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映画見ました!!!凄かった!!!
クラスメイトたちの会話を盗聴してその内容に一人頭を抱えつつも、エンデヴァーと共に警視庁にある敵連合対策本部へと向かった千雨。ちなみに念のためエンデヴァー事務所には身代わりの紙型で作った千雨の偽物を囮として部屋に待機させている。
二人が庁舎にある対策本部に向かうと、スーツ姿の警察官たちが資料片手に話したりどこかと電話をしており、エンデヴァーと千雨が部屋に入るとチラリと一瞥してから作業に戻っていく。
「塚内」
「来てくれたかエンデヴァー。それとそっちは……もしかして……!」
エンデヴァーと共に来たことから変装している千雨に気付いて塚内はわずかに驚き、千雨は黙って頷いて肯定する。
髪色も背丈も変わっているため、端から見ればエンデヴァーの秘書にしか見えず、事前に情報がなければ千雨だと誰も気付けないだろう。
「凄いな、まったく分からなかった」
「ヒーローの皆さんが集まり次第、一度元の姿を見せますので」
「そうしてもらえると助かるよ。エンデヴァー、作戦会議は隣の会議室で行うからそちらで待っていてくれ」
「わかった」
塚内に言われて会議室で待っていると、続々とヒーローが集まってくる。
No.4のベストジーニスト、No.5のエッジショット、シンリンカムイ、Mt.レディ、No.10のギャングオルカ、ワイルド・ワイルド・プッシー・キャッツの虎。他にも有名無名問わずに招集されたヒーローが集まった。
「おおよそ集まったかな」
「塚内警部、エンデヴァーの隣にいる彼女は?見たところ、ヒーローではないようだが……?」
「ああ、先に彼女の説明が必要だね」
シンリンカムイの質問で塚内と視線があった千雨は立ち上がって幻術薬を飲んで少しの煙をたてて元の姿に戻る。
「ギャングオルカさんと虎さん以外は初めてお会いしますね。
雄英高校一年ヒーロー科、長谷川千雨です」
「彼女は特例として作戦に参加してもらうこととなった」
「よろしくお願いいたします」
まさか学生、それも今回の襲撃事件で襲撃にあって敵に狙われている千雨がこの場にいるとは予想だにもしていなかったのか、ヒーローたちは驚いた。
その中でベストジーニストが冷静に質問をする。
「体育祭を見ていたが、"個性"は電気系統なのでは?」
「さきほどのはマンタやクジラと同じように、プログラムで作った着ぐるみのようなものです。元の姿でいるよりも多少は安全ですので」
「成る程、一理ある」
本当はプログラムではなく幻術薬によるものだ。千雨の嘘に全員が誤魔化されたところで、今度はエッジショットが質問をした。
「それで、なぜ学生で敵に狙われている君がここに?」
「狙われているからこそ、です。
敵連合には黒霧、ワープの"個性"がある以上、警戒が必要ですので。雄英は今いろいろと忙しくて頼れませんし。
なので襲撃後にエンデヴァーさんに個人的に護衛依頼をして、警察に安全のために作戦参加をお願いしました。
一応ここに来る前にエンデヴァー事務所に囮の偽物を用意してあります。セントラル病院にも囮を用意しようかとも思ったんですが、病院を襲撃されるのはマズいので」
「あなた高校一年生よね?」
Mt.レディの疑問はこの場の大半が思ったことでもあった。襲撃後に個人で国内No.2のプロヒーローに護衛依頼をして、警察に作戦参加のお願いを通して、さらに囮の偽物も用意してる高校生がいるなどにわかに信じがたいことだろう。
既に保須で暗躍していたことを知ってるギャングオルカと、千雨とほぼずっと行動を共にしていたエンデヴァーだけが千雨ならやれても当然と納得していた。
「俺も共に行動してもらった方が良いと判断した」
「珍しいですね、あなたがそう言うとは」
「USJから今回の襲撃も含めて、これまで巻き込まれた事件での千雨くんの行動を聞いたからな。
特に今回の雄英林間合宿襲撃では、千雨くんが動かなければ被害はさらに大きいものになっていたのは想像に難くない。出来る事が多くて狙われているなら、下手に動かないようにするよりも手の届く範囲で協力させるべきだ」
「なるほど……」
「今さらっと名前呼びしてなかったか?」
「ああ、師弟なんで」
「は?」
「千雨くんは俺の弟子だ」
「一ヶ月ほど前からですが、体術とか必殺技とか教わってます」
何でもなさげに語るエンデヴァーと千雨を、全員がマジかよという顔で見た。
体育祭で凄まじい戦闘力を見せたとはいえ、職場体験でアイドルめいた水族館ショーをした女子高校生を、硬派かつ激情家で万人受けとは程遠い強面どころか敵顔の男が弟子にしたのが意外過ぎるのだ。
そもそも、エンデヴァーという男は後進育成とはほぼ無縁である。No.2であることから事務所は多忙で請け負う仕事も対凶悪犯罪が多く、学生を受け入れること自体がほぼ稀で、採用したサイドキックにたまに指導する程度の男。ヒーロー事務所の合同トレーニングなどを行うとしてもエンデヴァー自身が参加することはほぼ稀で、参加しても助言は無に等しい。外部からの講師としてヒーロー科の学校に行くこともない。たとえ弟子入りを志願したとしても多忙を理由にして断る姿の方がよっぽど想像出来る。
それに異を唱えたのはギャングオルカだった。
「職場体験には俺のところに来て、その時に体術の指導をしてたのだからそのまま俺を頼っても良かった筈だ。連絡先も渡してあるだろう」
「職場体験で指導したからと言ってそのまま教わるとは限らん。千雨くんが俺に弟子入りしたのは事実だ。頼られなかった貴様自身に問題あるんじゃないのか?」
エンデヴァーが煽り二人がにらみ合いはじめたのを見て、千雨は軽く頭を押さえた。ギャングオルカが招集されてきたのを見て、千雨はなんとなくエンデヴァーと千雨の関係について聞かれるだろうと察していた。
ギャングオルカは強面で指導時の口調は厳しいが、実際は後進育成に力を入れている上に子供好きで面倒見が良いヒーローである。職場体験中に千雨のことをとても気に入っているのだとサイドキックの人々が教えてくれていた。そのため、エンデヴァーに弟子入りしたと知れば何かしら言われるだろうとは思っていたのだ。
まさかにらみ合いを始めるとは思わなかったが。
「俺は長谷川くんに聞いている。どういう事だ長谷川くん」
「別にギャングオルカさんが嫌いでエンデヴァーさんに弟子入りした訳じゃありませんけど、ギャングオルカさんのところに行ったら伊佐奈館長に捕まりそうで。
鍛えたいのに水族館でボランティアショーをするのは、ちょっと」
「ぐっ……」
ギャングオルカに正直に理由を話した千雨。水族館ショーを複数回強要した伊佐奈に対して嫌がっていたのを知っているギャングオルカはそういうことかと納得した。千雨が近くに居ると知れば伊佐奈は千雨を捕まえてショーをさせていたことも想像に難くない。
それと同時に、ギャングオルカはもしかしてと思いついた仮説を千雨に問う。
「それはつまり、伊佐奈に捕まる心配さえなかったのなら?」
「その場合は……まぁ、ギャングオルカさんに指導を続けて貰っていたかもしれませんね」
千雨の言葉にギャングオルカは心の中でガッツポーズした。インターンはギャングオルカ事務所に決まりだな、と。
それを聞いていたエンデヴァーは眉間に皺を寄せた。
「伊佐奈については必ず対処すると約束する。インターンの時は心配することなくウチに来ると良い」
「ギャングオルカ、言っておくが千雨くんは既に俺に弟子入りしてるから無駄だ。職場体験に行った事務所しかインターン先に選べない訳ではないだろう」
「それはそちらもだろう。それに長谷川くんは別にNo.2でなければならない理由もないようだが?」
「貴様、余程痛い目にあいたいようだな……?」
ギャングオルカの言葉にエンデヴァーはギラリと睨み付けながら威嚇するように目元の炎を強くしてボウッという音を立て、ギャングオルカもまた普段閉じている目を開いて睨み返す。
敵かと思ってしまうほどの強面ヒーロー二人の睨み合う姿はまるで任侠映画のようだ。なお、優秀かつ気に入っている女子高校生の師匠ポジとインターン先を巡ってのにらみ合いという、大変残念な理由である。
「インターン先は仮免取得してから考えます」
争いの原因である千雨は問題の先送りをした。面倒臭いと思ったことに加えて、どう答えても争いになるのが目に見えていたのが理由である。また、そんなことよりも切島たちの無謀な計画が実行された場合の対処などに意識が向いていた。
周囲の大人たちは睨み合う二人を見ても平然としている千雨を見て、道理でエンデヴァーとギャングオルカが気に入る訳だと納得した。大人でも怖がる二人にまるで動じないどころか友好的な女子高生は希少。気に入るのも当然である。
そんな混沌と呼ぶべき空気の会議室に、二人のヒーローが遅れてやって来た。
「すまない塚内くん、遅れてしまったかな?」
「いや、ちょうどこれから会議を始めるところだったよオールマイト、グラントリノ」
「そうか……って、長谷川少女!?何故ここに!?」
「実は、特例で参加してもらうことになってね」
「グラントリノ、あの時は通信越しでしたし、お会いするのは初めてですね。よろしくお願いします」
「特例でこの作戦に参加たぁ……まぁ、嬢ちゃんなら納得か」
ヒーロー殺し逮捕で千雨が暗躍していたことを知ってるグラントリノは深く聞かずとも納得した。
「あ、作戦会議前にすみません、オールマイトを別室にお願い出来ますか?」
「えっ?」
「私オールマイト嫌いなので」
平和の象徴として老若男女に好かれて尊敬されているオールマイトを嫌っているだけでも珍しいというのに、嫌いという理由で別室にしてくれと言ったことにその場の全員が驚きを隠せなかった。
「は、長谷川少女、そんなハッキリと言わなくとも……」
「オールマイトと何かあったのか?」
「私が嫌ってるのは個人的な思想の相違や価値観などもありますけど……何らかの事件があれば大小問わずに駆け付けずにはいられないようなヒーローに、現在進行形で敵に狙われている私が安心出来る訳ないじゃないですか」
「いや、流石に今回はそんなことは」
「雄英教師になって事務所休業中なのにも関わらず、街中でヒーロー活動して授業に遅刻しまくってるし」
「うっ」
「USJ襲撃の時も授業前にヒーロー活動して結果遅れてきたし。林間合宿にオールマイトが不参加だったのも日頃から悪目立ちするからだし」
「ぐっ」
「教師としての職務を易々と放棄する、遅刻常連者、授業も正直言って微妙だし、指導の仕方がなってないし、無自覚だろうが贔屓もしてるし、周囲はそれでも持て囃すばかりだし、なにより指摘されても本人に改善の意思が一欠片も見られない。
過去の偉業がどれほどのものだろうと、実際に生徒として見てきた身としては、教師としても大人としてもヒーローとしても信用も信頼も出来ない」
「ごはっ」
反論の機会すら与えぬオーバーキルっぷり。オールマイトはマッスルフォームのまま吐血しなかったものの、精神的ダメージに胸を押さえている。
見ていたプロヒーローと塚内は勿論のこと、ギャングオルカとエンデヴァーもにらみ合いを止めた。No.1ヒーローのオールマイトにここまでハッキリと言える人間などほとんど居ないからである。いくら雄英教師となったオールマイトが身近な存在になったとしても、教師かつトップヒーローに向ける目ではない。
とはいえ、淡々と語られた理由は嫌うのも納得できる内容だ。困っている市民を見捨てないところはヒーローとして素晴らしいと言えなくもないが、このヒーロー飽和社会で高校教師になった社会人の行いとしては褒められた行いではない。
「……まぁ、確かに四月以降オールマイトに活躍を奪われることはかなりあったわね」
「あの時は流石に廃業を覚悟したな……」
オールマイトの通勤ルートにあたるのか、田等院で活動しているMt.レディとシンリンカムイの二人はヒーロー活動中にオールマイトが解決していくことが何度かあったことを思い出す。
ヒーローは公務員であるがその給与は歩合制である。副業として広告モデルなどをしていたりもするが、それでも本業はヒーロー。事件解決をしなければ収入が無い。それだけでなく、事件解決の実績や話題性がなければ警察からも市民からも指名依頼をされなくなる。
ヒーロー飽和社会の現代では『誰が多くの、大きな事件を解決したか』が切実な問題だ。ちょっとした事件にも数分で複数のヒーローが駆けつけて手柄を奪い合う。
そしてそんな二人の言葉も今のオールマイトには深く刺さった。優秀な若手の未来を知らず知らずのうちに潰しかけていたのだと知ったら、罪悪感でそうなっても当然だ。
普通ならやり過ぎだと指摘されることもあるはずだろう。だが、オールマイトはNo.1ヒーローで平和の象徴。若手二人がそれを指摘するには偉大すぎる相手である。そしてオールマイト本人は善意で行っているのだから余計にタチが悪い。
「……塚内、嬢ちゃんがあの調子だし、とりあえずワシがオールマイトの見張りをするからどこか適当に別室を用意してくれんか?そこから通信越しとかで会議に参加する」
「わかった」
グラントリノの提案により、オールマイトとグラントリノは塚内に別室へと案内してもらう。
六人程度で使うのであろう小さな会議室は、特例で作戦会議に参加することになった千雨を人目に触れさせずに待機させるために用意していた部屋だ。
部屋に着いたとたん、グラントリノはオールマイトに声をかけた。
「俊典、お前の姿についてあの嬢ちゃんが知ってるなら先に言えっての」
「えっ」
「スマホに嬢ちゃんからメッセージ入ったんだよ。『作戦決行時に万全の状態でいられるようにオールマイトを別室で休ませてほしい』ってな」
グラントリノがオールマイトにスマホのメッセージ画面を見せる。実は千雨、電子精霊に指示してメッセージを送らせていたのだ。
「長谷川少女が!?……というか、いつの間にグラントリノの連絡先を?」
「保須の時に坊主に渡すように言ったからな。……そういやお前には言ってなかったか。
ワシがお前の事情を知ってることについては、お前と坊主の関係と、世間で無名かつ大々的な活動をしてないワシがわざわざ体育祭で坊主を指名したことから、だってよ。本当によく見とるな」
「僕はグラントリノからメッセージの転送をされてね。
……もっとも、想像以上だったけど」
オールマイトとは旧知の仲である塚内も、千雨の本気の嫌悪を宿した目にはおののいた。同時に、どれもこれも正論で、叱るどころか深く頷くしか出来ない内容だった。かつてオールマイトが事務所を通さずに行ったヒーロー活動の事務処理をしていて彼の歯止めのきかない部分を知っている塚内としては、内心よく言ったと褒めたいくらいのところもあったのは内緒である。
「にしても俊典……お前には元・雄英教師っつー立場から言わなきゃいけないことが山ほどあるみてぇだな……?」
「お、お手柔らかにお願いしますグラントリノ……!」
一方で、塚内の案内で会議室を出ていったオールマイトとグラントリノを見送ったプロヒーローたちは、スマホを操作する千雨を見ていた。オールマイトに向けていた視線はもしや夢か幻だったのではないかと思ってしまうほどに、今の千雨は先ほどの出来事を気にしていない様子だ。それもそのはず、千雨は自分が悪いとは一切思っていない。
作戦決行まで数時間とはいえ、オールマイトを別室で休ませて作戦の成功率を上げるため。そして、改めて普段どれだけ酷いのか自覚させたいがためだったからだ。一度指摘していて、二度目に躊躇するはずもなかった。
「……オールマイトに、あそこまで言うとはな……」
流石のエンデヴァーも千雨がオールマイトを嫌っているなど想像していなかったため、素直に思った事を口にしていた。
そんなエンデヴァーの言葉に、千雨はスマホから顔を上げて答えた。
「私は世間の評価や肩書きよりも、自分が見聞きしたことを重視するべきだと思ってますし、相手が年上だろうが年下だろうが言うべきことだと思ったらハッキリ言います。
それに尊敬や信頼ってのは、その人が積み重ねてきた言動や行為を受けて自然とわき出るもの。見るべきものは、その人がその立場でどう振る舞うのか。どう在ろうとするのか。
どれだけ凄かろうとルールを破るような人間を尊敬しろ信頼しろと言われてもそれは無理です」
千雨はこれまで多くの人を見てきた。10歳で教師になったネギだけでなく、麻帆良学園に通う3ーAの仲間、他の学生たちや学園の内外で働く大人、魔法世界で出会った人々。そしてこの世界に転移してから出会った教師やヒーローたち。それらによって千雨はこの価値観を形成してきた。
だからこそ、オールマイトの在り方を真っ向から否定したし、オールマイトの日頃の行いを軽蔑していた。
「……最近の高校生はスゴいですね」
「全くだ。度胸も考え方も違う……いや、違うからこの場に居るということだろう」
「長谷川くんの言うことはもっともだな。ヒーローとして、大人として、タイトなジーンズのように心が引き締められる良い考えだと私は思うよ」
「えっと……どうも」
シンリンカムイとエッジショットが話している横で、ベストジーニストに声をかけられた千雨。褒められているのかよく分からず一瞬戸惑った。
そこに塚内が戻ってきた。オールマイトたちとは電話を繋げた状態で会議をするようだ。
「えー、さて。それじゃあ……作戦会議を始めようか!」
切り替えようと言わんばかりの塚内の言葉に、それまであった空気は消え、全員がプロヒーローとしての顔つきとなった。
びっくりするほど作戦会議が何一つ進んでない。タイトル詐欺では?(ボブ訝
エンデヴァー「職場体験に来たからって調子に乗るなよ?」
ギャングオルカ「別にエンデヴァー以外でも良いようだが?」
他の大人「睨み合う二人にビビらないとか、そりゃ気に入られるわ」
↓ちう様、オールマイトに毒舌発揮
エンデヴァー「俺の弟子、あんな毒舌言うんだ……」
ギャングオルカ「ウチの子のあんな目、初めて見た……」
他の大人「メンタル強度とか色々おかしくないか???」
オールマイトを絶賛する社会の人からすれば、ちう様の毒舌はびっくりさせそう。相手が子供だろうが教師だろうが誰であろうと容赦しないぞ!つよい。
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