半端者が創造神となる日   作:リヴィ(Live)

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二十六話 妖怪退治

【空】

 

 式神、というのはいわば契約した英霊のようなもの。主の命令は絶対であるし、式神とのパスを通じて主の魔力等を補給したりなど、その多様性から愛用するものも多い。かく言う私も妖怪の賢者たる紫様とその式神である妖獣の王、九尾の藍様の二人の式神である。

 

 実をいえば、主従関係というよりは家族関係に近い。紫様は私を女性なのに父親目線のような感じで接してくれるし、藍様に関してはそのまんまお母様とでも呼べるほどてある。とはいえ、主従関係であることには変わりない。もちろん役目もある。

 

 紫様は幻想郷全体の統括。藍様は幻想郷全体の結界管理、そしてその補佐。そして私は臨機応変に妖怪、人間の対応。

 

 博麗の巫女と共に妖怪の退治に出かけることも多い故、博麗の巫女の霊奈とは仲がいい。同じ立場というか似たもの同士というか、共通することがいくつかあるからだ。

 

 で、私は今単独で人里を襲っている妖怪達を処理するために人里に直行中なのだが───。

 

「…あれですか」

 

 あぁ、これはいけない。まだ被害は出ていないが、明らかに人里に住む人間を食い殺そうとしている。これはいけない。

 私は獲物を殺すことに夢中な妖怪の前に仁王立ちした。すると私に気がついたのか、神妙な顔で私について聞いた。

 

「んだァ?テメェよ…」

「ただのしがない人間ですよ。貴方達を殺すことを任された空という者です」

「あァ?人間風情が妖怪の俺らに敵うとでも思ってんのかァ!?ぶち殺すぞ糞餓鬼!」

 

 どうやら、私の言葉が癇に障ったらしい。短気じゃこの先、生きていけないってば。

 私はそう思いながら、迫る妖怪の拳を最小限の動きで避け───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────逆手で刀を持ち、抜刀とともにその妖怪の胴体を切り裂く。

 

 

 念は念を、ということでさらに切り裂かれて分裂した上半身と下半身をそれぞれ一回ずつ切り裂いて、上半身を滅多切りにした。

 

 

 

「……は?」

「弱いですね。この弱さじゃ私で十分です」

 

 

 

 子供の私が目の前の妖怪を滅茶苦茶に切り殺したことを受け入れられないのか、動揺したままの妖怪を好機と捉えた私は、地面を蹴って妖怪達との距離を一瞬にして縮め、右脇腹から左肩に向けて思いっきり刀を振るって血飛沫をあげる。そして足で地面に叩きつけ、その顔面を滅多切りにした。

 

「呆気ないですね。それでも妖怪ですか?」

 

 て、聞こえるはずないか。

 

 そう思いながら周囲を見渡し、さらに気配を探る。どうやら侵入した妖怪はこいつらだけだったようだ。

 

「後処理は頼みましたよ、慧音さん」

「あぁ、いつもすまないな」

「いえ、これが仕事ですからね」

 

 もう何度目かわからない程のやり取りをして、服についた血を拭き取る。ちょっと残っちゃったな…後で藍様に言っとこ。

 

 彼女は上白沢慧音。半妖で、普段は人里に住む人間の子供の教育……つまり、寺子屋を営んでいる。この人里に存在する強力な守護者の一人だ。しかし、彼女は満月でないと存分に力を発揮できない。こういう昼間などにはめっぽう弱い故、こうして私が昼間を担当し、夜を慧音さんが担当している。

 

「あれ?あの人は?」

「あぁ、彼女なら負傷した住民の治療だ」

「なるほど」

 

 私と慧音の会話の中で出た彼女というのは、藤原妹紅という不老不死の人間のことだ。慧音とともに人里を守ってくれる数少ない強者。

 だが、二人だけでは人手が回らないこともある。そのための私なのだけれども。

 

 まぁ、それはそれとして───

 

「それじゃ、あまり長居はしたくないので」

「あぁ」

 

 私の身体能力ゆえ、人間じゃないんじゃないかと思う人里の人達もいるのだ。それが大半。だからこそそんなに化け物を見るような目はもう鬱陶しくてたまらない。もううんざりなのだ、もう半端者(・・・)として見られるのは。

 

 

 

 

 ───半端者(・・・)

 

 

 

 

 

 私はいつから────いや、どこでそんなことを言われた?

 

 ズキッと頭が痛む。それらを考えようとする度に、それを拒絶しようと頭が金槌にでも打たれたかのような衝撃に襲われる。

 

 なんなんだ、この気持ちは。

 

 なんなんだ、この痛みは。

 

 

 それらを抱え、私は八雲家の家へと帰っていった。

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