ひねくれ魔法少女と英雄学校   作:安達武

71 / 110
早速マシュマロ投げてくれた人たちありがとうございます!マシュマロ送るのは何回かしたことがあったんですが、こうして貰えると嬉しいですね!
もちろん普通にこちらで感想頂けるのも嬉しいですが!
どっちも!!嬉しい!!うれしー!!わーい!!すごーい!!いえーい!!!

えっ……もう……八月……はちがつ……?


ハッカーの本気

パーティー会場で、オールマイトは警戒心を緩めないままだが、その心は焦燥感に駆られていた。

緑谷少年たちは逃げおおせただろうか。連れて行かれたデイヴたちは無事だろうか。他の場所に敵はいるのか。考えられる限りの最悪を想定し、それでも今は簡単に動く訳にはいかないのだと自身を戒める。

 

「あー、テステス」

 

聞きなれた生徒の声に、オールマイトは目を見開き、目だけを動かして周囲を確認する。すると、天井のガラス張りの吹き抜け上部でくるくると旋回している黄色いネズミのような生物が一匹。

千雨の電子精霊だ。

 

「その様子じゃ聞こえてるみてぇだなダメ教師(オールマイト)

「長谷川少女も来ていたのか……一体、どうやって会話を……?」

「エンデヴァーの代理付き添いでな。

会話についてはテメーの近くに電子精霊を忍ばせてる。こいつら自体が電話の役割をしてるんだ」

 

床から生えているかのように少し顔をのぞかせている電子精霊が一匹、その小さな手をオールマイトに振って見せる。オールマイトの金髪がちょうど迷彩として機能していて敵に気付かれてないようだ。

 

「他のヒーローとも話をしたいところなんだが……どういう奴らか詳しくねぇし、こっちのことも知らねぇだろうし、敵に気付かれても困るから会話はアンタとだけだ」

「長谷川少女。さっきも言ったが早くここから」

「逃げねぇよ」

「なっ……!?」

「正確には、タワーの出入口は窓も含めて全部封鎖されちまってて逃げようにも逃げらんねぇ」

「Hmm……まさか逃げ場が無いとは……」

 

タワーの外はここよりも安全という可能性を考えていたのだが、千雨の情報で出ること自体が出来ないと知り、オールマイトは小さく唸る。

 

「それに、ガキとは言えどもヒーロー候補生、違法だろうとも悪を見過ごす訳にはいかねぇって結論になった。

そういう訳で、緑谷たちは警備システムを物理的に取り戻しに向かっている。セキュリティさえ取り戻せば現状はひっくり返るからな」

「長谷川少女は連絡役という訳か?」

「んな訳ねぇだろ。

私は会場の人質とテメーらヒーローを救助するために、パーティー会場の敵を制圧するのが役割だ」

 

オールマイトは千雨の言葉に思わず大きな声を上げそうになるのを抑えた。

複数の人質がいる屋内で複数の敵を制圧するというのは、演習であっても高校一年生にさせる内容ではないし、プロのヒーローでも高難度だ。

屋内という狭い空間で外に逃げ場はない上に、相手はライフルを携帯している。そばにいる一般人をすぐに人質として利用出来るのだ。下手に動けば大変危険である。

加えて、オールマイトや他のヒーローたちを拘束している最新のセキュリティ捕縛装置もある。

 

「君の他に、誰かそこにいるかい?」

「いや、私1人だ。私が1人で制圧する」

「……長谷川少女、いくら君が優秀でも流石に学生一人には無茶だ」

 

ただでさえ学生でなくとも難しすぎる案件。だというのに1人で制圧するなど、非現実的だ。しかし、その事実に千雨は怯える気配はなくオールマイトの言葉を鼻で笑った。

 

「こっちは無理無茶無謀は承知の上で、絶対に無傷でどうにかするって決めてんだよ。

あのリーダーの仮面野郎が部屋から移動したら仕掛ける」

「それなら、その時に私も」

「余計なことは絶対にすんな。

テメーは、拘束解かれた後のこと考えて体力温存しとけ」

 

千雨の声はいつも通りの声だ。その声は本当に1人で制圧する覚悟をしているのと同時に、ぶっきらぼうだがオールマイトの秘密が知られないようにと心配もしているように思えた。

 

「……わかった。君の動きを待つよ」

 

今は耐えよう。緑谷少年たちを、長谷川少女を信じて。

オールマイトはマッスルフォームと呼んでいる姿が解けないように、体に力を込めて耐えた。

 

 

 

一方、緑谷たちは非常階段を移動していた。

 

「長谷川が居なくてもマンタで移動出来るんだね」

「はい、我々だけでもプログラムの実体化や操作などは問題ありませんので」

「相変わらず長谷川さんの能力はすごいな……大人数を一度に複数運べるし、自身と離れていても問題ないならそれこそ救助と戦闘の両立が出来る訳だし、広範囲制圧や広域救助も出来る……」

「緑谷それやめろ、余計に気持ち悪くなるだろ」

「ごっごめん!」

 

景色の変わらない階段をだいこときんちゃが実体化させた二匹のスカイ・マンタが縦列飛行している。それぞれ男女に分かれて乗っているのだが、終わりの見えない螺旋回転のせいで飛行酔いしそうだと耳郎は顔をしかめていた。

 

「今、何階あたりですの?」

「ただいま60階です」

「メリッサさん、最上階は?」

「200階」

「まだ続くのかよぉ!」

 

上鳴がウソだろと叫ぶ。

人質が取られているというのに緊張感がない。しかしそれは無駄な力が入っていないということでもある。また、本当に気が抜けている訳ではないので、電子精霊のだいこたちはツッコミは入れなかった。

 

「この先シャッターが閉まってますー」

「マジかよ!」

「ここまで来たのに!」

 

マンタに乗った状態で80階まで来たところで上り階段はシャッターが下りており、これ以上このまま上へは通れないようだ。80階廊下へと通じる扉もあるが、何もせずに扉を開ければセキュリティに感知されるだろう。

 

「皆様、少々お待ちを~」

 

そう言って、だいこときんちゃが姿を消したかと思えば、数秒でピピッという電子音がして鍵の開く音が聞こえた。

その音にその場の全員がまさか、と冷や汗をにじませるが、そんな事は一切意に介さずに再び姿を現した電子精霊たちが話しかける。

 

「セキュリティへの信号を偽造した状態で解錠しました」

「この非常階段と同じ構造がもうひとつ有りますので、そちらを目指しましょう!」

「……嘘みたい……」

 

ハハ、という乾いた笑い声を出したメリッサ。I・アイランドの電子扉をいとも容易く開けているのだから笑うしかないだろう。

千雨は最新技術のセキュリティを奪って元に戻すには機材が足りないと言っていたが、彼女の個性であるモンスターの電子精霊が現場にいるだけで簡単に電子錠の解錠をバレずにしてしまえるのだ。作戦会議をしていた時は半信半疑だったが、本当にそれなりのパソコンが一台あればタワーを上らずともハッキングしてシステムの全権限を奪い取ることも出来るのだろう。信じがたいことに。

科学者志望でサポートアイテムや発明をするメリッサは、千雨のハッキング能力が最新技術以上のヤバすぎるものだと緑谷たち以上に深く理解した。

 

「ヒーロー候補生って……凄いのね……」

「いえ、コレに関しては私たちも初めて知りましたわ」

「最新セキュリティが形無し……マジで何者だよ長谷川……」

「我々、機械やシステムに入り込めるので」

「ちうたまのお力添えが無くともこれくらいは余裕ですねー」

 

余裕なのか、と全員が心の中で突っ込んだ。

電子精霊たちのゆるい言葉遣いに気が抜けるものの、やってることがそのゆるさと反比例するようにヤバすぎる行為だ。しかも彼らの言葉からして千雨の支援があれば更に出来ることが多いという訳で。

クラスメイトが初めて見せた今までとは違う強さに、ひくりと引き攣った笑みを浮かべる以外できない。

 

「と、とりあえず、このまま先を急ごう!」

「ああ!」

 

緑谷が意識を切り替え、そのまま80階の廊下をマンタに乗って反対側の非常階段を目指して飛ぶが、何故か防壁が稼働し始めた。

 

「防壁が!?」

「やっぱ気付かれたんじゃね!?」

「どどど、どうしてでしょう!?」

「と、とにかく、この階の部屋に飛び込みましょう!」

 

すぐそばにあった扉を開けて部屋に入ったところ、そこは一室丸々フロアを使っているうえに天井はとても高く、3階分の吹き抜け構造のようだ。多くの植物が植えられている。

個性の影響を受けた植物の研究をしている植物プラントだ。

 

「なぁ、吹き抜けになっているし、マンタで上の階に出ちまえば……」

「待って!あの中央にあるエレベーター!」

 

床に耳のイヤホンジャックを刺して索敵をしていた耳郎の声で、全員が部屋の中央にある黒い柱のようなエレベーターを見た。その電光板の数字が徐々に上がってきている。

 

「誰か来る……!?」

「なぁ、あのエレベーターを使えば最上階まで行けるんじゃ……」

「無理よ。エレベーターは認証を受けている人しか操作出来ないし、シェルター並みに頑丈に出来てるから破壊も出来ないわ」

「ハッキングして扉を開いてマンタで中を飛ぶってのは?」

「それはエレベーター出口で待ち構えられたらアウトかとー」

「使わせろよ文明の利器……!」

「静かに!そろそろ来るぞ!」

 

マンタを消して緑谷たちは茂みに隠れて息を殺す。電光板の表示が79から80へ変わり、音を立ててエレベーターが開いて中から男が二人出てきた。その服装はパーティー会場にいた敵のものである。

1人はひょろりと細長い男で、もう1人はずんぐりとしていて背の低い男。ライフルこそ持っていないが、油断は出来ない。

男たちはキョロキョロと周囲を見回しながらエレベーターを降りて歩いていると、荒々しい声を出した。

 

「見つけたぞ、クソガキども!」

 

見つかってしまったと緑谷たちが茂みの中で身体を強張らせていると、聞きなれた声が聞こえた。

 

「ああ?今なんつったテメー!」

 

茂みの向こうを見ると、爆豪と切島がいた。

どうやら緑谷たちではなく爆豪たちがいた事を敵が知って、シャッターなどを操作していたのだ。そこに緑谷たちも運悪く巻き込まれたのだろう。

 

電子精霊たちが2人に気付かなかったのは、彼らがスマホをホテルに置き忘れていたからだった。

 

「お前らここで何をしている?」

「そんなの俺が聞きて……」

「爆豪、ここは俺に任せろ。な?

あの、俺ら道に迷ってしまって。レセプション会場ってどこに行けば……」

「見え透いた嘘を、ついてんじゃねえぞ!」

 

切島が爆豪をなだめて申し訳なさそうに話しかけたのだが、この状況でそんな切島の言葉を信じる筈がない。のっぽの男の右手が手袋を破いて2倍ほどの大きさに変わる。

敵の右手からはまるでガラスのような波動が数メートル先に居る切島に向かって放たれた。

攻撃されると思っていなかった切島は唖然としている。しかし、その攻撃は切島に当たる寸前に現れた巨大な氷壁で防がれた。驚いて尻餅をついた切島のもとに駆け付けた爆豪がその氷壁を見て、思い当たるクラスメイトの存在を想像する。

 

「この個性……」

「と、轟!?なんでここに!?」

 

氷壁の発生した方向で立ち上る冷気のモヤの向こうに轟がいた事に気付いた切島が驚きの声を上げる。その時、氷壁が音をたてながら振動する。敵の攻撃に轟は白い息を吐きながら舌打ちをした。

 

「俺たちで時間を稼ぐ。お前らは先に行け」

「かしこまりました!」

 

轟の言葉を聞いてマンタを二体出して茂みに隠れていた全員を乗せて飛ぶ。吹き抜けになっている上階へ飛んで移動する。

 

「轟くん!」

「君は!?」

「良いから行け!

ここを片付けたらすぐに追いかける」

 

轟の迷いのない言葉に、全員が轟を心配する気持ちをこらえて先を目指す事に意識を切り替える。

 

「ちうたまに連絡しておきますので!」

「ご武運をー!」

「わかった」

 

プラント上部の外周通路へと繋がる扉を電子精霊たちが開けるが、隔壁が下りてしまっている。

 

「ここからもダメか……!」

「ねぇ、シャッターを開けることって出来ないの?」

「おそらく先ほどの動きで敵が我々に気付いたので」

「気付かれた状態で隔壁のハッキングは……少々お待ちを」

 

そう言って、電子精霊の片方の前に仮想モニターが現れる。そこには『CHIU VOICE ONLY』の文字。

 

「もしかして……」

「ちうたま、お力添えプリーズ!」

「やっぱ長谷川か!」

「騒ぐなやかましい。状況は見てたからわかってる。ちょっと待ってろ」

 

千雨がそう言うと、モニターにタワーの内部構造らしき画像が表示された。

 

「この上の部分に日照コントロール用の部屋がある。ここから上に出て登れ。だいこ、お前は部屋に行って昇降口開けてハシゴおろせ。轟たちがお前ら追うのに必要だからな」

「はいです!」

 

ビシッと敬礼をしてから姿を消してコントロールルームに移動するだいこ。物理無視の移動が出来ることにメリッサが感心していると、ガチャンという音をたてて天井の昇降口が開いてハシゴがおろされた。

 

「よし、行こう!」

 

緑谷たちは制御ルームを目指してタワーをのぼり続ける。困っている人々を救けたいという一心で。

 

 

 

 

パーティー会場にいる敵のリーダー、ウォルフラムは無線機から入ってきた制御室からの言葉に眉をひそめた。

 

「130階まで突破されただと?」

「80階にいたガキ以外にも、ヒーロー予備軍のガキがいたようです!」

 

3階の女子トイレに隠れながら盗聴している千雨は、緑谷たちと行動している電子精霊からの映像を見ながら、ここまでは順調だなと頷く。

千雨が女子トイレに隠れているのは、ここなら監視カメラの類いが無いからである。ちなみに、入ってこられても捕まえるためにキャプチャー・ゼリーフィッシュを入口の上に出している。扉が開いたら捕縛されるトラップだ。

 

「ガキどもの目的は、おそらく警備システムの復旧だ。警備マシンは稼働させているな?」

「はい、ボス。ただ、ものすごい速さで上ってきていて、警備ロボが振り切られてます……!」

「……ガキどもにはソキルを向かわせろ。俺が行くまで、制御ルームは死守しろ」

 

使えぬ手下に対して舌打ちをしてから、ウォルフラムは指示を出して最上階へ向かうと言って会場を出た。それをパーティー会場の電子精霊越しに確認した千雨は3階のトイレを出て会場へ向かう。

ウォルフラムがエレベーターに乗り最上階へと移動しはじめたと同時に、パーティー会場の照明が消えた。

突然の出来事に会場内に悲鳴や困惑の声が上がる。

 

「なんだ!?」

「おい!誰か外を見てこい!」

 

ライフルを手にしたまま敵の一人が入り口の近くに向かうと同時に、その姿が突如として消える。

 

「い、一体……何が……」

 

一人、また一人と音もなく突然姿を消していく仲間に、敵は何とも言い難い不安と恐怖に身体を強張らせながらその目を暗闇に慣れさせようとする。だが、暗闇に慣れても仲間が消える原因は分からない。

この会場内にいる誰かの個性だとしても、こうも音もなく消えるなどあり得ない。消えるのは敵だけだが、規則性もない。

警戒していた敵の一人は、その暗闇の中で目を凝らしている最中に誰かに背後から服を掴まれた。あまり大きくない、華奢な手だ。パーティー会場にいた人質かと思って振り向こうとした瞬間、バチリという電気が爆ぜるような音がして、意識を失った。

彼は周囲にいた仲間が誰一人としてその爆ぜる音に気付いていない事を知らぬまま。

 

会場内にいた敵の気配が全て消えると同時に、照明が復旧。全員が眩しさに目がくらんでいると、ステージ上のオールマイトのそばにひとり、先程までいなかったドレス姿の少女が立っていることに気が付いた。

 

「全員無傷で終わったぜ、ダメ教師(オールマイト)

「長谷川少女!敵はどこに……」

「あっちの隅だ。気絶させたから当分起きねぇぞ」

 

銃声ひとつ立てさせることなく敵を制圧した千雨は、そう言って会場の隅を指さす。指さした一角にはバイキング形式の料理が並んだテーブルがある。そのテーブルの向こう側、スタッフが料理を補充するためのスペースで、先ほどまでいた敵の手下たちが全員気絶している。

また、彼らが持っていたライフルは全て取り上げられて、気絶している敵から離れた場所に並べられていた。

 

千雨がしたのは、電子精霊たちに二階の照明を落とさせてアーティファクト・孤独な黒子で敵にこっそり近付き、背後から触れて電気ショックで気絶させ、そのままライフルを奪い、部屋の隅へ運ぶ。ただそれだけだ。

 

孤独な黒子はそれ単体でも強いアーティファクトだ。繋がっている対象含めて全員が視覚や聴覚、嗅覚、ありとあらゆるもの全ての盲点に入る、超高性能なステルス能力である。中でも天狗之隠簑との合わせ技は、麻帆良体育祭にてあの歴戦のデスメガネやネギと共に拳闘大会に出た小太郎すら食らったというとんでもないハメ技になる。

その方法を使うことも考えはしたが、流石に天狗之隠蓑の能力を誤魔化すのは手間なので、電気ショックで気絶させてから抱えて部屋の隅に運んだのだ。

武装解除呪文で敵を下着姿にしても良かったのだが、装備は物的証拠になるので魔法で消し飛ばす訳にはいかなかった。

 

「音も立てずに対処するとは……君の個性は本当に多彩だな……」

「感心するのは後にしろ。つーかこの縛ってる紐は何だ?セキュリティの一種か?」

「ミ、ミス・ハセガワ。それはセキュリティ捕縛装置の拘束だ。警備システムが乗っ取られてるのなら解除は出来ないだろう」

「捕縛装置ねぇ……」

 

千雨はブランドン博士の言葉を聞きながら、しゃがんでオールマイトを拘束している青く光る帯に軽く指をかけた。材質は個性科学による新素材のようだが、この拘束具もシステムで制御されているのならハッキングして解除出来るだろう。

 

「長谷川少女、少し離れていなさい。今私が引きちぎって……」

「いや無理に破ろうとすんな。ちょっと待ってろ」

「しかし……」

 

オールマイトがごねるが、千雨は無視して展開した仮想ディスプレイを見ながらキーボードをタッチして電子精霊たちに指示を出す。

 

「……やっぱり。ヒーローだけ拘束してるって時点で考えていたけど、対象の武装をAIが判断してるんじゃなくてシステム側が選択した埋め込み型の装置だけ動かしたのか。

……うん、これなら装置の方のシステムを弄くっちまうだけで……しらたき、こんにゃ、やれ」

「イエッサー!」

 

千雨が指示を出して数秒後、ヒーローたちを拘束していた青白い光の帯が消える。

 

「捕縛装置のシステムカット!拘束の解除完了しましたー!」

「そんな、まさか!最新のセキュリティ捕縛装置を!?」

「……長谷川少女、きみ……」

「私の力で装置自体のシステムをちょっと弄って、エラーを意図的に起こしただけだ。制御ルームはまだ乗っ取られてる」

 

軟禁状態から解放されるのかと期待に満ちた一般客たちは、千雨の言葉に冷や水を浴びせられたかのような顔をした。同時に、千雨は自身に注目が集まっていることに気付いてわずかにたじろぐが、今はビビッている場合ではないと思い、会場全体に向けて話し始める。

 

「あー……ひとまず、パーティー会場にいらっしゃる方はこのままこの場に居てください。建物自体はまだ封鎖されてますし制御ルームは敵が乗っ取っているので。

ヒーローの皆さんはセキュリティが全て元に戻り次第、会場内の皆さんをタワーの外へ避難誘導をお願いします」

 

千雨は自身の言葉に耳を傾けてくれるか不安に思っていたが、オールマイトと知己であることと、会場内の敵を倒してヒーローの拘束を解除した千雨は、この場においてヒーローとして頼れる存在に思われていた。その場にいたヒーローたちも千雨の言葉に頷きを返す。

 

「長谷川少女、君はどうするんだい?」

「上に行く。あんたも手ぇ貸せ」

「勿論だとも!」

 

オールマイトと共にパーティー会場から廊下に出る扉に触れた時、誰かの声が響いた。

 

「待ちたまえ!君は、一体……!」

「私?私は……日本から来たエンデヴァー代理付き添いの、ヒーロー候補生です」

 

ヒーロー免許を仮免すら取ってない以上、今の千雨が名乗れるのはこれが精一杯だった。

 

 




※このあと既知であるブランドン博士に彼女は誰だと殺到し、博士がどこぞの参謀よろしく

「ご存知、ないのですか!?
彼女こそ、雄英体育祭から注目を集めて、トップヒーローの座を駆け上がっている日本のヒーロー候補生、長谷川千雨さんです!」

ってやること間違いない流れ。

そして峰田の活躍が消えた。十中八九、上鳴の活躍も消えるだろうが、ちう様と電子精霊たちがいるから仕方がない。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。