半端者が創造神となる日   作:リヴィ(Live)

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六話 熾天使(セラフィム)の翼

【リリス】

 

 フランが生まれて数年。

 私の中の劣等感は未だ消えない。フランを見る度に、それは肥大化していく。

 

 ────レミリアとフランは立派な翼があるのに。

 

 ────私だけ、ない。

 

 その差を自覚していくにつれ、劣等感が肥大化していくにつれて、自分が一人ぼっちになる気がして。

 

 そうなって行った私は、いつの間にか無意識に二人を避けていた。

 

 

「……とりあえず、気晴らしになにか創ろ」

 

 

 こうなっては仕方ないので、とりあえず何かをして気を紛らわすことにした私は、何を創ろうかと悩んでいた。

 

 

 

 ────その時、私の頭にある思考が走った。

 

 

 

 

 

 

 ………創る?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翼がないなら、創ればいいじゃない!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それだっ!!!」

 

 

 

 なんでこんな単純なことに気が付かなかったんだろうか。気付いていなかった過去の私を殴りたい。

 

 

 ふと、そんなことを思っていると、開いていた本のページにある人物の絵が目に入った。

 

 

 ─────三対六翼の翼を持つ熾天使、セラフィム。

 

「おぉ……!」

 

 それを見た私は見とれてしまい、すぐさまこの翼を頭の中でイメージする。

 

 私は吸血鬼だ。あまり天使の羽は似合わないだろう。

 

 なら、天使の羽のような悪魔の翼───それをイメージする。

 

 

「────創造、開始(デザイン・スタート)

 

 

 

 

 

 

 ゆっくり、慎重に、イメージを組み立てていくと同時に、背中の異物感が大きくなっていく。

 

 

 

 

 

 案ずるな、イメージし続けろ。

 

 

 他のことなど気にするな。今はただ、考えるんだ。

 

 

 

 

 

「─────完了(コンプリート)

 

 

 ─────イメージはし終えた。背中の大きな異物感もある。

 

 あとはそれを現実に反映できているかどうか。それが問題だ。

 

 私はその状態のまま、鏡に向かって足を進め、身を移した。

 

 

 

 ────左右対称に並ぶ三対六翼。

 

 真っ白に輝くそれは悪魔の翼の形だったが、その白さ故に天使のような翼だと錯覚してしまう。それにうっすらと模様のようなものが見える。

 

「やった………出来たんだ…ッ!」

 

 あまりの嬉しさに飛び上がる私。

 

 やったぞ!これで私も対等になれる!!

 

 

 

「お姉様~、入る………よ……?」

 

 

 

 私が鏡の前でぴょんぴょん兎のように跳ねていれば、私の部屋に入ってきたレミリアが私を見るなり絶句した。

 

 ─────だからね、そういう反応が一番困るのよ。

 

 

「え……お姉様………翼……」

 

 

 驚きすぎてもう後ずさりしてませんかレミリアさん。

 

「凄い……凄いわ!天使様みたいで綺麗で、お姉様にピッタリの翼だよ!」

「フフ、ありがとう」

 

 目をキラキラと輝かせて、私の翼を見つめるレミリア。

 どうやら、本当に上手くいったようだ。

 

「ちょ、ちょっとフランとお父様とお母様に報告しなきゃ!」

「え、あっちょ」

 

 私が静止しようとしたが、レミリアはそれを気にもせず部屋を勢いよく飛び出していった。

 

 ────まぁ、多分、半端者の称号は外れるだろうなぁ。

 

 この部屋、結構愛着あったんだけど……出れるならいいか。荷物とかは明日まとめればいいし。

 

 

「リ、リリス!?翼が生えたって本当か!?」

 

 

 

 一目散に私の部屋に入ってきた男性を見て、私は目を見開いた。

 

 ────数十年ぶりの再開となるか。

 

 あの時と何も変わっていない。その優しい瞳も、その中に秘める強大な魔力も。

 

 ────セラド・スカーレット。私の実の父親。

 

 

「…お久しぶりです、お父様」

「おぉ……凄いじゃないか!なんて立派な翼だ…!!」

「リリスお姉様!!」

 

 私にすがるように抱きしめて翼を見つめるお父様。そしてその間を縫って飛びついてきたのは、愛しい妹、フランだった。

 

「わぁ~………綺麗……」

「ありがとう」

「あぁ……リリスに立派な翼が……」

 

 レミリアが連れてきたお母様は、私の部屋のドアのところですすり泣いている。

 

 ────凄い、恥ずかしいです。

 

「すまない……お前を半端者という建前で幽閉してしまって……」

「いいのです。私は今までも充分幸せです」

「しかし…」

 

 ─────あぁ、そんな顔をしないでくれ、お父様。

 かりにも吸血鬼のトップにたつお方が、娘一人でここまで変わるんだと思うと、彼もまた一人の父親なのだと初めて思った。

 

 

 

「愛する妹にも恵まれ、私を愛してくださるお母様とお父様がいる。それだけでも、充分幸せですよ」

 

 

 ────これは紛れもない本心だ。

 

 自分をお姉様と慕う優しくて愛しい二人の妹。

 幽閉はされていたけれど、愛を注いでくれていたお母様とお父様。

 

 これ以上に、何を望めというのだ?

 

「だから、顔を上げてください、お父様」

「……わかった、お前がそこまで言うなら」

 

 お父様は立ち直ったのか、私の頭を撫でてくれた。

 

 ───頭を撫でられるなんて、何年ぶりだろうか。

 

 恥ずかしいけど……とても、気持ちいい。

 

「よし!今日は記念にパーティーを開くぞ!」

「やった!パーティーだって!」

 

 ─────あぁ、私は幸せ者だ。

 

 こんな私のことを思ってくれる家族が居て。

 

 ──────だからこそ。

 

 だからこそ、私の夢は実現させなければならない。

 

 《誰も傷つかない理想世界(アヴァロン)》の為に。

 

 大切な家族を守るために。

 

 

 ─────今日、鳥籠の中の小鳥は、夢に向かって羽ばたいた。




リリスの白翼

【挿絵表示】

彼女がこの翼に付けた名前は《熾天使(セラフィム)》。
グラム同様、彼女が創ったものなので出し入れが可能。本人は能力発動時に顕現するようにしている。
由来は神話に登場する三対六翼の熾天使、セラフィムから。




神綺様の二段階目の翼そのまんまです。
この段階の翼本当にすこ。


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