ひねくれ魔法少女と英雄学校   作:安達武

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ちう様なら・・・我らが魔改造ちう様なら、ヒーローにだってなれるっ!
だって!ちう様だから!

そんな軽い気持ちで書いた。反省は1ミリくらいしてる。



Another Universe
予想のつかない事象発生


3月。早咲きの桜が満開となった、陽気な春のある日。

麻帆良学園女子中等部の3年A組に所属する長谷川千雨は桜の木を下から眺めていた。

昨日の卒業式で無事に中等部を卒業し、来月から高校生となる。そんな長くも短い春休み。

 

長谷川千雨は一年前まではごく一般的な、他人よりちょっとだけオタクで、現実主義なひねくれた女子中学生だった。

しかし5月の学園祭にて魔法の存在に気が付いた千雨は彼女のクラスにやって来た新任教師ことネギ・スプリングフィールドが魔法使いであることを知り、クラスメイトたちとともに魔法使いの戦いに巻き込まれていく。

そしてその中でネギと仮契約をして、アーティファクトと呼ばれる魔法の道具を手にし、魔法の力で電子精霊を使役する魔法使いの従者になった。

それからも魔法使いの仲間として色々な冒険に巻き込まれ、魔法世界の真実を知ったり、クラスの恋愛戦争に巻き込まれたり、高校に上がる前に濃い一年間を過ごした。

 

高校でのクラスは異なるだろうが、エスカレーター式の学校だから全員同じ高校―――いや、エヴァンジェリンはまた中学生を繰り返すだろうから全員ではない。

 

全員がたとえ今と同じではなくても、この一年間で紡いできた絆は変わらない。

 

そんな春の昼下がり。

いつもの面子と言えばいいのか、白き翼の面々に誘われて珍しく自ら参加した花見に千雨はいた。

 

参加すると告げた際に微笑ましいものを見るような目をしていた茶々丸のゼンマイを巻いた。このような麗らかな陽気に誘われれば参加するのは普通だろう。

 

普段から人と距離を置く千雨なら参加したがらないのを強制参加させるのが茶々丸の役割でもあった。しかし、それもネギの計画実行のための秘書業務で忙しく、近頃はしていなかった。

そのため茶々丸の心境は、人の輪に入りたがらない我が子が仕事でしばらく見ないうちに自分の意志で輪に加わると言ったのを見た母親のソレである。

 

そんなこんながありつつも、桜の下に集まった面々で今後の話をした。

今日は昨日の卒業式に合わせて休暇を取ったネギもいるため、今後の計画についてだとか。高校ではどんなことをしたいとか。魔法世界に次回行ったらとか。お互いに頼み合っていた情報や依頼品の交換だとか。

いつもの面子が集まった以上、話す内容もいつものことだ。

 

喉が渇いたので飲み物を買いに行こうと敷物から立ち上がって数歩進んだ時、足元が光る。

 

「なんだ!?転移魔法陣か!?」

「千雨さん!?」

 

突然の出来事に離れていたネギが瞬動術ですぐそばまで駆け付ける。

仲間たちがアーティファクトを構えて警戒態勢を取った。

 

「無理だ兄貴!

干渉されないように結界が張られてやがる!!」

「見たことのない術式結界…!?

アスナさん!結界の破壊を!」

「ダメですネギ先生、間に合いません!

それにこの結界は見たことがないので、無理に干渉してしまうと千雨さんが危険です!」

「そんな……!」

 

何とかして救出しようとするネギたちだが、魔法陣の上にいる千雨には何もかも間に合わないことがわかった。

 

「―――先生、お前はしっかり前を見据えて行動しろ」

「ちうちゃん!?」

「お前らも、先生のこと頼むぞ」

「……千雨さん、先ほど渡したデータは……!」

「役立つかはわかんねぇけど、ちゃんと持ってる」

 

なるべく言うべきことを言う。

時間は残り少ないのだと強くなっていく光で分かる。

 

「千雨さん!!!」

「―――泣くなよネギ先生。いい男が台無しだぞ?」

 

泣きながら結界の壁にすがり付くネギと、叫ぶように名前を呼ぶ仲間たち。そして満開の桜。

 

 

―――それが、長谷川千雨が最後にみた麻帆良の景色だった。

 

 

 




◆ネギまを知らない人のために、簡単な千雨の経歴を書きました。

麻帆良学園に通うごくごく平凡な女子中学生。オレンジ色の髪に丸い伊達眼鏡をかけている。
普段は地味で冴えない中学生だが、裏の顔としてネットアイドルという顔を持つ。ハッキング能力もあり、自称スーパーハッカ―。
騒がしくお祭り騒ぎが大好きなA組において、周囲と一線を画して冷めた目で周囲を見て心の中でツッコミを入れていた斜に構えた冷たい現実主義者だが、本当は面倒見が良く他人を放っておけない性格でもある。

中学二年の2月頃にやってきて担任となった英語教師ネギ・スプリングフィールド(当時数えで10歳、実年齢9歳)に対して、子供が教師をするのはおかしいとツッコミをするなど常識的な思考の持ち主。
中学二年の3月にネギに自身がネットアイドルをしている事を知られてしまう。

中学三年生の5月にあった学園祭時に魔法の存在を知り、さらにはネギが魔法使いであると論破する。
学園祭最終日にクラスメイトである超鈴音が『世界中に魔法の存在をバラす』のを阻止すべくネギと仮契約のキスをして仮契約カードを得る。仮契約カードで得た力の王笏という電子精霊を使役するアーティファクトを手に、超と同じくクラスメイトであり超鈴音が作成したロボットである絡繰茶々丸とネットの世界で戦う。

その後、行方不明になっているネギの父親ことナギ・スプリングフィールドを探すネギを支えるということで作られた『白き翼』に所属。イギリスのウェールズ地方から魔法世界へと向かう。

しかし魔法世界の転移ゲートポートにて、テロリストに遭遇。その場にいた仲間たちは魔法世界各地にバラバラに転移させられ、千雨は魔法世界に到着早々ドラゴンやらモンスターなど魔獣がひしめき合う樹海にて遭難する羽目に。

同じ樹海に転移させられていたネギと茶々丸、その後に小太郎と合流したものの、テロの実行犯という虚偽の情報をばら撒かれてしまい、仲間たち全員賞金首に。
しかも転移にこっそりとついてきたクラスメイト3名が奴隷契約をしてしまっていた。

クラスメイトたちを奴隷から解放させるべく、ネギと小太郎は年齢詐称薬を使って見た目を偽り、拳闘士として賞金を稼ぐ。その一方でクラスメイトたちの捜索もしていく。
より強くなりたいと思ったネギは、この魔法世界に来た最初の目的人物であるジャック・A・ラカンと出会う。
千雨とともに彼の居場所へと向かい、ラカンからクラスメイトであり真祖の吸血鬼であるエヴァンジェリンが昔作り出したという『禁呪・闇の魔法』のスクロールを貰い、その技を習得。

ネギは拳闘大会の決勝戦にてラカンと引き分けになるも、奴隷から解放させた。

その後、テロリストこと秘密結社『完全なる世界』により魔法世界存亡の危機に立ち向かう。

魔法世界にて悩めるネギの相談に乗るようになり、ネギの相談役として参謀的立ち位置に。魔法世界での冒険から麻帆良学園に戻ってからも相談役に。
中学卒業時にネギから告白されるも振った。


拙作にて、その卒業式翌日にどこかへと転移してしまう。

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