半端者が創造神となる日   作:リヴィ(Live)

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お待たせしました。

こんなに期間が空いたくせに短いです。申し訳ありません…。


二十九話 失っても尚──

 ◆❖◇◇❖◆

 

【???】

 

 俺が見た光景は、かつて決闘で見た彼女のそれだった。

 先程まで青色の瞳だった人間の瞳は、右眼のみ(・・・・・)彼女が持つあの真紅の瞳に変化し、オッドアイのような状態。右側の背中からば彼女が持っていた天使のような翼が現れ、片翼となっている。

 

 まさか────

 

「ァァアアアッ!!!」

「ッ!」

 

 彼女は先程とは比べ物にならない速度で俺との距離をつめ刀を振るう。それを辛うじて防ぐも、これもさっきとは比にならない腕力がかかっており、弾かれてしまう。

 それをチャンスと見たのか、その三つの片翼はまるで刃のように変形して俺を貫かんと迫る。弾かれた影響で体制が崩れた俺は為す術もなく貫かれる。

 貫かれたまま天高くほおり投げられた俺は、その痛みを味わいつつ再生を試みる。だが、いつものように一瞬の再生とはいかなかった。

 

 ───打ち消す力。それに限らずあらゆる生み出すことが出来るのは、俺が知る中でもただ一人。

 

 そうやって頭を回していると───

 

 

 

 俺の眼科には、無数に俺に向かって刃をむくあの黒い竜殺しの魔剣が。

 

 そして、彼女の合図とともにそれらは動き出し、為す術もない俺はただただ串刺しにされるのみ。

 そして力なく俺は地へと叩きつけられ、視界もぼやけてくる。そんな俺にザッ、ザッと彼女の足音が近づいてくる。

 

「…あぁ」

 

 あの決闘の後、俺は一族から出来損ないと呼ばれ、一族を追放された。各地を放浪しているうちに、彼女の実家であるスカーレット家に拾われた。

 そこで、俺は母親と妹達からあのお嬢ちゃんの過去を知った。

 

 

 生まれつき吸血鬼としての翼はなく。

 

 それによる同族嫌悪による幽閉。

 

 両親の片方からは蔑まれ侮辱され。

 

 そして翼を得てようやく家族と共に歩き始めたと言うのに。

 

 俺に取り付いたものの主に、記憶を飛ばされて。

 

 

 彼女は、何もかも優しかった。いくら蔑まれても、侮辱されても優しかった。決して誰かを恨むことなんてなかった。

 

 母親が、妹達が泣きながら話してくれたのを覚えている。

 

 ────ホントに、どこまでいっても救われねぇのな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リリス嬢ちゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆❖◇◇❖◆

 

 

【空】

 

 

 ──────リリ、ス?

 

 

 その言葉が、私の頭に、心に、重くのしかかって響く。

 

 誰だろうか。この名前は。

 知らないはずなのに。赤の他人の名前のはずなのに。

 

 どうして、こんなに胸が苦しいの?

 

 私はこの名前を知っている?否、知っているはずがない。その人の顔なんて見た事ない。聞いたこともない。

 

 それなのに────

 

 

 

 

 

 

 

 ─────この溢れ出す記憶はなんなの?

 

 

 誰もいない赤を象徴とした部屋にぽつんと佇む、赤い衣に身を包んだ少女が月を見ていた。十代前半だろうか、その背中はとても幼く見えるが、大きく大人びているようにも見えた。

 

 

 

 場面は代わり、今度は手紙を読んだ少女が何やら大きな声を上げて喜んでいる。そしてその数年後、少女の妹を名乗る少女が現れて、自分の夢を語る。

 

 ────《■■■■■■■■■■■》。

 

 その部分はノイズのようなもので遮られて聞こえず、そこで記憶がとだえてしまう。

 

 ────この記憶は、知らないはずだ。

 

 赤の他人の記憶のはずだ。見たことが無いはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なのに────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの映像に写った少女の気持ちが手に取るように分かる?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なぜ、あの部屋にただ一人になっていた少女の、『寂しい』という気持ちがわかる?

 

 なぜ、妹が生まれたという知らせを受け取った少女の『嬉しさ』という気持ちがわかる?

 

 なぜ、少女の理想を手伝ってくれると言ってくれた妹への『喜び』という気持ちがわかる?

 

 

 あの少女は、誰なんだ?

 

 

 それの姿を知る私は、誰だ?

 

 

 必死に考えようとしても、頭が回らない。血が足りないのか、それとも、力を不必要に消費してしまったからか。

 

 私はその少女の姿を見つめながら、意識を手放した。

 





因みに、???くんが語っていたある一文に、後半で明らかになる設定の伏線があります。

ヒント
───両親の愛は、真のものだったか?


………ではでは。
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