有「そ、惣一君?一体どうしたの?」
エ『前回の前書きの時に主人公なのに出番が無いって話があっただろ?んで今回、実際に出番がなくてちょっと凹んでるんだよ』
有「分かってたんじゃ無かったの?・・・・万丈君もいないけど、もしかして・・・」
エ『いや、あいつはまだ寝てる。まだちょっと時間早いからな』
有「えー・・・・・」
エ『まぁ、今回で竹林回は終了なんだ。次回には立ち直ってるだろうさ。んじゃ有希子、いつもあれ、頼むぜ』
有「はいはい・・・・それじゃあ最新の第58話、どうぞ!」
翌日、再び開かれた全校集会にために、全校生徒が体育館に集合していた。壇上には竹林の姿があり、アナウンスで彼のスピーチが行われると知らされる。
「また竹林のスピーチ?」
つい先日スピーチを行った竹林が再びスピーチを行うということで、E組はもちろんのこと他の生徒達も騒つく。
「なんか・・・嫌な予感がする」
「同感だ」
「え?」
「この感じ・・・・殺気だ。あいつは、何かを壊そうとしている」
「それも、大事な何かを」
「それって・・・大丈夫なのか?」
「さぁな・・・・俺たちにできるのは、見守ることだけだ」
E組のみんなが、二人の言葉を聞いたからか不安そうな視線を竹林に送る。それに気付いているのかいないのか、竹林が反応を示すことはない。
そうこうしている内に、竹林のスピーチが始まる。
『僕の、やりたいことを聞いてください』
手に持った紙を開いて話始める竹林。その様子を舞台裏からは浅野が、理事長室ではモニターを通して理事長が見ていた。
『僕のいたE組は、弱い人たちの集まりです。学力という強さが無かったために、本校舎の皆さんから差別待遇を受けています』
開いていた口を一度閉じる。そして、覚悟を決めた表情を浮かべて再び口を開いた。
『でも僕は、そんなE組が、メイド喫茶の次ぐらいに居心地いいです』
全員が目を見開く。このような場で、ましてや壇上に上っている者の口から出るような内容では無かった。驚愕をあらわにする彼らのことは目にも止めず、竹林はスピーチを続行する。
『僕は嘘をついていました。強くなりたくて、認められたくてーーーーーーーでも、E組の中で役立たずだった上に裏切った僕を、
何か縛られることのない、彼自身の本当の気持ち。ついこの間は聞くことができなかった言葉を紡いでいく彼を見て、E組のみんなはそれぞれ顔を見合わせて微笑む。
一方理事長室では、流石に彼以上は看過できないのか、理事長は近くにいた教師に竹林を壇上から下ろすよう指示する。しかし、その教師が集会が行われている体育館に到着するまではまだしばらく掛かる。その間にも竹林の話は続いていく。
『世間が認める明確な強者を目指す皆さんを、正しいと思うし尊敬します。でも・・・・・・もうしばらく僕は弱者でいい。弱いことに耐え、弱いことを楽しみながら、強い者の首を狙う生活に戻ります』
「・・・イカれたか雑魚が・・!!撤回して謝罪しろ、竹林!!さもないと・・・」
たまらず舞台裏から姿を見せた止めにかかった浅野だったが、そんな彼に見せつけるように竹林は隠していた物を取り出して掲げた。それは半透明なガラスの盾。中央部位には『浅野學峯』という文字が、その盾の本来の持ち主を物語っている。
『理事長室からくすねて来ました。私立学校のベスト経営者を表彰する盾みたいです』
それに加えて懐から木で作られた簡易的なナイフを取り出す。刃先が鉄製で出て来ているそれを掲げーーーーーーー
『理事長は本当に強い人です。全ての行動が合理的だ』
思いっきり振り下ろす。一切の躊躇もなく振り下ろされたそれは、軌道上に持ってかれていた盾を粉々に砕いた。壇上に散らばる盾の破片、それを見つめながら、竹林はスピーチを締めくくる。
『浅野君が言うには、過去これと同じことをした生徒がいたとか。前例から合理的に考えれば・・・・・・E組行きですね、僕も』
過去に見せたことがないであろうほどの晴れやかな笑顔。竹林は突然の事態についていけずポカーンとしている生徒達を無視し、さっさと壇上からいなくなった。
「待てよ、救えないな君も。せっかく強者になるチャンスを与えてやったっていうのに」
「強者?怖がってるだけの人に見えたけどね、君も皆も」
肩を掴んで呼び止める浅野だったが、覚悟を決めた竹林には何も通じない。余裕綽々といった態度を取る竹林に唖然とする浅野はその場に取り残されるのだった。
・・・・・・・・・・・・
あれから数日、今日も今日とて暗殺の訓練を行なっていたE組だったが、今回から新たな要素が加えられた。『火薬』である。
火薬を組み込むことで暗殺の方法は大幅に広がる。だが、火薬が危険な代物であることは周知の事実。下手な扱い方をすると、怪我程度では済まない者が出てくる可能性がある。そこで、烏間先生は生徒の中から一人、火薬の扱いを完璧に覚えてもらおうと、大量の分厚い冊子を取り出した。火薬を扱う暗殺をする場合、烏間先生とその生徒の許可が必要になるのだ。
中学生の勉強の範囲など優に超えている国家資格の勉強だ。当然進んで取り組もうとする生徒なんて出てこない。仕方ないか、と惣一が思って手をあげようとしたところで、先に本を手にとった者がいた。
「勉強の役に立たない知識ですが、まぁこれもどこかで役に立つかもね」
「暗記できるか?・・・・・竹林君」
「ええ、二期OPの替え歌にすればすぐですよ」
なんやかんやありつつ無事にE組へと帰還した竹林は、今まで以上にクラスと関わり合おうと努力していた。