彼が使う魔剣は北欧神話からきています。
木々の間を走り抜けた先には、おおよそ10匹前後のゴブリンとリュート達が視界に入った。近くには数匹のゴブリンの死体が転がっている。一匹は剣のような何かが刺さった後があり、他の死体には銃創がある。それでもこの数が残っているとなると元々襲撃してきたゴブリンの数が多かったか、或いは生き残りが増援を呼んだか。
なんにせよ、良い機会だ。家族同様の彼等を脅かした代償としてこいつの試し斬りをさせてもらおうか。
勢いを殺さず木々の間から連中の元へと飛び出し、一番近くにいたゴブリンの首へと剣を振るう。すると魔剣はゴウッ!という風切り音と共に難なく首を斬り飛ばした。そのままリュート達を背にして守るようにゴブリンの前に立ち塞がる。
「……よく頑張ったな。後は任せろ」
「ネヴァン!」
「ネヴァンくん!」
よく見るとリボルバーを握るリュートの手は震えており、弾丸も切れているようだ。スノーの腕にはゴブリンに付けられたのか傷が出来ており、その傷口からはまだ少し血が流れていた。幼馴染みを怖がらせ傷つけられた事に不快感が沸き上がる。
「どうやら俺の幼馴染み達が世話になったみたいだな」
不快感を隠すことなく、その場で魔剣を振るう。すると熱を帯びた剣風がゴブリン共の肌を焦がす。ほんの一振りにもかかわらず、熱風が草花も焦がす。幸い火事にはなっていないが、それでもゴブリン共を震え上がらせるには十分だったようだ。先程までギャアギャア騒ぎ立てていたゴブリン共も今ではすっかりと引け腰になっている。すると魔剣から放たれる重圧に耐え切れなかったのかゴブリンが一匹逃げ出すが、それを俺が逃す筈がない。
「フッ!」
剣に魔力を乗せ、縦一文字に剣を振るう。それだけで剣から放たれた熱風が刃となって逃げ出したゴブリンを真っ二つに寸断した。寸断されたゴブリンの切り口からは肉が焼けるような音がしている。
俺が思い描いた剣。それは北欧神話にてアスガルドに攻め入り世界を焼き尽くした巨人『スルト』が振るったと言われている剣、『レーヴァテイン』だ。しかし実際にスルトが振るったのか定かではなく、そもそもレーヴァテインという武器には決められた形状がない。故に剣であったり槍であったり、矢であったり細枝であったりするのだ。
思い付いた時はまさに剣という感じの漠然としたイメージしか出来なかったが、実際にやってみるとまるで『初めからレーヴァテインはこういうものであった』と『思い出す』かのようにスラスラとイメージ出来たのだ。何故こんなに上手く出来たのかは謎だが、この際気にしない事にする。
(熱くなるな、思考はいつも冷静であれ。この世に『絶対』は存在しない……)
手に握った熱が程よく己の体に浸透していく。
「さぁ、続きを始めようか……」
殺すべき対象は残り8匹。油断も慢心も確信も必要ない。必要なのは結果だけだ。
俺は力強く一歩を踏み出し、目の前の敵を殺す為に
相手はゴブリンなのになんというover kill……