話は変わるが『超ロボット生命体トランスフォーマーMAGUS』っていう新しい千雨魔改造作品が最高です。ネギま原作沿い。新しい生きる糧。
やはり令和の時代は千雨魔改造作品!!!みんなも書いてくれよな!!!
「さて!
腹も膨れた!皿も洗った!
お次は……」
「肝を試す時間だー!!」
「イェーーー!!」
夏らしく楽しいイベントにテンションが高い芦戸と上鳴。辛い日中の訓練に夜は補習といった地獄の中で、ごくわずかな楽しみだからだろう。
そんな嬉しそうに騒ぐ生徒のテンションに、黙って見ていた相澤が話し出した。
「その前に、大変心苦しいが補習連中は……これから俺と補習授業だ」
「 ウ ソ だ ろ !!? 」
女子の顔とは思えないほどの顔で驚きツッコミをする芦戸。天国から地獄に一気に落とされたらそうなっても仕方がない。そしてそんな赤点組を逃がさないとばかりに相澤は芦戸、上鳴、切島、砂藤、瀬呂の五人を捕縛布で捕まえた。
「すまんな。日中の訓練が思ったより疎かになっていた上に昨夜のこともあり、時間が無い。
「うわああ堪忍してくれ試させてくれえ!!」
「峰田は!?峰田も補習組じゃないですか!」
「峰田はそもそも罰則と監視としてだったからな。お前ら赤点取った奴とは違う」
「そ、そんなぁーーー!!」
補習組がビタンビタンと釣りあげられた魚のように跳ねながら抗議しているが、相澤は容赦なく捕縛布で引きずる。そしてそれを見送る峰田は一人地獄行きを免れたと喜んでいた。
そんな合宿所へ連行されていった赤点補習組の嘆きの叫びをBGMに、ピクシーボブが説明を始めた。
脅かす側先攻はB組。A組は二人一組で三分置きに出発。ルートの真ん中に名前を書いたお札があるから、それを持って帰るのがルールだ。ルートは一本道で所要時間は約十五分。
「脅かす側は直接接触禁止で、"個性"を使った脅かしネタを披露してくるよ」
「創意工夫でより多くの人数を失禁させたクラスが勝者だ!」
「やめてください、汚い……」
「なるほど!競争させることでアイデアを推敲させ、その結果"個性"に更なる幅が生まれるというワケか、さすが雄英!!」
「いやコレそこまで考えてねぇと思うぞ」
「闇の狂宴……」
勝敗の決め方にツッコミを入れる耳郎と、深読みしすぎな飯田にツッコミをいれる千雨と、肝試しに内心ソワソワしている常闇。
ルール説明後は二人一組のペア決めのためのくじ引きだ。くじ引きの準備を待つ間、千雨は八百万や轟と話をしていた。
「千雨さん、私、肝試しなんて初めてですわ……!」
「俺もだ」
「八百万だけじゃなくて轟もか。まぁ、しようと思っても中々しねぇよな、肝試し」
「長谷川はしたことあるのか?」
「文化祭の出し物でお化け屋敷をやったくらいだな。中々の出来だったぞ」
なお、文化祭のお化け屋敷は総来場者数がえげつない麻帆良文化祭で中等部内二位に輝いた出来栄えである。三つの難易度と内容の異なるルートを設け、遊園地ばりのアトラクションが数多くある麻帆良文化祭においても中々のクオリティーであった。
そのお化け屋敷製作途中で心霊写真だの幽霊退治だのといった騒ぎもあったのだが、文化祭準備期間の麻帆良学園の生徒たちは通常の倍以上にお祭り騒ぎをしているので、そんな騒ぎは千雨の記憶の彼方に追いやられていた。
「ところで耳郎、大丈夫か?顔色ヤバいぞお前」
「ウチこういうの無理なんだって……マジで怖いのヤダ……」
「ダメそうだな」
「千雨さんは怖くないんですの?」
「全然」
千雨は幽霊で麻帆良学園のクラスメイトだった相坂さよが見えて交流するようになるまでは、そもそも幽霊の存在すら信じていなかった。ちなみに今は幽霊の存在を信じている。信じているが、たとえ幽霊が自身の活動範囲に出たとしても自身に害が無ければ放置する派だ。てんとう虫や鳩などと同じ扱いである。肝試し程度でおびえることもなかった。
一方で、先の見えないほどに暗い夜の森での肝試しをするという状況でも揺るがない千雨の強心臓っぷりに、お化け屋敷や肝試しの類が嫌いな耳郎は羨ましさを感じていた。
「無理……合宿所帰りたい……」
「耳郎落ち着け。脅かしてくるのは人間なんだ、最悪殴れる」
「……確かに……」
「長谷川、暴力はダメだと思うぞ」
「轟さんの言う通りですわ、落ち着いてくださいまし」
恐怖から千雨の物理信仰に揺らぎかけた耳郎を引き戻すそばに居た轟と八百万。一切怖がっていない千雨はともかく、耳郎が驚いた時に思わず攻撃に出ないか八百万は心配になった。
くじの準備が出来たので、さっそくくじ引きだ。
「長谷川とペアになれますように……!」
「願い事言いながらくじ引くなよ耳郎」
「でも千雨ちゃんが一緒だったら絶対に怖くなさそう」
「確かに」
「ケロ、そもそも千雨ちゃんが怖がるのが想像出来ないわ」
この場にいない芦戸以外の女子たちから太鼓判を押されて、なんとも言えない千雨。怖くないものは怖くないので仕方がないのだが。
耳郎の次にくじを引いた千雨。その結果をすぐさま知りたいとばかりに耳郎が話しかけた。
「長谷川!くじの結果は!?」
「八番」
「と言う事は……千雨ちゃんのペアは緑谷ちゃんね」
「あ!私三番だ!耳郎ちゃんは私とだね!」
その後、全員くじを引き終えてペアが決まったのだが、ここでくじのペアに素直に従う生徒たちではない。
「おい尻尾、俺と代われ……!」
「青山ァ……オイラと代わってくれよォ……!」
「ノンッ☆」
「俺はなんなの?」
轟とペアになった爆豪が尾白に交代を強要。同時に尾白とペアになった峰田が、八百万とペアになった青山にペア交代を請う。
「尾白、私と組むか代わってくんねぇか?」
「それなら長谷川ウチと組んでよ!お願い!」
「葉隠はどうした」
「怖いの大好きって言ってて……ウチじゃ無理……!」
「ああ、ビックリ箱とか好きっつってたもんな」
「尾白、葉隠と仲良いでしょ!?お願い代わって!」
「私は耳郎ちゃんでも尾白くんでも良いよ!肝試し、楽しも!」
「私もどっちでも良いから」
「マジで俺はなんなの?ねぇ?皆の中で俺はなんなの?」
好きなもの同士で二人組を組むのであればここまでにはならなかっただろう。ペアに不服で騒いでいたもののピクシーボブから厳正なるくじの結果として交代は無効とされ、爆豪と千雨は嫌そうに顔を歪めた。
「チッ……アホ毛テメーどうにかしろよ」
「どうにか出来てたらとっくにしてるに決まってんだろ。こっちだって緑谷とペアとか最悪だ」
「ざまぁ」
「B組の脅かしにビビり散らかして死ね」
「誰がビビるかテメーが死ね」
小学生レベルの口喧嘩をする千雨と爆豪。二人の視界に入らないように少し離れた場所で緑谷は縮こまっていた。
「あの二人、中身がますます瓜二つになったね」
「長谷川が緑谷嫌いになったからってのもあると思うけど。……うう、長谷川がピクシーボブを言い負かしてくれたらよかったのに……!」
「仲良いよなお前ら」
「仲良くはない」
「眼科行ってこいや半分野郎」
「違うのか……」
クラスの賑やかし担当とも言える明るく騒がしい補習組が居ないが、それでも賑やかのは高校生だからだろうか。B組の準備時間が終わって肝試しが始まるまでワイワイと雑談を続ける。
「それじゃあ一組目!ショウジキティ・トコヤミキティ!レッツゴー!」
「キティ……」
「……闇の狂宴……」
時間になり、テンションの高いピクシーボブに促されて一組目の障子と常闇のペアが森の中に入っていく。
肝試しが始まったこともあってか、流石に暗い夜の森の雰囲気にのまれているのか。生徒たちの話し声は小声になっていた。
「あの、長谷川さん……」
「ペアなんぞ知るか、テメー置いてくからな」
「あ、はい……ええと、そうじゃなくて…………洸汰くんのことで」
「……あれだけ言って、また何かしたのか」
「ちっ違うよ!?
……その、昨日は……僕の考えを押し付けてたんだな、って反省して……どんなアドバイスをするべきだったのかって思ってたんだけど、轟くんに話したら『言葉には常に行動が伴う』って言われちゃって……。本当、通りすがりが何言ってんだって話だよね、洸汰くんの気持ちも考えずに。
長谷川さんが僕に怒ったのは当然だった。本当にごめん」
緑谷は夕飯の時からずっと千雨に謝ろうと思っていたのだ。千雨の指摘はもっともで、轟に言われたことも当然のことだった。洸汰からすれば緑谷出久という存在は通行人と同じもので、そんな見ず知らずの人間から突然何か言われても救われるはずがないのだ、と。
そんな緑谷に千雨はふぅ、と一息吐いて口を開いた。
「……それで?お前はそれで助けんのをやめるのか?
オールマイトの言葉を胸に『余計なお世話でも困ってる人を助けたい』のがテメーなんじゃねえのか?」
「……!」
「私に、それだけは変えられないと啖呵切っただろうが」
千雨の言葉を重く受け止めて考えていた緑谷に対し、千雨は緑谷の在り方をそのまま受け止めていたことに、緑谷は不思議なものを見るかのように千雨をまじまじと見た。
昨夜はさんざん緑谷に対して傲慢、腹立たしい、直せと言っていたのにも関わらず『それがお前なんだろう』と言うのだから、緑谷の反応もそうなってもなんら可笑しくはない。
そんな緑谷の困惑を他所に、千雨は話し続けた。
「私は独善的で身勝手な人間だ」
「えっ」
「黙って聞け。
……私はテメーが我慢ならねぇことは我慢しねぇし、ムカつく奴にはハッキリ言うし、他人のせいで割を食うのも嫌だ。他人の幸せより自分の幸せを優先する。平穏な日常が好きだから、それを守るためなら何だってやる。
私が他人を助けるのは、私が我慢ならねぇ時か、助けることで自分にメリットがある時か、自分の欲求の『ついで』で出来る範囲だけだし……世のため人のために滅私奉公とか自己犠牲なんざクソだと思ってる」
「……それは……」
「USJで戦ったのは死にたくねぇからだし、先生やテメーを助けたのは入学早々に飯が不味くなるような事は嫌だったからだし、轟との準決勝も私の腹が立つからだった。
普段も、保須の時も、I・アイランドの時も……私はそういう人間だ」
千雨にとって一番大切なのは平穏な日常だ。たとえその中に変人がいようとも、非常識な物があろうとも、喧嘩や抗争があろうとも、平穏な日常であれば多少のストレスは耐えて別で発散するし、我慢ならないものを覆すと決めたらたとえ悪いことをしてでも全力で対応する。
千雨はそういった独自のルールをもとに活動しているのだ。
「――――だが、それのどこが悪い?ヒーロー志望とかそれ以前に、私は一人の人間。自分勝手なのは百も承知で生きてる。
それは私だけじゃない。この世界に生きる奴は善悪問わず、無意識にでもそうやって自分本位に生きている。もっと言えば、生きること自体が自分勝手なことだとも言えるだろ。
緑谷、私は清廉潔白でないことよりも、己の行いを綺麗な言い訳で誤魔化してテメーを正当化するような人間の方が嫌いだ。悪と知って尚、前に進め」
「……『泥にまみれても尚、前へと進む者であれ』……」
「飯田から聞いたか。そうだ、泥にまみれても前に進め。足を鈍らせる己の行いも後悔も全て背負って進め。
お前がなりたいものはどうせ何一つ変わっちゃいねぇし、お前の余計な世話焼きをする性根も変えられねぇんだろ。変えられねぇもんなら、もっと自分の欠点をちゃんと見て、考えて、そんでコントロールしろ。それがお前や周囲にとって一番良い」
緑谷が変えられないと言ったものはそのまま受け止め、その上でどうするべきかを告げる千雨。それは言外に、緑谷を『ありのままの緑谷出久』として見ると言っているのと同じだった。千雨自身が納得するしないの問題はあれども、緑谷出久という存在がどういう存在であるのかを受け止めているのだと。
そう理解するのと同時に、緑谷は夕飯作りの時に竈のそばでした轟との会話を思い出した。
「……きっと、体育祭のあの状況じゃなきゃ、俺は長谷川の助言をまっすぐ受け入れられなかったと思う。
相手に合った言葉を、誰がどう言うか……長谷川の場合は、俺を“ただの俺”として見てくれていた。それが何よりも大きかった」
「“ただの轟くん”……?」
「真っ直ぐとした目で、全力で“俺自身”と向き合ってくれた……俺の右側も左側も、過去も、親父のことも、全てひっくるめて。それに悩んだまま進んで良いって、背中を押してくれた。
……今の俺と真正面から向き合って、受け止めて、俺のまま進むようにと背中を押してくれた。……だから、響いた」
轟の言っていたことはこういうことなのかと、緑谷は納得した。
「……ありがとう、長谷川さん」
「もう話しかけんなよ」
「あ、は、はい……」
不機嫌極まりない千雨に緑谷は再び身を縮め、そっと千雨の横顔を見た。
千雨自身が言う通り、長谷川千雨という人間は極めて独善的で、身勝手な人間だ。単独行動を好み、たまに突飛すぎる所があり、独創的な思考の持ち主で本心を語りたがらない。しかしそれと同時に、他者をそのまま受け止める寛容さ、本質を見抜いて指摘して導く指導者の気質、全員にとって良い結果をもたらそうとする公平さ、高い善性もまた彼女の本質である。
爆豪に似た気質や性格で苦手意識は拭えないが、それでも千雨の持つ良いところや不思議な魅力に仲良くなりたいと思ってしまうのだ。
ひとまずは、これから行われる肝試しで少しでも仲良くなれれば良いのだが。
「…………やっぱ無理かなぁ?」
話を終えると完全に緑谷を無視している千雨を見て、そう独りごちる緑谷だった。
二人が話している間にも、肝試しで森に入っていく。次は五組目の蛙吹と麗日のペアだ。
「じゃ、五組目……ケロケロキティとウララカキティ、GO!」
ゴクリとつばを飲み込んで真っ暗な森の道に入っていく。先ほどから女子の悲鳴がかなり上がっているが、十中八九耳郎のものだろう。
ふと鼻にかすめた匂いに千雨は眉間に皺をよせた。
「……なぁ尾白、なんか焦げ臭くないか?」
「ほんとだ……誰か"個性"使ったとか……?」
「いや炎熱系ってウチのクラスの二人しか……おい、あれ、黒煙じゃねぇか……!?」
「まさか、山火事!?」
まだ残っていた飯田、口田、尾白、峰田、緑谷、千雨がラグドール以外のワイプシメンバーと共に周囲に警戒する。
その時突然、千雨のそばにいたピクシーボブの身体が森の茂みの方へと強い引力で引き寄せられたかのように本人の意思を無視して飛んでいき、ガツンという強打音と共に、茂みの向こう側から何者かが姿を現す。
「対象者、一名発見」
「飼い猫ちゃんはジャマね」
爬虫類のような見た目で武装して目元をステインの付けていたものと同じアイマスクをしている男と、二メートル近い長さで布を巻かれた柱のようなものを持っているサングラスをかけた男。
その二人の足元には、左こめかみから血を流すピクシーボブ。サングラス男の持っている柱のようなものがぶつけられたのだろう。
「何で……!万全を期したハズじゃあ……!!なんで……何で、敵がいるんだよォ!!!」
峰田が恐怖と困惑で叫ぶのを聞きながら、虎とマンダレイが生徒たちを守るように前へ出て、千雨も敵を見据える。
悪意が再び、千雨たちのもとへ現れた。
真面目でお節介とも言える過度な優しさを持つ頑固な緑谷と、単独行動を好む独自ルール持ちの偏屈な千雨は相性が悪い。目的が一致した時は強力な味方になるが、基本的な相性が死ぬ程悪い。
己を追い込み努力し自身を追い抜かそうとするものに恐れと敵意を抱く爆豪とは似て非なる相性の悪さである。
爆豪と千雨の方が喧嘩友達とか悪友的に仲良くなれる可能性がある。根が真面目で偽らない爆豪の代わりにテキトーこいて良い結果引き出せるのが千雨なんで、この二人が組むと強かったりする。
むしろ何故緑谷はこんなに二人に近付いて地雷踏もうとするのか。お節介焼きだからですね、やめてくれ。
そして来ました襲撃編。すでに変化が出てるぞい!