ひねくれ魔法少女と英雄学校   作:安達武

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無事に更新出来ました。次回はいつになるのか……GW続いてくんねぇかな……。

前回、ちう様が緑谷とともにマスキュラーを撃破。



混戦の夜を行く

マスキュラーを撃破したボロボロの緑谷はその場に座り込み、千雨は七色の銃を見られないうちに消して洸汰とともに緑谷のそばに箒から降り立つ。マスキュラーの様子を電子精霊のこんにゃが確認しに近付く。

 

「敵、は……?」

「完全に意識を失ってますー」

「よし、起きて暴れたら大変だからキャプチャー・ゼリーフィッシュで捕らえておくぞ」

 

現れた半透明のクラゲがその触手で意識のないマスキュラーを拘束する。ついでに千雨はマスキュラーが起きても暴れないように、魔法で麻痺もこっそりかけた。

 

「倒せたなら、敵に狙われてるかっちゃんや皆を助けなきゃ……!」

「お、おい、お前怪我してんのに……!」

 

まだ動こうとする緑谷を引き留める洸汰。緑谷は両腕が赤黒く変色するほど骨折していて、頭から血も流しているのだ。引き留めて当然だった。

 

「落ち着け緑谷。お前それ以上無茶したら仲間を救う以前の問題だぞ」

「でも!」

「だから、人に止められない為に回復させる」

「!」

「この状況に加えて、テメーが立ち止まれねぇ性分なのはこれまでの行動で嫌と言うほどわかったからな。

いいか緑谷、私が治すのはテメーを生かすためだ。死にに行かせるためじゃねぇってのを覚えておけ」

「……うん」

 

無茶をするたびにリカバリーガールや相澤から注意を受け、母に何度も心配をかけさせてきた緑谷は頷いた。

 

「電子の王、再現、コチノヒオウギ」

 

その言葉と共に、飾りのついた木製の扇が千雨の目の前に現れた。

 

「今から"個性"伸ばしの時よりも()()()()をかける。色々な制限があるとはいえ一気に怪我が治る技だ。が、かわりに体内にエネルギーを流すからかなり痛む。

歯ぁ食いしばってろ」

「うん……う、ぐ……ぁ……っ!!」

 

千雨が緑谷に向かって桧扇を振るうと淡い光が緑谷の体に向かい、バキバキに折れていた骨や筋肉が一気に治癒することで100%を発揮した時と同じような激痛が走る。

本来ならば数ヶ月かかる傷を魔力によって一瞬で治しているのだ。激痛はある意味でその代償とも言えた。

そして光がおさまったところで、緑谷の右腕は元通りになったが、左腕は折れたままだった。

 

「チッ、左は時間切れ(無理)だったか……。緑谷、右腕に違和感は?」

「100%使ったのに、元通りだ……リカバリーガールの治癒とは違うって分かってたけど、本当に凄い……!」

「さっきは私がテメーに無茶させたからな。緑谷、洸汰、()()を誰かに言うのは禁止だ。コレを知られると、私は雄英に居られなくなる」

「「えっ」」

 

純粋に凄い力だと思っていた緑谷と洸汰は、千雨が雄英に居られなくなるという言葉に動揺した。

そんな二人をよそに、千雨は身に付けていた天狗之隠簑の中から添え木に使える長さの塩ビ管を取り出してハンカチと包帯で緑谷の左腕に固定していく。どこからともなく収容出来るはずのないサイズのものを取り出している千雨に、動揺していた二人は気付かなかった。

コチノヒオウギで治せなかった以上、骨折を治すのは治癒魔法を特訓中の千雨にとって至難の技である。一応なにもしないよりはマシだろうということで治癒魔法をかけながら千雨はこんにゃに状況を聞いた。

 

「こんにゃ、今の状況は?」

「ちくわふと飯田たまたちは合宿所に到着し、イレイザーヘッドがちくわふを連れて広場に向かって移動中!」

『A組B組、総員イレイザーヘッドの名のもとに、戦闘を許可する!』

 

こんにゃが報告している途中で、マンダレイのテレパスが流れた。イレイザーヘッドが連れているちくわふから、マンダレイたちの所にいるしらたきに伝えたのだろう。

電子精霊の連絡網は突然の襲撃にあったこの場において大変役立っていた。

 

「……よし、私らが戦ったのは許可後だな」

「長谷川さん、それは……」

「許可後だ。相澤先生がこのタイミングで許可出したっつーことは『責任は先生が負うから戦闘は全て許可後にしろ』ってことだろ」

 

緑谷に有無を言わせない千雨の態度。これは無許可で戦闘したら違法行為になるからである。そしてこれまで二度ほど使用してきた必殺技『プロヒーローを盾に責任回避(プロヒーローバリアー)』を今回も使う気満々であった。

もっとも、今回はイレイザーヘッドとしてこの場の責任は負うというのを分かっているからこそだが。

 

「B組の拳藤たま鉄哲たまがガス使いのマスタードを倒しに向かっており、意識不明の方を中心にマンタで撤退準備中……!

ちうたま!肝試しルートからすこし外れた場所で常闇たまが"個性"を暴走させてるです!」

 

こんにゃの報告に千雨は驚いて緑谷の治癒を中断した。

 

「この状況下で!?

マズい……緑谷、左腕の治癒よりも常闇のもとへ急ぐのを優先するぞ!」

「長谷川さん!?」

「フライ・マンタ!こんにゃ、洸汰を合宿所まで届けろ!

緑谷、箒の後ろに乗れ」

「イエッサー!」

「洸汰、合宿所にある消火器やバケツの場所はワイプシの四人に次いでお前が分かってる。合宿所の奴らの手助けをしてやってくれ。

私たちは、他の奴らを助けにいかなきゃならねぇ」

 

洸汰はガスと青く燃える森を見る千雨と緑谷を見て、二人を信じようと決め、マンタに乗りながら叫んだ。

 

「千雨姉ちゃん!出久兄ちゃん!助けてくれて……あ、()()()()()!」

 

箒に乗って遠くへ離れていく二人を見ながら洸汰はようやく安心出来たのかボロボロと泣く。

そんな洸汰の頭をこんにゃが小さな手でテシテシと撫で、洸汰を乗せたマンタは合宿所に向かって飛んで行った。

 

一方で、箒で常闇のいる場所へ向かって飛んでいた千雨にねぎが声をあげた。

 

「ちうたま!相澤てんてーから通信繋がってます!」

「繋げろ!」

 

すぐさま仮想ディスプレイに相澤の姿が映る。まだ広場に着いていないのか、移動中のようだ。

 

「長谷川!緑谷!一緒にいるな!?」

「一人でいた洸汰くんを守ってマスキュラーを撃破してました。私は無傷で緑谷は左腕骨折。洸汰くんは合宿所にマンタで送って、私たちは常闇のとこに向かいます!」

「常闇?」

「個性が暴走してます。敵の襲撃中に加えて夜じゃ、あいつが制御するのは至難。しかも森の中で視界が悪い上に黒影のあのパワーと攻撃範囲じゃ先生が抹消しに行くのはハイリスクです。

ガスで意識失ってる生徒や避難中の生徒に被害が拡大する前に、私が黒影を止めに行きます」

「狙われてるお前が緑谷連れてく必要ないだろ!」

「怪我した緑谷が爆豪救けに一人で飛び出しますよ、私がついてた方がまだマシです!それに合宿所に私一人戻るより、今は少しでも被害を抑えるのが第一!そのための戦闘許可では!?」

「……爆豪と合流したら戻れ、いいな長谷川!?」

「はい!」

 

千雨の返事を最後に相澤との通信を切って、敵にみつからないように木々の上ではなく間を縫うように飛ぶ。

暗い森の中を飛んでいるため、緑谷はどこかで木にぶつかるのではないかと気が気でなかったが、それ以上に千雨が急ぐ理由が知りたかった。

 

「長谷川さん、常闇くんの所に行くって、何で?」

「今この状況で黒影を確実に止めに向かえるのは私しかいないんだよ」

「黒影を止める?」

「すぐにわかる。それに爆豪と轟は二組目だから常闇たちの近くにいるだろう。サクッと行ってサクッと合流して避難するぞ」

 

千雨は、マンダレイたちのいる広場を迂回して常闇たちのいる場所へ向かう。

そして目的地に近付いたところで、千雨は見知った人物のそばにある木々の間に素早くシールドを張った。

 

「箒につかまれ、障子!」

「長谷川、それに緑谷……!」

「障子くん!……ってことは、あの黒いのって常闇くんの……黒影……!?」

 

黒影に襲われそうになっていた障子の前に半透明のシールドを展開して障子を箒に掴まらせ、すこし離れた場所に移動する。

千雨がシールドを張った場所のそばには、五メートルはあるだろう巨大な黒影が獣のような咆哮を上げて、シールドと周囲の木々をその巨大化した黒い腕の一振りで破壊していく。

横からの攻撃に弱いとはいえそこそこ防御力のあるシールドと、人の胴よりも太くて頑丈な木々を、まるで紙と発泡スチロールで出来ているかのように簡単に破壊する一撃。見ただけで確実に致命傷にいたる攻撃だとわかる。

障子は先ほどまでの間、黒影の攻撃を回避し続けてきたのだろう。致命傷は負っていないとはいえ、細かな傷や回避の際にぶつけた痣などがいくつもついていた。

 

「二人とも静かに。

音を立てるな、無差別に襲ってくるぞ」

「暴走理由はその腕か、障子」

「ああ。

マンダレイのテレパスを受けてすぐに警戒態勢をとった。その直後に背後から敵に奇襲されて腕をかっ斬られつつも草陰に身を隠した」

「腕……!?」

「傷は浅くないが失ったわけじゃない。斬られたのは複製腕で複製した腕だ。だが……常闇には耐えられなかったのか、抑えていた"黒影"が暴走を始めてしまった。

今は動くモノや音に反応し、無差別攻撃を繰り出すだけのモンスターと化している」

 

そう話す障子の左腕の複製器官には切り傷のような怪我がある。まだ血は止まっていない。

 

「だろうな」

「長谷川さん、知ってたの?」

「常闇とは中学の時に二人で実技試験に向けて特訓してきたからな。つっても、私も制御訓練以外でこの状態は初めて見るが。

簡単に説明すると、黒影は闇が深ければ深いほど制御が難しくなる上に、常闇の怒りや憎しみといった負の感情に触発されやすいんだ。

夜の森っつー月光の届きにくく暗いこの場は、完全制御が出来てねぇあいつにとって最悪の環境。更に言うなら、これで誰かを怪我させちまえば常闇の感情が負のスパイラルに陥って、制御が完全に出来なくなりかねねぇ」

「そんな……!」

 

小声で話している間にも、黒影はまるで千雨たちを探しだそうとしているかのように周囲の木々を破壊していく。そんな暴走状態の黒影をどうにか抑えこもうと、常闇は汗をかくほどに歯をくいしばってもがいている。

"個性"は身体機能のひとつ。制御出来ない暴走状態の黒影は、常闇自身も苦しめていた。

 

「長谷川、緑谷。俺はどんな状況下であろうと、苦しむ友を捨て置く人間になりたくはない」

「わかるぜその気持ち。だからこそ私が来た。

障子、緑谷と隠れてろよ」

 

孤独な黒子を使って接近するのは片手が塞がる上に黒影の攻撃範囲が広すぎる。魔法の射手(サギタ・マギカ)で照らすにはある程度の本数が必要になる上に黒影を狙うということは中心にいる常闇に怪我をさせかねない。

よって、天狗之隠簑の魔法迷彩で隠れながら至近距離で光を発生させる『光よ(ルークス)』を使うしかない。

 

障子と緑谷が木の影に隠れている間に、千雨は地面に落ちている木の破片をいくつか手に持ってフワリと箒で飛び、首に巻きつけていた天狗之隠簑を大きく広げて箒ごと体を包み隠す。

黒い腕を伸ばして周囲一帯を凪ぎ払う攻撃してくる黒影の攻撃を飛んで回避し、木の破片を遠くに投げて囮にしながら、必死に黒影を抑えようとして苦しんでいる常闇に始動キーを詠唱しながら近付く。

 

「ルキ・マリ・ス・テラ・マギ・ステラ……

光よ(ルークス)!」

「キァアアァアァァ!!!」

「ハッ……ハァッ……戻れ、黒影……!」

 

すぐそばで姿を現した千雨の右手から放たれた強力な光に黒影は悲鳴を上げる。そして弱まったことで制御権を取り戻した常闇が黒影を抑え、その場に座り込んだ。

千雨の放った光によって黒影の暴走が鎮まったところで、隠れていた障子と緑谷もそばにやって来た。

 

「悪ぃ常闇、駆けつけるのが遅くなった」

「いや……十分、助かった……」

 

ゆっくりと息を整えながら、常闇は言葉を続ける。

 

「障子、悪かった……俺の心が未熟だった。

障子の腕がトバされた瞬間、怒りに任せ黒影を解き放ってしまった。闇の深さ……そして俺の怒りが影響され、ヤツの狂暴性に拍車をかけ……結果、収容も出来ぬ程に増長し、障子を傷つけてしまった……。

そういうのは後だ……と、お前なら言うだろうが……」

 

致命傷に至らなかったとはいえ、友である障子を傷つけたことは常闇にとって悔やんでも悔やみきれないのだろう。

 

「常闇、俺は苦しんでるお前を救けようにも回避することしか出来なかった。たとえリスキーでも、光のある場所まで誘導することも出来なかった。

未熟なのは俺もだ」

「もしまた黒影が暴走しても止めるし、誰かを怪我させても治すさ。仲間なんだ、助け合って当然だろ」

「障子、長谷川…………ありがとう」

 

自分もまた未熟で救けられなかったことを懺悔する障子と、救けるのは当たり前だと微笑んだ千雨。

それは二人なりの謝罪はいらないという言葉であり、固い絆で結ばれていることの現れでもあった。

 

「ところで……敵の目的はいくつかあるが、長谷川と爆豪の拉致もあるんだろう?なぜ逃げずに此処に?」

「何……?」

 

障子が千雨に問い掛ける。常闇は暴走状態の黒影を制御しようと必死で、マンダレイのテレパスを聞き流していた。

 

「状況がぐちゃぐちゃだし、黒影の暴走で被害が拡大する前に確実に止めに行けるのが私だけだと判断してな。相澤先生から爆豪と合流したら合宿所に避難するように言われてる。

爆豪と轟が常闇たちの後だったんだ、障子を襲った奴と会敵してるかもしれねぇ。

障子、怪我を治癒してる間に索敵を頼む」

「ああ」

 

千雨が障子の怪我と緑谷の骨折に治癒をかけている間に、ねぎが常闇に敵の狙いを詳しく説明する。

 

「障子の怪我はこれで良さそうだな」

「助かった」

「やっぱり緑谷の骨折は治るまでかなり時間がかかりそうだ。一応移動しながら治癒するが……」

「大丈夫、固定してもらったし痛みはそんなにないから」

「そりゃエンドルフィンが大量に出てるからだぞ」

 

大丈夫だと言う緑谷に呆れる千雨。一方で、索敵をしていた障子が声を上げた。

 

「轟と爆豪は道を戻った先にいる。先ほど俺たちを襲った敵と交戦中!」

「かっちゃん……!」

「落ち着けバカ。障子、常闇と緑谷を背負って箒の後ろに乗ってくれ」

「わかった」

 

箒になんとか四人乗りする千雨たち。重いとそれだけ飛行のために魔力が必要になるが、無事に合流したら合宿所に避難するだけなのでここで消費する分には大丈夫だと判断した。

 

「こんな細い箒に四人乗って飛べるとは……」

「一人の時ほどスピード出せねぇがな」

 

四人が移動している途中で、どこからか銃声が聞こえた。

 

「今のって、銃……!?」

「ガスの広がっている方向からだな。B組の拳藤と鉄哲がガスマスク着けて敵のところに向かってるそうだが。

ガスが残ってる以上、先に爆豪を優先するぞ」

「うん……長谷川さん、あそこ!まだ離れてるけど、氷が見える!」

「音の感じからして、防戦状態だ」

轟と爆豪(あの二人)で防戦状態って、マジかよ」

「……常闇くん、常闇くんさえ良ければなんだけど……黒影出せないかな!?」

 

A組トップ3と呼ばれるうちの二人が防戦になる相手と知って増援に向かって勝てるのかと思案した千雨に緑谷が提案した。

先程まで暴れていた黒影の強さは無敵と言って良い。そしてここには光を出せる千雨がいる。

 

「なるほど……!常闇、制御()なら任せな」

「長谷川が居るなら構わん。なにより、友の怪我の礼がまだだからな」

 

移動しながら会話する四人。敵が視認出来る離れたところで箒から降り、轟と爆豪のいる場所に移動しながら常闇は黒影を再び解き放った。

 

今度は仲間を傷付けるのではなく、守るために。

 

 

 

千雨たちが向かっている先にいる轟と爆豪は、迫り来るいくつもの刃に防戦を強いられていた。

 

「近付けねぇ!!クソ、最大火力でブッ飛ばすしか……」

「駄目だ!」

「木ィ燃えてもソッコー氷で覆え!」

「爆発はこっちの視界も塞がれる!仕留め切れなかったらどうなる!?手数も距離も向こうに分が……」

 

氷壁で枝分かれする鋭い刃の攻撃を防御していた轟たちは、突如として向こう側から上がった獣のような咆哮に新手の敵かと警戒を強める。

しかしその時、向こう側に現れた巨大な黒いモンスターがそれまで防戦一方だった敵を易々と地面に叩きつけるのを見て、二人はポカンと呆気に取られた。

 

「かっちゃん!轟くん!」

「緑谷と障子、それに長谷川と……常闇か……!?」

 

呆気に取られていた轟と爆豪は、黒いモンスターのそばに見知ったクラスメイトがいるのに気が付き、それが敵の新手ではなく味方の増援だとわかった。

 

「肉……肉~~駄目だぁぁああ駄目だ駄目だ、許せない。

その子たちの断面を見るのは、僕だぁぁああ!!横取りするなぁぁああああ!!!」

 

黒影に地面へと叩きつけられただけではまだ意識の残っていた敵・ムーンフィッシュは枝分かれしながら伸びる刃の歯を黒影に向けて放つ。

しかしそんな攻撃は夜で巨大化している黒影と、障子の怪我の仕返しを心に決めて千雨という制御手段を得た常闇に効くはずもなく。

 

「強請ルナ、三下ァ!!」

「障子の怪我の報復、その身に受けろ!」

 

黒影の巨大化した腕に掴まれ、そのまま周囲の木々何十本を薙ぎ倒しながら振り抜いて、遠くの木の幹に叩き付ける。

その黒影の攻撃に流石のムーンフィッシュも意識を失った。

 

「長谷川!」

光よ(ルークス)

「ヒャッ!」

 

倒したのを見届けた常闇の指示に従って千雨が光を放つと、黒影はシュルリと常闇の中に収容される。

呆気ない敵の幕切れに、轟は地面に下ろしていたB組の円場を背負い直しながら、純粋に黒影の本気の強さに感心した。

 

「まさか俺らが防戦一方だった相手を一瞬で倒しちまうとは……」

「……」

 

常闇の黒影の本気を見て、もし今のと戦えたならと思った爆豪は、自身の爆破の光のせいで先程の黒影とは戦えないことに一人で残念に思っていた。

そんな爆豪をよそに、轟が緑谷に話し掛ける。

 

「マンダレイのテレパスで聞いたが、長谷川と爆豪が狙われてるんだろ」

「うん。相澤先生から、かっちゃんと合流したら合宿所に戻るようにって言われてる」

「つまり、これより我々の任は爆豪と長谷川を送り届けること……か!」

 

そして話はこれからの行動を決める話に移っていく。

 

「広場は依然プッシーキャッツが交戦中だ」

「じゃあ道なりに戻らないで、まっすぐ最短で行こう。

今は肝試しルートの広場への出口より少し森寄りだから、ここから入口側のにまっすぐ出て、そこから更に合宿所に向かって森の中を行くルートで」

「今さっきの暴れた音で居場所を知られた可能性あるしなぁ。

森の中じゃマンタは飛びにくいし、木々の上は目立つし、かといって箒にゃ人数的に乗れねぇし。……だるいけど徒歩か」

「敵は十人と脳無一体だろ?居場所がわかんねぇから突然出くわしかねねぇぞ」

「正確には、広場に二人、ガスの所に一人、今の刃物の奴ともう一人倒してるから……あと五人だな」

「こっちには障子くんの索敵能力がある!

轟くんの氷結に長谷川さんの治癒と遠距離攻撃、更に制御手段を得た常闇くんの無敵の黒影。

このメンツなら、オールマイトだって恐くないんじゃないかな……!」

 

こうして、爆豪長谷川護衛部隊がこの場で発足した。

 

「何だこいつら!!!」

「長谷川と爆豪は真ん中歩け」

「俺を守るんじゃねぇクソ共!」

「よろしく頼む」

「何頼んでんだアホ毛!」

「行くぞ」

 

騒ぐ爆豪を無視して、一同は早速合宿所にむかってまっすぐと森の中へ入っていった。

先頭を緑谷と轟が走り、意識を失ってる円場を背負った障子が索敵をしながらついていき、その後ろに爆豪と千雨、そして最後尾で後方を警戒するのが常闇だ。

 

「この先、麗日と蛙吹が交戦中!」

「麗日さんたちが!?急ごう!」

 

障子の索敵内容を聞いて、ガサガサと草木を掻き分けながら森の中を走る。

森を抜け、麗日たちのところにたどり着いた緑谷たちは、木の幹に長い髪を縫い付けられた蛙吹と金髪の少女敵・トガヒミコを組み伏せている麗日がいた。

 

「麗日!」

「障子ちゃん、皆……!」

 

麗日がクラスメイトの援軍に気を取られた隙に、トガは拘束から抜け出し、蛙吹の髪を縫い付けていたアイテムを戻す。

 

「人が増えたので殺されるのは嫌だから、バイバイ」

 

そう言い残して森の中に入ってどこかへ去っていくトガ。去り際に緑谷へ熱い視線だけ向けて。

 

「待っ……!」

「危ないわお茶子ちゃん、どんな"個性"を持ってるかもわからないわ!それに足を刺されたでしょう?」

 

蛙吹の言葉に追うのを諦める麗日。暗く見通しのきかない森の中へ去っていったトガの姿は見えなくなっていた。

 

「麗日さん、ケガしたの!?」

「大丈夫、全然歩けるし……ていうか、デクくんも腕……大丈夫なん?」

「処置はしてあるから大丈夫」

「立ち止まってる場合か。早く行こう」

「うん。とりあえず無事で良かった……そうだ、一緒に来て!僕ら今かっちゃんと長谷川さんの護衛をしつつ施設に向かってるんだ」

 

緑谷の言葉に、麗日と蛙吹はどういう事かと首をかしげた。

 

「…………ん?」

「爆豪ちゃんと千雨ちゃんを護衛?

その爆豪ちゃんたちはどこにいるの?」

「え?二人なら後ろに……」

 

その言葉で振り返った緑谷たちは、後方にいた常闇と千雨と爆豪の姿が忽然と消えていたことに気が付いた。

 




『プロヒーローバリアー』が三回目を迎えたので、必殺技に昇格しました。この必殺技、今後も使いそう。

【悲報】ちう様、あっさり捕まった【うそやろ】
ええ……お前マジかよ……という気持ちになりますが、もともとちう様は奇襲と広範囲への強力な攻撃に弱いし、麗日たちとトガちゃんにみんな気を取られてたし、夜の森で視界悪いという悪条件が重なりました。
あとあの反射神経が鬼な爆豪も原作で音もなく捕まえてくるミスターなら、一瞬でやられても仕方ないんやで、という。

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