半端者が創造神となる日   作:リヴィ(Live)

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お待たせしました。

たまたま筆が乗ったので…


四十二話 悪魔

 ◆❖◇◇❖◆

 

【レミリア】

 

 ────あの日。

 

 私達の愛しいお姉様、リリスお姉様が魔界へと旅立った日。私はあの運命を帰るために、妹であるフランと一緒にお姉様を必死に止めようとした。

 私の能力『運命を操る程度の能力』は、ありとあらゆる運命を見ることが出来、ものによって私自らがその運命に修正を加え、別の結末に書き換えることも出来るという、言ってしまえば未来視の力。

 

 魔界へ赴くお姉様の運命は、キッパリ途切れていた。まるでハサミで切られたかのように、綺麗に途切れていたのだ。途切れていたという運命がどういう事なのか、私は理解するのに数秒もいらなかった。

 けれど、全力で挑んでもお姉様は私達の上を行き、止めることが出来なかった。

 

 だから、私達は力を求めた。誰にも負けることの無く、お姉様を守れるような強大な力を欲した。その結果たどり着いたのは『悪魔の召喚』。

 悪魔は魔界の鬼。吸血鬼の起源ともいわれる存在であり、少なくとも私達より強大な力を持つのは間違いなかった。その力を手に入れるために、私達はお母様に内緒で、この異変のように魔力を集め、召喚の儀式を開始した。

 

 

 ────でも、それが間違いだった。

 

 

 確かに召喚自体は成功した。なんも支障もなく、無事召喚できたと言えよう。だが、その悪魔は私達にはあまりにも強大すぎた。

 手が付けられないと判断した私達を見た悪魔は、形を得るためにフランに取り憑いた。元々持つフランの破壊の力の影響もあり、全く手が付けられない状況だった。

 異変を感じたお母様がすぐさま駆けつけ、地下室に幽閉する形で封印を施した。

 

 それから間もなくして、紅魔館に謎の魔物達が襲撃。その数は万を超え、まさに蟻の大軍とも言えるほどのものだった。

 私は逃げることしか出来ず、結局お父様の命を捨てた魔術攻撃により大軍は致命的なダメージを受け、消え失せて行った。

 

 私は何も出来なかった。お姉様の時のように、妹すらも守ることも出来なかった。私を愛してくれた父も、私の前から消えてしまった。

 

 もう、何も失いたくなかった。だから、私はもう一度力を求めた。

 

 

 ────みんなを守れるほどの力を。

 

 

 私はそれ以降外に出ては野良の妖怪を蹴散らし、ひたすら力を求めて妖怪を皆殺してきた。あの吸血鬼異変も、力を求めるが故に起こした異変だ。

 結果はあの忌々しきサリエルによって失敗に終わったが、その失敗が私の無力さを再び認識させた。私はどうなっても力を手にしなければならない。もう何も失いたくないから。

 

 だから、もう一度……フランに取り憑いた悪魔よりも強大な悪魔を呼び寄せる。

 そして、その悪魔を自らのものとし、フランを救う。フランの中に潜むあの悪魔を消し去る。

 

 そのためには、あの時の儀式よりも大規模なものを作り上げなければならない。あの悪魔より強大な悪魔を呼び寄せるのなら、魔力もそれ相応に跳ね上がる。

 故に、私は土地の魔力に目をつけた。魔法使いであるパチュリーによれば、土地の魔力は神々のものと同格の濃度を誇り、その土地に住まう者達が強ければ強いほど、土地の魔力は増大していくらしい。

 その土地の魔力を召喚に回せばどれほどの強大な悪魔が顕現するのか、想像も容易い。

 

 そして、今に至る。私の魔力を元にパチュリーは血のように赤い霧を幻想郷全体へばら撒き、幻想郷の土地の魔力を徐々に吸い上げている。霧が徐々に魔力を帯び始め、紅い電も走り、雲のように分厚くなってきている。

 

 ───あと少し。

 

 あと少しで、念願の時が来る。フランを救い、みんなを守れる力がもう少しでこの手に………

 

 

 けれど、その前に。

 

 

 もう一つ、仕事がある。おそらくこの異変は管理者である八雲紫にも届いているだろう。だとするのなら、彼女から何らかの刺客が来てもおかしくないという事だ。

 

 

 そして───私の前には、紅白の巫女が一人。

 

 

 さぁ、総仕上げだ。

 この戦いの敗者を、悪魔への生贄としよう────

 

 

 

 

 ◆❖◇◇❖◆

 

 

【魔理沙】

 

「…なかなかやるなあんた」

「…えぇ、私も貴方がここまで粘るとは思いもよらなかったわ」

 

 パチュリーと呼ばれる魔法使いの実力は、やはり自らの勘の言う通りだった。経験、魔法の質共に最高クラスであり、私の師匠と同格の格であるのは間違いなかった。

 何より、その魔力───紅い霧を発生させつつもあんな滅茶苦茶な魔法を扱うことの出来る器用さと魔力の多さ。大地を砕くかのような雷や、万物を焼き尽くす地獄の炎など……正直、師匠と本気の殺し合いをしている気分であった。

 

 

「けれど、貴方も限界のようね」

「…あぁ、否定はしないさ。でもあんたも限界が近いんじゃないか?」

「…えぇ、正直、霧を維持する魔力が無くなりそうよ。戦えるだけの魔力は、そう多くない」

 

 

 もうお互いに限界が近かった。私は魔力というか体力面で疲れているのだが。

 何せあんな隙のない魔術を向けられたら、避けるのに精一杯で反撃しようがなかった。けれどそこは持ち前の反射神経と回避能力で反撃の隙は何度か有り、その間に攻撃を与えることも出来た。

 厳密に言えば、私は魔力はあるが体力面で限界なのだ。おそらく私の十八番を打てたとしても体が持たないだろう。

 

 でも、相手は大魔法使い。そう悠長なことは言ってられない。

 

 私は八卦炉を構え、パチュリーに向ける。お互いに最後の一撃になると察したのか、パチュリーも先ほどとは比べ物にならないほど濃い魔力を纏っている。

 

 そして、両者の力が激突しようとした時───

 

 

 

 

 

 館全体が震えた。

 

 

 

 

 

「っ!?なんだ!?」

「…まさか」

 

 

 パチュリーは顔を顰めた。私はこの館の人間ではない故、何が起こっているのかはさっぱり分からない。

 けれど、決して良いものではないというのは、パチュリーの雰囲気からしてもわかっていた。

 

 

「パチュリー様!」

 

 

 すると、小さな翼の生えた赤髪の少女がパチュリーに駆け寄ってきた。おそらく使い魔の類で、種別は小悪魔なのだろう。下位悪魔の大半を占める小悪魔は使い魔には最適だ。

 

 

妹様(・・)が……」

「…やっぱりね。嫌な予感が当たったわ」

「?なんなんだぜ?」

「…走りながら説明するわ。着いてきなさい」

 

 

 パチュリーは先程とは違い、余裕が無い顔で私に着いてくるように指示を出した。私はその言葉に従い、パチュリーを追った。

 

 ────ここからが、異変の真骨頂なのだと、その時の私は知る余地もなかった。

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