Fate/EXTRA NEET   作:あけろん

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さて、タイトル詐欺と言われる覚悟はできてるっスか?
だだだ大丈夫だ。問題ない。


戦うことを強いられているんだッ!

 聖杯戦争5日目の朝。

 今日もアタシはガトーに叩き起こされアリーナに連行されている。

 そこまではまぁいつもの事だったのだが、

 今日に限ってこの神様フェチがとんでもないことを言い出した。

 

「というわけで今日の修業はサーヴァント同士の模擬戦である!」

「唐突に何言い出すんだこのおっさんは。絶対いやっス!」

「はっはっは! 15年越しの反抗期かジナコよ! だがそれを受け止めるのも師の務め。神の愛は父の愛なり! さぁ、この『臥父さん』の胸に飛び込んでくるがよい! ほれハリーハリー!」

「このおっさんウザすぎィ! 『臥父さん』ってなんなの? 馬鹿なの? 死ぬの? そしてジナコさんは今日も朝4時起きなの!?」

 

 攻性プログラム相手の戦闘だってやっと慣れてきたところなのだ。

 それなのにあのアルク様相手に模擬戦をしろと?

 そう思ったアタシはガトーの傍らに立つアルク様をチラリ。

 最近ちょっと仲良くなれた気がするし手加減してくれたりとか……。

 

「フゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!」

 

 うん、無理。

 やばいよ、やばすぎるよ。

 アルク様ったら牙剥きだして完全に殺る気1000%じゃないですかーやだー。

 

「相手の手の内を知るいい機会だ。俺はかまわんぞジナコ」

 

 ってなんでカルナさんもやる気になってるっスか!?

 あれ? もしかして嫌なのアタシだけ?

 誰かー!? ムーンセルにジナコさんの味方はいらっしゃいませんかー!?

 

『勝手なことをされては困りますねガトーさん。こんなところで模擬戦などこの私が許しません』

 

 アリーナに響く声と共に黒い修道服姿の少女が姿を現す。

 

 ドS紫陽花キター! もうこの際コイツでも構わないっス!

 この模擬戦への流れを変えて完全勝利したジナコさんUCっスよ!

 

「決戦場以外でのマスター同士の私闘は禁じられています。あなたも知っているはずですが?」

「いくら我が天使カレンたんの言葉でも聞けぬ相談よ。小生と我が弟子ジナコは今こそ拳で語り合い、師弟愛を深めねばならぬのだ! 今この場でハルマゲドンが起ころうとも我らは模擬戦をやめることはない!」

 

 なんでアタシとおっさんの模擬戦が世界崩壊より優先されてんの?

 

「そこまでの覚悟とは……。私、ガトーさんの決意に心打たれました。という訳でジナコさんはさくっと模擬戦して死んでください。あとカレンたんて呼ぶな」

「うぉぉい! 今の感動する流れじゃなかったでしょうが! さては最初から止める気なんてなかったんスねコンチクショォォォォォ!」

 

 『模擬戦なんて許さないと言ったな。あれは嘘だ』って言うオチっすか!

 

「あら、嘘なんてついていませんよ。私は私が見ていない ”こんなところ” で模擬戦をするのは許さないと言ったんです。私は試練によってヒトを見極める者。あなたがこの模擬戦(しれん)をどう乗り越えるのかを見届ける義務があるのです」

「……で本音は?」

「ブタコさんが無様に叩きのめされるのを近くで見たかっただけです♪」

 

 よし、地獄に落ちろ。

 

「とは言えムーンセルがマスター同士の私闘を禁じているのは事実です。ですからあなた達が戦える時間はムーンセルが介入するまでのせいぜい1分間といったところでしょう。校舎での私闘は即ペナルティですがアリーナならばそれもありませんしね」

「いいんスか? ムーンセルが禁止してることをアンタが見逃しちゃっても」

「お2人の模擬戦への決意は固いと見ました。止めるには実力行使しかないでしょう。でも私は健康管理AIですからマスターに手を出すわけにはいきません。ああ、困りました。せめて私にできることは大事が起こらぬように見守ることだけ……。ということで心置きなく散ってきてくださいできるだけ派手に」

 

 ムーンセルさんいいんですかこんなAI野放しにして。

 

 とはいえカレンまでかかわってきたのなら模擬戦をしなければこの場は収まりそうにない。

 カレンは模擬戦の制限時間は1分間だと言った。

 1分間なんとか逃げ回ればこの場をやり過ごすことができるだろう。

 

「分かったっスよ。そうと決まればとっとと始めて1分で終わらせるっスよカルナさん」

「セリフだけなら強そうなところが逆に悲しいなジナコ」

「言わなければ決まってたのにィ!」

 

 アタシとカルナはガトーを正面に見据えながら戦闘体勢をとる。 

 

「ようやくその気になったようだなジナコよ。ならばこの拳を以ってお主に神を教えを叩き込んでやろう。我が神よ! 準備はよろしいか!?」

「ハァァァァァァァァァァァァ!」

 

 ガトーの合図でアルクェイドが吼える。

 

 連日のアリーナ通いと魂の改竄で少しはアタシも強くなっているはずだ。

 1分間逃げ切るだけならできるはず。

 アルク様の攻撃も当たらなければどうということはないんスよ!

 

「ガァッ!」

 

 叫ぶアルクェイドが地を蹴りカルナとの間合いを詰める。

 繰り出される爪の攻撃を回避しながらカルナは離れようとするが。

 

「グッ!?」

 

 すぐさま追いつかれたカルナをアルクの爪がかすめる。

 アルクェイドの動きが速すぎる。

 スピードが違いすぎて逃げようにもすぐに追いつかれてしまう。

 

「カルナさん! 回避は諦めてガードするっス!」

 

 アタシの声にカルナは足を止め、攻撃を防御する戦法に切り替える。

 しかしガードの上からでもカルナの体力が削られていく。

 アルクの攻撃力を受け止めるだけの防御力が今のカルナにはないのだ。

 

「1分持ちそうにありませんね。超級サーヴァントもマスターがあなたではこんなものですか」

「そ、そんな……」

 

 カレンの言葉にアタシは立ち尽くす。

 

 カルナはすでにアルクェイドのサンドバックと化していた。

 攻撃を回避することも防御することもできないのだ。

 あとはただ相手の攻撃を受け続けるしかない。

 

 少しは成長したと思っていた。

 だが甘かったのだ。

 アタシのような人間がちょっと努力しただけで他のマスターと戦えるはずなんてなかった。

 

「おっさんストップ! 降参っス!」

 

 たまらずアタシは叫んだ。

 しかしアルクェイドの攻撃は止まらない。

 ガトーは黙ったままこちらを静かに見つめているだけだ。

 

「おっさん。もしかして本気で……」

 

 アタシは悟る。

 これは模擬戦なんかじゃなかったんだ。

 ガトーは最初からアタシをここで……。

 

「逃げてカルナ!」

 

 だがカルナのスピードではそれも叶わない。

 アタシのサーヴァントは目の前で打ちのめされていくだけだ。

 

 ごめんねカルナ。

 あなたがそんな風になってるのはアタシのせいだよね。

 アタシがあなたの力を引き出せないから。

 

「もういいよカルナ! もう戦わなくていいから!」

 

 もう倒れていいよ。

 休んでいいよ。

 こんなアタシのために戦わなくてもいいんだよ。

 

 だがカルナは倒れない。

 無数の攻撃をその身に受けながらも彼はそれに耐えている。

 

 アタシは歯を食いしばる。

 心の奥から湧き上がってくるのは悔しさだった。

 

 悔しい悔しい悔しい。

 あんなにがんばっているカルナにアタシは何もできない。

 

「どうやら最後まで『敵』にはなれなんだか……。ならば愚僧(おれ)も覚悟を決めようか」

 

 ガトーの言葉にアルクェイドが駆ける。

 さらに力のこもった一撃がカルナを打ち倒そうと迫る。

 

「カルナァ!」

 

 本当にごめん。

 こんなアタシでごめん。

 あなたをこんな目にあわせてごめんなさい。

 

 でも……でもアタシここで死にたくない。

 負けたくないよカルナ!

 

「そう、その一言が聞きたかったのだジナコ」

 

 アルクェイドの一撃をカルナの左腕がからめとる。

 

「ガッ!?」

 

 攻撃の方向をずらされたアルクェイドの体勢が崩れた。

 

「だいぶやられたが一刺し返させてもらうぞ」

 

 そしてカルナの右手が動く。

 槍のように鋭い貫手がアルクェイドの心臓に突き刺さったその時。

 

《マスター同士の私闘は禁じられています。ただちに戦闘を中止してください》

 

 ムーンセルの介入により両者のサーヴァントが強制的に引き離される。

 

「最後の一撃は見事だったぞジナコ」

「お、おっさん……」

 

 しかし傍らに立つアルクェイドはピンピンしている。

 今のカルナの攻撃力ではあの一撃もたいしたダメージにはならなかったようだ。

 

「今日をもってお主を破門とする。これから貴様は俺の『敵』だ」

「え……」

 

 ガトーはアタシに背を向ける。

 

「2日後、俺は聖杯に託す願いの為にお主を殺す。強くなるがいいジナコ。強い敵を倒してこそ我が神の威光は一層輝く。そのために小生はここまでお主を鍛えてきたのだからな」

 

 ガトーの姿がアリーナから消える。

 リターンクリスタルを使ったのだろう。

 

『なるほど、ブタも追い詰められると何をするか分かりませんね。最後の一刺し、あれが彼の ”本来の得物” で放たれていたのなら……。ふふ、断然面白くなってきました』

 

 いつの間にか消えていたカレンのつぶやきがアリーナに響く。

 しかし、アタシの耳には入っていなかった。

 決戦まであと2日。

 アタシに命をかけた決断が迫られていた。




戦闘シーンはお察しのクォリティです。
すみません。
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