ひねくれ魔法少女と英雄学校   作:安達武

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明けましておめでとうございます!!!
「大 遅 刻」「そろそろ年度明け」「詫び閑話はよ」っていう赤字字幕が付く気がするくらいスランプとリアルの多忙で3ヶ月近く間が開きました!
こんな駄目作者ですが今年もよろしくお願い致します!

我らが大天使千雨ちゃんの平成最後の誕生日、おめでとうございました!!!(強引に祝っていくスタイル)



罪と英雄 後編

ここからどうやって後始末をつけるのか。

まずは千雨たち4人がやらかした事をざっくりまとめてみよう。

 

1、監督責任者から離れて個性の無断使用

2、個性による他者への攻撃

3、クラスメイトを戦闘に巻き込む

4、現場から逃走

5、違法行為の映像所持

 

1は全員。2は主に現場にいた飯田、緑谷、轟の3名。3と4と5は主に千雨がやらかした事である。

 

千雨が所持しているものでこの状況で使えそうなものは、以下の通り。

ヒーロー委員会会長の連絡先、相澤先生の連絡先、ヒーロー殺しとの戦闘映像データ、電子精霊、アーティファクト。

そして現状、千雨が選べることは次の3つ。

 

1、賢くて可愛いちう様は突如解決のアイデアをひらめく。

2、仲間のクラスメイトたちの助けで無罪を勝ち取る。

3、千雨には何も出来ない。現実は非情である。

 

「どう考えても1しか選択肢がねぇじゃねぇか。ポルナレフかよ」

 

ため息交じりに独り愚痴をこぼす千雨。

クラスメイトたちに助けられる可能性は皆無である上に、何もしないのは一番まずい。千雨のことも聴取でバレるだろうから全員仲良く警察の世話になる(警察エンド)

とはいえ警察の世話になったとしても倒した相手が相手であるため、退学は流石に無いだろう。ただし前歴で済むか前科一犯になるかはわからない。

もちろん事件に首を突っ込んだ罰として反省文を書く可能性はあるし、それ以上の罰則が発生する可能性もあるため、是が非でも回避したい。

 

「頼りたくねぇけど、現状で取引出来そうなのこれしかねぇか。

保須警察署の署長室あたりにハッキングするのも悪くないけど警察署に犯罪行為しての交渉はこっちの分が悪いし、何言われるか分かったもんじゃねぇ……」

 

千雨はため息交じりに電脳空間で電話をかけると、目の前に表示された画面の文字がすぐにCALLINGへ変わる。

 

「あー、もしもし会長。

夜遅くに悪いんですが、ヒーロー殺しの特別捜査本部のトップとのコネクションありますか?」

 

ヒーロー殺しは複数の県をまたがる連続殺人犯だ。警察とて何もせずに全てヒーロー任せという訳ではない。

凶悪事件に対しては必ず特別捜査本部を設置して事件の早期解決に向けて行動している。

ヒーロー公安委員会の会長なら警察上部の連絡先はいくつか持っていることだろう。

 

「確か職場体験中だったわね。ヒーロー殺しの事件に関わるなんて貴女らしくない」

「一応言っておきますが、私も関わりたくなかったのが、関わらざるを得なかっただけです。……クラスメイトであるインゲニウムの弟が他のクラスメイトと共に奴を捕縛したんですよ」

「ほばっ!?1から話しなさい!」

 

現代社会の包囲網でもずっと捕らえられなかった凶悪犯を捕らえた。その情報は公安委員会のトップだからすぐに入手出来たことだろう。しかしまさか学生が捕縛したなどと誰が想像出来るだろうか。

千雨から詳しい話を聞いた会長は頭痛を起こす頭を押さえながら、千雨の要求を再確認した。

 

「……つまり、未成年の無資格者による個性使用及び攻撃の違反をしたのね。貴女も関わっているからその隠蔽のために対策本部のトップと交渉したい、ということで良いかしら?」

「ああ。前科も前歴も欲しくないからな」

「現特別対策本部のある保須警察署署長に連絡して取り次ぐわ。

交渉は私よりも、貴女がした方が良いでしょう」

「やけに話が早いが……何考えてんだ、あんた?」

 

あっさりと取り次げると言った会長に、千雨は逆に疑問視した。

 

「貴女とそのお友達が関わったことを隠蔽をするんでしょう、彼らとヒーローが有利になるように。それは願っても無いことよ。

ヒーロー殺しに殺害されたヒーローと再起不能にされたヒーローは40名。ヒーロー飽和社会なんて言われているけど、こっちは大損害よ。

ただでさえヒーローへの批判が多いのに、そこでそんな殺人鬼を未成年が退治したなんて報道されたらヒーローへの批判はより酷くなる。

勿論、それは警察も同じだから向こうも隠蔽の話には乗るでしょうね」

「なら尚更、私に手を貸す意味がわからない。動かなくても警察が隠蔽するってんなら私に手を貸す必要は……」

「警察主導の隠蔽は警察が有利の隠蔽よ。こちらが損するのを黙って見ていられないわ。

それに貴女、警察に隠蔽させられるものを持っているんでしょう。じゃなきゃ普通は交渉しようと思わない」

「……」

 

会長のもっともな言葉に、ぐうの音も出ない。

 

「それで?貴女の持ってるカードは?」

「……ヒーロー殺し退治の現場映像、ヒーロー殺しの主義主張付き。

いざとなったらそれを世界中に配信することで取引だ」

「……心の底から、貴女を味方にした過去を褒めたいわ」

「悪かったな邪道で」

「すぐに連絡先を送るから待ってなさい」

 

電話からしばらくして、1通のメールが届く。千雨はそこに書かれた番号へ電話を掛けた。電話相手は保須警察署署長、面構犬嗣。ヒーロー殺し特別対策本部の現場指揮官トップである。

対策本部室にいた面構は千雨からの電話に出る為に廊下に移動した。

 

「もしもし、面構」

「突然のお電話で失礼いたします、面構署長。雄英高校ヒーロー科1年の長谷川と言います。

ヒーロー公安委員会会長の紹介でお電話させて頂きました」

「会長から聞いているワン。

にわかには信じがたいが、ヒーロー殺しを捕縛したというのは……」

「本当です。

江向通りにて高校生3名とプロヒーロー1名負傷、ヒーロー殺しも火傷と骨折と打撲で意識不明。

近くの路地裏に多数の血痕および使用されていた凶器あり。

1度捕縛から逃走するが、負傷によって気絶し再度捕縛されました」

 

千雨が通信を切ったあとにヒーロー殺しが1度捕縛を抜け出した事も、保須市内の監視カメラから現場の情報収集をしていた電子精霊の報告内容を基に簡潔に話す。

脳無の事を言っても良かったが、ヒーロー殺しの事を中心に話すことにした為省略した。

 

「署長!エンデヴァーからの連絡で、ヒーロー殺し逮捕です!

あっ!お電話中、失礼いたしました……!」

「気にしなくて大丈夫だワン。すぐに向かう」

「はっ!失礼いたしました!」

 

慌てて対策本部室から飛び出してきた警察官が簡潔に報告してから出ていく。それを見送ってから面構は千雨に問いかけた。

 

「君がヒーロー殺し逮捕の現場を知っているのはわかったワン。何故会長を通じて連絡を?」

「内容が内容なだけに、直接トップと話をしておきたかったものですから。

先ほど話したヒーロー殺しの逮捕にあたって無免許の高校生3名がプロの監督無しで個性使用して1度は撃退した、ということです」

「それは……」

 

資格の無い者が個性で他者に危害を加えることは違法である。しかし、相手があのヒーロー殺し。凶悪犯に個性で危害を加えずに逃げるなど難しいことは明白。

千雨は面構が黙ったことでいけると確信した。

 

「連続殺人犯を学生3人が自己防衛の域を超えて"個性"で危害を加える規則違反ではあるものの撃退した。人道上では正しくとも法律上では犯罪行為。警察として処罰はしなければならない。

しかし、このことをそのまま公表すれば、警察の捜査のザルさと学生たちに下した処罰への批判、ヒーローへの批判を週刊誌を始めとするマスコミが好きに書き立て、世間を煽るのは確実」

 

公表した場合、警察とヒーローの受ける世間からの厳しい批判は容易に想像出来る。

ヒーローはヴィランを逮捕できない。ヒーローがするのはヴィランを鎮圧もしくは捕縛する所までであり、逮捕権を始めとする様々な権限は今も警察が持っている。

しかしヴィランと最前線で戦うヒーローと比べて警察の活動は地味に映るため『ヴィラン受け取り係』などと揶揄されている。

公表した場合の予想図は面構も同意見である。

 

「そこで提案があります」

「提案?」

「エンデヴァーを功労者として擁立し、高校生は事件に巻き込まれた被害者と公表するんです。

ヒーロー殺しの今回に至るまでに起きた17名のヒーロー殺害と23名の再起不能という被害を考えれば、トップクラスのヒーローが捕縛したことにしなければ世間やマスコミは簡単には納得しない可能性が高い。そして下手に誤魔化したところで、この真実に行き着くマスコミも出てきかねない。

エンデヴァーは保須市に出張申請して、ヒーロー殺し対策本部にも連絡してるんでしょう?彼以上に功労者に適任なヒーローはいない。

ヒーロー殺しの火傷などの怪我は彼との戦闘によるものだと誤魔化せますし、エンデヴァーはヴィラン退治でやり過ぎる所があるから納得させられるでしょう。

未資格の高校生、ヒーロー、警察。三者全員があらゆる悪意から回避出来る、唯一の方法です」

「……確かに、そう公表すれば丸く収まるだろう。

しかし私は警察として、秩序の担い手として、そう簡単に賛同出来ない」

 

面構はそう簡単に隠蔽に賛同は出来ない。

どれだけ自身も隠蔽すべきだと思っていたとしても、大人として、社会秩序の守り手の警察として、その判断を簡単に他人に左右されてはならない立場として。一介の高校生の意見を二つ返事で了承するのは出来かねた。

 

「たとえ署長が承諾しなくても署長より上の方と交渉しますし、こちらにも切り札があります」

「何?」

「ヒーロー殺しとの戦闘の映像。

そちらが真実を公表するならその映像を流しても良いでしょう?」

「それはっ……!」

「犯罪動画が違法というのは理解してます。でもマスコミにこれをタレコミすれば、世間には大きな衝撃が走るでしょうね。

未成年が人命を守り大怪我を負いながら戦った。それにも関わらず警察は違法と判断した。

そうすれば彼らへの英雄視のみならず、警察への信頼が揺らぎ、犯罪者が増加することでしょう。

……秩序の担い手ならばどう判断するべきか、署長なら分かるのでは?」

「…………」

 

千雨の戦闘映像をマスコミに云々は勿論ハッタリである。実際にそんなハイリスクな事をしたら退学どころではない。しかし、取れる手段の一つとして勝負に出た。

そして面構が一個人として隠蔽に反対であっても、警察という組織に所属する者としては上層部の決定には逆らえない。そしてこの隠蔽に関する交渉は警察側とて望むことには他ならない。

ちなみにこうして面構との間で交渉を成立させようとしているのは、隠蔽する都合上、千雨が公安委員会会長と繋がりを持っていて事件関係者と知る人間は少なくしたいからだ。

 

しばらく無言状態が続いたが、面構が沈黙を破った。

 

「ひとつ、聞かせてほしい。

君が後方支援していたのは分かったが……どうしてここまでする?

会長という後ろ盾があるならば、名乗り出ずにいれば君が関わったことはわからなかった筈だワン」

「負傷した彼らとその体験先事務所へのフォローは、彼らを巻き込んだ者として当然の責任だと思います。

それに、聴取の段階で私の名前が出たはずです。なら、私は私の責任から逃げません。

たとえ私がどう言われようとも」

「……そうか。

交渉に応じよう。君の要求は?」

「ヒーローへの情状酌量、それだけです」

「では、通常の監理不行届による減給と教育権剥奪の期間を1年間から半年間へ変更する」

「もう一声」

「……3ヶ月にしよう」

「それだけですか?」

「教育権剥奪期間をそれ以上短くすることは出来ない。減給の額を軽くする事と、君の職場体験先のプロヒーローへの処罰無し、学生である君たちの処罰無し……こちらに出来る限界はここまでだ」

 

千雨としては更に軽くして貰いたかったが、未成年の負傷者が出ている以上、本当にこれが情状酌量の限界なのだろう。

 

「わかりました。そちらからは?」

「映像の削除と、箝口令を。……と言っても、隠蔽する以上その映像は持っていてもデメリットでしかないだろうが」

「どちらも承知しています」

「交渉成立だワン。

現場にいたヒーローたちへ事実を公表しないよう箝口令をしく。ただ、エンデヴァー、グラントリノ、マニュアルの3名には君の話した詳細を伝える必要がある。

君も気になるだろうから、通信を繋げたままにしてもらいたい」

「はい。証人として彼らには話すことも覚悟の上です。

ビデオ通信にして頂いても大丈夫です」

 

知名度の無い古豪グラントリノはともかく、現在No.2のエンデヴァーに対して動じる様子もなく千雨は答えたことに面構はその覚悟の強さを感じ、ヒーロー公安委員会会長の虎の子というわけかと納得していた。

 

実際は面構の勘違いで、直接会話したことがある上に職場体験に誘われたこともあってエンデヴァーの名前に動じる筈もなかった千雨だったのだが、言わぬが花である。

 

 

 

 

 

保須警察署はその晩、今までで一番と呼べるほど慌ただしい夜となっていた。

突如として現れた強力なヴィラン3体の逮捕に加えて、長らく世間を騒がせた連続殺人鬼、ヒーロー殺しの逮捕があったからだ。

多くの警察官が現場へ急行して火災の発生した現場でヒーローと消防が消火にあたっている横で現場検証をしつつ、警察官がヴィランたちをメイデンへ拘束して移動させていく。

 

面構は千雨と交わした取引により事件の詳細をそのまま公表するわけにはいかないため、逮捕の場にいたヒーローたちには今回の捕縛に関して箝口令をしき、警察の公式見解を事実として公表するとした。

また、高校生の監督責任者であるプロヒーロー3名には署まで同行してもらい、今後の対応を説明すると部下たちに話して会議室に集めるように指示を出した。

そうして保須警察署内の小さな会議室にて、3名のプロヒーローに面構が話をし始めた。

 

「今回のヒーロー殺しの逮捕についてはエンデヴァーを功労者とし、高校生3名が1度戦闘したことは公表しない」

「公表しないって……隠蔽ってことですか!?」

 

プロヒーローとしてはまだ若く経験の少ないマニュアルが面構の言葉に動揺を隠せずに立ち上がって声を上げる。それに対して長年活動しているエンデヴァーはそんなことも分からないのかと言わんばかりに不快感を顕にした。

対凶悪犯罪などを本業としているヒーローはこうした警察の方針に応じることはままある。事件の被害者を守る為や社会に無用な混乱を与えない為に、事件の詳細を伏せたり一部を隠蔽すると警察が判断するのだ。

事件の内容によっては、事件の存在そのものを隠すこともある。

 

「落ち着け若いの。署長の話がまだ終わってないだろう」

「し、失礼しました……」

 

グラントリノにたしなめられて、マニュアルは席に座った。

 

「で、署長がそこまで言い切れるだけの判断材料は?

直接戦闘した子供やその場にいたヒーローは時間的にまだ治療中で事情聴取してねぇだろ」

「それは―――」

「現場を知る私がお伝えしました」

 

面構の言葉を引き継ぐかのようにして、面構の胸ポケットに入っていたスマホから声が響く。面構がスマホを取り出せば、その画面には千雨が映っている。

 

「ヒーロー殺し退治の現場で通信越しですが遠距離支援しておりました。

雄英高校1年ヒーロー科の長谷川千雨です」

「通信越しとはいえ、彼女も事件の目撃者であり当事者だ。

彼女から逮捕までの一部始終を聞いている。その上で、今回のヒーロー殺し逮捕については公表しない方が良いと判断した。

事実を公表した場合、世間が3人の未成年へ英雄視をすると同時に、警察として無許可での個性使用についても処罰をしなければならない。

そうなれば彼らへの処罰に対する批判に加えて、プロヒーローと警察の職務怠慢をマスコミが嬉々として書き立て世間を煽ることとなる。雄英体育祭からあまり日が開いてないのも相まって、我々と未成年の彼らがマスコミの格好の餌にされかねない。

よって今回の事件はエンデヴァーを功労者として擁立し、未成年の高校生3名は不幸にも事件に巻き込まれて負傷した、という形で公表する。

未成年の彼らの英断も功績も無くなるが……世間の悪意から彼らを守ることを第一に優先し、ヒーローと警察の信頼を落とさないためにもこの選択をすることとなった」

「……良いだろう。うちの焦凍にいらぬ難癖をつけられる位なら手を貸してやる」

 

腕を組み、炎であまり見えないが眉間に皺を寄せながらも同意したエンデヴァーの言葉に面構は少しだけ肩の力を抜く。エンデヴァーが了承しなければ隠蔽が成立しないからである。

一安心している面構に、ちょっといいかと言いながらグラントリノが声をあげた。

 

「事件の落としどころとしちゃ妥当な所だが……署長さん。それとは別に、俺たち3人には職場体験で受け入れてた子供たちの監督不行届で罰則があるからこうして呼ばれたんだろ」

「今回は"不幸にも偶然事件へ巻き込まれてしまった"として、僅かではあるが減給と3ヶ月の教育権剥奪の処分だワン」

「……思っとったよりも随分と軽いな」

「文句はない」

「僕も構いません」

「話は以上になる。くれぐれも他言無用だワン。

高校生3人には明日見舞いに行くと共に、私から今回の件の話をしよう」

「では署長、公表に関する詳細書類は事務所に送ってくれ。

明日には逮捕に関する会見を開く」

 

3人が了承したことで事件についての話は一区切りがついた。千雨も無事に後始末が終わりそうで一安心だ。

 

「それでは、私はこれで……」

「待ってくれ、千雨嬢ちゃんだったか。通信を切る前に聞きたい事がある」

 

千雨が通信を切ろうとした時、グラントリノが待ったをかける。

名前はそれまで知らなかったが轟と飯田の事務所のヒーローではないことからグラントリノが緑谷の職場体験先のヒーローだと千雨にも分かった。

 

「何でしょうか?」

「嬢ちゃんが遠距離支援をしていたと言うが、ここまで見据えて支援してたのか?」

「いえ、本当ならプロに救援を呼び、誰も怪我無く事件を解決して終わらせたかったです」

「……それでこの結果か、随分と肝が据わった嬢ちゃんだ」

「大した事はしていませんよ。一市民として何があったのかを連絡したくらいです」

 

ニヒルな笑みを浮かべるグラントリノに、千雨も作り笑顔で返答をする。その言葉にエンデヴァーとグラントリノは千雨が警察と交渉したことを確信した。

警察側が証人として提示するからには繋がりを察するのも当然だろう。

 

「嬢ちゃん、もしも何かあったら俺を頼るといい。俺の連絡先を教えるように坊主に言っておく」

「それなら俺も連絡先を教えるよう焦凍に言っておこう。

長谷川千雨くん、この恩はまた今度返す」

「ありがとうございますグラントリノさん、エンデヴァーさん。

ああ、そうだ。マニュアルさん、飯田のことはあまり責めないで下さい。あいつも反省してますから」

「……わかった。でも、俺からこれだけは言わせて欲しい。

天哉くんも君も、今後は勝手な行動を慎むこと!君たち自身を守るためにも約束してほしい」

「……出来るだけ善処はします。

それでは、私はこれにて失礼します」

 

通信を切り、後始末を終えた千雨は自身の痕跡を全て消してから電脳空間を後にしてギャングオルカ事務所2階会議室で眠っていた身体に意識を戻す。

 

「着替えてシャワー浴びねぇと。あと緊急防壁の改良もか……。

対物魔法障壁を基にして組んでるとはいえ、足場にするのは盲点だった……でも緊急時の足場に転用するってのも良いかもしれないな……」

 

ブツブツと独り言を言いながら千雨は会議室を片付け、更衣室へ向かう。

着替えとシャワーを終えてから事務所にいる夜勤のサイドキックたちに挨拶をして、借りている客室のベッドに入る。

 

 

こうして、千雨にとって長い職場体験3日目の夜が終わった。

 

 

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