咲き行く道に死戦あり   作:黒三葉サンダー

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のんびり伸び伸びと亀さん更新なり~。

あっ、彼は軍オタというラノベの世界に転生したわけではありません。原作主人公と同じような転生です。



傭兵、異世界へ転生する

視界いっぱいに広がる女性の顔に困惑する。そもそも俺はシリア内戦で味方に裏切られて殺された筈だ。目が覚めるなんて事があるはずがない。

 

(可能性があるとすれば、あの後救助されたという可能性だが……)

 

そう思考するも、目の前の女性について説明出来ない。仮に救助されたとしても相手は人間の筈だ。この女性のような『ウサギのような耳を生やした』人間など見たことも聞いたこともない。

 

(それに、この途方もない違和感はなんだ?俺は巨人にでも助けられたのか?)

 

この際目の前の女性が人外である事には目を伏せるとして、どれ程大きければ俺の視界いっぱいに顔が映るものか。

 

「──!────」

 

目の前の女性が嬉しそうに笑いながら俺を抱き上げる。やはりこの状況はおかしい。女性が大人の男一人を軽々と持ち上げられるものだろうか。困惑する気持ちとは裏腹に思考はよりクリーンになっていく。

 

(……?この女性の言語は何処の国の言語だ?)

 

今まで様々な国を渡り歩いていた俺だが、彼女が話す言語は一度も聞いたことがない。現在ウサギ耳の女性が他の女性と話し合っている。他の女性方は普通の人間のようだ。しかし誰も彼もが俺よりも大きい。ここは巨人族の住まう秘境か何かだろうか。

 

(まるで神話の世界にいるようだ……そんなことあるわけないのにな……)

 

半ば諦めの感情で流れを見つめていると、不意にウサギ耳の女性が此方を見る。たまたまその瞳に俺の姿が映り───

 

(な……んだ……これは)

 

それを見て絶句した。

 

何故ならば、そこに映っていたのは銀色の髪に空色の瞳をした赤子だったからだ。

 

 

 

 

あの後、より明確な情報を得るために視線を辺り一面に向けると二人の赤子が目に入った。一人は俺と同じような髪色に犬のような耳を生やした女児だ。今はスヤスヤと心地良さそうに眠っている。その隣にいる赤子はまるで日本人のような顔立ちに黒髪の男児だ。彼は驚きの表情で辺りを見回していた。その反応から見るに、もしや彼も自分と同じような境遇なのでは?と考えてしまう。

 

その際に黒髪の男児と視線が交差するが、互いに赤子。さしあたって行動する理由は今のところ無い為に自分から視線を外した。未だ男児に見られている気がするが、取り敢えずは気にしないことにした。

 

 

 

 

 

 

 

不可解な生まれ変わりから早数年、俺は漸くこの国の言語を理解し始めた。特長さえ分かってしまえばなんのことはない。それと同時にこの世界は異常である事が分かった。どうやらこの世界には信じられない事に『魔法』というものが存在しているらしい。そして彼女──エル先生と呼ばれるウサギ耳の女性のような獣人も闊歩する世界みたいだ。しかも他にも亞人とも呼べる生物が何種類か存在しているらしい。今のところ確認出来たのは獣人と人間の二種類だ。

 

(俺は夢でも見ているのだろうか……)

 

ここが現実であると説明されるよりもこれが夢だと説明される方が納得出来る。それくらいに現実味が無い話だ。しかし目の前で理解してしまった以上現実逃避ばかりしてはいられないのも確かだ。

 

(今はこの世界に関する知識の会得と身体能力の確認が最優先か。魔法に関しては恐らくエル先生とやらから教えられるだろうし、何か授業のような事をしてもらえれば楽なんだがな)

 

そう思いながらも俺の視線は未知の事にワクワクしているかのような男児──リュートに止まっていた。

 

(……彼の事もそれとなく警戒しておくか)

 

白狼族と言われていた女児──スノーに関しては別段注意することもないだろう。彼女は恐らく白だ。所謂『前世の記憶』とでも言うべきものは無いだろうと推測する。しかしリュートだけは他と比べて違和感を感じてしまう。そう、まるで子供が『憧れの世界にやって来た』かのような反応に見えるのだ。

 

(……まぁ何にせよ、これからやるべきことは多そうだ……)

 

そう考えを打ち切ると、何気なく己の小さな手を握り込む。この世界には魔法がある。ならば俺が憧れた神話の神々に近しい何かが使えるかも知れない。

 

年甲斐もなく、未知の事にワクワクしているのは俺も同じだったようだ。

 

願わくば、この世界で俺の存在意義が見つけられますように。

 

 

 




本腰に入るのは次回からです。

つまり漸くプロローグが終わったぞ!(慢心)

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