万「・・・・今の誰だ?」
惣「さぁ・・・・」
◎side
スタークがビルドに負け、変身が解除された時まで遡る。周りで戦いの様子を見守っていた生徒たちの耳に、荒々しく走る音が届いた。
「万丈!!」
「お前、今までどこに!!」
「あぁ・・悪りぃ!ちょっと、色々あってな。それで、今どういう状況だ?」
万丈のその言葉に、みんなの視線がある一箇所に集まる。それにつられ、万丈もそちらに視線を移した。
「・・・おいおい・・・何がどうなってんだよ・・」
そんな万丈の目に飛び込んできたのは、変身が解除されて動けないでいる惣一と烏間、そしてそんな二人に迫るビルドの姿だった。
「おい!なんで逃げねぇんだよ!!」
「逃げたくても動けないんだよ・・・」
「は?」
万丈の疑問に茅野が答え、殺せんせーが口を開く。
「先ほどまで、二人はそれぞれ強敵と戦っていました。結果、烏間先生は相打ちも同様、石動君は敗北してしまっています。もう二人には、あの場から逃げる体力が残っていないんです」
「・・・んだよそれ・・・・」
殺せんせーの言葉を聞いた万丈は、再び惣一達の方を見る。すでにビルドは惣一達のすぐ近くまで来ていた。
「っ!・・・・こうしちゃいられねぇ!!」
「お、おい万丈!!」
磯貝が声をかけるが、万丈は聞かずにドラゴンフルボトルを振って大ジャンプをした。
「ええぇぇぇ!?」
「こ、この距離を飛べんのかよ!?」
木村や菅谷が驚くが、無理もない。彼らがいる場所から惣一達のいるヘリポートまではかなりの距離があり、その間にはそれなりに大きい溝がある。本来なら渡るための梯子があるが、それは最初に鷹岡に破壊されてしまったのだ。にも関わらず、万丈はその大きな溝をたった一回のジャンプで飛び越えたのだ。
「おぉぉぉらぁぁぁぁぁぁ!!」
「っ!」
万丈はそのままの勢いでビルドに殴りかかる。その気配に気づいたビルドは少し後退してその攻撃を避けた。
「ふぅ・・・誰かと思えば、万丈龍我か」
「ちっ・・・・避けられたか」
万丈は再びボトルを振る。その状態のまま、万丈は惣一の方に視線を移す。
「大丈夫か?惣一、烏間先生」
「万丈・・・・・そういえばいたな。忘れてたわ」
「うわ、ひで!!なんだこいつ!!」
「途中からいなかったお前が悪い」
「仮にもお前を助けたんだぞ!なんだよこの仕打ち!!」
『あー・・・・・お前ら、今そんな事してる場合じゃないと思うんだが・・・』
「「えっ?・・・あー、そういえばそうだったな」」
『忘れてたんかい!!』
このような状況でも相変わらずのやりとり。案外余裕があるようだ。
「てか、案外律儀だな。攻撃せずに待ってくれるなんて」
「ふっ、そこまで卑怯者じゃないさ。それに、そんな事する必要もないしね」
「あぁ、そうかよ!!」
そんな事は関係ないとばかりに拳を振るう万丈。案の定、それは容易く避けられる。
だが、それでも万丈は攻撃の手を止めない。何度避けられても、その拳を振るい続けた。
「・・・・はぁ」
やがて、避け続けるのも面倒だと感じたのか、ビルドが動きを止めてその拳を真正面から受け止めた。だが、万丈の拳はビルドの装甲に受け止められ、ダメージが全く通らない。むしろ、殴った万丈の方がダメージが大きかった。
「っ〜・・・・・いってぇ!!」
「当たり前だろ、馬鹿」
いくらネビュラガスを注入されているとはいえ、万丈は生身なのだ。全身が装甲で覆われているビルドに攻撃してもダメージが通る事もないだろう。
「これで分かっただろう。君の攻撃で私が倒される事はない」
「ンなの、やってみなきゃ分かんねぇだろ!!」
ビルド自身にも言われたが、万丈は攻撃の手を止める事はなかった。ビルドはもう避ける事すらしない。ただ立っているだけだ。
「おら!おら!おら!!」
「はぁ・・・・・ふん!」
「おわっ!?」
万丈の攻撃をしばらく受け続けていたビルドだったが、やがてその拳を手で受け止めて惣一の所まで放り投げた。
「万丈!」
「っ〜・・・」
「もうやめておけ、貴様がやってることは無駄でしかない」
ビルドにそう言われるが、万丈は再び立ち上がった。
「だとしても、止めるわけには行かねぇだろ!」
ボトルを振り、三度殴りかかる。先ほどと変わらず、避けずに受けきる。
「はぁ・・・・なぜやめない?ただ自ら体力を減らしていくだけなのに」
「うるせぇ!」
何度もビルドの装甲を殴り続けたためか、その拳からは血が流れ始めた。
「はぁ・・はぁ・・・例え、俺の攻撃が効かなくても・・・・今、お前と戦えるのは・・・あいつを助けられんのは、俺しかいねぇだろ!!」
万丈がボトルを握った手を大きく振りかぶった。その瞬間、その手が蒼い炎に包まれる。
「何!?ぐわあぁ!!」
突然の出来事に、ビルドは対応出来ず大きく後退させられる。一方、万丈は何が起こったのか理解ができていなかった。
「まさか・・・・万丈!ちょっと来い!」
「え?あ、あぁ」
惣一の呼び声に答え、万丈は駆け寄る。駆け寄った万丈の手に惣一が触れると、確信したような顔をする。
「やっぱり・・・ハザードレベル3.0・・!」
『遂に覚醒したか!!万丈ーーー!!』
「あ?どういうことだ?」
「ハザードレベル3.0に到達したって事は、ビルドのようなライダーシステムや、俺や烏間先生と同じようにトランスチームシステムが扱えるようになった、て事だ」
「・・・・つーこたぁ、こいつが使えるってことか?」
そういって万丈が取り出したのは、ホテルの中で見つけたビルドドライバーだった。
「おま、それをどこで!?」
「さっき見つけたのを持ってきた!!」
「だからどこでだよ!!」
「よし!それじゃあ早速!!」
「聞け!!」
「あ、でもさっき試した時は使えなかったぞ?」
「はぁ・・・・もういいや。それはお前がハザードレベル3.0に到達してなかったからだろう」
「え〜と・・・つまり?」
「そのベルトを使うライダーシステムにしろ、トランスチームシステムにしろ、ハザードレベルは3.0以上じゃなければならない。そして、お前は今3.0に到達したんだ。さっきは無理でも今なら使えるはずだ」
「ん〜・・・よく分かんねぇけど、今なら使えるってことだな!ドラゴン!!」
「おい!!」
惣一の説明を半分も理解できていないが、このまま聞いてても意味無いと考えてドラゴンを呼ぶ万丈。
『ギャオオン!!』
ドラゴンの首と尻尾が折りたたまれ、四角いガジェットに変形する。万丈はビルドドライバーを腰に巻き、ガジェットを手に取る。持っていたドラゴンフルボトルを数回振り、キャップを前に合わせてガジェットの窪みに装填する。
『ウェイクアップ!』
そして、今度はガジェットをビルドドライバーに装填する。
『クローズドラゴン!』
ドライバーについているレバーを回し始めると、万丈の周りにビルドと同じ透明なパイプが形成される。だが、ビルドと違い蒼い液体だけが流れ、横側には翼を広げた龍のような装甲も形成された。
『Are you ready?』
拳を反対の手の平に打ち付け、前方に構える。
「変身!!」
『Wake up burning!Get CROSS-Z DRAGON!Yeah!』
形成された装甲が万丈を挟むように閉じ、さらに後ろから翼を広げた龍の装甲が万丈を包み込むように装着される。
蒸気が吹き出した後、そこには蒼い龍のようなライダーが立っていた。
やっとクローズを出せたぞーー!!まだ変身しただけだけど。
次回はクローズの戦闘回です!
感想、評価よろしくお願いします!
それでは、チャオ♪