【リリス】
あの日───レミリアと最初に会った日から数日。
私は最初信じられなかった。子供でもふざけていると分かっているほど馬鹿げた私の理想を、否定せず、それどころか協力すると言い出したレミリアに。
あの時はなんとか堪えていたが、泣きそうだった。初めての理解者が出来た気がして───嬉しくて、仕方なかった。
その日を境に、レミリアは私の部屋にちょくちょく遊びに来るようになった。外に出れない私の代わりに外の状況について教えてくれたり、私が欲しい本を持ってきてくれたり、とても協力的だ。
最初はこうやって使い魔みたいなことをする気は無かったのだけれど、レミリアがどうしてもというので、こうしてもらっている。
今は、レミリアが持ち込んできてくれた本を頼りに、魔法や能力の使い方などを学んでいる。
「───武器ってどうしよ」
「どうしたのお姉様」
「いや、お父様とか武器を使って戦うじゃん?私もなにか創ろうかなって」
「なるほど……じゃあ、私も創るわ!」
「じゃあ、どういう武器にしようかな」
「これとかどう?」
ふと、お父様か戦っていた姿を思い浮かべ、武器を使っていたことを思い出した。お父様達がそうしているのなら、私達もそうしたい。
どうやらレミリアも武器を持っていなかったようで、なら一緒にということで、神話などを読みながら参考になりそうな武器を探す。
ふと、目に映ったのは《北欧神話》。
北欧神話の中の有名な物語の一つ、《ニーベルングの指環》という物語の由来となった物語、《ヴォルスンガ・サガ》。
そう、主人公シグルドが持つ、魔剣グラム。
ノルド語では《怒り》を意味し、物語ではファフニールを殺すために与えられた武器。
竜という強大な存在を殺す武器。
弱い人達を助けるには必ずしも、己より強大な存在と対峙することになる。
私はその強大な存在を《竜》と例えるとする。シグルドと私とするならそうなるだろう。
いずれ嫌でも強大な存在と戦うことになるなら、こういう武器が一番いい。
────うん、私にぴったりの武器だ。
「よし、これがいいな」
「お姉様、決まったの?」
「うん。少しの間集中するから、見ていていいよ」
「わかったわ」
私はそのグラムを元に、自分好みの剣をイメージする。
イメージするのは、黒を基準とした白の装飾が着いた細剣かな。
「────
目を瞑り、精神を集中させていく。
大切なのはイメージ。イメージさえ崩さなければ、時間はかかろうとも必ず出来る。
その後も私はイメージを続け、極限まで全精神を集中させる。
あと、少し─────。
「─────
目を開けば、私の手にはイメージ通りの、黒を基準とした白の装飾の、真っ黒の細い刀身を輝かせるグラムがあった。
輝く黒い宝石のように思えた私は、こう名付けた。
────《
「思ったよりも上手くいったかな?」
「凄いわ!お姉様!」
「ふふ、ありがとう」
私のグラムに目を輝かせるレミリア。すんごい可愛い。
「レミリアはどうするの?」
「これにする!」
レミリアが指さしたのは、北欧神話の本。
その指さす先を見ると、かのオーディンが持っていたとされる全てを貫く最強の槍、《グングニル》だった。
「わかった。それじゃあ、そのグングニルを頭にイメージして?」
「イメージ……」
レミリア目を瞑り、集中を始めたようだ。
「うん、イメージできた」
「なら、それを保ちながら魔力を回して。そうすれば自然と形が出来てくるから」
私の場合は能力による創造で簡単に出来たが、本来、武器を作る際は魔力で形を構成する必要がある。レミリアにそう伝えると、レミリアの魔力が溢れ、槍の形を作っていく。
────しばらくすれば、そのレミリアの魔力で出来た紅い槍は本とそっくりになっていた。
────《
原典の伝承を見る限り、名前的にこうなるのだろうか。
「おぉ……凄いじゃん!」
「やったー!」
無事魔力による武器生成を成功させたレミリアは嬉しそうに跳ね上がる。うっへぇ超可愛い。
「これで武器の方は大丈夫そうだね」
「うん、これで私もお姉様と同じだね!」
あぁん、やめて。その笑顔は私には効果抜群よ(萌死
私のグラムとレミリアのグングニル。
───互いに北欧神話の武器。
リリスは《
レミリアは《
二人はお互いの武器を見合って、笑いあった。