グレイブ(ノーメイク)
新兵に配給される量産機。無装備状態の機体は通称「ノーメイク」と呼ばれている。全てにおいて平均値を誇る。
機体コスト 10 機動性 10 装甲 10 操縦性 10 安全性 10 パワー 10 拡張性 100
レイヴン(グレイブ J・カスタム)
機体コスト 50 機動性 100 装甲 0 操縦性 1 安全性 5 パワー 10 フレーム強度 30
ヴィルキス
機体コスト ? 機動性 150 装甲 100 操縦性 パイロットによって左右される。 安全性 50 パワー 100
ダブルライフル 二丁
レイヴンの専用装備。大口径と小口径のライフルを組み合わせた複合ライフル。大口径は単発式、小口径は連射式でライフル下部には銃剣が装備されている。
シミュレーターにて作り出された空。そこには漆黒のグレイブと純白のヴィルキスがぶつかり合っていた。
ヴィルキスの剣とグレイブのライフルに装着された銃剣がはげしくぶつかり、火花を散らす。
「ンッフッフ…」
思わず笑いが込み上げる。ヴィルキスの圧倒的な性能もあってだがJは白熱する戦いに思わず笑う。楽しくてたまらないのだ。
Jは二丁のダブルライフルを構えると連射しヴィルキスを狙うがヴィルキスの高い機動力に避けられる。
(この機動力特化のレイヴンでも不利か…)
機動力が売りのレイヴンが相手でもヴィルキスは圧倒的だった。レイヴンはこちらの土俵の上で見事に負けてしまったのだ。
「楽しいなぁ。アンジュ」
「うるさいわよ!」
対してアンジュは精神的に追いつめられていた。どこを撃っても当たらない。確信を得た一撃さえも簡単にかわされた。それに対してこちらは何度、落ちる覚悟をしたか。
「仕留める!」
持久戦に持ち込まれたら身が持たないと判断したアンジュはアサルトライフルを連射。レイヴンの回避コースを全て潰した完璧な攻撃を仕掛ける。とどめとばかり下部に備え付けられたグレネードランチャーを連射する。
「良い判断だ」
Jは左腕に取り付けられたムラマサの刃を展開。迫るグレネード弾を弾き軌道を逸らす。軌道を逸らされたグレネード弾は一拍をおいて爆発する。続いて飛来するグレネードも両断する。
「嘘でしょ!?」
神業ともいうべき芸当を疲労されたアンジュは驚きを隠せない。だがこれで発生した爆炎でJは視界を塞がれる。
「なに?」
彼の視界が晴れた瞬間、彼が見たのはフライトモードに変形したヴィルキスの姿。ヴィルキスは高速でこちらに突っ込んでくる。
「食らいなさい!」
レイヴンと激突する直前でアサルトモードに変形したヴィルキス。その鋭い蹴りが襲ってくる。フライトモードの速度を生かした蹴りをJはムラマサで受け止める。
「止められた!?」
「真っ直ぐだな…だからこそ分かりやすい」
「アンタ、イカレてるよ!」
「それの何が悪い…ンフッフッフッフ」
アンジュに向けられる大口径砲。ゼロ距離で放たれた弾丸はヴィルキスを貫き破壊するのだった。
「もう一戦するか?」
「いや、参ったわ…」
「残念だな…」
あの時の蹴りを受けた際、左腕の関節がイカれていた。あの時に仕留められなければどうなっていたか。
心底楽しそうに笑うJ、その様子を観察室でサリアは見ていた。
「あんなに楽しそうに…私の時は」
明らかに自分との対決の時と比べて違う。
「私じゃ、力不足だって言うの…。貴方を満足させられないって言うの…」
拳を強く握るサリアはぶつけようの無い怒りを持ちながらその場から去るのだった。
ーーーー
「良いところまで行ったがまだまだだな」
「アンタ、本当に何者?」
「ただの駒だよ」
一息とばかりに煙草を取り出し一服する。
「じゃあ、約束を守ってもらおうか」
「うっ…」
ーーーー
「で、覚悟したわけだけど…」
「気分が変わったんだよ」
結局アンジュが招待されたのは風呂ではなく彼の部屋。彼女は自身と同じ質素な部屋を想像していたが。彼の部屋は中世ヨーロッパのような調度品に囲まれたシックな部屋が広がっていた。
「驚いた。こんな部屋があるなんて…」
「キャッシュを払えばいくらでも手に入る。ゾーラの部屋もかなり手を加えてるぞ」
「知らないわ」
「そうか、お前はゾーラが好みそうな女だからなてっきり招待されてるのかと…」
「……」
「なるほど、襲われはしたわけだ」
棚からグラスを出すと机に置く。そしてワインセラー一本取り出す。
「皇女殿下の口に合うと良いが…」
「まだ飲んだこと無いわよ。貴方、いくつ?」
「今年で20になる」
「は?」
てっきりサリアはたちと同じ年と思っていたアンジュは驚く。
「戦場には11の時に出てる。それから6年間は好きにやってただいぶ稼がせて貰った」
歴戦の戦士というわけだ。だいたい12頃から戦場に出されることが多い。サリアたちももう5年の経験を積んでいることになる。
「まぁ、久しぶりに楽しい戦いだった。実戦ではどうなるか分からんが」
「あれほど恐怖を覚えるとは思ってなかったわ」
「そうか、俺の方が戦々恐々としてたんだがな」
ワインを楽しみながら軽く談笑する二人。アンジュからしてみればこんなことは考えられなかったが…。彼のペースに完全に乗せられた感はある。
彼は何度か見かけたことがあるが結局はみんなに信頼されいることが分かる。もう自分のペースは取り戻せないと判断したアンジュは最後まで話に付き合うのだった。
ーーーー
(Jがあんなに楽しそうに…)
自室で指導教本を読んでいたサリアだったが頭の中は先程、見かけた光景で頭がいっぱいだった。
サリアにとってJは力の象徴。圧倒的な実力を持ちながらみんなに慕われている彼は憧れであったのだ。
「サリア、また難しい顔してる」
考え込んでいたサリアは眼鏡を取って笑うヴィヴィアンに対して少し困り顔を見せる。
「ちょっと…」
「サリアはいつものアレ読んでるときの方が生き生きしてるぞ」
「ほら、引き出しの二段目に入ってる。男と女がチュッチュッしてる本」
先程の表情と変わり、サリアの顔がどんどんと怖くなっていく。
「さぁ、見せてごらん君の全てを…あーん、そんなこと……もしかしてJの…ひぃ!」
「こんど勝手に漁ったら本当に刺すわよ」
「ごめんちゃい」
サリアから放たれたナイフが壁に突き刺さり流石のヴィヴィアンも平謝り。
「おう、メシターイム。サリアも行こうよ」
「…そうね。行くわ」
気分転換も兼ねてサリアもヴィヴィアンと一緒に食堂に向かうことにするのだった。
ーーーー
「美味しい…」
「今日はエルシャが飯を作ってるからな。エルシャ、愛してるぜ!」
「ありがとう~」
投げキッスを送る。Jに対して厨房のエルシャが笑顔で手を振る。今回は珍しくアンジュとJが食堂で同じ机に座っていた。さっきの飲み会の続き的な流れもあったがアンジュからJが離れなかったのもあるだろう。
「貴方、本当に節操がないわね」
「何事も斜に構えてるお姫様より人生を謳歌してるよ。どうせ俺たちの周りには敵しかいない。増やしたって仕方がないだろう」
「世界のほとんどが敵なら少し増えたって気にしないわ」
「なるほど、その考え方があったか」
納得とばかりに手を叩くJ。改めて思うがこうしてみていると戦闘時とはまったく別人のようだ。
(本当にこいつは何者なの?)
「おぉ、J、アンジュ!」
「珍しい組み合わせというよりアンジュとご飯を一緒にしてるなんてね」
「交流ってのは大切だ。何事にもな」
そこにやって来たのはヴィヴィアンとサリア。ヴィヴィアンはアンジュの隣にサリアはJの隣に座ると食事を始める。
「ごちそうさま。今日は世話になったわ」
「おう、またいつでも相手してやるよ。せいぜい死ぬまでに勝てると良いな」
「余計なお世話よ」
苛ついた態度でその場を去っていくアンジュを見送るJ。そんな彼の様子にサリアは少しだけ表情を曇らせるのだった。
ーーーー
そして一晩明け、朝早く。アルゼナル内に警告音が鳴り響く。
「マジかよ…」
あくびをしながら格納庫に到着したJはヴィルキスらを起動させ発進デッキに上げる。
「低能のゴミ虫が…」
「何をもたついてるアンジュ。機体チェックをしたか?」
「大丈夫よ!」
ヴィルキスの機内スキャンデータから異物の報告が上がっていたが急いでいたアンジュはそれを見落としそのまま発進シークエンスを進める。
「死ぬんじゃねぇぞ。生きて帰ってこい!」
「………」
「無視か~い!」
せっかく仲良くなったのに無視されたJはツッコミながら退避する。これから長い離島生活を強いられると知らずに出撃したアンジュ。それをヒラヒラと手を振りながらJが見送るのだった。
サリア…J(黒い鳥)への羨望、イメージカラーは青、真面目系女子、中々の実力の持ち主…………ん?
誰かに似てるような?