接触
中央暦1639年 1月中旬
フェン王国 東側海域
「ヨゥーソロォ!!」
フェン王国水軍の軍船は今朝未明に発見された国籍不明の船に向かっていた。
「あれか……」
軍船の船長であるモガナは例の船を見て呟く。
「見た感じパーパルディア皇国様式の船の様だな、しかしあの旗は見た事もない」
目の前にいる黒色の船はパーパルディアでよく見られるような船であり、艦尾には、白地に横一筋の黒い線の旗と白地に縦一筋の黒い線の旗が掲げられている。
「……よし、これより同船の臨検を行う、諸君は私の指示、もしくは攻撃を受けない限り決して攻撃してはならない、
相手の所属は不明だがもしかしたら新興国かも知れない、国と国のやり取りになるため高圧的な態度はとるな、わかったか?」
「はっ!!」
◆◇◆◇◆
フランスの輸送船が予定の日を過ぎても来ず、電信は通じない、見たことの無い魚が獲れる、それどころか快晴の日なのに対馬から朝鮮半島が見えないという現象まで起こり、不思議に思った幕府は調査するために調査隊を朝鮮半島方面へ派遣させたが、その船には、万が一の時に備えて、外国惣奉行の役人を乗せた。
◆◇◆◇◆◇
「的部殿、何か来たようですぞ」
「うーん、ありゃ安宅船じゃないか」
2人の(片方は髷名前は宇多野、もう1人の的部と呼ばれた男は散切り頭)役人が望遠鏡を覗いて話をしている、
「安宅船なんて本でしか見たことないですよ」
「奇妙なもんですな……、おっ向こうの船員が手を振ってる」
「相手が好戦的で無いだけ良かったです、さっそくこの船に上がってもらいましょう」
船長モガナは、国籍不明船の誘導に従い、同船に移った。
◇◆◇◆
同日 正午
フェン王国 首都アマノキ 天ノ樹城
剣王シハンの側近である剣豪モトムは
つい先程入ったばかりの情報を剣王に伝えに来た。
「今朝方から水軍より報告されていた国籍不明船についての情報が入りました」
「ほう……どの様なものか申してみよ」
「ハッ、その国は日本国と名乗り、我が国と国交を開きたいと申しております」
「ふむ? ニホンとな、聞いたことのない国だな、新興国家か?」
「はっ……それが、日本国の外交官の言うことには、突然国ごとこの世界にやって来たという風な事を言われたらしいのですが……」
「ワッハッハッハッ! その様な法螺話を堂々と言えれば大したものだ!」
剣王は決して嘲笑うのでは無く、快活に笑った。
「良し、わかった、その日本とやらの外交官に直接会おうではないか、非常に興味が湧くな」
シハンは日本国の外交官を招き入れた
◆◇◆◇◆
「なんだか、落ち着かないな」
「そうですかな? 自分はとても身が引き締まる思いです」
国中の空気が張り詰めているかの様な、厳格な雰囲気が漂っている。
「まるで元亀天正の頃の様だな、私にはどうも苦手な雰囲気だ」
すると
「剣王が入られます」
側近が声を上げ、襖を開ける。
そこから着流しを着て、髪を後ろにまとめた老人が立っていた、江戸でも涼しくなった夕暮れ時に探せば、どこにでもいる様な格好である。
「そなた達が日本国の使者か」
声は低いがよく通る声で、懐の大きさを感じさせる。
「はい、この様な急な訪問にも関わらず、剣王自ら対応してくださるとは、誠に感謝致します」
「構わん、それで貴国について色々聞きたいのだが……使者殿のそれも剣なのか? 少し見せてはくれないか?」
「刀ですか? ええ、わかりました、どうぞ」
そういうと宇田野から渡された日本刀を手に持って抜いた。
「ほう……これはなかなか良い剣だ、
帰国には優秀な刀鍛冶がおられる様ですな」
気を良くしたシハンは2人の使者から国についての詳細に、転移してからの経緯を聞いた。
◆◇◆◇◆
日本へ帰る船の上で、的部と宇野田はフェン王国の方角を見ていた。
宇野田と的部は、剣王との会話で、フェン王国と日本国は似たような気風で、とても良好な関係を築けると確信していた。
時代的には1870年〜80年代くらいか、でもほぼ適当
幕末ごろの国旗は日の丸でしたが、やはりif物なら大中黒旗にしようと決めました。