僕は殺戮者   作:讃岐うどん

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しばらく一人称が続くと思います。


其の壱

森の木々が風によってさわさわ音をたてながらと揺れる。

生物の鳴き声は無く、葉が触れ合う音が一層際立って聴こえる。

そんな森の中、川辺で倒れている人間が一人。

 

ーーー檜原 欠だ。

 

 

 

 

「…ん。」

 

さて、目覚めたわけだ。

転生、あの出来事は本当だったらしい。

死んだ筈の僕の体を血がめぐり、心臓が動いている。

生きている実感が沸く。

 

「変わったところは…特に無いね。」

 

身体を見回してみる。特に変化は無い。

五体満足の状態。服は綺麗になり、靴は普段履いていた運動靴だった。

因みに、服は制服だ。中学生が着ているあの黒い制服。真っ黒だ。

勿論、その袖には包丁がある。万一、何かに襲われても取り合えず大丈夫だろう。

 

「さてと。」

 

此処がどの世界なのか。まずは其を知りたい所だが、生憎見当もつかない。

周りに在るのは川、そして森。それだけでは判るわけが無い。

 

「んー…静かだ。」

 

聴こえるのは風の音と、それによって揺れる木の音だけだ。

動物の鳴き声は一切聴こえない。

 

「何も居ないのかな?」

 

生物の気配がしない。少なくとも、熊や鹿などの大きな生き物は居ない。

多くの生物を解剖をしていた僕には分かる。

 

「本当に化け物とか居るんだろうかね。」

 

かなり不安だ。

神が居ると言っていたから、かなり楽しみにしていたのに動物の気配さえ無いのだ。

 

「…取り合えず、何か探してみようか。」

 

という事で、周辺を探索することになった。

 

 

 

 

 

ーーー五時間後。

 

日が傾いてきたので、元居た川辺に戻ってきた。

辺りには、森や洞窟等があった。

だが、予想通り何も居なかった。植物だけが生い茂り、正に植物の世界だった。

 

「大丈夫かな~。」

 

不安な事がある。生物が生きる上で欠かせないもの。

『食事』だ。

 

「流石に食べるものが無いと死んじゃうね。」

 

単純に栄養が摂れないと、餓えて死ぬ。餓死だ。

だが、植物しか無い。動物が居ない以上、どうしようもない訳だ。

僧のような精進料理を食べることになる。…最も、それさえ食べられないかもしれないが。

 

「それは嫌だな~。」

 

流石にそんな生活には耐えられる気がしない。

なので、何か名案は無いかを考えることにした。

 

「…まだ調べてない所。」

 

森は調べた。他に生き物が居そうな所といえば…。

 

「あ、川。」

 

あるじゃん…目の前に…。何故気付かなかったんだ?

 

「そうとなれば…。」

 

探すしかない。既に日が暮れかけていて、少し暗い。

完全に日が落ちる前に見つけなければ…。

 

 

 

 

 

 

 

「…捕れた。」

 

案外直ぐに見つかった。

魚…なのだが、足が生えていてトカゲのようだ。

こんな生物…見たことが無い。

 

「食べられる…のかな?」

 

川にはこの種類の魚…?しか居なかった。つまり食べられないと、多分、死ぬことになる。

転生して早々に死ぬ…それだけは嫌だ。

 

「それじゃあ…」

 

袖から包丁を取り出し、調理…というか捌く。

取り合えず、腹を開き、内臓を取り出す。この辺りは普段やっていたので、手がスムーズに動く。内臓を取り出した後、鱗を取る。…果たしてこの捌き方で良いのだろうか。

…凄く不安だ。

 

「…あ。」

 

重要な事を思い出した。調理とかそれ以前の問題。非常に重要な事だ。

 

 

 

 

火がない…。

 

 

 

 

「…これじゃあ調理とか出来ないね。」

 

と、いうことで。生で食べることになった。

魚だから大丈夫だと思う…。というか、刺身だから。

ちゃんと寄生虫とかは、居ない事を確認してある。

大腸菌とかは心配だが。

 

「取り合えず、食べてみるか。」

 

実食。

醤油が無いので、素材そのものの味が重要になる。

見た目はハマチみたいだけど、味はどうなのだろうか。

 

…食べてみるしかないね。

 

「頂きま~す。」

 

身をゆっくりと口に移す。何だか複雑な心境だ。

一応、生死が懸かっている為だろう。

そして、口に入ったことを確認して、咀嚼する。舌触りは…普通だ。

そして肝心の味は…

 

 

 

 

 

 

 

 

「不味っ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

不味かった。タイヤのような味だ。

食べられるっちゃ食べられるが、ここまでに不味いとなると、今後の食生活が地獄になる。

 

 

「別の部位ならいけるかな?」

 

 

少しの希望を持ちながら、他の部位も食べることした。

 

今食べた部位は一番脂がのってそうな所だった。いわゆる一番美味しそうな所。

となると、他の部位はもっと…ダメだ。考えてたら食えなくなる。

 

まずは肩。

 

「…不味いな。」

 

 

 

次はレバー。

 

「…おえっ。」

 

元々レバーはあまり好きじゃなかったから、これは無理だ。

 

次は…

 

 

 

 

 

ーーーなんだかんだで、色んな所を食べた。結果は全敗だった。

残るは心臓なのだが…。何やら体に悪そうな何かを発している。黒い色をした何かを。

これはどう考えても不味いだろう。

 

「これを食べるのは流石に引けるなぁ~。」

 

でも、食べるしかない。それ以外に道はないのだ。

意を決して、口に放り込む。もう何でもいいや、と考えながら。

 

 

 

 

モグモグ…

 

 

静寂の為、咀嚼音が一層際立つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…美味い。」

 

 

 

 

予想外だった。こんな変なのを発している物が美味しいとは。…世の中って広いんだね。

これで地獄の食生活は免れそうだ。…心臓だけどね。

 

「ふぁぁ…」

 

色々食べてたらお腹が膨れた。

たくさん食べたせいか、眠くなってきた。

もう日が完全に暮れて夜だし、寝よう。猛獣も居ない事だし、安心して眠れそうだ。

 

「おやすみ。」

 

静かな川辺で、一人の人間が眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーそれから数年経った。

食べて寝る、それを繰り返して時を過ごした。

あまり遠くに行って、食べる物が無いと死ぬので、今でも川辺に居る。

ある日、僕は自分の体の異変に気付く。

 

「…身長が伸びてない。」

 

そう。身長が全く伸びていないのだ。

転生後の身長は、転生前と同じだった。視点が同じだったからだ。

そして、数年経った今でも視点が同じままなのだ。

 

「髪は伸びるんだけどな~。」

 

髪は普通に伸びるので定期的に切っている。…勿論包丁でだが。

 

「声も変わらないし。」

 

声変わりする前の少し高い男の声。子供っぽい。

精神的には20くらいなんだけど。

 

「…年をとっていないのか?」

 

肉体的にだ。容姿の全く変わらない自分の体は明らかにおかしい。

これの原因は…神か?もしくは何時も食べている心臓か?

 

どちらにせよ、僕は年を取らないようだ。

それに加え、僕はいつの間にか人間離れした身体能力を得ていた。

 

軽く走ってみると、短距離走の世界記録を余裕で上回った。

そこらに転がってる岩を軽く殴ると、粉々に砕けた。

 

驚異的な移動速度や岩を砕く腕力。明らかに人間に出来る芸当ではない。

特に修行やら鍛練やらした覚えは無い。食べて寝る。正にニートの様な生活をしていただけだ。こんな事は最初は出来なかったので、恐らく何時も食べてるあれが原因だろう。

 

その為、あれを食べるのを止めようかと思ったが、あれ以外に食べる物が無いんだからしょうがない。体調が悪くなる訳でも無いので、今後も食べることにする。

 

さて、他にも気付いた事が。こっちも結構重要。

 

此処は、大昔の地球だということ。

…何故気付いたか。というのも、先生が言っていた、太古の地球と酷似していたからだ。

僕が何時も食べているこの魚。足を生やし、陸に上がろうと進化しようとしているようだ。

つまり、魚類が陸上進出している途中なのだ。これは大体4億年前の出来事。

 

これは恐らく確定だろう。

あの神…とんでもない所へ転生させやがったよ。

不老らしいから良いが、そうじゃなかったら何もしないまま死ぬところだった。

…今度会ったら眉間に包丁を刺してやろう。30本位。

 

 

で、この暮らしを後何年続ければ、動物が出てくるのかな~。

哺乳類が誕生するまで335000000年位かぁ…。

あ、その前に恐竜が来るか。是非バラしたいな♪

そんな考えを抱きながら、また、眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー更に時は流れ、遂に1億年経った。

1日ごとに岩に傷をつけて数えていたら、川の岩全てが傷だらけになった。

これだけ長い月日が経っても、まだ何も起きない。

 

迂闊に遠くには行けないので、この川辺で同じ生活を送っていた。

だが、そろそろ飽きた。なので此処を旅立とうと思う。

仮にこの世界が、アニメや漫画の世界なら、既に誰かが存在しているかもしれないし。

こんな時代に人間が居るとは思えないけど、こんな退屈な生活を送り続けるよりはマシだ。

 

以前(一億年前)も旅に出ようとした。けど、食料の問題で無理だった。

だが、遂に解決した。一億年もかかったけど。

 

一億年、一体何をしていたか。

あの神が掛けた無限魔法の原理を研究していた。…暇潰しにだけど。

その暇潰しにやってた研究が何だかんだで食料の問題を解決してくれた。

 

で、研究結果。

 

 

袖に入れた物を無限に出せる様になりました。

 

 

因みに、何でも増やせる。恐らく、神刀だろうが、妖刀だろうが、なんだって増やせる。

しかも好きな時に出せる。我ながら恐ろしいね。

別に僕がこの魔法を創ったんじゃないよ?神が掛けたのをちょっと弄っただけ。改良だね。

結構難しい構造だったけど、何とか解けた。これでも頭は良いからね。

この魔法を創ったあの神、心から凄いと思うよ。…うん。

 

で、いつも食べてるアレを袖に入れて…と。

はい。

これで何時でも出せる様になった。因みに、入れた物は万全の状態で出せる。

つまりこれで食料の心配は無くなった訳だ。やったね。

因みに、袖は亜空間に繋がっている。

直接袖に心臓なんて入れてたら、気持ち悪いだろう?

別に僕は気にしないんだけど。他人が見たら…ね?

 

「さて、食料も手に入った事だし。」

 

包丁を片手に。

 

「行こうかな。」

 

殺戮者は旅に出た。




さて。そろそろ原作キャラを出さねば。
まあ、大体予想できると思いますが…。
何か、後々黒歴史になりそうで怖い((((;゜Д゜)))
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