とある未来の青猫機械   作:クリップ使い

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5巻前編


4話:時間を持っていこう

上条当麻は学園都市在住の高校生である。よって、学生寮に住んでいるのだが、

自室のベッドはとある居候の銀髪シスターに占領されていた。

かといってその辺の床で体を痛めつつ寝ているわけではなく、

そこら辺のことはもうひとりの居候がなんとかしてくれている。

顔をしかめた上条が壁紙の中から出てきた。別に彼が部屋の構造体の隙間で寝ているわけではなく、

本当に壁紙の中で寝ているのだ。

「痛ででででで、頭打って鼻血出た・・・・」

現在時刻は23時56分、早寝派しかいない上条家では全員寝静まっている時間である。

リビングのベッドでは件のシスターが寝ているので起こさないようにティッシュを回収することが目下上条当麻の任務である。

「インデックスもこうしてみると普通の美少女なんだけどなぁ・・・」

「・・・・・・・・・・・・・うにゃ、とうま?」

「悪い、起こしちまったか?」

「なんだか起きなきゃいけないような気がしたんだy――――とうま?なんで私の前で鼻血を垂らしているのかな」

その瞬間、少年は窮地にいることを自覚した。

女の子の寝姿の前で鼻血を垂らしている少年は基本的にどうみられるか。

「いやいやいやインデックスさん、鼻血が興奮の象徴なんてそんな俗説に魔導書図書館が振り回されるなんて導かと思いますよ?

それに上条さんの鼻腔の毛細血管血管壁はそんなやわじゃありません!」

「とうま、そんなに必死に言い訳されるとさらに怪しく思えるn」

そんな無慈悲な一言が叫び声によって遮られる。

「ギヤァアアアアアアアネネネネネズミィぃー!!!!!!!」

ドタドタとリビングにもう一人の居候が入ってきた。

それだけでは止まらず、壁や天井を含む部屋中を縦横無尽に駆け回っている。

「落ち着けって、ドラえもん」

「ネズミが嫌いな猫なんて聞いたことがないかも」

「だってだって・・・・・・」

「ほら、そんなに嫌いだったら退治すればいいだろ」

「そうか・・・・・フッフヒヒヒヒ、"熱線銃"に"ジャンボ・ガン"に"名刀電工丸"に―――」

「ストォーップ!!そんなものを家でぶっぱなす気か!!もっと穏便に!」

「じゃあ"おもちゃの兵隊"に家から追い出させよう」

やっと落ち着きを普段の半分ほど・・・いや4分の1ほど取り戻したドラえもんは

ポケットから人形の一団を取り出すと床に並べ始め、何やらスイッチを入れる。

「いいかい、この家中のネズミを一匹残らず追い出すんだよ」

命令を受けた兵隊たちは敬礼をするとドラえもんが使っている"かべ紙ハウス"へ突撃した。

「おいおい、中から金属をぶつけるような音やら金キャップみたいな音がしてるが大丈夫か?」

「問題ないさ」

しばらくするとハウスの入り口から必死のネズミたちが出てきて、

あたりのものを撒き散らしながら外に出ていった。

「いやぁ助かった。もう戻っていいよ」

ネズミ騒動?で出した道具や散らかった部屋を片付けていると、上条当麻はある驚愕の品物を見つけた。

「っこ、これは・・・」

「――んー?あ、夏休みの課題だね。まっサラだけど、ちゃんとノートに解いたよね?」

「・・ってない・・・・・・」

「どうしたの?とうま」

「やってないー!!!夏休みの課題がたっぷり残ってるー!」

「なにー!?宿題をやっていないなんて夏休み中いったい何をしていたんだい!」

「申し訳ありませんドラ様、今回だけ、今回だけはお助けを・・・」

「自分自身の力でやらなきゃ意味がないじゃないか!!」

そういうとドラえもんはポケットから錠剤入りの小瓶を取り出して投げた。

「何だこれ?」

「24時間眠くも疲れもならなくなる薬、ハツラツンだよ」

「はぁ、これ飲んで頑張るしかないのか・・・」

「とうま、私も応援するんだよ!」

「あーはいはい、上条さんは自室で勉強してますよーっと」

絶望に浸れながら上条が自分の"壁紙ハウス"に戻っていったのをきっかけとして各自が眠りにつくこととなった。

そのころ、学生寮前では・・・

「ァーァーまったく、あの無能力者(level0)に負けてから変な奴に絡まれるンが増えたもンだ」

「チュチュチューチュー」

「・・うォっ、ネズミかよ、どっかの家から夜逃げしてきましたってかァ?

はっ、驚かせやがって。余計なもンは反射反射」

「あっ、あなたはってミサカはミサカは自体進展にちょっと気分を上げてみたり!」

 

朝6時ごろ

「うぅー、やっと6分の1終わった・・・」

外からノックの音が聞こえてきてくる。

「とうま、朝ご飯ほしいかも!」

「ドラえもん、冷蔵庫にご飯があるからインデックスにチンしてやってくれるか?」

「うん、分かった。それと当麻くん、他が起きだしたらうるさくなってくるからほかのとこにでも行かない?」

「いやー貧乏学生のわたくしには個室サロンなんてものは借りられな――っておいどこへ連れて行くんだ」

レンチンする合間に"どこでもドア"を取り出すと上条当麻を引き連れて第3学区の個室サロンへ向かった。

「おいおいこんなところ上条さんには・・・」

「"貸し切りチップ"ー!」

小片を吹いて壁に付着させるとそれだけでお客が全員帰り始めた。

「受付さん、最上階お借りします」

「えぇ、どうぞ」

抹消面からタダで入れろと言っているのに受け付けはニコニコと笑って許可しているという

非常に不自然な光景が展開しているにもかかわらず他の人間はまるで気にしていないようで

上条当麻は困惑した。

「じゃ、せっかくだし最上階の部屋でも使わせてもらおう」

「お前はどうしてこうも無茶苦茶なんだか・・・」

最上階の部屋は1室がほぼ上条当麻の学生寮と同じ大きさというトンデモな豪華部屋だった。

「すごいなぁー。"壁紙ハウス"で空間を拡張してるけどそれでやっと上回るかくらいだよ」

「で、上条さんはここに閉じこもって勉強することになるのですか・・・」

「そ、お昼はどこかで適当に食べればいいさ。あとは・・・」

ドラえもんはポケットから古めの置時計を取り出すと上条の机の後ろに設置している。

「これで良しっと、じゃあ僕はちょっと出かけて来るから、あとは頑張るんだよ?」

「任せておくれよっての!(・・・まぁその結果が白紙の宿題なわけだけど)」

こうして各自の変わった夏休み最終日が始まることとなった。

 

ドラえもんはタイムマシンに乗っている。彼が向かうのは7月28日。

とある少年と人工衛星の命日である。

「さてと、僕も夏休みの課題を終わらせるかな」

タイムマシンの出口が開いたのは月詠小萌の教員寮の上空・午後11時30分。

張り子風の紙を空中に浮かべる。"片付けラッカー"で透明にし、寮の周囲に別のひみつ道具を仕掛けた後、

少し離れたところでさらにひみつ道具をもって待機する。そしてしばらくの後、寮の一室に二人組が訪ねてきた。

しかし数分後また出てくる。

ドラえもんは手に持ったひみつ道具で透明の張り子に直径300 mm程度の円を描くとすぐに30 mほど離れた所に着地する。

直後、虚空に穴が出現した。

そしてその数秒後、凄まじい衝撃音があたり一帯に響く。竜王の殺息(ドラゴンブレス)だ。

そして驚いた魔術師組が中へ入って行った数秒後、教員寮の屋根を突き破り高熱源体が上空へと放出された。

たとえ話を持ち出しても正しく表現できないエネルギを誇るそれは垂直に空へ伸びていく。

しかし高熱源体はどこまでも伸びていくということはなく虚空の穴へすべて吸い込まれていっている。

下では自動書記(ヨハネのペン)竜王の殺息(ドラゴンブレス)を引きずり戻そうとしているが

強力な重力によって穴から漏れることはなく、出力を上げて吹き飛ばそうとしても

吸い込めば吸い込むほどさらに強く吸い込んでゆくためにどうやっても逃れることができなかった。

その間にも上条は自動書記(ヨハネのペン)に接近しており、彼女の頭に右手で触れるとともに

竜王の殺息(ドラゴンブレス)もろとも自動書記(ヨハネのペン)が破壊された。

吸い込むものを失った穴は自分の周囲にある紙を吸い込み始めるも

自分自陣の力で紙を八裂かれて消失、衝撃波となった。

後には空中を漂う羽だけが残されるも、遠隔で電源を入れた"吹き飛ばし・扇風機"によって遥かなところまで飛ばされる。

ドラえもんは破壊された屋根から屋内へと移る。

「だ、誰ですかあなたはッ!?」

「君、いったいどこから湧いてきたんだ。一般人は不用意に近づかない方が身のためだぞ」

「やぁ、僕はドラえもんだけど」

「学園都市はこんなものまで完成させていたのか・・・」

「僕は未来から来たんだ。さっきの羽から上条当麻を守ったのも僕」

「光の羽を吹き飛ばしたのはあなたでしたか。どうもたすかりました。あとはお任せください。」

「ひとつお願いがあるんだけど・・・」

「なんだ?僕たちで出きる範囲でなら叶えてあげよう」

「上条当麻のすべての思い出を僕に預けてほしい。

でなければ、記憶が失われた未来から来た僕はここに存在できないから」

「・・・???」

「もしも記憶が失われなかったならば僕はここに来る必要がなくなるからさ。ある種の矛盾が生じるんだ」

「そんな・・・」

一同を気まずい沈黙が包んだ。

「・・・なぁ、その未来でインデックスは幸せにしているか?俺は、アイツの幸せを守れたのか?」

「もちろんだよ。あの子のそばには君がいる。記憶がなくても君はあの子を守り続けているんだ」

「・・・・・よし分かった、俺の思い出はお前に預ける!こんなもので助かる人がいるなら俺も満足だ」

大胆な結論だったが上条当麻らしい答えだった。それを周りで聞いていた神裂とステイルも納得したようだ。

「よし、"メモリーディスク"ー!」

レコード大の円盤を上条の頭上に投げると記憶がどんどん吸い出されていく。

最後にドラえもんがディスクを回収した時には上条当麻の脳内から全ての思い出が移動されていた。

記憶の移動を行った後、彼は疲れがどっと噴き出たようでそのまま眠りに落ちてしまった。

そもそも普段、彼はこの時間もう寝ているのだから。

「じゃあ、彼のことは頼んだよ。僕はこの記憶を未来の彼に託さなきゃいけないから」

「任せておいてください。未来の彼によろしく」

そう告げるとドラえもんは"タケコプター"でどこかへ飛んで行ってしまった。

 

学園都市上空約3600㎞

「いくら"テキオー灯"を浴びたからと言ってこんな所へは何度も行きたくないなぁ・・・」

ここは静止軌道、樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)を搭載したおりひめ1号の近くだ。

「"スーパー手袋"装着、紙は用意したからあとは・・・」

ポケットから丸い手で白いボールペン、"ホワイトホールペン"を取り出した。

このペンは、対となる"ブラックホールペン"で書いた丸に吸い込まれたものを吐き出す丸を

書くことができるペンだ。

それで持っていた紙に丸を書くと中から高熱源体が飛び出、しまっすぐおりひめ1号を粉砕した。

「あんまり壊したくはないんだけどなぁ・・・」

破壊後は"万能クリーナー"で紙に書いた丸を消去する。

「それじゃ、次の課題にかかろうかな」

 

8月21日午後8時35分

("動物生まれ変わりタマゴ"~これで黒猫に化けて・・・)

ここはとある鉄橋。20分前、ここに災害級の雷が落ちた。

「そんなこと、できるわけ・・・」

「ミ、ミャァー」

座り込む御坂美琴の背後に近寄るものがいた。

「・・・アンタ、ひょっとしてあの時の猫だったりする?」

「ミャ?」

「ゴメンね、私には見分けがつかないや」

「ウミャイウミャ」

「・・・わたしの電磁場を怖がらないって、アンタも相当変わりものね」

「ミャウン」

御坂は黒猫を抱きかかえると顔の高さまで持ち上げてみる。

「ミャーミャー」

「あいつ・・・ほんとに行っちゃったのかな・・・」

「ニャァオン」

「あなた、何か知ってる?わけないよね」

すると、突然に猫が肩を伝って耳元で何かをささやき始めた。

その事実と内容に美琴は信じられないという表情をする。

「それ、ほんとなの?」

「ウッミャミャー("着せ替えカメラ"-!)」

お腹の袋はほぼ厚さがないのにそこから自分の体ほどもあるカメラを取り出したのだから

驚かないわけがない・・・

が、先ほど猫がしゃべり始めたのを見ただけあって、もはやこれ以上驚く余裕もないらしい。

「どうなってるの?」

ここから御坂とドラえもんは食蜂操祈の所へ行くこととなるがそれはまた別のお話。

 

翌々日

ドラえもんはとある病室の前で待機していた。

「げっ、どうしよう。助けてドラえも~ん!」

「そんなこと言われてもな」

「(今だ)おーい、交代だぞー」

「ちょうどいいや、ちょっと待ってて」

病室から過去のドラえもんが出てくる。

「助かったよ、後は頼んだからね。僕は御使堕し(エンゼルフォール)対処に回るよ」

そう言い残して過去のドラえもんはスフィンクスに化けて出て行った。

「やあやあ遅れてごめん」

「今でたばっかりだけどどうかしたのか?」

「ううん、気にしなくていいよ。それより頼まれたものを持ってきた。」

上条当麻に"メモリーディスク"の中身を見せる。

記憶喪失の深層にかかわる部分だけは隠しておいたものの、双方に心苦しさが生まれていた。

(これで僕の課題は一通り終わった・・・?まぁ、自由課題(裏ステージ)にも挑戦しておこう)

彼らの複雑な夏休み最終日はまだまだ4分の1も終わっていないのだ。




前回予告したひみつ道具は"ブラックホールペンとホワイトホールペン"でした。
回収した竜王の殺息、何かに使えるかな?

あんまり長くなってしまったので5巻分は2編に分けます。
いや・・・3人にそれぞれ1巻分の話があるとか大変大変。


今回登場したひみつ道具
"熱線銃"
最大出力ならビルをも消し飛ばす火力を誇る銃
"ジャンボ・ガン"
一撃で戦車をも吹っ飛ばすことができる銃
"名刀電工丸"
レーダを搭載した剣。手に持つだけで自動的に敵を迎撃する。
"おもちゃの兵隊"
リカちゃん人形ほどの兵隊のロボット。命令に徹底的に従ってくれる。
"ハツラツン"
24時間眠くたくも疲れなくもなる錠剤。
"壁紙ハウス"
壁紙の中には10平方mほどの超空間があり、扉から入ることができる。
"貸し切りチップ"
貼り付けると貼った人が貸し切った状態になる。
"片付けラッカー"
吹きつけたものが透明になるので片づけたように見えるスプレー。
"吹き飛ばし・扇風機"
最大出力なら学校校舎をも吹き飛ばす風を起こせる
風力操作のファイブオーバー。
"ブラックホールペンとホワイトホールペン"
このペンで丸を書くとそれぞれ疑似的なブラックホールとホワイトホールになる。
2つで1セットであり、同じセットで作ったホール同士はすべてつながっている。
ブラックホールは最初は吸い込む力が弱いものの吸い込めば吸い込むほど
力が強くなる。
"テキオー灯"
これから出る光を浴びると24時間はどんな環境でも快適に過ごすことができる。
"スーパー手袋"
着用すると力を強める手袋
"万能クリーナー"
どんな汚れやインクでも消し去ってしまうことができる水切り状の道具。

次回のひみつ道具は
"○○○○○○○"と"○○○○○○○○○"だ!
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