しっかりと万丈も活躍する第25話、どうぞ!!
有希子side
「いや〜惜しかったね、次リベンジ!」
私たち女子はバスケ部との試合を終え、男子たちのいるグラウンドに向かっている。バスケの結果は惜しくも負けてしまったけど、それでも善戦はしたと思う。
「ごめんね、私が何度もミスしたから・・・」
「そんなことないよ、茅野さん」
茅野さんが途中で何度かミスをしてしまっていた。けど、だからってみんな責めたりはしない。
「バスケ部の揺れる胸が目に入ったら、目の前が殺意で真っ赤に染まっちゃって・・・」
「茅野っちのその巨乳に対する憎悪はなんなの!?」
茅野さんの理由に思わず岡野さんがツッコんでしまっている。それを聞いてみんな笑っている。
「さて、男子の方はどうなったのかな?」
有希子side out
・・・・・・・・・・・
惣一side
「惣一君、万丈君」
「お、有希子。そっちは終わったのか?」
「うん、負けちゃったけどね」
「ま、しょうがねぇだろ」
「そっちはどう?勝てそう?」
「どうかな、今は勝ってるけどまだ一回表だ。それに・・・・ラスボスの登場だぜ」
有希子に返事をしながら野球部のベンチに視線を移す。そこからはこの学校の理事長、『
「いきなりかよ・・・・・」
『あいつが監督をするとなっちゃ、今まで通りにはいかないだろうな』
エボルトの言う通りだな。あの人は勝つためならなんでもしそうだしな・・・。
しばらくして試合が再開した。だが・・・・
「おいおい、アリかよあんなの・・」
野球部は全員内野守備、ありゃバントしかないって見抜かれてるな・・・。
「あんなのズリィだろ!」
「いや、ルール上では野手はどこを守ろうと自由だ。審判が違反と認めたら別だろうけど・・・・審判の先生はあっち側だ。期待できない・・」
『あの審判、ニヤニヤ笑ってやがる』
性格悪っ!!いつものことだけど。
5番バッターである岡島がバッターボックスに立つが、不安そうだ。殺監督に視線を向けてどうするのか聞こうとしているが・・・・
『1!2!3・・・・・』
「打つ手なしかよ!!」
殺監督の表情と顔の色は変わらず、だんだんと落ち込んでいっている。全く打つ手なしってな・・・・。
当然バントじゃ抜けず、六番バッターの前原も抜けれないでアウト。攻守チェンジとなった。
こちらのピッチャーは杉野。E組の中で一番野球ができる奴で、初めの頃は野球での暗殺も行なっていた。
杉野がボールを投げる。ボールは野球部が振ったバットに当たるかと思ったが、その直前でカーブしキャッチャーミットに吸い込まれた。
『変化球か・・・あんなの習得していたとはな』
「打たせるなよ、俺ら取れる気しないから」
「はは、わかってらい!」
初見の変化球に野球部は対応できず、なんとかそのまま二回表に突入できた。が、やはり野球部は全員内野守備、今回も取れないかもな・・・。
次にバッターはカルマからだが・・・あいつ何やってんだ?当の本人はいつまでもバッターボックスに立たないでいる。
「君、早くバッターボックスに立ちなさい!」
「ねぇ、理事長先生〜これずるくない?全員で内野守備とかさぁ〜。お前らもそう思うでしょ?あ、そっか!お前らバカだから、守備位置とか理解してないんだね!」
こ、ここで煽るか!!当然観客であった本校舎生徒は怒り出し、色々と野次を飛ばしてきた。『たかだかエキシビジョンで守備に文句言うな!』とかな。
カルマも抜けず、俺の番が回ってきた。つっても、俺も力があるわけじゃねぇし、野球もほとんどやったことないから抜けれる気はしないんだが・・・・。バッターボックスに立って進藤が投げるボールを見る。あれ?これって俺は行けなくても、あいつならいけんじゃね?
俺は抜けれずアウトになり、次の奴もアウト。一点も取れずに二回裏に突入した。
杉野が先ほどと同じように投げる。が、そのボールは野球部のバントによってバットに当たってしまった。
「マジか・・・」
『こいつはやられたな。野球部が素人相手にバントなど、普通ならクレームもんだが、お前たちが先にやったことで大義名分ができた。『手本を見せてやる』ってな』
俺たちもバントは練習してきたが、バント処理まではできていない。さっきとは完全に立場が逆になってしまったか・・・。
結局、野球部に二点許してしまい、三回表に突入した。確か次のバッターは万丈からだったな・・・。
「おい、万丈。今から言うことをよく聞けよ」
「?おぉ・・なんかあんのか?」
俺は万丈にあることを言ってからバッターボックスに送り出す。言ったことはとても簡単なことだから、万丈でも理解できたはずだ。
「ねぇ、石動君。さっき万丈君になんて言ったの?」
「別に、なんも難しいことは言ってない。だが、万丈だからこそできることだ」
俺が有希子に説明している間にも万丈はバッターボックスに立つ。だが、構えはバントではない。
「あいつはバカで単純思考だ。しかも、身体能力はネビュラガスが注入されている分、俺たちの中でもトップクラスだ」
「う、うん・・でもそれで?」
進藤がボールを投げる。だが、それは俺たちにとっては遅く、万丈はバットを思いっきり振ってボールを吹っ飛ばした。
「俺たちはあんな球ぐらいは見切ることができる。バントで抜けられないなら、吹っ飛ばせばいい。だから万丈に言ったんだよ。『投げられたボールを思いっきり吹っ飛ばせ』ってな!」
『あいつらはバントで来ると考え全員内野守備だ。いきなり遠くに飛ばされたボールになんて、対処できるはずがない』
「ま、それも関係ないみたいだったがな」
万丈が打ったボールはかなり上空まで行き、フェンスを越えていった。つまり、ホームランを打ったことになる。
「よっしゃーーー!どうよ、俺の「はいはい、いいからさっさと走れ!」途切らすなよ!!」
万丈がなんか文句を言っているがそれでも走り出し、ホームに戻って来る。ふっ、これだけでもあいつらに衝撃を与えただろうな。あとは・・・・
その後も試合は進んで3回裏。このゲームの最終局面だ。杉野のおかげでなんとかツーアウトを取ることはできたが、次のバッターは野球部エースの進藤。どう考えても打たれるだろうな・・・。
「やっぱり、進藤は敬遠するしか・・・・」
杉野の意見はもっともだ。あいつに打たれるなら、そうした方がいい。
『いや、そうでもないかもしれないぜ?』
「は?どう言うことだ、エボルト」
『簡単だよ、お前たちの監督が何か思いついたようだ』
「お〜い、監督から指令!」
そう言って走ってきたのはカルマ。指令って、何をやらす気だ?
カルマの指示を聞いて、思わず驚いてしまう。その指示は・・・・・・
「えっ!?前進守備!?」
観客からそんな声が聞こえてきた。そう、殺監督の指示は俺とカルマの前進守備だ。今俺たちはバッターのすぐ近くに立っている。
「さっきそっちがやった時、審判は何も言わなかった・・・文句ないよね?理事長」
「・・・ご自由に、選ばれし者は守備位置程度で心を乱さない」
「へぇ〜、言ったね?じゃ、遠慮なく・・・」
「はぁ・・・・最悪だ・・」
カルマがさらに前進したので俺も前進する。位置はバッターの目の前、振ればバットが当たる位置だ。
「ピッチャーの球は邪魔しないから安心しろ」
「構わず振りなよ」
杉野がボールを投げ、進藤がバットを振った。だが、俺とカルマはそれをほとんど動かずに避ける。
『お前らはE組の中でも動体視力はいい方だ。避ける程度、バントよりも簡単だろ?』
ふっ、そうだな。見てみろよ、エボルト。進藤のやつ、冷や汗めっちゃかいてるぞ。
『もう気づいているだろうな。これは野球ではないと・・・野球の形をしているだけの別の何かだと』
再び杉野がボールを投げた。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
進藤は叫びながらバットを振る。ボールは当たりはしたが真上に上がり、カルマが掴んで渚に渡す。
「渚、次三塁!」
「う、うん!」
渚がすぐに三塁へと投げる。二塁にいた奴は走り出すのに遅れていたため、普通に間に合った。
「次、一塁!走ってないから、焦んなくていいぞ!」
「了解!」
そのまま余裕で一塁でボールを取り、スリーアウト。試合は終了した。
結果は4対2、俺たちE組の勝利だった。
いや〜、球技大会終わったー!
万丈ならホームラン出せそうですよね?ね?
そしてあまり活躍していない主人公。
次回は活躍できるといいな!
感想、評価等宜しくお願いします!
それでは、チャオ!!