映画第三弾も二弾と同様に(ちう様がチートすぎて)書けるか分からないので保留にします。むしろ第一弾が書けたのが奇跡だった説。
そもそも世界25か国に遠隔操作で同時起動する爆弾ってことは起動は"個性"じゃなくて機械なわけで……現代社会において最強最悪の電子精霊……やはり長谷川千雨、長谷川千雨は全てを解決する……!(解決するな)(頼むから劇場版を五分で終わらせるな)
会議の始まりが告げられると会議室の空気は途端に引き締められ、塚内が室内にあるスライドで赤い印のつけられた地図を映しながら話し始めた。
「今回の掃討作戦は二手に分かれて行う。
主戦力は連合のアジトに奇襲を仕掛けて敵の捕縛と拉致被害者の救出に向かってもらう。もう一つは少人数で連合の持つ脳無を格納している工場の制圧だ」
「一日で掴んだのか」
「ああ、長谷川さんが敵の顔写真や映像を提供してくれたお陰さ。敵の身元などもほとんど判明した。
脳無工場の方は雄英の生徒がつけてくれた発信器で見つかったよ。
場所はどちらも、神奈川県横浜市神野区」
二ヶ所のアジトは直線距離で五キロほど離れているが、どちらも市街地にある。
木を隠すなら森の中と同じで、地方や人の少ない場所よりも人が集まりやすい都市部の方が後ろ暗い人間も隠れやすいのだろう。
「主戦力としてオールマイト、エンデヴァー、グラントリノ、エッジショット、シンリンカムイの五人を中心に現場地区の担当ヒーローなどにも協力してもらう。
ベストジーニスト、ギャングオルカ、虎、Mt.レディの四人には工場の制圧を頼む。
各方面に確認したが、脳無工場の建物は現在の所有者が不明。確認できる最後の所有者が夜逃げして以来放置されていたようだが、十中八九、裏の人間にでも売ったのだろう。
どちらのアジトも建物を壊す許可は出ている、思いきりやってくれて構わない」
塚内のその言葉に千雨はそんな簡単に許可が出て良いのかと思ったが、超人社会であり、今回は敵組織による襲撃及び未成年拉致事件というのもあるのだろうと納得した。行政側も犯罪者の温床となる所有者不明の建物が市街地にあっても困るし、更地にしてから市か区の物として売りに出すのが色々と都合が良いといった所か。
千雨がそんな事を考えていると、塚内が極めて緊張した面持ちで話し始めた。
「連合にはおそらく……いや、間違いなくブレーンがいる。
そいつの強さはオールマイトに匹敵する。そのくせ狡猾で用心深い。己の安全が保証されぬ限り表には姿を見せない。
今回は死柄木らの確保から奴の捕捉までを可能な限り迅速に行いたい。
全員、気を引き締めて事に当たって欲しい」
オールマイトに匹敵する強さのブレーン。そんな存在がいるなど知らなかったのは千雨のみならずMt.レディやシンリンカムイ、エッジショットといった若手ヒーローたちに加えて、虎やNo.4のベストジーニストもそうだったのか、口には出さないが怪訝な表情をしている。ギャングオルカとエンデヴァーは表情に変化が見られなかったのでわからないが、それでも大半のヒーローが半信半疑だった。
それもそうだろう。それほどの強さを持つ存在が敵にいるのならば表立って暴れていてもおかしくない上に、ヒーロー飽和社会などと言われることもない。
しかしそんな疑問を投げかけるには、塚内の目はとても真剣なものだ。
電子精霊に別室にいるオールマイトたちの様子を見てもらうと、こちらも真剣な表情で、膝の上で拳を固く握りしめていた。No.1ヒーローであるオールマイトとグラントリノは黒幕について知っているのだろう。
「長谷川くんは主戦力のチームと行動してもらう。といっても基本は僕やヒーローの護衛付きで、予備戦力として後方にて待機だ」
「予備戦力?」
「正確には、戦闘の余波が広範囲に広がってしまった時に、君の空飛ぶマンタで拉致された雄英生や周囲の一般人を連れてその場から退避してもらいたいんだ」
オールマイトに匹敵する強さの敵がいるのであれば、その敵とオールマイトの衝突は周囲に大きな影響を及ぼす可能性が高い。
今回発見されたアジトはどちらも市街地に近いのだ、最悪を考えねばならない。
まず第一にすべきが被害者の救出。次に被害拡大の抑制。千雨の立場と能力を鑑みての予備戦力扱いだ。もっとも、プロヒーローが揃っているなかで狙われていた千雨を最前線に置かないのは至極当然のことである。
「今回は長谷川くんが変装することを条件に、特別に僕たち警察とヒーローからの認可の上で今作戦中のみ免許不問だ。
君の協力を求めるのは緊急時のみ。正当防衛以上には戦わせない」
「わかりました」
逆に言えば正当防衛の範囲であれば攻撃可能か、と返事をしながら千雨は考えていた。
別に千雨は戦闘狂でも喧嘩好きでもないし、前線に出る気はまったく無い。だが、ここまで幾度も平穏な日常を邪魔してきた連合の奴らの顔面を一発ぶん殴れるなら殴りたいと思っていた。
「奴らに反撃することは雄英高校の根津校長に伝え、今夜の会見で捜査がまだ終わっていないという偽情報を流してもらう。
会見は九時から。そのタイミングで同時に突入だ」
襲撃した連合側がその襲撃結果である雄英の記者会見を見るのは確実である。それまで敵に動きが無いか私服警官が監視をしているそうだ。招集されたヒーローたちは全員突入まで作戦本部にて待機となった。
それぞれ敵連合に関する資料に目を通したり、休息を取ったり、各々の事務所などと連絡を取っている。そんな中で千雨は塚内に声をかけた。
「塚内警部、ちょっとお話いいですか?」
「何かあったかい?」
「変装して現場に同行する際の装備についての相談です。
それから……オールマイトの様子が見たくて。土下座とまでは言いませんけど謝罪する姿くらい見たいので」
声を潜めて伝えられた本気なのかオールマイトに会うための口実のブラックジョークなのか分からない千雨の言葉に塚内は困惑混じりにぎこちなく笑って、千雨用に用意しておいた待機部屋に案内すると言ってオールマイトたちのいる部屋に案内した。
「僕も同席してもいいかい?」
「出来ればサシで話したくて。……誰か必要ならグラントリノさんでも良いですか?」
「そうか……それじゃあ僕は扉の前で待ってるよ」
新しく気付いた事があるのか、それとも作戦会議でオールマイトに聞かねばならない事ができたのかと気になっていた塚内は仕方がなさそうに微笑む。
千雨がノックして入室すれば、会議で中断された説教の続きをしていたのであろうグラントリノと床に正座しているガリガリな姿のオールマイトがいた。ガッツリ指導を受けていたのか、オールマイトの落ち窪んで影になっている目から光が失われていた。
「はっ長谷川少女!!」
「グラントリノさん、お手を煩わせてすみません」
「んな気にすんな。それよりどうした?何かあったか?」
「オールマイトに聞きたいことがあったので」
「私に……?」
オールマイトが立ち上がってグラントリノの横にあるパイプ椅子に腰掛けると、千雨は向かい側に椅子を持ってきて脚を組んで座り、まっすぐとオールマイトを見て告げる。
「会議中に警部が話していた黒幕のブレーン。他のヒーローはあまりピンとは来てなかったようだが……あんた、何か知ってるんだろ。
同じくらい強いと言われてて長年不動のNo.1ヒーロー様が知らねぇ筈もねぇしな」
「…………」
「その黒幕ってのは何だ?」
逸らされる兆しのない視線にオールマイトはわずかに目を伏せてから口を開いた。既に千雨は気付ける範囲のこと全てを知っている。そして今回の事件も奴が裏で糸を引いているのであるならば、狙われた千雨にとっても他人事ではない。
「……話すよ、全て」
オールマイトは静かにオール・フォー・ワンの存在と、"個性"ワン・フォー・オールの成り立ちを語った。
超常黎明期より裏の社会に生き続ける巨悪と、その弟であり兄から与えられた"個性"が持っていた"個性"と混ざり合って新たな"個性""ワン・フォー・オール"を生み出したこと。何人もの人間に譲渡され、"ワン・フォー・オール"所持者たちがオール・フォー・ワンと戦ってきたこと。そして六年前にオールマイトが奴を討ち取ったのだが、生き延びてブレーンとして再び動き出しているということを。
「……で、敵連合の裏にいるブレーンってのが、そのオール・フォー・ワンってわけか」
「ああ」
「能力の強奪と付与による複数所持……なるほど、あんたがわざわざ四月に私の"個性"を問い質してきたのはそういう事か。私の能力は応用が利きまくるからな。
で、あんたは緑谷にその"ワン・フォー・オール"を譲渡した。キッカケは師弟関係になった事件か?譲渡したのは雄英の入試の前あたりだろ。たしか爆豪が入学初日に緑谷のことを無個性だなんだって言ってたし。
緑谷が他と違って"個性"を使いこなせず怪我すんのも、体育祭で保健室に運ばれた時にあんたが居たのも、元・雄英教師で半分隠居状態だったグラントリノが体育祭後に緑谷を指名したのも……全部そういう事か」
納得したと言わんばかりの千雨に対して、オールマイトは千雨の観察眼や情報収集力、推理力に冷や汗をかいていた。
オールマイトも緑谷も話していないことを千雨は自身が得た情報だけで暴いてみせたのだ。また、千雨はこの世界で一般常識である『"個性"は生まれつきのもの』ということへの認識が他の人間よりも弱いのだ。よって、譲渡ということもすぐに納得し、その時期まで推理することが出来たのである。
側で聞いていたグラントリノは、千雨の推理力の高さもさることながら、隠し事をするにはあまりに杜撰で詰めが甘いオールマイトに注意するべきか否か考えていた。
一方で千雨は口元に右手を当てて少し考え、脚をほどいて姿勢を正してから、かけていた眼鏡を外してオールマイトに問い掛けた。
「それであんたは"個性"を譲渡した後で、そんなボロボロの身体になってもオール・フォー・ワンに立ち向かわなきゃいけねぇのか?」
「ああ、そうだ」
「『あんた』が絶対やらなきゃなんねぇのか」
「ああ」
オールマイトは千雨の問いかけに迷うことも戸惑うこともなく返事をする。
「……それで死んでも良いって言うのか」
その問いかけに、オールマイトは息をのんだ。
「テメーの寿命自体が残り少ないことを
ロクに活動出来やしないなら、休んだって良いはずだ。ヒーローとしての活動はエンデヴァーさんたちに任せてあんたは後進育成に専念すりゃいい。穏やかな日常を送ったって誰も責めやしねぇだろ」
「……確かに、君の言う通りだ。私の命は残り少ない。今回の事件がゴールになるかもしれない。
それでも私が奴を倒さなければならない。それがワン・フォー・オールを受け継いだ者の使命だからだ。『平和の象徴』である私の使命なんだ」
「命を無駄にすることが使命だと?」
「無駄になんかしてないさ。世の中を平和にするために必要なんだ」
「無駄にしてんだろ!あんた自身を!」
何故わからないんだと言わんばかりに声をあらげる千雨。それはかつてオールマイトと袂を分かったサイドキックのサー・ナイトアイの姿をオールマイトとグラントリノに思い起こさせた。
オールマイトを『象徴』としてではなく、『一個人』として見ているのだと。だから千雨はオールマイトの偉業を褒め称えることをせず、個人単位での行いの良し悪しをハッキリと言い、『オールマイト』の社会における価値ではなく、『八木俊典』という個人の幸せと、その命の価値に重きを置いているのだ。
「……前に、君は『私の人としての幸福は何か』と聞いたね。
私の人としての幸福は『世の中の平和が保たれること』だ。ここで私が休むことは出来ない」
その言葉に千雨は怒りを通り越して失望を抱いた。
どんな言葉を投げかけても、どれほど現実を突き付けても、足を止めようとしない。差し伸べられた手を振り払い、向けられた優しさを踏みにじり、自己犠牲の果てへと向かおうとする。
その自己犠牲こそが己の幸せというのであれば、それはオールマイトという象徴になった人間には個人としての側面が無いと言ったも同然だ。その答えは、千雨にとって受け入れがたく、同時にオールマイトと対話をすることへの必要性を感じなくさせるものでもあった。
「……もういい。テメーと話す必要はもうねぇ」
そう言い残して千雨は部屋を出て、外で待っていた塚内に声をかけるのだった。
それから千雨は他のプロヒーローたちとともに警察の集めた資料を読みこみ、各種準備を整え、プロヒーローと警察が万全の準備となった所に、別室で変装と着替えを終えた千雨がやってきた。
「お待たせしました」
作戦会議に来たときと同じ姿に、黒い半袖のコンバットシャツとコンバットパンツに、同じく黒いベスト、ブーツ、グローブ、ウエストポーチを身に付け、待機中に顔を見られないようにするための白いフードのあるマントと、その下に天狗之隠簑を羽織っている。
今回の装備品について、警察側が用意するところをエンデヴァーが手配してバーニンが持ってきてくれた。千雨からの護衛依頼は継続中だからという屁理屈である。もっとも作戦に参加する以上、それなりの装備は用意して貰わなければならなかったので千雨はありがたく頂戴した。
また、黒い髪はハーフアップのお団子ヘアにしてまとめてある。なるべく長谷川千雨が普段していない髪型を意識した。
その姿を見たオールマイトとグラントリノは固まった。千雨は意図せずオールマイトの亡き師匠・志村菜奈と瓜二つのような格好だったからである。
「……嬢ちゃん、か……?その格好は?」
「緊急時には戦闘も行うのと、ヒーローに紛れるために用意して貰いました。……流石に警察の正規品を使うわけにはいかないので」
流石にヒーローに変装するというのに、デカデカとPOLICEと書かれているものを使う訳にはいかない。これもまた千雨がエンデヴァーが手配してくれた装備を使うことにした理由でもある。
「……そうか…………」
「グラントリノ、何かおかしな所でも?」
「いや……知り合いに似とる格好だったもんでな。長く生きてると色々ある。気にすることでもねぇよ」
「……そうでしたか」
その言葉で、今の千雨に似た人はすでに亡くなっているのを察し、そこで二人の会話は途切れる。それと同時にエッジショットが塚内に話しかけた。
「ところで塚内警部、彼女のことは何と呼べばいい?」
「長谷川さんの臨時のコードネームはジョーカーだ」
「ジョーカー……なるほどいざという時の『切り札』という訳か」
「エッジショットさん、私そんなに強くないので、どちらかと言えば『ハズレ札』だと思うんですが。ヒーローのふりして紛れるための格好してますし。
今回限りのコードネームなのでジョーカーで良いですけど」
変に凝ったコードネームを付けられるよりかはマシだ。そう考えながら千雨がエッジショットに意見をしているのを聞いたシンリンカムイは千雨をまじまじと見る。
「……体育祭や今回の襲撃であれだけ活躍してて、そんなに強くないと……?」
「自己評価が低いのか、はたまた比較対象が悪いのか……」
「後者じゃないですか?どれだけ活躍してもまだ高校一年生ですし、プロと比較してそうですし」
「……なんにせよ、力を過信しすぎるよりは良いか」
後に『ラーカーズ』というヒーローチームを結成することになるシンリンカムイ、エッジショット、Mt.レディはそんな話をしていた。Mt.レディが千雨が比較している対象としてエンデヴァーとギャングオルカの名前を出さなかったのはどちらの名前を出しても聞かれたら面倒なことになると察していたからである。
「両チームとも、敵のアジト近くに移動を開始するぞ」
塚内の声で警察が用意した車に乗り込む。既に機動隊は現地近くに待機させている。一度に大勢移動させないのは敵に気付かれない為である。
千雨はエンデヴァーと同じ車に乗りながら、スマホをぎゅっと握りしめた。
頼むから動いてくれるなよと祈りながら。
オールマイトと三回目の
まぁどちらも簡単に手のひら返すような人間じゃないし、譲れるほど軽いものじゃないし、相容れない価値観だから仕方ないね。オールマイトはナイトアイに予知もされてるからね。
そして無自覚にオールマイトとグラントリノのメンタル刺してるちう様、作戦では主戦力の後方待機、臨時コードネームはジョーカーです。切り札、ハズレ札、番外、道化、嘘つき。即ち【ひねくれもの】。
ちう様にジョーカーというのはピッタリだと作者は自信満々です。
ちなみに、ちう様は緑谷達の計画については黙ってます。動くと確定していない状態で伝えても無駄になってしまうので。
次回は緑谷たちのターン。いよいよ神野へ。
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