を両断した。

 

「やった────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とでも思ったか間抜けが」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「───っ!?」

 

 しかしその両断されたサリエルの体は闇に溶け込むかのように消え失せ、背中にザシュッ!という音と共に痛みが走った。その痛みを抑えながら、状況を整理した。

 

 この技は─────

 

「貴様の真似事だ。なかなか面白い技だな」

「くっ…───ッ!!」

 

 私はグラムをもう一度握りしめ、サリエルを両断すべく力一杯に振るう。しかしサリエルは先程のように魔力剣を作り出し、私のグラムと火花を散らす。あまりの予想外に脳が追いついていないのか、力もうまく入らず、魔力剣に押し切られ───

 

「っあァ……ッ!?」

 

 私の胴体に直撃し、私の胸から血飛沫が飛び出した。あまりの痛みに悶絶しそうになるも、なんとか体勢を整えようとするも、サリエルはその時間さえ与えず、私を破壊の力を乗せて思いっきり蹴りとばした。

 

 流れる景色などほんの僅か。すぐさま壁に激突し、背中、胸、腹の痛みが一気に流れ、意識さえ朦朧としていた。

 

「ゴフッ…っ!?はァ……は…ぁ……ァ…」

 

 背中は壁に激突した痛みと斬りつけられた痛みだが、胸は肺の器官を切り裂かれたのか、痛みとともに息がうまくできない。それどころか息を吸うのすら器官に激痛が走り、吐き出そうとすれば己の血が吐き出される。腹は破壊の力と蹴られた痛みによる、細胞が一つ一つ確実に死滅していく感覚がじわじわと迫る。

 

 

 

 

 

 ────私はここで、死ぬ?

 

 

 

 

 

 

 

 ────まさか、ここで終わるとでも?

 

 

 

 

 

 

 ────私は終わらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 こんなところで終わる訳にはいかない──ッ!!

 

 

「ウゥ……ッ!!」

 

 私は思考が定まらない脳に鞭を入れ、能力を使い一つ一つ細胞を一から創り出し、傷口を再生させていく。

 斬りつけられた背中、切り裂かれた肺、さらには死滅の進んでいた腹の細胞も全て一から創り出すことで再構築させた。

 

「ほぅ…細胞を一から創り出すとはな……だが、その細胞を残さず塵にしてくれよう」

 

 サリエルは先程とは比べ物にならない程の巨大な魔力剣を出現させ、私に振りかざした。まずい、今は能力の反動で動けない。

 

 どうすれば────

 

 

 

「──そうはさせん」

 

 

 

 私がそう考えているうちに、その魔力剣は何者かによって防がれた。

 互いに魔力を纏った剣が火花を散らし、その何者かは私が先程やったように受け流す形で攻撃を逸らした。先程まで魔力剣の光でよく見えなかったが、その赤い衣に身を包む赤いツノをもつ人物、それはコンガラだと判断するには大して時間もいらなかった。

 

「コンガラ…」

「無理はしないでくれ」

「…ありがとう」

 

 コンガラの救援により体勢を立て直した私は、もう一度浮遊する。

 

「くだらん友情ごっこか…虫唾が走る」

 

 サリエルはイラついたような表情で手を掲げる。そしてその六翼もバサッと羽根を伸ばし、その背後に無数の青い魔法陣が現れる。そして、サリエルは一言呟いた───

 

 

「《破滅(ホーリー)》」

 

 

 その一発一発が地を揺るがし、抉り取る破壊の弾幕が雨のよう降り注ぐ。流石にこの数はすこし気が引いたものの、そんなことを言っている場合ではないと体に鞭を打ち、私もサリエル同様、手を掲げて無数の魔法陣を展開する。

 

「《滅光(ホーリー)》ッ!!」

「《アイン・ソフ・オウル》ッ!!」

 

 それを見かねたのか、神綺も加わり、私と同じく破壊の雨を止めるべく魔法を放つ。神綺の魔法が壊されないよう、神綺に肩を預ける形で触れて流れる神綺の魔力に私の能力を付与し、迫る破壊の雨をひとつ残らず相殺していく。

 

 やがて相殺を超え、破壊の雨を押し切り、サリエルに隕石の雨の如く弾幕が降り注がれる。

 

 その弾幕の雨がサリエルに直撃せんとした時──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「─────魔眼(バロール)、解放」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その弾幕の雨は掻き消されたように死んだ(・・・・・・・・・・・・)

 




───サリエルさんなんかチート化してません?
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