いきなりだけどね・・・。
とりあえず第27話、どうぞ!
惣一side
鷹岡の授業が始まった。最初からかなり辛いことで、屈伸を500回やっていた。屈伸自体はそこまで大してことはないが、それを500回も続けられるほど俺たちは体力がない。万丈ならできるだろうが、あいつは普段の俺のようにサボっている。『あいつに従うつもりはない』つってな。俺もできることならサボりたいが、この状態をほっとくわけにもいかないから、仕方がなく授業を受けている。
『だけどな・・・こんなの続けたら生徒が壊れちまうぞ』
そうなんだよなぁ・・・・でも、俺に何ができるってわけじゃないし・・・・。なんかいい案ないか?
『前にも言ったが、俺は教育に関してはほとんど知らないぞ?』
うん、最初から期待してない。
『じゃ聞くな!』
心の中でこっそりとエボルトとこんな会話をしていると、さすがに限界なのか倉橋が座り込んだ。
「烏間先生・・・」
「おい、烏間は俺たちの家族じゃないぞ?お仕置きだな・・・・父ちゃんを頼ろうとしない子は!!」
倉橋が呟いた言葉に鷹岡が反応し、また殴ろうとする。だが、その腕はすぐに止められた。
「・・・いい加減にしろ鷹岡。これ以上生徒に危害を加えると言うなら、俺が相手になるぞ」
「烏間・・・・そろそろ横槍を入れてくる頃だと思ったよ・・」
鷹岡は大人しく腕を下ろしたが、また何かを企んでいる顔をしている。今度は何をさせる気だ?
「んじゃこうしよう。お前が育ててきたこの生徒たちの中から、一人選んで俺と戦わせる。もしも俺に勝てたらお前の教育は俺より優れていたと認めて出て行ってやる。だけど、使うナイフはこれじゃあない」
鷹岡は持ってきていたバックから対殺せんせーナイフを取り出すが、そう言って投げ捨てた。
『まさか・・・使うナイフってのは・・・』
鷹岡がすぐに振り向き、さっき投げ捨てた対殺せんせーナイフに本物のナイフを突き刺した。
「殺す相手は俺なんだぁ。使う刃物も、本物じゃなくっちゃなぁ・・・・」
「本物の・・・ナイフ・・・」
「よせ!彼らは人間を殺す訓練も、準備もしていない!!」
烏間先生の言う通りだ。確かに俺たちは暗殺の訓練は積んできたが、あくまでも
「安心しな、寸止めでも当たったことにしてやるよ。嫌なら無条件で俺に服従だ!」
鷹岡はそう言って烏間先生の足元にナイフを投げ捨てた。これじゃ、嫌が応でも誰かを選ばなければならないぞ・・・。
『お前らは本物のナイフを握ったことがない。あえて言うなら、惣一なら問題なくナイフを振れるだろう。だが・・・・』
当てられる自信がない・・・。振れてもそれじゃあ意味がないだろう。それに決めるのは烏間先生だ。対して授業を受けていない俺が選ばれる可能性は低いさ。
『だが、それじゃあ誰が・・・・』
一人だけ、可能性がある奴がいる。烏間先生をそれに気づいているだろうさ。
『何?そいつは誰だ?』
あいつだよ、昨日の体育で烏間先生が思わず強く防いでしまった相手・・・・渚だ。
案の定、烏間先生はまっすぐ渚の元に行き、ナイフを差し出している。他のみんなは予想外の人選に驚いているな。
数秒の思考のうち、渚はそのナイフを受け取った。そしてナイフを口に咥えると、ストレッチを始める。
「おいおい、お前の目も曇ったなぁ烏間」
鷹岡がそう言っているが、あいつはただ気づいていないだけだろう。この中では渚が一番最適解だと。
『いや、俺もわからないんだが』
まぁ、見てろって。すぐにわかるだろうから。
渚は前に出て、ナイフを前方に突き出して構える。これが渚以外の生徒であったなら、ここで動きを止めてしまっただろうな。
『?・・渚の奴・・笑ってるのか?』
エボルトの言う通り、渚は構えを解くと笑って歩き出した。早歩きでもなんでもない、通学路を歩くように、普通にだ。そのまままっすぐ前に行き、とうとう鷹岡とぶつかった。その次の瞬間、ナイフを思いっきり振るわれた。もう数秒気づくのが遅かったら、ナイフは確実に鷹岡の顔に当たってただろうな。鷹岡はギョッとし、体勢を崩した。渚はそれを見逃さず、服を掴んで後ろに転ばす。そしてすぐに後ろに回り込み、邪魔されないように、確実に仕留めに行った。
「捕まえた・・・!」
『おいおい・・マジかよ・・・』
たった数秒のことだった。渚が動き出してから10秒も経ってないだろう。だが、ナイフは今確実に鷹岡の首元にある。当たってはいないから傷が付いていることはないだろう。だけど、正直予想を遥かに上回ったな。
『普段の生活では、絶対に発掘させることはないであろう才能・・・殺気を隠して近づく才能・・・・殺気で相手を怯ませる才能・・・・そして、本番に物怖じしない才能・・・だから烏間は強く防いでしまったのか・・本能で危険を察知したから』
もしろそれは当たり前のことだ。どれだけ強くても、誰だって危険を感じたら強く防いでしまう。
『渚には・・・暗殺の才能があったのか・・・。だが惣一、お前はよく気づいたな。俺だって気づいていなかったんだぞ?』
勘だよ、ただのな。確証はなかったさ。
予想を覆す結果に、生徒たちは驚きながらも歓喜の声をあげて渚に駆け寄った。ちなみにナイフの方はさっき殺せんせーが食べていた。
とりあえず俺も一声かけておくか。
「お疲れ渚」
「石動君・・ありがとう」
渚がそう言った時、突然前原が渚を引っ叩いた。
「なんで打つの!?」
「あぁ、悪りぃ。ちょっと信じられなくて・・・・でもサンキュー!!おかげでスカッとしたわ!!」
前原は笑顔で渚に肩を組みながらそう言った。確かにスカッとするわな。
『・・おい、惣一。あいつ、まだやるつもりだぞ』
「は?・・・うわ、迷惑な奴だな・・・」
エボルトがそう言うので見てみると、鷹岡がめちゃくちゃ怒りながら立っていた。負けたんだから、大人しく立ち去れよ・・・。
「このガキ・・・まぐれの勝ちがそんなに嬉しいか!?もう一度だ・・・心も体も全部残らずへし折ってやる!!」
『うわ、めんどくせぇ・・』
でもどうするか・・・ブラッドスタークになって毒でも入れるか?そんで麻痺させて・・・・
そう考えていると、渚が一歩前に出てはっきりとこう告げた。
「確かに、次やったら僕は間違いなく負けます。でもはっきりしたのは、僕らの担任は殺せんせーで、僕らの教官は烏間先生です。これは絶対譲れません。父親を押し付ける鷹岡先生より、プロに徹する烏間先生の方が、僕はあったかく感じます。・・・・・本気で僕らを強くしようとしてくれた事には感謝します。ですが、ごめんなさい。出ていってください」
『こいつに謝る必要はないと思うがな』
ま、渚だからな。だが、このだけじゃこいつはおとなしく引かないだろう。
案の定、鷹岡は逆上して渚に殴りかかってきた。やっぱりか・・!
俺が渚の前に立つその前に、烏間先生が向かって鷹岡をなぎ倒した。やっぱ強ぇ・・・。
「身内が迷惑をかけた。これからも俺が指導できるよう、上に掛けあおう」
「烏間先生・・・」
「また邪魔するのか・・・烏間!!」
再び鷹岡が立ち上がった。どんだけ執念深いんだよ・・・・。
「もう邪魔はさせない・・・今度こそお前をぶっ倒してやる!!」
そう言って鷹岡は何かを取り出した。それは少し丸みを帯びた、筒状の物体。俺には見覚えのありすぎるものだった。
「フルボトル!?なんでお前が!!」
「うぉおおおおお!!」
鷹岡はキャップを前に合わせて中の成分を自分に振りかけた。
成分はすぐに鷹岡の中に入っていき、鷹岡の体はスマッシュに変わっていった。そのスマッシュは、両手が翼のような形状をしている。ってことは・・・・
「飛行型かよ・・・」
俺の呟きに答えるようにスマッシュは翼を広げて空を飛び始めた。
『ちっ・・・部が悪いがやるしかない。惣一!!』
「あぁ・・・」
「待ってくれ」
俺がトランスチームガンを取り出そうとした時、烏間先生が止めてきた。
「烏間先生・・?」
「今回、俺は君たちに迷惑をかけてしまった。まさか、防衛省にまで奴らの手が及んでいるなんてな・・・・。本来、スマッシュが相手ならば君の方がいいのだろう。だが、これは俺の問題でもある。だから・・俺にやらせてくれ」
烏間先生はそう言って懐からあるものを取り出した。俺にはフルボトルと同じくらい見覚えのある黒い銃だった。
「トランスチームガン!?」
「な、なんで烏間先生が・・・」
驚く俺たちを尻目に、烏間先生はコウモリの顔が描かれている『バットフルボトル』を振ってトランスチームガンに装填した。
『バット!』
俺のトランスチームガンと同じ音が鳴る中、烏間先生はトランスチームガンを左側に構え、煙を撒きながら一気に右側に持っていった。
「蒸血!!」
『ミスト・マッチ!バット・・・バッ・バット・・・・ファイヤー!!』
煙が晴れ、そこにはナイトローグが立っていた。
『烏間が、ナイトローグだったとはな・・』
全く気づかなかったよ・・・・、どうりで強いわけだ。
ナイトローグは翼を広げ、スマッシュを追っていった。
烏間先生がナイトローグ・・・あれ?強すぎね?
次回はナイトローグの戦闘回ですね、楽しみにしていてください。
感想、評価等宜しくお願いします!
それでは、チャオ!!