エ『あれ?前回までの流れはどうしたんだ?』
惣「あぁあれ?万丈がどうしようもなく逃げまくるから諦めた。前回なんて鎖で縛り付けてロックフルボトルを使ったのに・・・それをぶち壊しやがったんだぜ?」
エ『まぁ、あの筋肉バカだからなぁ・・・そんで久しぶりに普通のあらすじか。なんか物足りねぇな』
惣「あぁそれだが・・・・”そんなあらすじでのネタが思いつかない”って、作者が」
エ『おぉメタいメタい・・ま、うちの作者の頭じゃな』
惣「そうそう、仕方ねぇって」
エ『んじゃま、それはともかく・・・どうなる第63話!!』
惣「あ、おい最後だけ取るんじゃねぇ!!」
時刻は夜中・・・・・街中にはある一つの住居に忍び込む六つの人影が。そう、万丈達だ。授業で教わったフリーランニングを早速活用し、難なく塀を飛び越えて侵入に成功する。
「ふっふっふ・・・体も頭脳もそこそこ大人な名探偵、参上!」
「やってることは、フリーランニングを使って住居侵入だよね・・・・」
「なぁ不破、なんでこの建物に来たんだ?」
「なんで真犯人はこの建物に来ると思ったんだよ」
もちろん、ただ闇雲にこの場所に来たわけじゃない。律の情報収集をもとに、確かな確信を持って不破はこの建物を選んだ。
「ここはね、某芸能プロの合宿施設なの。この二週間、巨乳ばかりを集めたアイドルグループが新曲のダンスの練習をしてるって。それも明日まで!真犯人なら、この極上の洗濯物を逃すはずないわ!!」
「な、なるほど・・・」
「・・・あれ?なぁおい、あれ殺せんせーじゃねぇか?」
ひとまず様子見、茂みや車の影などで姿を隠しながら様子を伺っていたところで、万丈が少し先の茂みの中に、頬被りをしてサングラスをつけている殺せんせーの姿が確かにあった。
「なんだ、殺せんせーも考えることは同じか」
「ってかどう見ても盗ぬ側の格好だろあれ・・・」
「見て!!真犯人への怒りのあまり下着を見ながら興奮している!!」
「あいつが真犯人にしか見えねーぞ!!」
さて、そんなことはさておき、対して時間も経過しない内に目的の人物がこの場に姿を表した。黄色いヘルメットを被ってその顔を隠しており、確かに暗闇であれば黄色い頭の大男に見えてしまうだろう。明らかな一般人とはかけ離れた身のこなしで優々と住居を侵入、そのまま干されていた下着が持っていかれそうになる。
「捕まえたーー!!」
当然、殺せんせーがそれを許すはずがない。どれほど軽い身のこなしをしていようとマッハ20のタコ相手に逃げられるわけがない。あっという間に捕まり、押し倒される。
「よくもナメたマネしてくれましたね!?押し倒して隅から隅まで手入れしてやるヌルフフフ・・!!」
「なんか・・・下着ドロより危ないことしているみたい・・」
「笑い方も報道通りだしね」
兎にも角にも真犯人は無事に捕らえた。殺せんせーはその面を拝むべく、大男が被っているヘルメットを放ったくる。露わになる真犯人の顔、それは彼らE組にとって見知った相手であった。
「あれ?あの人・・・・烏間先生の部下の人じゃない?」
「確か・・・鶴田さん、だっけ?」
渚達が驚愕し、それは殺せんせーも同様だった。予想外の人物であったことに驚き、思わず掴んでいた触手を離してしまう。
「なんで・・・あなたがこんな・・・」
そちらに気を取られてしまったからか、殺せんせーは反応出来なかった。一体どこに隠されていたのか、巨大なシートが殺せんせーの周囲を囲ってしまった。それと同時に姿を現す、あの男。
「国に掛け合って烏間先生の部下をお借りしてね。この対先生シートの檻の中まで誘ってもらった」
「この声は・・・・」
「テメェ・・・シロ!!」
「君の生徒が南の島でやった方法だ。当てるより、まずは囲うべし・・・・・さぁ殺せんせー、最後のデスマッチを始めようか」
四方がシートで囲まれている中の唯一の脱出口である上の穴。そこから、殺せんせーと同じく触手を所有しているイトナが飛来する。腰にはスクラッシュドライバーが装着されており、頭から伸びる触手に先にはシートと同様の対殺せんせー物質で作られた蛇腹の刃が備え付けられていた。
「イトナ!!」
「まずは劇的にフィールドを変化させ、それから襲う。当てるよりまずは囲うが易し・・・・君たちの戦法を使わせてもらったよ」
「シロ、これ全部テメーの計画か!?」
「そう言うことさ。街で下着ドロを重ねたのも、殺せんせーの周囲に盗んだ下着やら色々仕込んだのもね。あぁそうそう、彼を責めてはいけない。仕上げとなるこの場所だけは、下着ドロの代役が必要だったものでね」
「・・すまない・・・烏間さんの、さらに上司からの指示だ・・・・やりたくないが、断れなかった・・」
「っ・・・!!」
中学生にはまだない、大人だからこその事情。当然責められるわけもない。
「生徒の信頼を失えば、あの怪物は慌てて動く。そこに来て巨乳アイドルの合宿という嘘情報・・・・多少不自然でも飛び込んでしまう辺り、間抜けだねぇ」
途切れることなく殺せんせーを襲う、イトナの触手の猛攻。対殺せんせー物質による体の一部一部が徐々に溶け出しているが、防戦一方となってしまっている。
「クソ・・・俺らの獲物だぞ・・!」
「いっつも汚い場所から手ぇ回して・・・!!」
「それが大人というものさ。さてイトナ、ボトルも使いなさい」
『オクトパス!チャージボトル!潰れな〜い!チャージクラッシュ!』
「生身でドライバーを・・!?」
「あのスクラッシュドライバーを少々改造してね・・・・わざわざグリスにならなくとも、ある程度はボトルの力を引き出せるようにしたんだ。ただ振るよりもボトルの性能を引き出せ、同時に触手も使える・・・・これで仕留められないようではね・・・」
殺せんせーの触手に対応できる対殺せんせー物質の武装が施された触手にフルボトル。躱そうにも周りは対殺せんせー物質でコーテイングされているシートがあり、弾こうにも対殺せんせー物質の武装がジワジワとダメージを与え続ける。そろそろトドメの一撃を・・・・・イトナが全触手を、全エネルギーを、殺せんせーへと集中させる。
「俺の勝ちだ・・・・兄さん。お前を殺して、たった一つの問題を解く。即ち・・・最強の証明!!」
降り注ぐ触手とボトルのエネルギー。防ぐことなど到底出来ないはずのそれを・・・・殺せんせーはニュルンと躱した。
「!?」
先ほどまでの優勢具合が嘘のように、イトナの触手はその全てが悉く躱されていく。さっきまで触手を受け続けたからこそ、その動きに順応出来ていた。
「見事です、イトナ君。一学期までの先生ならば殺られていたかもしれません。でもね・・・・君の攻撃パターンは単純です。いかに速くても、いかに強くても、いかに保護者が策を積み上げても、いかにテンパリやすい先生でも、三回目ともなればすぐに順応して見切ることが出来るのです」
「バカな・・・・こんなはずでは・・・・」
「イトナ君、先生だって学習するんです」
イトナの触手を全て掴む。触手で触れば溶けてしまうが、服ごしであれば問題無く掴みかかれる。
「先生が日々成長せず、どうして生徒に教えることが出来るでしょうか?」
しかし、このままでは殺せんせーは身動き出来ないままだが・・・・・・こんな弱点で囲まれている現状を打破する方法を、すでに殺せんせーは編み出していた。
「さて・・・厄介な布の檻を始末しますか。夏休みの完全防御形態の経験を通して、先生も一つ技を学習しました。全身ではなく、触手の一部だけを圧縮してエネルギーを取り出す方法」
エネルギーが触手の先へと集まり、それを証明するかのような光が布を通り越して外まで漏れ出していく。
「覚えておきなさいイトナ君、先生にとって暗殺は教育・・・暗殺教室の先生は、教えるたびに強くなる・・!!」
放たれる高エネルギー。布の檻ごとイトナを飲み込み、その衝撃で建物にガラスさえも砕け散っていく。
「なんだよこれ!?」
「わ、分かんないけど・・・・多分、いや間違いなく、殺せんせーだよ・・!!」
「うっ・・・くぅ・・・・・ぁぁあああ!!」
『潰れる!流れる!溢れ出る!ロボットイングリス!!ブラァ!!』
ほとんど怒りに任せるまま、瞬時にグリスへと変身したイトナ。ツインブレイカーのアタックモードを右手に、殺せんせーへの特攻を仕掛けてくる。
「変身!!」
『Wake up burning!Get CROO-Z Dragon!Yeah!』
「オラァ!!」
割り込むように、クローズへと変身を遂げた万丈がグリスの前方に出てその腕を受け止める。
「退け、邪魔だ!!」
「退くわきゃねぇだろ!!オラ!」
クローズとグリス、二人の仮面ライダーの拳が衝突する。その度に周りには衝撃が伝わっていき、徐々にその威力が上がっていく。
『スクラップフィニッシュ!』
『ドラゴニックフィニッシュ!』
「「はぁああああああああ!!」」
目の前を倒す、その思いが込められた二つの拳の衝突、一見互角のように見え、拮抗している・・・・・・・・はずだった。
「俺は強い・・・俺は強い・・・俺は強い・・・・」
「あ?お前何言って・・・」
「俺は強い!兄さんを殺し、最強だと証明する!!」
「うぉおお!?」
グリスの攻撃力が増し、段々と押され始めるクローズ。突然のグリスの攻撃力の上昇に、実際にその拳を受けているクローズは困惑する。
「ど、どうなってんだこれ・・?ってかまずい、このままじゃ・・!!」
『スチームブレイク!コブラ!』
押し負ける。そう思った瞬間、クローズの背後より放たれた一撃がグリスを貫く。突如訪れた予想外の一撃にグリスはなすすべなく貫かれ、その装甲が解除された。
『殺せんせーを殺せなかったこと、並びに邪魔をする万丈に対する怒りでハザードレベルが上がったか・・・今のお前とグリスの間じゃ、ハザードレベルは天と地ほどの差があるぜ?』
「おぉ、惣一!」
『まぁ、今の俺があのまま戦闘に加わっても結果は同じだったろうがな・・・・今のような不意打ちじゃなきゃこいつを倒すのは不可能だった』
「お、おぉ・・?よく分かんねぇけど、とにかく倒せたしいっか!」
『・・・やはり、
「お?何か言ったか?」
『いや、なんでも・・・・とにかく、そういうことだ、シロ』
ここまでイトナの勝手なグリスへの変身並びに戦闘を黙認していたシロ。表情は全く分からないが、その身に醸し出す雰囲気からどことなく呆れているようにも感じる。
「シロさん、あのような奇襲が私に通用しないことも分かったでしょう。彼をE組に預けて去りなさい。あと・・・・・・・私が下着ドロじゃないという正しい情報を広めてください!!」
「私も正しくはB、Bだから!!」
イトナのことよりもそっちの方が重要らしい殺せんせーと茅野が、正しい情報の修正を乞う。まぁ茅野はともかく、殺せんせーはそれは目的でこの場に赴いているのだから当然だろう。
しかし、その返事が来ることはなかった。
「グッ、ガァああああアアああアアアアああ!?」
「い、イトナ君!?」
「お、おいどうしたんだよ!?」
「あ、頭が・・・脳みそが・・裂ける・・・!!」
突然頭を抱えて苦しみ出すイトナ。その苦しみ様は尋常ではなく、体は痙攣を起こし、汗も止まらず、目の焦点も合っていないようにも見える。
『・・・ネビュラガスを注入する瞬間はともかく、その後にここまでの拒絶反応を起こすことはないはずだ。ましてやライダーシステムを扱え、ハザードレベルが4.0を超えてるなら尚の事・・・・・この苦しみは、触手が原因か?』
「度重なる敗北のショックで、触手が精神を蝕み始めたんだろう。ここいらがこの子の限界か・・・・・これだけの私の術策を活かせないようではね」
イトナの苦しみように反し、シロは異様なほどに落ち着いていた。まるでこうなることは予想の範疇だったかのように。
「イトナ、これだけ結果を出せないようでは、組織も金を出せなくなるよ。君に情がないわけじゃないんだ・・・・次の素体を運用するためにも、どこかで見切りをつけないと・・・・・。さよならだ、イトナ。あとは一人でやりなさい」
情がある。そう言った割にもかなりあっさりとイトナを切り捨てたシロ。彼にとって、イトナとはあくまでも自らの目的を達成するためだけの駒でしかなかったらしい。
『シロ、テメェ!!』
「待ちなさい!あなたそれでも保護者ですか!!」
「教育者ごっこしてんじゃないよモンスター。なんでもかんでも壊す事しかできないくせに・・・・私は許さない、お前達の存在そのものを。どんな犠牲を払ってもいい。お前らが死ぬ結果だけが私の望みさ。・・・それよりいいのかい?大事な生徒を放っておいて」
「っ!」
『・・・殺せんせー、イトナは任せる。俺はシロを追う』
「あ、ちょっと石動君!?」
立ち去ったシロを追いかけるために、イトナのことは殺せんせーに託し、すぐに飛び去る惣一。それとほぼ同時に、イトナもそこから飛び去っていった。